主演佐藤弘樹,鵜飼主水 ILLUMINUS 舞台 「黒の王」野望,陰謀,策略が渦を巻く,黒い影が暗躍するゴシックな展開!

2019年に3作品連続で上演された女優のみによるネオゴシックガールズ演劇シリーズ“女王ステ”((「赤の女王」、「楽園の女王」、「純血の女王」))、新シリーズ”王ステ“、その記念すべき第一弾は「黒の王」が開幕した。ILLUMINUSの吉田武寛が作・演出、主演は佐藤弘樹、鵜飼主水。
中世の時代は十字軍が数多く派遣された。西欧カトリック諸国が、キリスト教の聖地・エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍のことで、発端は1095年に遡る。イスラム王朝であるセルジューク朝にアナトリア半島を占領された東ローマ帝国の皇帝アレクシオス1世コムネノスが、ローマ教皇ウルバヌス2世に救援を依頼。その大義名分が異教徒であるイスラム教徒から聖地エルサレムの奪還。それを受けてウルバヌス2世はクレルモン公会議でフランスの騎士たちに向かってエルサレム奪還活動に参加するように呼びかけ、軍隊の派遣を訴えたのである。


今回の物語の主な登場人物であるワラキア公の2人の息子、ヴラド3世(佐藤弘樹)とその弟ラドゥ(中島礼貴)。1436年、彼らの父であるワラキア公、バルカン半島へと進出を続けるオスマン帝国に対し、ハンガリーと共に断続的に交戦したが、1444年にヴァルナの戦いでワラキアを含むバルカン半島の諸侯連合軍であるヴァルナ十字軍がオスマン帝国に敗北、ワラキアはオスマン帝国に臣従を余儀なくされてしまう。ヴラド3世は、父がオスマン帝国から呼び出しを受けた際に弟のラドゥ美男公とともに抑留され、実質的にオスマン帝国の人質となったのである。現在は、故国を侵略から守るために戦った英雄として再評価されているが、ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』に登場する吸血鬼・ドラキュラ伯爵のモデルの一人としても知られている。弟ラドゥは眉目秀麗、首都・エディルネに送られてムラト2世の小姓とされ、イスラム教スンニ派に改宗したと言われている。まさに数奇な運命の兄弟である。
また鵜飼主水演じるヴィンツェル、ドイツ語圏およびハンガリー語圏の男性名である。彼はヴラドをマリアタというが、これは「My Load」という意味。
舞台冒頭から殺陣、中世のヨーロッパ、イスラム勢力、オスマン帝国の力は強大、ヴラド3世とその弟ラドゥは抑留される。自分たちもいつか処刑されるのかもしれない、そんな恐怖心に震えていた。特に弟は、史実ではこの時点では5歳であった。

そこへメフメト(米原幸佑)のちのメフメト2世、コンスタンティノープル(イスタンブール)を攻略して東ローマ帝国を滅ぼし、オスマン帝国の版図を大幅に広げたことから「征服者(ファーティフ Fatih)」と呼ばれる。大きな権力をいつか手中にする男だ。「鬼ごっこをしよう!」とフレンドリーに2人に近づく。弟は彼と遊び始めるが、兄は馴染めない。それがのちに兄弟の悲劇を生むことはまだ、この時は知る由も無い。


時代のうねり、そして運命、ヴラドを迎えに来たのは父ではなくヴィンツェルという男、ヴラドに忠誠を誓う。ヴラドはワラキアを奪還すべく立ち上がるのであった。
兄弟のさだめ、オスマン帝国の野望、これらをゴシックな味付けで展開する。父・ヴラド2世(風間庸平)、ちなみにヴラド2世はドラクル、竜公、悪魔公とも呼ばれており、神聖ローマ皇帝兼ハンガリー王ジギスムントによってハンガリー王国のドラゴン騎士団の団員に叙任されたためにそう呼ばれていた。そんな史実をおさえておくと、物語はよりわかりやすくなる。

1幕ではちょっと笑える場面もあり、ミュージカルでは無いがテーマ曲も用意されており、盛り上がる。2幕で物語は本格的にドラスティックに動き出す。ヴィンツェルはヴラドに付き従うが、彼は一体何者なのか。

またヴラドを取り巻く人々、混沌とした時代、ヴラドの理解者となるシュテファン(佐藤友咲)、ワラキアの貴族・ディミトリエ(乃上夏樹)、評議会を牛耳るとんだ食わせ者、ハンガリーの有力貴族・フニャディ(中谷智昭)はワラキアを意のままに操る影の権力者、布商人のティボル(新井裕士)とミハイ(後藤菊之介)、オスマン帝国のラマザン兵隊長(高岡裕貴)、戦いが大好き、彼らの思惑、行動にも注目。この時代は中世後期、そのあとにはルネサンスが到来するが、その前の混沌とした時代、史実ではヴラド3世は1447年、ヴラド2世が暗殺され、彼はオスマン帝国の支援を受けてワラキア公の座に就くも、2か月でヴラディスラフ2世に公位を奪還されてしまい、亡命する。それから1456年、オスマン帝国に妥協的な政策をとりはじめたヴラディスラフ2世を疎んじたフニャディ・ヤーノシュの支援を受け、ヴラド3世はヴラディスラフ2世を打倒して再びワラキア公に返り咲く。

しかし、ここは「黒の王」、虚と実、ヴラドとヴィンツェル、この2人は一体、どうなるのか、どこへいくのか、もちろん史実とは異なるが、この史実などにヒントもあるので、ここは劇場で!
かっこいいアクション、殺陣、刀さばきが流麗、殺陣振付は鵜飼主水、もちろん本人の刀さばきは必見!ここは見所。

<物語>
時は15世紀。
大国オスマン帝国とハンガリー王国に挟まれた小国ワラキア。
強大な軍事力を背景に拡大を続けるオスマン帝国は、ヨーロッパ全土の脅威となりつつあった。
この異教の侵攻に対し、ローマ皇帝の名のもとに十字軍が結成される。
しかし果敢な応戦もむなしく、十字軍はオスマン帝国に敗れ、ワラキアは臣従を余儀なくされる。
ワラキア公は2人の息子、ヴラド3世とその弟ラドゥを人質として差し出さざるを得なかった。
『いつかきっと父が迎えに来てくれる』
幼い2人にとって、この願いだけが心のよりどころだった。
敵国に囚われ、敵国の施しで育つ兄弟は、のちのオスマン帝国皇帝・メフメト2世と出会う。
ラドゥはメフメトとの交流を深める一方で、ヴラドは決して仇敵に心を許すことはない。
月日は流れ、ヴラドを迎えに来たのは父ではなくヴィンツェルという男だった。
「これからわたしはあなたに仕え、こうお呼びしましょう。マリアタ」
こうして悲劇の幕は上がる──

[関連記事]

ILLUMINUS 舞台 「黒の王」キービジュアル公開&追加キャスト! 米原幸佑 乃上夏樹 後藤菊之介 出演。

<キャスト>
佐藤弘樹
鵜飼主水

中島礼貴
佐藤友咲
高岡裕貴
風間庸平
乃上夏樹
後藤菊之介
小林聖矢
新井裕士
麦島伊織
中谷智昭
米原幸佑
・アンサンブル
今村輝
南舘優雄斗
<概要>
ILLUMINUS 舞台「黒の王」
作・演出:吉田武寛
期間:2020年10月28日(水)~11月1日(日)
会場:六行会ホール
■スタッフ
舞台監督:丸山直己
美術:吉田竜一
照明:高橋文章 音響:宮崎裕之(predawn)・丸山慶将
衣裳:後藤みなみ
劇伴音楽:hoto-D
殺陣振付:鵜飼主水
ダンス振付:野村奈々
歌唱指導:川目晴香
演出助手:長谷川雅也(舞台制作団体 BMG)
衣裳進行:関口美幸
宣伝ヘアメイク:松前詠美子
宣伝カメラマン:鶴田健吾(studio Kite)
キャスティング協力:夏樹弘
制作プロデューサー:佐野木雄太
プロデューサー:小宮山薫
協力(五十音順):FP アドバンス オッドエンタテインメント Orionsbelt Global サンノーム De- LIGHT 吉本興業
企画・製作:ILLUMINUS
■公式 Twitter: https://twitter.com/ou_stage
■公式サイト: http://www.kingstage.net

取材・文:高 浩美