J-CULTURE FEST presents 『千年のたまゆら 〜ソング&ダンス 装束新春コレクション〜』お正月気分を満喫!綺麗な衣装、歌、ダンスを堪能!

『J-CULTURE FEST』は、2017年1月の初開催以来、音楽や狂言、歌舞伎など日本古来の伝統芸能に新たな価値を見出して頂きたいとの思いから、日本が誇る各界のアーティストが出演する公演や、魅力的な「にっぽん」の文化体験空間を創出し、毎年お正月の恒例イベントとして行ってきた。
2021年は従来内容、会場を精査し、J-CULTURE FEST presents 『千年のたまゆら 〜ソング&ダンス 装束新春コレクション〜』のみを実施。十二単や衣冠・束帯とはじめとする奈良・平安時代から現代に続く日本の装束をストーリー仕立てで紹介する絢爛豪華なファッションショーに、宝塚歌劇、ミュージカル、日本舞踊、コーラス、コンテンポラリーダンスなど、「和」と「洋」が織り成す華麗なレビュー!まさに初夢のオリジナル作品となっている。

尾上菊之丞の創作舞からはじまる。日本の楽器と西洋の楽器、日本舞踊、これが意外なほどにマッチする。それから真琴つばさが登場し、「聞こえますか?たまゆらの音」という。たまゆら、漢字で書くと「玉響」、勾玉同士が触れ合ってたてる微かな音のこと。それが転じて”ほんのしばらくの間”、”瞬間”、あるいは”かすか”を意味する古語。繊細な音が響く。

そこへストーリーテラーの広崎うらんが登場する。妖精のようにも見えるし、妖(あやかし)のようにも見える、ちょっと不思議で神出鬼没なキャラ。タイトルの通り、日本の歴史のおよそ1000年ぐらいを描く。最初は飛鳥時代、天智天皇(新納慎也)、日本の第38代天皇、大化の改新の中大兄皇子といえば、わかりやすいだろう。大海人皇子(今井翼)は皇太弟にあたり、額田王(愛加あゆ)は天武天皇[大海人皇子]の兄である中大兄皇子[天智天皇]に寵愛されたという話が根強く、また、天智天皇は弟・大海人皇子から額田王を奪ったので自分の皇女4人を大海人皇子に嫁がせたとも言われている。また額田王が絶世の美人であったというのは通説である。

史実はともかく、このトライアングルは我々の想像力を掻き立てる。また、宝塚歌劇団の『あかねさす紫の花』はまさにこの中大兄皇子(後の天智天皇)・大海人皇子(後の天武天皇)の兄弟と、2人に愛される額田女王との恋愛模様を描いたオリジナル作品。大海人皇子が額田王に向かって「そなたはまだ、私を想っている」それから愛加あゆ演じる額田王が宝塚歌劇の楽曲を披露、ファンにはたまらない瞬間だ。その後、新納慎也演じる天智天皇は「大和国はあまねく私のものだ!」というところは劇的。この芝居・歌パートが終わると、衣装の解説に入るが、ここがファッションショーのようで、しかもわかりやすい!衣装はきている人の位や季節などを表現、また魔除け的な要素も。着ているものがその人のアイデンティティーなのである。そして武官の衣装や万葉の女(真琴つばさ)が登場する。そして楽人が登場、3人ユニットのようで、ここは楽しい場面。
そこから時代は平安時代へ、日本人には馴染みのある「源氏物語」、多くの女性が登場するが、どうも皆、光源氏が愛した女性、そこへ光源氏(今井翼)が登場、それから紫の上(愛加あゆ)、六条御息所(真琴つばさ)。

能で有名な「葵の上」をこの舞台用にアレンジ。能では葵の上は小袖1枚で表現し、六条御息所の生霊がそのそばで舞う。ここでは真琴つばさ演じる六条御息所の周りをダンサー陣がコンテンポラリーなダンスで生霊を表現する。また、平安時代は貴族の女性は十二単を着るが、これをどうやって着るかを実演。

そこから一転してタンゴ的なメロディーが響き、平安貴族に扮した真琴つばさ、さすがの元男役トップスター、さっきまで六条御息所だったのに!この変化の素早さ!に感動。
そしてここで小休止、観客参加タイム!新納慎也、日野真一郎の掛け合いが楽しく、また日野真一郎が圧倒的かつパワフルな歌唱力を!拍手!拍手!「幸せなら手をたたこう」、時節柄、歌えないので、クラップで!ここは大いに盛り上がる!


そこから映像が炎が!一気に関ヶ原へ。戦う武将たち。戦乱の世。今井翼演じる武将が勇ましくも戦乱の哀愁も感じさせてくれる。そしてラストへ、と流れていく。


まさに歌あり、ダンスあり、芝居あり、洋舞も日舞も!ノンジャンルで自由な舞台。音楽がJ-POP風もあり、また和太鼓が、まるでドラムを叩いているかのような軽快な場面もあり、聴いているだけでも楽しい。

合間に入る衣装の解説とファッションショー的な舞台がまた楽しく、タイムスリップしたかのような気分。飛鳥時代と平安時代の違いも視覚的にわかって「なるほど」。また芸達者が揃っているので、一つ一つのシーンのクオリティーも高い。新春にふさわしい華やかさ、そして日本的。お正月の定番公演として定着しているが、カジュアルに日本の伝統に触れることのできる公演。公演前や公演後にポスターの前で記念撮影するお客様も!また、会場の国際フォーラムの地下道には干支のオブジェがあり(可愛い牛がたくさん!)、お正月気分を満喫。暗い不安なニュースが駆け巡っているが、やはりお正月はお正月らしく過ごしたい、うってつけの公演だ。

<出演者ミュージックナンバー>
「令和にそよぐ風」   歌:真琴つばさ
「あかねさす紫の花」  歌:愛加あゆ
「愛の賛歌」   歌:日野真一郎
「身も心も」  歌:今井翼
十二単 舞・歌「群青の宙」 愛加あゆ
「リベルタンゴ」  歌:真琴つばさ
「幸せなら手をたたこう」  歌:新納慎也、日野真一郎
「ハピネス」  歌:新納慎也
「令和にそよぐ風」  歌:今井翼、真琴つばさ、新納慎也、愛加あゆ、日野真一郎、広崎うらん

<公演概要>
◆公演名:J-CULTURE FEST presents『千年のたまゆら 〜ソング&ダンス 装束新春コレクション〜』
◆スーパーバイザー:尾上菊之丞(尾上流四代家元)
◆脚本・演出:大野裕之(劇作家・日本チャップリン協会会長)
◆構成:高橋かづゆき(脚本家 構成作家)
◆音楽・演奏:大貫祐一郎(作曲家・編曲家・ピアニスト)
◆ダンス振付・ステージング:広崎うらん(コレオグラファー・演出家・ダンスパフォーマンス REVO主宰)
◆装束・衣裳:井筒(創業300年。宮廷装束の研究と製作)
◆出 演:今井翼、真琴つばさ、新納慎也、愛加あゆ、日野真一郎(LE VELVETS)、広崎うらん
吉井盛悟・花柳喜衛文華、藤間京之助・佐藤洋介、池田美佳、生島 翔、松本ユキ子
尾上菊之丞
◆会場:東京国際フォーラム ホールB7
◆公演日程:2021 年1月2日(土) ①16:00 開演 / 3日(日) ②12:00 開演 ③16:00 開演
※開場は、開演時間の45分前 / 上演時間約90分
◆チケットに関するお問い合わせ
サンライズプロモーション東京 TEL: 0570-00-3337(平日 12:00~15:00)
◆主催:株式会社井筒 株式会社東京国際フォーラム、株式会社サンライズプロモーション東京
◆企画制作:株式会社井筒企画、株式会社井筒東京
◆制作協力:株式会社オズエンタテイメント
◆公演情報サイト: http://iz2tokyo.com/tamayura
舞台撮影:阿部章仁
取材・文:高 浩美