辰巳雄大(ふぉ~ゆ~),浜中文一,早川聖来(乃木坂46),佐藤永典,原田龍二出演!舞台「スマホを落としただけなのに」開幕!

昨年の2020年、公演途中で中止を余儀なくされた公演のリベンジ、大阪は再び中止になってしまっているが、東京公演は開幕。
原作は、2017年、第15回『このミステリーがすごい!』大賞の隠し玉(編集部推薦)作品として選ばれた志駕晃のデビュー小説。これまでにシリーズ第2 弾「スマホを落としただけなのに~囚われの殺人鬼~」とあわせた累計発行部数は78万部を突破、2018年には、北川景子、田中 圭、千葉雄大、成田 凌など豪華キャストで映画化され、興行収入19.6億円の大ヒットを記録。
日本中を震撼させたこのサイバーミステリー、初の舞台化であるが、劇作家・横内謙介の書き下ろし。原作小説「スマホを落としただけなのに」とその続編である「囚われの殺人鬼」を融合させた物語となっている。

[以下オフィシャルレポート]

志駕晃が手掛けた同名の人気ミステリー小説を原作として、 昨年初めて舞台化されたが、 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、 公演が途中で中止に。 およそ1年3ヶ月の時を経て、 今回、 初演キャストそのままに“アンコール”上演。

舞台は警察の取調室。 若く美しい黒髪の女性5人を残忍な方法で殺害し、 その遺体を山中に埋めるという猟奇的事件の容疑者・浦野善治(浜中文一)の取り調べが行われている。 ベテラン刑事の後藤武史(原田龍二)の厳しい追及にも、 浦野は、 飄々とした態度で、 自らを刑務所番号にかけて「ハチバン」と名乗るなど、 本名すら明かそうとしない。

そんな中、 警察に転職したばかりで、 サイバー犯罪に強い若手刑事・加賀谷学(辰巳雄大)は、 浦野が不正ハッキングに使用していたスマホの解析に成功。 その被害者とみられるサラリーマンの富田誠(佐藤永典)に聴取を行うと、 スマホを落としたことをきっかけに、 さまざまな被害に遭っていたこと、 そして、 富田の恋人・稲葉麻美(早川聖来)が浦野のターゲットになっていたことを突き止めてーー。

今や生活必需品と言っても過言ではないスマホ。 そのスマホを運悪く落としてしまったことで、 あらゆる個人情報や秘密が暴かれ、 犯罪に巻き込まれていくという、 現代版ホラーと言えるだろう。 ただ、 本作は、 単なるホラーに留まらず、 事件に関わる人々の背景や心理状況を描くことで、 「デジタル信号化のできない情けとか絆とか愛とか、 それらが如何に愛おしく尊いものかというメッセージ」(脚本・演出の横内謙介)が込められている。

加賀谷学役を演じる辰巳は、 警察に転職してきたばかりという設定などから、 冒頭から少し「異質」な存在感を醸し出す。 難しいサイバー用語をすらすらと口にしながら、 人とのコミュニケーションはあまり得意ではないという加賀谷の人物像を非常に丁寧な芝居で見せていた。 物語が進むにつれ、 「異質」なのは、 彼か、 それとも我々か。 そんなことまで考えさせられる奥深さがあった。

浦野(ハチバン)役を演じる浜中は、 その屈折した心理状況や狂気を見事に体現。 「連続殺人事件の容疑者」という設定で、 俳優としてはなかなか演じるストレスも大きいかと推察するが、 本当に「ハチバン」が憑依してしまったかのようなスリリングな芝居から、 終始目が離せなかった。

稲葉麻美役を演じる早川は、 この1年でグッと大人びた。 初演と比べて、 稲葉麻美という役の本来の強さだけではなく、 弱さにもフォーカスを当てており、 より役を深めた印象。 「悲劇のヒロイン」の裏側にあるものをしっかりと伝えた。
初日のカーテンコールで、 辰巳は「こうして舞台に再び立てたのは、 みなさんのおかげです」と観客に感謝の意を述べ、 観客の目の前で芝居ができた喜びを噛み締めていた。 そして最後に、 辰巳は「千秋楽までみんなで駆け抜けたいと思います」と決意を語った。

さらに脚本・演出の横内謙介は初日観劇後、 辰巳雄大と浜中文一に対し、 「素晴らしい俳優たち。 ふたりとも演技の楽しみを、 本質的に掴んでるから、 PLAY が きっちりと劇となる。 世の人々に、 広く知って欲しい。 」と讃え、 ヒロインの早川聖来には「(昨年より)また伸びた。 この大きな舞台で、 映える。 そして情感が伝わる。 こういうのを大器という。 」と称賛した。

上演時間は約2時間10分(途中休憩なし)。 公演は14日(月)まで。 東京都の開催制限に準じ、 チケット発売中。 当日券も販売されるので、 詳細は公式サイト( https://www.sumahootoshita-stage.jp/ ) にて確認してほしい 。

<インタビュー記事:2020年収録>

《インタビュー》 舞台『スマホを落としただけなのに』 稲葉麻美役:早川聖来

<Introduction>
「スマホを落とす」というだれにでも起こりうる些細な出来事。 それを引き金に、個人情報、恋人友達家族との会話、秘密の写真 ついには命までもが脅かされていく……。
スマホを落としたことがすべての始まりだった。 拾い主の男はスマホを返却するが、その男の正体は“連続殺人鬼”。 その恐ろしい男はハッカーであり、黒髪の女性を狙った猟奇的な殺人鬼でもあった。スマホ内に 保存されていた美女の写真に異常な関心を寄せた男は、その美女の人間関係や生活すべてを監視 しはじめる。 男は彼女のあらゆる個人情報、そして彼女が秘密にしていた過去までも暴いていく。 この異常極まりない凶悪な男に、サイバー犯罪に強い若手刑事が立ち向かう。事件の真相に迫っ ていく中、明らかになる驚くべき美女の秘密、そして正反対とも思える犯人との間に芽生える奇 妙な感情・・・
舞台は殺人犯が逮捕され、過酷な取調べを受けるシーンから幕を開ける。 時系列的には、原作小説の「スマホを落としただけなのに」と、その続編である「囚われの殺人鬼」の間の話を演劇界の奇才、横内謙介が本作のために書き下ろしたオリジナルストーリーで描かれる。

<物語>
神奈川県警庁舎内の取調室。 神奈川県警のベテラン刑事・後藤武史(原田龍二)は、連続殺人犯として逮捕された男の取り調 べを行っていた。容疑者の名は、浦野善治(浜中文一)。浦野はデジタルツールを使って様々な 情報を操作する天才的ハッカーであり黒髪の女を狙った猟奇的な殺人犯であった。アナログ人間 の後藤は捜査にあたり、サイバー犯罪に強い若手刑事・加賀谷学(辰巳雄大)を相棒にする。ふ たりの刑事が、浦野が犯した連続殺人の動機と経緯に迫っていく中で、驚くべき事実が判明する。 「浦野善治」は偽名であり、実体のない人物だった。では後藤と加賀谷の目の前にいる男は、 いったい何者なのか…?
一方、連続殺人事件の被害者・稲葉麻美(早川聖来)と、その恋人・富田誠(佐藤永典)の事情聴取が進む。富田がスマホを落としただけなのに、そのスマホを拾った殺人犯に麻美は殺されかけたのだ。成りすましたSNSのアカウントを駆使し想像を超えた犯人の手口に誰もが驚く。 この事件も連続殺人の中の一事例…。誰もがそう思っていた。 だが、すべての犯罪を認め、その理由の一端となった母親との確執までもを加賀谷に打ち明けた 犯人が、麻美に対する殺意だけは頑なに否定する。立場は違えど同じデジタルの世界に身を置く同士、男との間に親近感にも似た感情を抱き始めた加賀谷は、男が麻美にだけ向けている特別な思いを感じとる。
はたして真実は明かされるのか─。 刑事と犯人の“宿命の激突”が再び幕を開ける─。

<概要>
公演概要
タイトル:舞台「スマホを落としただけなのに」
原作:志駕 晃「スマホを落としただけなのに」(宝島社文庫)
脚本・演出:横内謙介
出演者:辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)/浜中文一/早川聖来(乃木坂 46)/佐藤永典/原田龍二 伴 美奈子/三浦 修平/真坂 雅/北村 由海/高畠 麻奈/野依 健吾/山田 良明
日程:
<大阪公演>
日程・会場:2021年6月4日(金)~6月6日(日) 松下 IMP ホール
大阪公演は中止。
<東京公演>
日程・会場:2021年6月9日(水)~6月14日(月) 日本青年館ホール
東京公演主催:ニッポン放送/ニッポン放送プロジェクト

オフィシャルサイト: https://www.sumahootoshita-stage.jp/
オフィシャル Twitter: https://twitter.com/sumaho_stage ( @sumaho_STAGE)

(主催オフィシャルレポ・舞台写真)
取材・文:五月女菜穂/撮影:GEKKO