シリーズ累計出荷数が全世界で250万本というスパイク・チュンソフトの大ヒットハイスピード推理アクションゲー ム「ダンガンロンパ」シリーズからTVアニメ化した「ダンガンロンパ3」の初舞台化作品。2014年「ダンガンロン パ THE STAGE~希望の学園と絶望の高校生〜」が初舞台化され、その後、2015年に続編の「スーパーダンガンロン パ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園~」も上演。両舞台とも2.5次元舞台として大好評を博し、それぞれ、2016年、 2017年に再演。本作の主人公・苗木誠役に⻄銘駿、また、苗木を支えるヒロイン・霧切響子役に岡本夏美 を迎え、2018年夏、「ダンガンロンパ」の舞台としては第3弾となる『ダンガンロンパ3 THE STAGE 2018 〜 The End of 希望ヶ峰学園〜』、7月20日より只今、上演中。
テレビシリーズを視聴していればわかるが、舞台版ではもはや名物化している「学級裁判」と「お仕置き」であるが、今回はそれがない。ここは注目ポイントとなっている。
プロローグは、モノローグで始まる。希望ヶ峰学園のこと、未来機関のこと、そして映像、内紛などの資料映像も流れるが、これがリアリティをもって観る者の心に迫る。原作はゲームだが、本質的な部分は絵空事ではない、と感じる瞬間だ。未来機関の幹部たち。議題は苗木誠の件だ。そこへ本人登場、いきなり手錠をかけられる。「貴様を反逆容疑で逮捕する」何が何だかわからないままの苗木誠、これから始まるジェットコースターのような物語の序章、そこへ外部からの襲撃、モノクマボール、割れてプシュー。しばらくして・・・・・モノクマの登場!「コロシアイをしてもらいます!」そしてオープニング。そしてモノクマからルールが説明される・・・・・・。早々に・・・・・雪染ちさが!
巨大な密室で行われる様々な事件、誰かが殺される。映像、音楽、照明、そしてアクション。このシリーズの真骨頂はそれぞれのキャラクターの心理、思惑、そして疑いと信頼。誰かが死ぬと映像で「◯◯死亡」と映し出される。誰かの台詞ではなく、映像、突き放したような客観性をもって迫ってくる。初演から好評の『モノクマダンサーズ』も健在、モノクマがルールを説明するくだりはダンサー陣がコミカルなマイムの動きで表現するが、これがかえって不気味さを増幅させる。派手なアクション、ここは視覚的に見せ場となっている。初演から江ノ島盾子を演じている神田沙也加、今回は映像出演を果たしているが、この江ノ島盾子の『影』が終始、彼らを覆っている。
登場人物は皆、何かしらの『事情』を抱えている。時折、それが回想シーンとなって差し込まれる。それらは決して明るくはない。むしろ闇、と言っても差し支えないであろう。塔和モナカ、二代目江ノ島盾子、突然歌うシーンがあるが、歌詞をよく聞くと不気味な内容、そのキュートな容姿と歌声、歌詞の言葉とは真逆でかえって怖くなってくる。絶望に覆われ、心折れそうになる瞬間、何かの希望がどこからか湧いてくる。1幕の幕切れ、苗木誠は言う「こんなゲーム、壊してしまえばいいんだ!」と言い、「出口がなければ作ればいいんだよ」そして「絶望なんかに、僕は、負けない!」と言う。そして2幕は、その心から始まる。
リアルな世界でも絶望がある。閉塞感漂い、疲弊し、諦めてしまう。そんな話は無数にある。しかし、絶望があるから希望があり、この二つは表裏一体の関係にある。光があれば影がある。影があるから光が輝かしく見える。普遍的で古典にも通じるテーマだ。絶望ONLYではない、紆余曲折を経て苗木たちは、どうやって絶望の淵から這い上がってくるのか、ぜひ、劇場で確かめてほしい。
ゲネプロ前にフォトセッションと会見があった。登壇したのは、⻄銘 駿、岡本夏美 、神永圭佑 、飯田里穂 、 竹若元博(バッファロー吾郎)、市川美織 、仲田博喜、脚本・演出の⻄森 英行(Innocent Sphere)。
⻄銘 駿は「いよいよ、ものすごく緊張してきました!肩の力を抜いて・・・・・・ファンの皆様に愛されている作品、期待にそえるように全力で!」と挨拶。岡本夏美も「いよいよです」と言い「とにかくみんなで丁寧に、怪我なく」とコメント、舞台には段差があり、この高低を使った激しいアクションがあるが、ここは必見。神永圭佑は「とある役者の先輩に『役者は舞台では、汗、涙を出せ』と。本番もよろしくお願いいたします」と元気よく。飯田里穂 は「2.5次元舞台は初めて。みんなで一生懸命稽古しました、最大限の力を発揮できるように」と語る。 竹若元博(バッファロー吾郎)は「いろんな舞台に立っていますが、みんなで一つにまとめ上げる、貴重な体験となりました。この中にどっぷり飛び込んで!」と挨拶したが、いぶし銀のような存在感を放つ。仲田博喜は「エネルギーが一つになってきました、誰一人欠けることなく、一丸となって!」と挨拶したが、殺陣の多いキャラクター、アクションシーンで大活躍。市川美織はNMB48を5月に卒業してから初めての舞台出演、「一人の『市川美織』の舞台デビューはこれ!」と宣言。謎めいているが、毒っ気のあるキャラクター、要所要所で登場し、アクセント的な存在感。脚本・演出の⻄森 英行は「舞台作品としてもアニメ、ゲームシリーズとしてもいろいろな歴史を踏まえて作らなければならない。迷ったら元を見て作ってきました。一丸となって作品の面白さ、素晴らしさを伝えたい」と挨拶。見てほしいところは⻄銘 駿は「1、2と比べると3は重たい、シリアスなシーンが続きます。人の命の重みがすごく感じられる作品です。こう言ったところを大切にしたい」とコメントしたが、1、2もそうだが、誰かが死ぬ、客観性を持ち、しかもあっさりと死んでしまう瞬間、帰って命の尊さを感じてしまう。続けて「泣いたり、感動してほしい」とコメント。苗木誠演じる⻄銘 駿の奮闘ぶりはしっかり見たいポイント。岡本夏美は「苗木くんに力つよい言葉をかけます。霧切の想いを感じていただきたい」と語るが、霧切響子らしいクールな佇まいが印象的であった。神永圭佑は「Wキャストですが、同じ役なのにどちらも素敵で違いますので、ここは見所です」とWキャストの良さをアピール。飯田里穂 が演じる朝比奈葵はとにかく元気なキャラクター、「唯一の光、元気な存在なので、そんなところをしっかりと演じたい」とコメント。竹若元博(バッファロー吾郎)は「2.5次元舞台でバリバリやってただろうな雰囲気を(笑)」と笑わせる。市川美織は「モナカが出てくるシーンは全部見所!」と笑わせ、「私が出てきたところは『よかったな』と思っていただけるように」と前向き発言。仲田博喜は見所はズバリ「殺陣」だそうで、盛りだくさんのアクションシーンを縦横無尽にこなしていたのが印象的、かつかっこいい!⻄森 英行は「仕掛けの多い作品。アニメでやってることをどこまで再現出来るかっていう限界に挑戦しています。サスペンス部分、また人間ドラマを全面に出していけたら」と語るが、推理する部分もあり、テーマやドラマは深淵でありながら、見せ方やそこに至るまでの道のりがエンターテイメント。座長でもある⻄銘 駿は「みんなをまとめる感じじゃないです」と謙遜気味。さらに「みんなが引っ張ってくれて」といい「いい雰囲気を作る、苗木誠もそうですが、僕も平和主義者なのでみんなが笑顔に、みんなが仲良くやれるように頑張りました」とコメント。
また作品について⻄森 英行は「今までは論争劇のスリリングさがありましたが、今回は長い学級裁判です。頭からおしまいまでドラマが途切れない、巨大な学級裁判、脚本以上にみんなが膨らませてくれた、その愛情が届けば」とさらに言及してくれた。
市川美織に質問が飛び「とにかく衣装がかわいくって」と衣装アピール。そこで登壇した全員から「似合ってまーーす♡」さらに「一人の女優として、心細いところもありますが自分、自分!ですから」と自らを鼓舞するようにコメント。和やかに会見は終了、フォトセッションも皆で声を揃えて「それは違うよ!」を唱和した。
《インタビュー》 『ダンガンロンパ3 THE STAGE 2018 〜The End of 希望ヶ峰学園〜』脚本・演出 西森英行
<出演>
超高校級の希望 苗木誠:西銘 駿
元・超高校級の探偵 霧切響子:岡本夏美
元・超高校級のスイマー 朝日奈葵:飯田里穂 (Wキャスト)
元・超高校級のスイマー 朝日奈葵:工藤 紬 (Wキャスト)
元・超高校級の生徒会長 宗方京介:仲田博喜
元・超高校級の家政婦 雪染ちさ:高橋りな (Wキャスト)
元・超高校級の家政婦 雪染ちさ:七海 (Wキャスト)
元・超高校級のボクサー 逆蔵十三:鮎川太陽
元・超高校級のスカウトマン 黄桜公一:永山たかし (Wキャスト)
元・超高校級のスカウトマン 黄桜公一:玉木健仁 (Wキャスト)
元・超高校級のアニメーター 御手洗亮太:木津つばさ
元・超高校級のセラピスト 月光ヶ原美彩:三秋里歩
元・超高校級のお菓子職人 安藤流流歌:山下まみ (Wキャスト)
元・超高校級のお菓子職人 安藤流流歌:石田安奈 (Wキャスト)
元・超高校級の鍛冶屋 十六夜惣之助:神永圭佑
元・超高校級の薬剤師 忌村静子:永島聖羅 (Wキャスト)
元・超高校級の薬剤師 忌村静子:船岡 咲 (Wキャスト)
元・超高校級のレスラー グレート・ゴズ:大久保圭介
元・超高校級の農家 万代大作:一徹(トリテン)
元・希望ヶ峰学園 学園長 天願和夫:竹若元博(バッファロー吾郎)
元・超小学生級の学活の時間 塔和モナカ:市川美織
元・超高校級の占い師 葉隠康比呂:松風雅也 (映像出演)
元・超高校級の御曹司 十神白夜:中村優一 (映像出演)
超高校級のギャル 江ノ島盾子:神田沙也加 (映像出演)
月光ヶ原美彩 (モノミ):貴家堂子 (声の出演)
モノクマ:TARAKO(声の出演)
【概要】
<東京公演>
日程:2018年7月20日〜7月23日
会場:サンシャイン劇場
<大阪公演>
日程:2018年7月27日〜7月29日
会場:森ノ宮ピロティホール
<東京凱旋公演>
日程:2018年8月3日〜8月13日
会場:ヒューリックホール東京
エグゼクティブプロデューサー:吉田正大(beachwalkers.) 染谷誓一(ぴあ) /
総合プロデューサー:堀江邦幸(CORNFLAKES) 相墨光明(ぴあ)
脚本・演出:西森英行(Innocent Sphere)
振付:松田 鼓童(nts)
音楽:高田雅史(サウンドプレステージ)
監修:スパイクチュンソフト
制作:CORNFLAKES/ 後援:beachwalkers. /主催:希望ヶ峰学園演劇部
公式サイト:http://www.cornflakes.jp/dangan/2018
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文:Hiromi Koh