21世紀の『蝶々夫人』! TRAGIC TRILOGY Ⅲ @Hakuju Hall 田尾下哲×園田隆一郎×青木エマ×城宏憲×大西宇宙

主な登場人物に焦点を絞り 名作オペラの核心に迫る「TRAGIC TRILOGY Ⅲ 蝶々夫人」上演

声楽にふさわしい音響空間として定評があるHakuju Hallが名作オペラの魅力 をギュッと凝縮してお届けするシリーズ「TRAGIC TRILOGY」(トラジック・トリロジー)、つまり「悲劇三部作」。代表的なイタリアオペラより第1回はヴェルディの 『椿姫』、第2回はプッチーニの『トスカ』を上演し好評を博した。そしてシリー ズ最終回はプッチーニの『蝶々夫人』全3幕で締めくくります。オペラをホームに 活躍を続ける田尾下哲が演出と脚本を手掛け、作品原作の設定を活かし新たな視点から大胆に構成、原語での上演ですが日本語の台詞を交えながら、単なるハイライト上演にとどめず、登場人物の心の機微を音楽で表現し名作の核心に迫る。一方、指揮者の園田隆一郎がその音楽面での構成を行い、音楽監督だけでなくピアノで出演。明治後半の長崎を舞台に、純真で 一途な愛に生きる蝶々さんをソプラノ青木エマ、アメリカの海軍士官ピンカートンをテノール城宏憲、その友人の長崎領事シャープレスをバリトンの大西宇宙が演じる。

園田隆一郎(c)Fabio Parenzan
青木エマ(c)北山宏一
城宏憲(c)北山宏一
大西宇宙(c)北山宏一

前回までは3名の歌手で上演したが、今回は献身的な 女中スズキ役が音楽、ドラマ面で不可欠な存在であるとの判断から、メゾ・ソプラノの山下裕賀が特別出演。

山下裕賀 (c)FUKAYA Yoshinobu

第1幕ラストに蝶々さんとピンカートンが 歌う幻想的で美しい「愛の二重唱」、第2幕にピンカートンの愛を信じて蝶々さん が歌う有名なアリア「ある晴れた日に」、そして第3幕ラストの蝶々さん魂の歌唱、 自ら命の火を消す最後の瞬間に最愛の子どもに向かって今生の別れを歌う「かわいい坊や」は必聴。3年におよぶシリーズを通して主役を演じた歌い手3名が『蝶々夫人』をどのように演じ切るのか、三部作の完結をお見逃しなく。

(c)北山宏一

コメント 脚本・演出:田尾下哲より

田尾下哲 (c)福里幸夫

21世紀の『蝶々夫人』
21世紀にプッチーニ作曲『蝶々夫人』を上演する難しさは、音楽の難しさよりもその題材、そして日本の、日本人の描かれ方にあります。日本人に対する誤解や偏見、そして植民地主義ともいえるピンカートンの態度に気分を害する方も多いと思います。それでも尚この作品を取り上げるのは、20世紀、そして現在までの日本人、アジア人オペラ歌手の西洋における活躍の場を拡げた作品だからでは決してありません。偏った視点からの物語であっても、その中で凜と立つ蝶々さんの精神、 そしてスズキの献身がプッチーニの音楽と合わさって、全てを超越して心を打つからです。私たちは差別に対して NO を言い続けなければなりません。ならばこそきちんと間違った姿勢に対してNOを言えるように、『蝶々夫人』をピンカートンの後悔と反省で終わらせるのではなく、蝶々さんの心情を追うことで差別の愚かさと不当を描きたいと思います。TRAGIC TRILOGYとしてこれまで 『椿姫』、『トスカ3名の歌手で上演して参りましたが、今回はスズキ役が音楽、ドラマ面両面 で必要ですので、山下裕賀さんにお願いさせて頂きました。三部作の最後を飾る1890年代の長崎を舞台とした欧米作品『蝶々夫人』を是非、ご覧下さい。

概要
G.プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」 全3幕
日程・会場:2023年12月8日(金)  Hakuju Hall
脚本・演出:田尾下哲
出演
青木エマ(蝶々夫人) 城宏憲(ピンカートン) 大西宇宙(シャープレス)
特別出演:山下裕賀(スズキ)
音楽監督 / ピアノ:園田隆一郎(音楽監督 / ピアノ)
稽古ピアノ:横山希

主催:Hakuju Hall / 株式会社 白寿生科学研究所
後援:イタリア文化会館
協力:朝日カルチャーセンター新宿教室

公式サイト:https://hakujuhall.jp/concerts/detail/3616