ミュージカル「ロミオの青い空」開幕!友情、そして愛と勇気。「負けない!」

ロナ禍で3月30日開幕であったが、1日遅れでようやく開幕した。

原作は、ドイツ出身でナチス時代にスイスに亡命したリザ・テツナーの「黒い兄弟」。19世紀のスイス・イタリアを舞台に少年売買や少年労働の苛酷さを描いた作品。アニメ化された「ロミオの青い空」は小説とは内容が大きく異なり、少年たちの生きる様と友情に描写の重点が置かれている。
舞台は2009年に舞台「ロミオの青い空~もうひとつの空~」 というタイトルで上演され、ミュージカル化は今回が初、となる。

転覆してもおかしくないほどの嵐

船のシーン、雷鳴、嵐、船は大きく揺れる、ロミオたちは必死に船にしがみついている。すぐにコーラス、そして場面が変わってロミオのソノーニョ村の様子、時間が遡り、まだ、ロミオは売られていない。裕福ではないが、両親や村の人々と共に幸せに暮らしていた。大好きな家族、しかし、ルイニ(和泉宗兵)が故意に起こした山火事で目を患った父ロベルトの治療費を稼ぐため、ロミオは自分から家を助けるために人買いに。

幸せだった日々
「ロミオ…」火事で目を負傷した父。
ロミオ
オープニングシーン

そしてミラノにやってきたのだった。ロミオはひょんなことでアルフレド(新里宏太)という少年に出会う。知性と教養があり、心優しい少年だ。意気投合、友達に。そしてミラノへ到着、アニメを視聴したことがあれば、その後の展開はわかるはず。ロミオは父の教えを胸に抱く、「本当に強い者は、どんな時でも人に優しくする勇気だ」と。
本格的ミュージカル、歌が途切れない印象、楽曲は軽く20曲以上。また、アニメの楽曲「英雄のマーチ」も!!一定の世代には懐かしい。楽曲も多彩で、その振付も見どころ。ロミオが売られる場面、「62!83!」と値段をつける。

妹を想う兄。
値段をつけられる二人。不安げな様子。

ストンプでリズミカルに。そして二人は別々に。ロミオは結局85リラでロッシ親方(中本雅俊)が引き取る。「何か食べせせてください」と言うも「図々しい」と言われ、”気に入らない♪”と雇い主。
見せ場が多く、またアニメもそうだが、脇キャラに至るまできっちりと”物語”があり、アニメを知らなくても十分に引き込まれる。陥れられたりするロミオ、普通なら人間不信になっても不思議ではないが、持ち前の前向きな性格と「どんなことがあっても負けない」と言う不屈の精神で乗り切っていく。そんなロミオ、いつしか大勢の仲間が出来、アルフレドとは唯一無二の親友となっていく。

僕たちはずっと友達。
空は青い、広い。
字が読めないロミオ、カセラ教授(クラウス)から本をもらう。
どんなことがあっても!

アルフレド、両親は「死んだ」と言い、大好きな妹・ビアンカ(田上真里奈)と離れ離れになっているが、彼もまた、男気があり、優しく争いごとは好まない。そして、聖バビラ教会でロミオと再会して「黒い兄弟」(煙突掃除夫の少年たちが結成した組織)の初代リーダーとなる。貧しくも逞しい少年たち、そしてそんな少年たちの姿を見て変わっていく大人たち、親方は自分の息子であるアンゼルモ(大野瑞生)の嘘を信じてしまったが、それが嘘とわかり、また警察署爆破テロでロミオが自分を庇ってくれたことでロミオの”本当の姿”を知り、父親のごとくに接する。そのほか、イザベラ夫人(久世星佳)もしかり、気難しかったが、ロミオたちと接するに従って氷のような心が溶けていく。元宝塚歌劇団月組トップスターだけあって流石の貫禄・存在感、そして歌唱は聴かせる。

さすが!
アンジェレッタ(北澤早紀)と抱き合い涙を流すイザベラ

ロミオ、アルフレド、「黒い兄弟」の仲間たち、その彼らと拮抗する「狼団」のメンバー、リーダーのジョバンニ(塩田康平)は後半で存在感と”漢”な性格を見せつけ、この中で唯一の紅一点であるニキータ(七木奏音)は男勝りだが、アルフレドに出会ってからは乙女な一面を見せる。

かっこいいジョバンニ(塩田康平)
タキオーニ(吉田英成)がナイフを。この後、ジョバンニが男気を見せる。
勝ち気なニキータ(七木奏音)、アルフレドにときめく瞬間も

病弱なアンジェレッタ(北澤早紀)、絵を描くのが好きな美少女、そのほか、”キャラ立ち”した登場人物が多く、サイドストーリーも作れそうな。歌、ダンス、芝居がしっかり!!アニメは1年間放映されたが、それをミュージカルの尺にするのは大変だったと思うが、クローズアップするエピソードはしっかりと、そして全体的に骨太、シンプルな舞台セット、背景は映像だが、ミラノの街やスイスの自然などが映し出される。ロミオは挫けそうになると「負けない!」と言う。勇気や元気をもらえるミュージカル、繰り返し上演して欲しいと思う作品。上演時間は途中で10分の休憩を挟み、3時間45分。

「お兄ちゃん!」「ビアンカ!」
国王陛下!!
未来を信じて

物語
19世紀後半・イタリアの国境に近いスイスの小さな村で少年ロミオは、貧しくも家族で幸福に暮らしていた。しかし一家の畑を悪人の陰謀で失ってしまい、ロミオは家計を助けるために、自らを人買いに売りミラノへ煙突掃除夫としてやって来る。きつい煙突掃除の仕事や親方一家の辛い仕打ち、地元の不良少年団「狼団」との争いなど、ロミオにとって厳しい毎日が続くが、親方の娘アンジェレッタの励ましや親友アルフレド、煙突掃除の仲間たちと助け合って暮らしていく。
そして仲間と共に「黒い兄弟」を結成し、強く友情を誓うのだった。
【アニメーション「ロミオの青い空」とは?】
1995年にフジテレビ系列の『世界名作劇場』シリーズの第21作目として放送された日本アニメーション制作のテレビアニメ。放送終了から26年経った現在も世界中で愛される作品です。

概要
タイトル:ミュージカル「ロミオの青い空」
日程・会場:2022年3月31日~4月3日 東京建物 Brillia HALL
【出演】
ロミオ:大薮 丘
アルフレド:新里宏太

≪黒い兄弟≫
ダンテ:南部海人
アントニオ:小波津亜廉
ミカエル:輝山 立
アウグスト:おでぃ
ベナリーボ:八巻貴紀
エンリコ:佐藤弥益
バルトロ:米澤賢人
ジュリアーノ:吉元祐典

≪狼団≫
ジョバンニ:塩田康平
リナルド:鈴木凌平
ニキータ:七木奏音
タキオーニ:吉田英成
リオ:山内涼平
ファウスティーノ:辻本将平

アンジェレッタ:北澤早紀(AKB48)
カセラ教授:クラウス
ビアンカ:田上真里奈

ロッシ親方:中本雅俊
エッダ:あべこ
アンゼルモ:大野瑞生
グラゼーラ:永咲友梨
イタリア国王:鬼束道歩
ジェシカ:大月さゆ
シトロン:鈴木たけゆき

ルイニ:和泉宗兵
イザベラ:久世星佳

≪アンサンブル≫
池田恵理、中村ひより、桃菜、飯沼帆乃佳、市原果歩、聖司朗
[スタッフ]
監修:日本アニメーション/原作:リザ・テツナー(「黒い兄弟」より)
演出:西森英行
脚本:鄭 光誠
音楽:和田俊輔
振付:広崎うらん
企画・制作:ミュージカル「ロミオの青い空」製作委員会(ムービック/サンライズプロモーション東京/Planet Kids Entertainment)
公式サイト https://www.romisora-musical.com
公式ツイッター https://twitter.com/romisoramusical
YouTube 公式チャンネル https://www.youtube.com/channel/UCOxms5msTj2OP1Nwo0OxIkQ

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