橋本淳,黒木華,安達祐実,平原テツetc.出演、作・演出 加藤拓也 舞台「もはやしずか」4月2日より開幕!

演劇から映像までボーダーレスに活躍し、今や若手クリエイターのトップランナーとなった、「劇団た組」主宰・加藤拓也と、数々の映像・出演舞台でその存在感を確かなものにしている俳優・橋本淳がタッグを組む舞台「もはやしずか」。
共演に黒木華、安達祐実、平原テツら実力派が揃った。解決することのできない問題の解像度を問いかけていく硬派な内容。

セットはどこにでもありそうなソファやライト、テーブル、電気ポットなど。最初の場面は過去、主人公の康二(橋本淳)、6歳という設定。弟は健司、4歳(マネキンで表現)。二人の両親は雅夫(平原テツ)と郁代(安達祐実)、子供を連れて保育園にやってくるところから始まる。次男はいうことを聞かない、すぐにギャン泣き。郁代は眉間にシワを寄せる、両親の口論、長男がそれを見ている、表情は硬い。どこかにありそうな光景。

そして現在、康二は大人になり、麻衣(黒木華)という伴侶もいるが、長らく不妊に悩んでいる。朝、コーヒーを飲み、会話。康二が出かけて、麻衣は精子提供者とスマホで会話。そして精子が入ったシリンジ(針のない注射器のようなもの)を持って悩むが捨ててしまう。入れ替わり戻ってきた康二がそれを見つけてしまうが、彼はまた元に戻す。そこから時間が経過し、麻衣が妊娠検査薬を持ってくる、結果は陽性であった…。
望んでいた妊娠、穏やかな雰囲気。しかし、医療の発達で生まれてくる子供が障がいがあるかないかがわかってしまう昨今。かなり高い確率で障がいを持った子供が生まれてくるかもしれないという告知を受け、夫婦は言い争いに。


どこかで見かけそうな会話、やりとり、そこから見えてくる関係性や抱えている過去、物語は”現在”と”康二の過去”を見せる。康二の過去から彼の思いが見えてくるが、麻衣は康二の幼少時代の過去は知らない、という設定。配偶者の生い立ち、トラウマ、経験、どんなに気の合う夫婦でも細かいことまでは把握していないのが普通。言い争いになっても不思議ではない。よくありそうな”どこかの光景”を見ている感覚。会話のヅレや間合い、表情、仕草、コーヒーを入れたり、食事をしたり、カーテンを開ける、スマホをいじる、なんということもない”作業”でも彼らのことがうっすらと見えてくる。客席は舞台を取り囲むようになっており、全方位から観客が見ている状況。座った位置によっても芝居の表情が変わる。不妊治療、命の選択という重い題材ではあるが、登場人物たちの”日常”から見えるもの、観客の数だけ受け止め方は変わっていく。それだけ奥が深いということ。少ない人数でシンプルに、会話中心で見せていくスタイル。だからこそ見えてくるものがある。

ゲネプロ前に会見が行われた。橋本淳、黒木華、平原テツ、安達祐実、作・演出の加藤拓也、フォトセッションの後、挨拶から。
橋本淳「コロナ禍でここまでこれた」
黒木華「あっちゃん(橋本淳)が言うように、みんなが無事にここまで誰も欠けることなく来られたので、最後まで駆け抜けられたらと思います。多くの人に観ていただきたい」
安達祐実「この状況で最後まで辿り着けた。心を込めて演じています」
平原テツ「稽古は和気藹々と。明日からお客様の中で緊張感の中でやるのが楽しみ。多くの方に」
加藤拓也「無事に最後まで」
加藤拓也はさらに「俳優・スタッフ、いい状態で」といい、橋本淳は「台本見て『これ、やるんだ』という緊張感と難しさと。素晴らしい方々ばかりで…稽古を積み重ねてきました、加藤君の魅力が詰まっている、会話の妙と人間関係の面白さ。内容は重たいものですが、お客様に覗き見していただけたらいいかなと」とコメント。黒木華も「人と人が関わっていってすれちがっていく会話の面白さ。会話のちょっとしたズレで変わってしまう。こういう芝居をするのは初めてで、新しい感情の感覚が楽しめる」と語る。安達祐実は「加藤さんのホンって『こういうの、あるよね』っていうことが散りばめられている。台本を読んで胸に迫ります。みぞおちあたりが苦しくなる感覚、そういう舞台に立てることをうれしく思いますし、そういった感覚を見ている方にも味わってもらえるのかなと思うと、楽しみです」と絶賛。平原テツも「ホンがすごいな。傑作、いろんな人がいる。いろんな価値観がある。ホンだけではわからない、稽古して立体的になってくると見えてくる、楽しかった」と語る。橋本淳はさらに「とてもリアリティがある。街を歩いている人々の感じが出てる。加藤さんの魅力、誠実に生きる人々の魅力…でも、その芝居をやるのは大変」とつづける。加藤自身は「日常にある複雑な感情をそのまま出せる、皆さんに定義をつけられないような感情をおろ酢ことができるのは大事なこと、皆さんから得るものがある」とコメント。
最後に公演PR。橋本淳より。
「大変な世の中ですが、演劇でしかできないものがあると信じています。怖さはあると思う。その中でも素敵な作品をお届けできる自信はあります。きちんと、その魅力を持ち帰っていただけると思います。時間が空いたら三軒茶屋にきて観て欲しいです」と締めて会見は終了した。

あらすじ
康二と麻衣は長い期間の不妊に悩んでいる。やがて治療を経て子供を授かるが、出生前診断によって、生まれてくる子供が障がいを持っている可能性を示される。
康二は過去のとある経験から出産に反対するが、その事を知らない麻衣はその反対を押し切り出産を決意し…。

概要
タイトル:「もはやしずか」
日程・会場:2022年4月2日(土)~17日(日) シアタートラム
作・演出:加藤拓也
出演:
橋本淳 黒木華 / 藤谷理子 天野はな 上田遥 / 平原テツ 安達祐実
声の出演:松井周
主催・企画・製作:株式会社アミューズ
オフィシャルサイト:https://mohayashizuka.jp/