舞台「紅葉鬼」~酒吞奇譚~ 開幕!

原作コミックスはシリーズ累計発行部数400万部突破、2018年秋アニメでOA、2021年10月に公開された劇場版アニメも大好評を博した「抱かれたい男1位に脅されています。」(月刊マガジンビーボーイ連載/リブレ刊)。
その劇中劇として描かれ、今回、完結編、舞台「紅葉鬼」~酒吞奇譚~が開幕した。千秋楽配信もあり。また、DVD&Blu-rayの発売も決まっている。

舞台中央には大きな木。降りしきる雪の中、その木の下で小鬼が俯いている。そこに通りかかる、傘を差した若き日の経若。小鬼のすぐそばで父親と思われる鬼が倒れている。寒空の下、突っ立っている小鬼を捨て置けず、 声をかける経若。この出会いこそが、すべての始まりだった。小鬼は、歳月を経て酒吞童子へと成長。父への憎 しみを忘れられぬその心を経若に投影し、経若に帝を討たせようと策略する。

舞台「紅葉鬼」シリーズの大きな魅力は、その数奇な関係性が生み出す愛憎のドラマだ。第1作では、帝の子で ありながら鬼の頭目として育てられた経若と、鬼の頭目の子でありながら人間として育てられた繁貞の因縁から、 「人と鬼の共生」というテーマを炙り出し、第 2 作では人間たちへの復讐を誓う茨木童子との対決を通して「憎しみの連鎖」を描き出した。

そしてこの完結編では、「父と子」「兄と弟」「主従」「宿敵」など様々な関係 を通して、長きに渡った宿命の物語に決着をつける。中心となるのは、経若 と酒吞だ。酒吞にとって経若は生きる道筋を照らしてくれた人。その執心ぶ りは、どこか愛に似たものがある。経若を仲間に引き入れたい酒吞は、背後 から抱くようにしてその身を我がものにする。その光景は妖美ですらあっ て、艶やかにして麗わしい陳内将の経若と、荒々しくも寂しげな加藤将の酒 呑に、一気に心を掴まれる。そこに、第 1 作以来の登場となる菊池修司の繁 貞と育ての親である今井靖彦の維茂、同じ陰陽師でありながら対極の道を辿 った小波津亜廉のイクシマと富田翔の保名など、それぞれの人間模様が幾重 に織り込まれ、物語の幹をより太くする。

さらに、町田慎吾による絢爛豪華な演出がこの恩讐のドラマを華やかに仕立て上げている。生演奏を取り入れた 音楽は迫力満点で、美鵬直三朗の和太鼓が観客の心を打ち鳴らし、後藤泰観のヴァイオリンがキャラクターの苦 悩と悲哀を代弁。「紅葉鬼」らしい赤を基調としたドラマティックな照明や、随所に盛り込まれるプロジェクシ ョンマッピングが、血飛沫舞う人と鬼の決戦に風雅な格調を与えている。
小林由佳演じる雪熊、今村ゆり子演じる月熊、渡邊彩乃演じる花熊によるアクロバティックなパフォーマンスも 鮮やかで、バトントワリングをベースとしたプレイは目を奪われる可憐さ。殺陣衆の立ち回りも勇ましく、日舞 でよく用いられる「布晒し」を使ったアクションに、日本文化へのリスペクトを感じた。彼/彼女らによって織 りなされる宴の光景は幻想的で、思わず鬼の里に迷い込んだ心地にさせられることだろう。

物語は、経若と酒吞の対決を経て「人と鬼の共生」という原点へ帰着する。テレビをつければ、目を伏せたくな るようなニュースが続くこの時代に、「人と鬼の共生」というテーマは決してファンタジーでも何でもないこと を思い知らされる。人も鬼も、愛する者を奪われた憎しみが、復讐へと駆り立てる。そして争い続ける限り、こ の憎しみは終わらない。「憎しみの連鎖」を断ち切るために必要なものは何なのか。かつて鬼の頭目として人間 を滅ぼすことしか頭になかった経若が、数多の戦いをくぐり抜け、辿り着いた境地にこそ、その答えが示されて いる。
舞台「紅葉鬼」~酒吞奇譚~は 5 月8日(日)から 5 月 15 日(日)まで東京・シアター1010 にて上演。初日公 演および千秋楽公演についてはライブ配信&ディレイ配信も実施している。

コメント
西條高人/経若役:陳内将さん
いよいよ舞台『紅葉鬼』三部目となりシリーズ最終章となりました。 三年にわたり多くのキャスト、スタッフの方々に携わって頂き、お客様に支えられて、ここまでこれたこと心よ り御礼申し上げます。 長きにわたる鬼と人の争いに終止符は打たれるのか、そして満を辞して登場する酒吞童子の狙いとは? 髙木俊さんは今回どんなキャラ?など様々な角度から、この物語のメッセージを浴びてくだされば幸いに思いま す。

東谷准太/酒吞童子役:加藤将さん
舞台「紅葉鬼」初日を迎える事が出来ました。この舞台を彩るのは自分達だと実感する稽古期間を経て、蕾だっ た俺の心の花が開きかけているような気がします。 その蕾が開く瞬間は、自ずと舞台初日になるんだろうなと、本番直前の今、そう思いました。 陳内将さんの背中を追い続けた紅葉鬼、俺の中で彼の存在はとても大きく、彼に振り落とされないように必死で した。
ですが本番のステージが始まって同じ板の上に立てば皆同じです。 俺はどんな状況でも紅葉鬼で彼から学んだ沢山のことを自分なりに工夫して「紅葉鬼」と「将さん」に全力を持ってぶつかっていきたいです!
皆様劇場で酒吞童子となりお待ちしております!

綾木千広/繁貞役:菊池修司さん
初演の紅葉の景色を見たあの時から、大好きなこの作品に綾木千広/繁貞として戻ってくることができて、とて も幸せです。 シリーズ完結ということで、応援して下さる全ての方に「紅葉鬼」の、彼らの生き抜く姿を是非劇場で観ていただければなと思います。

あらすじ
先の茨木童子との戦いで深手を負った経若は、数ヶ月ぶりに意識が回復する。 再び子鬼・いぶきの姿で経若と共に穏やかな時を過ごす酒吞童子だが、経若のある言葉をきっかけについ にその正体を明らかにする。 そして酒吞童子は経若の生死を支配し、いよいよ宿願である帝狩りへと動き出す。
一方、帝は経若奪還のため維茂を呼び戻し、戸隠の頭目・繁貞に援軍を要請することを決意する。 鬼と人の行く末を決める最終決戦がはじまる──

概要
タイトル:舞台「紅葉鬼」~酒吞奇譚~
日程・会場:022年5月8日(日)~15日(日)シアター1010
原作:桜日梯子
「抱かれたい男1位に脅されています。」(月刊マガジンビーボーイ連載/リブレ刊)
演出:町田慎吾
脚本:葛木 英
CAST
西條高人/経若:陳内 将  東谷准太/酒吞童子:加藤 将
イクシマ:小波津亜廉  帝:小野健斗  鷲王:田鶴翔吾
雪熊:小林由佳 月熊:今村ゆり子 花熊:渡邊彩乃  行成:相澤莉多
いぶき:磯田虎太郎/前田武蔵(Wキャスト)

殺陣衆:塚田知紀 白崎誠也 小笠原竜哉 菅野慶太
村上歩夢 川島翔太郎 田中翔大 山田隼人
星熊:髙木 俊
保名:富田 翔
維茂:今井靖彦
綾木千広/繁貞:菊池修司
【演奏】
和太鼓・鳴り物:美鵬直三朗
ヴァイオリン:後藤泰観
制作:トライフルエンターテインメント
主催:アニプレックス/ネルケプランニング/トライフルエンターテインメント/イープラス

公式サイト:https://kouyouki.com/
公式ツイッター @ kouyouki_b
©DO1 PROJECT/舞台「紅葉鬼」製作委員会
オフィシャルレポ文・横川良明