蓮城まこと, 彩凪翔, 和泉元彌 etc. 出演_ 舞台『面影小町伝』開幕! 人が人を想う気持ち、出会い、思惑、因縁が絡まり合う

あなた様の正体は…江戸の闇と光を織りなす狂気、侠気の人間模様
『風流冷飯伝』『退屈姫君伝』に続く大江戸三部作完結編、米村圭伍原作の『面影小町伝』(『錦絵双花伝』改題)が開幕。
出演は元宝塚歌劇団で現在は幅広いジャンルの舞台で活躍の蓮城まこと、宝塚歌劇団を2021年4月に退団した元雪組の男役スター・彩凪翔、歌舞伎と並ぶ日本の伝統文化”狂言”を代々伝承する名家、和泉流宗家の20代目和泉元彌etc.個性豊かな出演陣が揃った。

主催は石川県小松市の山あいにある小学校で朗読劇を演じたことを機に舞台を創る活動をスタートさせたKASSAY。以来、静岡県菊川市、埼玉県桶川市、熊谷市、愛知県西尾市、東京浅草と各地域での上演を重ね、その後、三井財閥最盛期を描き、企業文化を舞台化。今年9月には安倍晴明の誕生秘話である「葛の葉」を題材にした作品を伝統芸能の芸を活かし上演。
本作は『安政の遠足異聞』で1997年に菊池寛ドラマ賞佳作入選、1999年『風流冷飯伝』で小説新潮長篇新人賞を受賞した米村圭伍原作。大江戸三部作の前二作の「お色気満載のコント風時代小説」とは雰囲気が一変し、幾重にも重なる因縁と謎、私欲にまみれた思惑と陰謀が盛りだくさんの物語。
POPな耳に馴染みやすい曲調の音楽で幕開け、語り部的なポジションの大田直次郎(芦田昌太郎)、実在の人物、直次郎は通称で、大田南畝、下級武士の貧しい家の出身だったが、幼少より学問や文筆に秀でていた人物。江戸の風景、町人が賑やかに!登場。この物語の人物を紹介する。江戸で評判の美人・笠森お仙(蓮城まこと)、実在の人物で江戸中の男性を夢中に。トップアイドル顔負けの人気を誇っていた。江戸時代マルチ文人にして御家人の大田南畝(ここでは大田直次郎)が「鍵屋のお仙という娘は生まれながらの美人」と言ったそう。このお仙、家業であった鍵屋という茶屋で茶汲み女として働いていた。ここでも、それがコミカルに描かれている。一方、浅草寺奥山の楊枝屋「柳屋」の柳屋お藤も、また美人で評判だった。そして、当然のことながら、モテる。

お藤は倉地政之助(和泉元彌)、田沼意次の息子・意知(大野裕生)、火消しの頭(二神光)に想いを寄せられる。中でも、田沼意次の息子・意知、若くして出世、権力も握っていた。意知はお藤に対して一際、”粘着質”な感じでお藤にご執心。そんな折にお仙とお藤、ひょんなことで出会う。

お仙は男勝りできっぷもいい。対するお藤は乙女。また、お仙の人気に目をつけた大田直次郎は浮世絵師鈴木春信に描かせ、錦絵でお仙ブームを作ろうと考え、その錦絵は大評判。まさにプロデューサー的な立ち位置。絵師である鈴木春信は夢中になって絵を描き続ける。お仙、お藤、そして彼女たちを取り巻く人々、不思議な縁、思惑、それらが絡まりながらストーリーは進行する。

蓮城まこと&彩凪翔、2人の場面や歌唱では息の合ったところを見せ、和泉元彌は流石の立ち振る舞い。そのほか、実力のある俳優陣がしっかりと脇を支える。お仙とお藤の運命の出会い、絵師・鈴木春信はなぜ、夢中になってお仙の絵を描いていたのか、その謎は2幕で明かされる。また、細かい設定が笑えたり、なるほどと思えたり。史実とはもちろん異なり、フィクションなのだが、そのフィクション部分が”エンタメ”、また、1幕後半で描かれるのだが、伝説の秘剣が!!そして倉地政之助、屋敷に帰ると母上(大川婦久美)が!政之助は母上には頭が上がらない、颯爽とした政之助の困り顔は笑いを誘う。

また、火消しの頭(二神光)、背中に刺青、そこには「おふじ命」と(笑)。そんな細かいところもしっかりチェックすれば物語の面白さが+α。意知はここでは絵に描いたようなヒール役として登場するが、史実では意次が主導する一連の政治を支えた。また、当時は江戸の町人文化が華やかに発展した時代。錦絵は江戸時代の中頃(18世紀半ば)に、技法が確立された。


思惑、因縁、恋心、人が人を想う気持ち、まさに”世話物”、また、花道を設置、いわゆる芝居の楽しさを観客に体感させてくれる。もちろん、結末はバッドエンドではないので!劇中歌もあり、ここで蓮城まこと&彩凪翔が歌唱、宝塚で鍛えた歌を披露。難しいことを考えずに楽しく、そしてちょっとドキドキ、2人の関係、お仙はお藤のために色々、考えるが、なかなかの策士。お藤は奥ゆかしい、政之助はそんなお藤に一目惚れ。

史実では倉地政之助とお仙は結婚して子供をもうけるが、ここでは史実とは違うので、そこはお楽しみポイント。また、時折登場する3人の江戸娘が賑やかで!劇場はお江戸の真ん中、日本橋劇場というのも頷ける。また、劇場になかなか行かれないという方には配信も用意されているので!

 

ゲネプロ後の挨拶より__
和泉元彌
「我ら16名、そしてスタッフ、これから5回公演、多くの皆様に江戸の粋や人の業、前向きに進んでいる人々、の心のあやと言うものを姿を見事に紡ぎ出してお伝えできたら何よりと思いますが、今の時代だからこそ観ていただきたい作品をプロデューサーの有賀さんがお選びになっていただき、今回の公演になっているかと思います。人と人の想い、思い通りにいかない中でさまざまなことが世界中で起きています。前向きに向かっていくためにも人が人を思いやり、人のために自分の与えられた命を使う、時代が変わってもそういった普遍的な部分が、こういった、長い時間かけて、消えることなく、読み継がれてきた作品が残っています。多くの皆様にご共感される、そんな作品を一同務めて参りますので、一緒に盛り上げていただければ!」

蓮城まこと
「宝塚歌劇団の雪組で一緒に男役をやっていた2人が、こうして日本物の女性役を。2人で出させていただき、楽しんでやっております。元気をお客様に届けられたら」とコメント。

彩凪翔
「この作品を通して、これからの活力を人を思いやる気持ちを。怪我なく頑張りたいと思います。ありがとうございました」と語った。

物語
時は明和年間ーー谷中笠森稲荷の境内に構える茶店鍵屋に美しい娘、お仙が現れた。その美貌に目をつけた大田直次郎は浮世絵師鈴木春信に描かせ、錦絵で持って江戸にお仙ブームを起こそうと試みる。春信の絵を彫る彫り師・松五郎とそれを摺る八五郎。しかし、お仙には宿命があった。そして、倉地政之助は混乱を招かぬよう計らなければいけないのだが……

一方、浅草寺にお仙と並ぶ美貌、楊枝屋看板娘のお藤がいた。倉地政之助、田沼意次の息子・意知、火消しの頭。それぞれが、お藤に思いをよせる。田沼意知は何が何でもお藤を妾に取ろうと策を練る。意知に使われる孫十、そしてお藤の兄、新之丞。その中で鈴木春信はかつて愛した女、薄墨とお藤を重ね、浮世絵を異常なまでに描き続ける。
お仙、お藤には何が起こっていたのか?浮世絵に隠された謎は何なのか?
隠された過去を唯一知る、むささび五兵衛は二人の娘を静かに見守る。
やがて過去の事実が明らかになり……

概要
公演名:『面影小町伝』
原作:米村圭伍/脚本:有賀沙織/演出:石橋直也
主催:KASSAY
日程:令和4年5月26日~28日
会場:日本橋劇場
出演:
笠森お仙・・・蓮城まこと
柳屋お藤・・・彩凪翔
倉地政之助・・・和泉元彌
鈴木春信・・・山口眞司
孫十・・・小林功
大田直次郎・・・芦田昌太郎
田沼意知・・・大野裕生
新之丞・・・川島大典
彫師松五郎・・・笠倉祥文
摺師八五郎・・・山上晃二
火消しの頭・・・二神光
江戸の娘・・・秋田かおる
江戸の娘・・・明美里
江戸の娘・・・上倉悠奈
政之助の母・・・大川婦久美
むささび五兵衛・・・安宅忍

公式HP:https://kassay-stage.com/