舞台「文豪とアルケミスト 嘆キ人ノ廻旋(ロンド)」開幕、コメントも到着。負のエネルギーが心を脅かす。

舞台「文豪とアルケミスト 嘆キ人ノ廻旋(ロンド)」、東京公演が開幕した。また、ライブ配信も用意されている。

「新しい時代」と言うセリフが冒頭で登場、明治に入り、日本はドラスティックに変わった。無論、文学においても。今回は夏目漱石(寿里)が登場する。1867年生まれ、明治という時代を生きた作家だ。

近代日本文学の代表的作家、そんな夏目漱石の文学者としての人生がスピード感を持って語られる。海外でも評価は高く、そんなこともここでさらっと語られるので、セリフに注意してみると面白い。夏目漱石のもとには大勢の文学青年が、その中には芥川龍之介(久保田秀敏)や久米正雄(安里勇哉)もいた。芥川龍之介は『鼻』で漱石から高い評価を受ける。「『鼻』は実に面白いね」と漱石。久米正雄は芥川龍之介に言う「よかったね、認められて」と呟くようにいう。これをきっかけにして芥川龍之介は文壇に華々しくデビューする。つまり門下生の中で頭一つ抜きん出た格好になるわけだ。そんなバックボーンが語られる。転生した文豪たち…芥川龍之介は、同じ新思潮で親友の菊池寛らと再会し、喜び合う。ところが、そんな折に夏目漱石の『こころ』が狙われる…。

文豪たちがそれぞれ武器を片手にアクション、オープニング。ここで主題歌が流れる、作詞は演出の吉谷晃太朗。そして本格的に物語が始まる。夏目漱石は若い文学青年の憧れの存在であった。漱石は多くの門下生や知人に慕われており、「木曜会」という集まりもあった。漱石の代表作『こころ』が侵蝕される、早速芥川龍之介らは食い止めるべく行動に移すも、なぜか久米正雄は芥川と協力することを拒む。苦戦するも、「文劇」初登場のエドガー・アラン・ポー(鷲尾修斗)とハワード・P・ラヴクラフト(小林涼)が颯爽と!どうにか阻止。

初登場、海外の文豪。
エドガー・アラン・ポーの登場にテンションの上がる江戸川乱歩(和合真一)、言わずとしれた日本を代表する推理小説家、江戸川乱歩はエドガー・アラン・ポーをもじったものであることは周知の通り、それを自慢げにいうくだり、当たり前すぎて誰も聞いてない(笑)。そんな細かい笑いも随所に挟み込んで進行する。江戸川乱歩は”エンタメ”にこだわる作家、久米正雄は「大衆小説と純文学は違う」と言う。それをエドガー・アラン・ポーはそれに対して歯に着せぬ発言、日本の文豪たちに対してズバズバと正論を言うが、いざとなると漢な行動に出る、ここは見どころ。負の感情、『こころ』の登場人物は語り手は「私」、鎌倉で「先生」に出会い、東京に戻ってからも交流が続く。ここで描かれているのは人間の「エゴイズム」、漱石の後期3部作の最後の作品だ。

芥川と久米、文学好きな家庭に育った2人は、学生時代に友情を結び、作家を目指し同人誌「新思潮」で切磋琢磨しあった仲であった。生前の作品談義をする文豪たち、だが、久米正雄は海外の文豪が受け入れらない様子。そして久米正雄の代表作『破船』が狙われ、ついに…。芥川らは久米の小説を守るべく立ち上がるが…。

『破船』は久米正雄の代表作、失恋の話である。途轍もない負の感情が渦を巻く、潜書を試みるも…。
文豪たちのアクションシーンはもちろん見どころ、それぞれの武器を持って派手な立ち回りを魅せてくれる。応戦する”アンサンブル”陣の激しいダンス、パフォーマンスも。

そして何よりも文豪たちのやりとり、それぞれの想い、文学史に詳しければ「ある、ある」と頷けるところ多し、だが、さほど詳しくなくても、楽しめるし、文学史に興味ももてるはず。もちろん、バッドエンドにはならないので!そこはご安心を。葛藤、マイナスの感情から名作が生まれることもある。転生した文豪たち、各々の気持ち、文学に対する熱い想い、自分達が生きた時代、実際の文豪たちの歴史とは異なるが、実在した人物たちの”転生”してもなお、熱く生きる。エネルギーとパッションに満ちた舞台、ここで取り上げられた、とりわけ『こころ』、新潮文庫版は、2016年時点で発行部数718万部を記録しており、同文庫の中でもっとも売れている。作品としても「日本で一番に売れている」本。アマゾンで簡単に入手できるので舞台を見終わった後に紐解いてみるのも一興だ。

コメント
芥川龍之介役 久保田秀敏
人は水に生かされ、空気に生かされ、動物に生かされ、植物に生かされ、光に生かされ、闇に覆われ、人に助けられ、そして文学に生かされる。
役者は戯曲に生かされ、現場に生かされ、お客様に生かされ、スタッフに生かされ、キャストに生かされ、役作りで行き詰まり、人に助けられ、文学に生かされる。
そんな僕らは今『文豪とアルケミスト』という一つの文学に生かされ、この世界に転生できています。
この作品の中にある文字たちの力を借りながら、それがまた“誰かを生かす力”となれるよう、最後まで大切にお届けします。

久米正雄役 安里勇哉
きたきたきたー!無事に初日を迎えることができました。
本当にありがたいことです。やっと皆さんにお見せすることができる…!
久米正雄として千秋楽まで必死にもがきながら生き抜きたいと思います。
最後まで応援よろしくお願い致します。

菊池寛役 岩城直弥
菊池寛を演じさせていただきます、岩城直弥です。
稽古段階から演出の吉谷さんのもと、繊細かつ緻密にこの作品を作り上げてきました。
僕自身、今まで経験したことのないくらい、スタイリッシュで面白いものができたんじゃないかと思っています。
自分の持てるエネルギーを全て出し尽くすつもりで、公演に挑みたいと思っています。
是非、よろしくお願いします!

江戸川乱歩役 和合真一
江戸川乱歩役の令和の和に合格の合、真実はいつも一つと書いて和合真一でございます。
たくさんの方々に愛されてきた文劇シリーズ。光栄にも一作目から携わらせていただいてまいりましたが、毎度新しい挑戦の連続。キャストとスタッフが切磋琢磨して文劇の世界観を紡いでおります。
是非、美しき文劇の世界をお楽しみいただきたい。
あ。乱歩さんの日々の悪戯や日替わりもお楽しみに♪さぁ、ショータイムのはじまりです。

室生犀星役 椎名鯛造
室生犀星役の椎名鯛造です。
今回の文劇5で2度目の出演となります。
今作でも文学を侵蝕者から守る事が前提にあるのは変わらないのですが、今作では文豪同士の想いのやりとりが色濃く、とてもドラマティックに描かれています。
初の海外文豪も転生してきて海外文豪と日本の文豪の関係も今作では描かれているので、考え方の違いや文化の違いなども感じていただければと思います!

ハワード・P・ラヴクラフト役 小林涼
私、ラヴクラフト役、小林、涼、です。
海外文豪、舞台、初登場、します。常に、壺、抱えます、します。中身、少し、出ます。
少し、だから、見逃す、しないで、欲しい、です。私、武器、特殊、です。
浮遊中、うまく、指示、できない、扱えなくて、自分、切ります。本番、気をつける、します。
とにかく!文劇5お楽しみにぃ〜!!!!!

エドガー・アラン・ポー役 鷲尾修斗
今回はじめて文劇の世界に入らせていただきました!
そして文劇初の海外文豪という事で、新しい風を吹かせられるように稽古から意識していたので、その辺を感じていただけたら嬉しいです!
そして、演出家の吉谷さんも仰っていたように2回目以降も観劇いただいた方も更に面白くなると思うので、ぜひぜひ何度も文劇の世界を観に来てくれたら嬉しいです!!

夏目漱石役 寿里
役者同士が繋がっていく感覚を感じながら稽古をしてきました。
文学作品の言葉の面白さと、エンターテイメント溢れる2.5次元の世界を同時に楽しめる作品。
それが文劇の面白さに繋がってるんだなぁと思いました。
板の上で生きる文豪たちの熱い時間を、皆様と共有できる事を楽しみにしております。皆様も思い切り楽しんでください!

<インタビュー記事>

舞台「文豪とアルケミスト 嘆キ人ノ廻旋(ロンド)」脚本 なるせゆうせい×演出 吉谷晃太朗 クロストーク

物語
文学作品を守るためにこの世に再び転生した文豪たち。
幾度となく侵蝕者と戦ってきた芥川龍之介は、同じ新思潮で親友の菊池寛らと再会。
そんな喜びもつかの間。なんと彼の師である夏目漱石の『こころ』が侵蝕される事態に。
一刻も早く潜書し、侵蝕を食い止めなければならない。
しかし同じ夏目門下である久米正雄が芥川との協力を拒みーー

概要
公演名:舞台「文豪とアルケミスト 嘆キ人ノ廻旋(ロンド)」
日程・会場:
東京公演:2022年9月2日(金)〜9月11日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
大阪公演:2022年9月17日(土)〜9月19日(月・祝) 森ノ宮ピロティホール
出演
芥川龍之介 :久保田秀敏

菊池寛 :岩城直弥
江戸川乱歩 :和合真一
室生犀星 :椎名鯛造
エドガー・アラン・ポー:鷲尾修斗
ハワード・P・ラヴクラフト:小林涼

夏目漱石 :寿里

久米正雄 :安里勇哉(TOKYO流星群)

アンサンブル:佐藤優次 仲田祥司 町田尚規 多田滉 山口渓 田中慶 平澤佑樹 松崎友洸

原作 :「文豪とアルケミスト」(DMM GAMES)
監修 :DMM GAMES
世界観監修 :イシイジロウ
脚本 :なるせゆうせい(オフィスインベーダー)
演出 :吉谷晃太朗
音楽 :坂本英城(ノイジークローク)
主催 :舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会
公式HP:http://bunal-butai.com/
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