浦井健治,成河,濱田めぐみ,柚希礼音出演 ミュージカル『COLOR』人生は様々な色がある。

草木染作家・坪倉優介が自身の体験を綴ったノンフィクション「記憶喪失になったぼくが見た世界」をベースにミュージカル化したミュージカル『COLOR』が開幕する。

言葉と音が密接に繋がり合う楽曲を生み出す、音楽は植村花菜、初のミュージカル、劇団四季の新作ミュージカル『バケモノの子』などを手掛ける高橋知伽江が脚本と歌詞(植村花菜と共同歌詞)を、演出はミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』など話題作を次々と手掛ける小山ゆうな、編曲・音楽監督には、ディズニーD23 Expo Japanなどでの編曲も手掛けてきた木原健太郎

出だしから語りかけるような音楽、ピアノの調べ、苦悩する「母親」、一人息子が事故に遭い、一命をとりとめたものの記憶喪失になってしまう。自分が誰なのか、過去の記憶だけでなく、食べる、寝る、自分の名前すらわからない。ご飯を食べる、という当たり前のこと、白いご飯、これすらも「ぼく」にとっては『新しい』、そんな息子を母親はたった一人で学校に行かせたりする。

事故によって記憶を無くし、それまで会得してきたことも全て喪失。目の前にいる母親が「母」と認識できない状況。彼の行動は無垢で純粋、そこには普通に暮らしている我々が忘れていたことを思い出させてくれる。ゲームセンターにいってUFOキャッチャーのぬいぐるみを見て、一番下のくまがかわいそうと思う優しさ。母の想い、彼らを取り巻く人々。たった3人の俳優で紡いでいく物語はシンプルで観る者の心に響く。

母の気持ち、本人の戸惑い、周囲の人々、普通に暮らしている人々、事故によって一変してしまう景色。側から見たら不幸かもしれない。だが、観ているうちに観客は気が付く、幸せなのか不幸せなのかは自分が決めることだと。語るような曲、歌、時にはポップに、時には寄り添うように、ピアノの調べが響く。タイトルの『COLOR』、草木染作家になった「ぼく」、そこに至るまでの過程は実に様々な色合いに満ちている。音楽と照明と歌、芝居で綴る、1時間半のミュージカル。

「ぼく」を成河、「母親」は 濱田めぐみ、「大切な人々」を浦井健治という布陣で観劇。実力派揃い、成河は最初は記憶喪失で何もかも”喪失”した「ぼく」を最初はピュアな、いわば真っ白、という表現、そこから力強く生きていく過程をエモーショナルに演じ、「母親」役の濱田めぐみは迷いつつも強い愛で息子を包み込む姿を熱演、浦井健治は一人で何役も!

時にはコメディリリーフ的な役も担い、アクセントに。そして、この物語での重要人物である編集者を演じるが、ストーリーテラー的でもあり、傍観者的でもあり、この人物の立ち位置は作品の要。
シンプルな舞台セット、映像演出も効果的。新国立劇場の小劇場で見せる濃密で心揺さぶる空間は何ものにも得難いもの。じんわりと染みる楽曲が彩る世界が愛おしい。

ロビーに草木染めの着物が展示されているが、その色合いは複雑で温かみがある。「ぼく」の”長い旅路”の果てにたどり着いた境地が着物の色合いに見てとれる、いや、その旅路はまだまだ続いているのかもしれない。人生という旅、そして『COLOR』。

<オフィシャル舞台写真 ぼく:浦井健治、母親:柚希礼音、大切な人々: 成河>

<フォトセッション写真>

実話をもとにした3人で紡いでいくミュージカル、ミュージカルは初めてという植村花菜「ミュージカルの作曲は初めてなので、ワクワク、ドキドキ、この2年間は『COLOR』のことばかりを考えて暮らしてきましたので、明日初日を迎えるということで本当に感無量」とコメント。
それから出演者より挨拶。
浦井健治お稽古が終わった時に『あー、なんかちょっと良かったね』って拍手ができるような時間を過ごしてこれたというのがすごく財産だなと思える作品」

成河「坪倉優介さんたちとたくさんコミュニケーションを取って、取材もしながらやらせていただいている現在進行形のお話ですので、どこかで結論をつけて渡すのではなく、それが何なのかをお客様と一緒に想像し続けていく。それは日々日々更新されていくし、考えが深まり続ける過程をお客様と一緒に千穐楽までやれたらなと思っております」

濱田めぐみお客様が入ってもなお、本当に千穐楽までその形で走り続けていくという気持ちが一番大事なのかなと思っていて。終着点がない作品に逆になれたら良いなと思っていて、観ていただいた方がどういうものを持って帰っていただいて、それをどのような自分の人生の中で、一つの想いや、転換期になれるような作品になればなとすごくうれしいなと思っております」

柚希礼音「クリエイターチームからも、坪倉家の皆さまからも、色んなものをいただきながら日々稽古をしてきました。今もたくさんのメッセージを感じているんですけれども、それを観てくださったお客様にお届けできるように明日、初日から日々集中してやっていきたいと思っております」

また、植村花菜
「この2チームの稽古を拝見させていただきまして、本当に違うんですね。同じ演目なのに、こんなにも違うんや、とびっくりしたことだったんですけど、演じ方、歌い方、全てにおいて二つの世界があって、すごく両方観ていただけたらなと思っていますし、この作品の持つパワーを本当に大事なものって何なんだろう、生きている上で大事なものって何なんだろう。そしてタイトル、『COLOR』自分の色っていったい何なんだろう、それは記憶を無くしてる人、無くしていない人。同様にみんな探していると思うんですよ。自分の色、本当の色って何色なんやろう。それをきっと発見できる、もしくは発見できるきっかけにこの作品がなってくれるのではないかと思っているので、本当に改めて生きていくこと、当たり前の日々、そして自分の本当の色をその一つ一つの小さな感動を感じていただける作品だと思うので、是非2チーム観ていただいて、それぞれの色を受け取っていただいて、ご自分の色をまた見つけていただけたらと思います」と語った。

タイトルの『COLOR』、誰しもがきっと持っている「色」、それを見つける、見つけようとする物語、東京公演は25日まで。それから大阪、愛知にて公演、大千穐楽は10月10日。

概要
新作ミュージカル『COLOR』
日程・会場
東京公演
2022年9月5日(月)~9月25日(日) 初台・新国立劇場 小劇場
大阪公演
2022年9月28日(水)~10月2日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
愛知公演
2022年10月9日(日)~10月10日(月祝) 愛知・ウインクあいち
キャスト (五十音順)
浦井健治 成河 濱田めぐみ 柚希礼音
スタッフ
原作:坪倉優介「記憶喪失になったぼくが見た世界」
音楽・歌詞:植村花菜
歌詞・脚本:高橋知伽江
演出:小山ゆうな
編曲・音楽監督:木原健太郎
振付:川崎悦子
美術:乘峯雅寛
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:半田悦子
ヘアメイク:林みゆき
ボーカルスーパーバイザー:ちあきしん
演出助手:守屋由貴/野田麻衣
舞台監督:加藤高

公式サイト: https://horipro-stage.jp/stage/color2022/
公式舞台写真・フォトセッション撮影:田中亜紀