斬劇『戦国BASARA』第六天魔王

斬劇『戦国BASARA』第六天魔王、現在公演中、いよいよ大阪公演も始まる。

さて、第六天魔王とは、仏教における天魔のこと。天子魔・他化自在天・第六天魔王波旬、魔王とも呼称する。 そして第六天とは仏教における三界(無色界、色界、欲界)のうち、欲界の第六天(他化自在天)を指し、この天に生まれた者は他人の楽しみを自由に奪い自らの物とする事が出来るという。そんなことをちょっと知ってると「なるほど」と思うところもあるので、こういった知識は観劇の楽しさを倍増させてくれる。

いつも通り、開演前の幕にはゲーム画面だが、映っているのはキャラクターは舞台版、5分前にはホラ貝の音が鳴り響く。時間になり、オープニングの楽曲は大河ドラマ風、戦国絵巻を想像させて観客のテンションはぐっと上がる。通路からアンサンブル陣が走って登場し、抜刀、タイトルを唱和、観客は大きな拍手をおくる。こういった【お約束】は率直に嬉しい。

しょっぱなから「さあ、大変」な事態が!秀吉様が……秀吉を救うと誓う石田三成、そして真田幸村と猿飛佐助が客席通路から登場する。場面は変わって、伊達政宗と片倉小十郎と手下達。ここはちょっと“お笑いシーン”だが、そんな時に大変な知らせが舞い込む、武田信玄が織田信長に……まさに“風雲急を告げる”とはこのことだ。次の場面は、その話題の中心人物である織田信長の場面、そばには明智光秀、客席から京極マリアが登場、舞台上には浅井長政、織田信長の妹であり、長政の妻・お市がいる。史実でも浅井長政とお市は仲睦まじかったそう。京極マリアは浅井長政の姉で、史実では洗礼を受けてドンナ・マリアという名を授かる。『戦国BASARA4皇』ではプレイヤー武将として登場している。

 

それからオープニング、各武将が技を繰り出し、決め台詞!アクションと映像とテーマ曲のコンビネーション、ゲームがリアルに飛び出してくるような迫力もあり、観客のテンションはここでぐっとアップする。その後に物語が“始動”する。

 

キャラクター同士の関係性や性格、行動、ある程度史実を押さえておくとぐっと面白くなる舞台、ところどころ、驚きの展開もあって、こういった場面はサプライズ。

 

映像演出も派手さが増した感もあり、外連味たっぷり、こういった要素をふんだんに取り込むのは斬劇『戦国BASARA』ならでは、といったところ。アクション、殺陣はむろん、今風であるが、歌舞伎的な雰囲気もあって、こういったものはやはり「made in Japan」だなと思わせてくれる。各キャラクターに見せ場があるのはもちろんのことだが、随所に笑いの場面を挟み込んで、緩急つけてくる。第六天魔王が圧倒的な強さを見せつける。立ち向かっていく武将達の懸命さ、協力しあってこの局面を解決しようとする姿勢、ただただ刀を交えるのではなく、お互いの意地、負けられない戦い、プライドも高い、だからこその武将、ライブ故にキャラクターの息づかいもリアルに感じる。勝利を信じ、誰かを信じてみると、何かが見える瞬間がある。

 

この『戦国BASARA』の舞台版は2009年初演、キャストも何度か交代し、息の長い作品になった。この歴史ある舞台作品、演出家も変わったが基本、ブレずに上演され続けてきた。しっかりとしたキャラクター創りと舞台ならではのライブの迫力、映像を上手く使っての徹底した「飛び出すゲーム」感、原作ゲームの世界観を忠実に再現しようとする努力、そういった歯車がきちんと回ってこその作品。衣裳も真近で見ると、かなり手が込んでおり、作り手の真摯な姿勢も見える。スタッフ・キャストの力の集大成、それを長きにわたって継続してきている。

 

また、今回、石田三成役の沖野晃司が劇場での舞台稽古中に負傷、アクション部分は殺陣指導の泉紫太朗が入り共に演じることになったが、沖野晃司は芝居部分で健闘、好演。アクションの泉紫太朗、この作品のアクション指導をしているだけあって、動きにキレがあり、よい仕事ぶり。また、他のキャストもこういったアクシデントでも動ずることなく、また、気が抜けない“戦国時代”なはずなのに、そこはかとなく感じられる温かい空気感のようなものもあり、ひとつの作品を一致団結して創っている、という全員の気迫も感じられた。

あとちょっとで舞台版の『戦国BASARA』も十年、この先も人気コンテンツであり続けて欲しい。

 

【公演データ】
斬劇『戦国BASARA』第六天魔王

<東京公演>
日程:2018年3月2日(金)~ 3月11日(日)

会場: AiiA 2.5 Theater Tokyo

 

<大阪>

日程:2018年3月16日(金)~3月18日(日)

会場:森ノ宮ピロティホール

 

スタッフ:
原作: CAPCOM(「戦国BASARA」シリーズ)

構成・演出・映像: ヨリコ ジュン
企画・原作監修: 小林裕幸(CAPCOM)、山本真(CAPCOM)

シナリオ協力: 松野出

プロデューサー:

都田和志(エースクルー・エンタテインメント)

山浦哲也(エイベックス・エンタテインメント)

 

キャスト:

眞嶋秀斗、松村龍之介、中尾拳也、沖野晃司/椎名鯛造、井上正大、瀬戸祐介/ 汐崎アイル/斉藤秀翼、桜田航成/高柳明音、大湖せしる/伊藤裕一/唐橋充

※石田三成役の沖野晃司が、劇場での舞台稽古中に負傷。これにより、石田三成役は沖野晃司が演じるが、アクション部分は殺陣指導の泉紫太朗が入り共に演じる。

 

<公演DVD、早くも発売決定!>

発売日:2018年7月末予定  価格:7000円(税込み)

スタッフ:
原作: CAPCOM(「戦国BASARA」シリーズ)

構成・演出・映像: ヨリコ ジュン
企画・原作監修: 小林裕幸(CAPCOM)、山本真(CAPCOM)

シナリオ協力: 松野出
プロデューサー: 都田和志(エースクルー・エンタテインメント) 山浦哲也(エイベックス・エンタテインメント)

東京主催: エイベックス・エンタテインメント、エースクルー・エンタテインメント、サンライズプロモーション東京

大阪主催: 斬劇『戦国BASARA』第六天魔王 大阪公演製作委員会

 

公式サイト:http://www.basara-st.com

 

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文:Hiromi Koh