舞台『てっちゃんの写真館』開幕 コメントも到着 愛があれば、生きていける

舞台『てっちゃんの写真館』が初日を迎えた。

始まる前に前説、これが、なんと開演15分ぐらい前から始めるので!早く来れたら、来た方がいい(笑)。さらに撮影タイムも十分時間をとってあるので!
場所は喫茶店。内装はちょっとレトロ。「本日のコーヒー」はキリマンジャロ、「手作りマフィン」はシュガー、バター、ココナッツ。ここはかつて写真館『てっちゃんの写真館』だった。喫茶店のマスターは哲夫(穴吹一朗/亀吉)といい、この写真館のオーナーだった照子の弟子だった。その照子の娘の美佐子(鳳恵弥)と結婚し、一人娘の留美(佐藤杏奈/山川璃恩)もいる。だが、照子の死後は写真が撮れなくなり、写真館の内装を変えて喫茶店にした。喫茶店、そこにはさまざまな人が「行き交う」場所。わちゃわちゃと出たり入ったりするたびに”事件”が起こり、”勘違い”、”すれ違い”が生まれ、苦し紛れな嘘をついてみたり。一人の男がやってくる、一旦店内に入るもまた出ていったり、それを繰り返し、その男はマスターに尋ねた、確かここは写真館ではなかったのか、と。彼は照子と生き別れになった長男だという。

驚く哲夫、無理もない、初めて出会ったのだから。そんな彼を追う刑事、殺人犯というが、俄には信じられず、それに喫茶店に集まる人々の事件もあり、シチュエーション・コメディのドタバタが繰り広げられ、客席は笑いにつぐ笑い。また、「この人とこの人が…そういう関係なの?!」的な繋がりもあり、片時も目が離せない。はたまた、普通見えるはずのないものが見えてしまうアイドル、挙動不審に思われたり。

物語は何処へ行くのか???という予測不能な面白展開。途中、哲夫の独白、妻、美佐子がガンを発病、治ると診断を受けたので、日々元気になっていく姿を収めようとシャッターを切っていたが、実際には次第に弱っていき、結局は亡くなってしまい、照夫はシャッターが切れなくなってしまったのだった。
設定はちょっと苦く辛いものなのに、湿っぽくならず、笑える状況が連続、照子と生き別れになった長男、しかも殺人容疑なのに可笑しみ漂うキャラクター。アイドル、そのマネージャー、お父さんが刑務所にいるので結婚のために”フェイクお父さん”を「誰でもいい」とばかりに頼みまくる隣人、刑事なのに挙動不審、やたらバレエがうまい絵描きetc.強烈だが憎めない人々多数。唯一まともに見えるアルバイトの麻衣子(井川さつき/大内真琴)、典型的な巻き込まれキャラ哲夫、ラスト、彼は娘から衝撃的な告白をされる。

だが、それすらも湿っぽくなく。登場人物たちは皆、愛すべき市井の人々。ジェットコースターのようなスピード感あふれる舞台、あっという間の1時間40分強、そしてさまざまな愛の形。
開演前に流れていた楽曲は1960年代に流行った曲「Daydream Believer」など。そして劇中に出てくる曲は「Raindrops Keep Fallin’ on My Head」邦題は「雨に濡れても」、雨が降り出した時にデパートなどによってはこの曲がかかるので聴いたことがある、という観客も多いことだろう。1969年に公開されたジョージ・ロイ・ヒル監督の西部劇『明日に向って撃て!』(原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid)の挿入歌、また英語の「Shoot」には「撃つ」の他に「素早く[急に]動く」「シュートする(バスケットボールなど)」「写真を撮る」などがある。

プロデューサー 内田雅章
『僕は親孝行というのを心情にしておりまして、色々な伝え方はあるけど、やはり舞台演劇と言うのはそれを伝える力が大きいんじゃないかな、と思い、お願いしてやって頂いております。』

プロデューサー 佐山泰三
『サンモールスタジオオーナーの佐山です。親孝行と聞いた時にこの作品を選ばせて頂いたのですが、やはり舞台を観るのが初めてという方にもテーマが伝わり、尚且つ楽しんでもらえるというとやはりわかり易さも大切になります。そしてわかり易さの中にも細かく人の心情が描き出され、たっぷり笑って、更に心に残る作品としてこの作品しか考えられなかった。』

演出、脚本、主演(寫組) 哲夫役 穴吹一朗
『どうも穴吹です。演出とは言っても、まぁ鳳さんと2人でやったという感じではあるのですが、初演は自分の劇団でやり、今回は初めての皆さんとやる中で私たちの良いところと、皆さんそれぞれの良いところが合わさって、明日からもより良いものになるように頑張ります』

主演(眞組) 哲夫役 亀吉
『亀吉です。宜しくお願いします。この物語は親子愛だけでは無く夫婦愛、兄弟愛、更には街中を巻き込んだ隣人愛など愛が溢れている物語です。僕はまだ独身なもので知らない愛も多いのですが、この作品からも学びつつ良い作品に出来ればと思います。』

ヒロイン(寫組) 留美役 佐藤杏奈
『主人公の娘、大野留美をやらせて頂きました佐藤杏奈です。なんだか亀吉さんが全部言ってしまった感があるのですが、この家族はもちろん登場人物みんな、商店街の人たちとか、それぞれが愛に溢れて魅力的なので隅々まで観てもらいたいと思います。』

ヒロイン(眞組) 留美役 山川璃恩
『眞組の大野留美役をやらせて頂いた山川璃恩です。そうですね、本当に亀吉さんにみんな言われてしまった感じですが(笑)私は亀吉さんと親子役で、亀吉さんは自分では愛が分からないなんて言いますが実際に一緒に演じると愛が溢れていて、怒鳴られてもイラッと出来ないというか嫌いになれない感じがあって言い合いのシーンとかは最初は大変でした。』

大野美佐子役(シングル)、演出補佐 鳳恵弥
『本日はお忙しい中にご取材頂きまして有難う御座います。大野美佐子役を演じさせて頂いた鳳恵弥です。私は以前に穴吹さんの劇団の別作品も観せて頂いたことがあるのですが、穴吹さんの作品は本当に1つのコンサートのようで、最初に色々と積み上がっていった後にぐわ〜っと山頂まで駆け上がり、盛り上がり心を揺さぶられ、そこから静かなシーンでグッと心を引き込まれる。そんな素敵なハーモニーをこの作品でも奏でられたらと思います。』

概要
2023年06月22日 (木) ~ 2023年06月25日 (日) サンモールスタジオ
上演時間: 約1時間30分(休憩なし)を予定
脚本:穴吹一朗
演出:穴吹一朗 鳳恵弥
出演
穴吹一朗(寫組)、亀吉(眞組)、鳳恵弥、佐藤杏奈(寫組)、山川璃恩(眞組)、牧野裕夢、木村圭吾、井川さつき(寫組)、大内真琴(眞組)、映奈、一鷓優那(寫組)、香咲月(眞組)、維東れいな(寫組)、横山胡桃(眞組)、佐々木敦子(寫組)、美波まみ(眞組)、黒江優也、藍野りな、上野りか、足立浩大、池内玲音、多田祥太朗
プロデューサー:内田雅章/佐山泰三
企画/製作:ACTOR’S TRIBE ZIPANG

公式SNS:https://twitter.com/stage_ATZ

舞台写真:製作提供