演劇プロデューサー・演出家による覆面座談会 2024

ーーもっと多くのお客様に足を運んでもらいたいというのが前回の命題でしたが。ただコロナが落ち着いても物価高など、色々あると思います。

C :でもいっぱい入ってますよね。お昼にやっている年配の人たちがターゲットの芝居は。『老後の資金が足りません!』を観たんですが、パンパンですよ。おじいちゃんおばあちゃんで。そのあと行ったのがナイロン100℃の下北沢公演。ザ・スズナリも同様で、パンパンです。

B:ケラリーノ・サンドロヴィッチさんと同世代。

C :でも、もうやっぱり大喝采ですよね。もう年配の人たちが昼間けっこう足を運んでる気がしました。ちょっと夜の姿は僕もコロナの後、全然行ってないからわからないんですけど。もう昼間の劇場はお年寄りで、あちらこちらでいっぱいだなと思って。

E:平日の昼間ですね。たしかにいっぱい。

C :池袋の芸劇もいっぱいでしたよ。『歌うシャイロック』。あれは松竹ですけど。年配のお客さんがスタンディングオベーションまでしていてびっくり。こんなすごいんだと思って。昼間の浅草あたりも、人入りは完全に復活してますね。

B :なんかそんな感じしますよね。

C :ところが夜は人が引けてしまうらしいですね。

E:若い人はいるみたいですけど。いわゆる会社の経費で飲んでる50代60代の人はいなくなったままなんですって。

C: 一部やっぱり何て言うんですかね。カルチャーっていうものを意識し始めた人たちが、映画だとか舞台だとかを文化に触れようとしていて、お金使ってるんですけど、若い人たちからすると、やっぱ高いんですよ。さっき言った作品で、ナイロンも6000円とかするでしょ。ほかは1万円超えですからね。若い人たちは観に行けないですよね。ここがやっぱりなんかね。行政がなんとか手を入れてくれないかな、と思うんですけど。

B :コロナ以前に戻ってくるっていうよりも、もう新しい形にも徐々に進んでるような感じはあります。少なくともユーザーさんはそうでしょう。

C :とはいえ、2.5次元はどうでしょうか。

B :いや、ね変わってます。この前もちょっとお話したんですけど、おそらくもう以前のようには戻れない。ユニークユーザーのみで考えれば変わってないように見えるでしょうが、1人当たりのお金を使える部分、使う部分とかっていうのはやっぱり戻ってはこない感触があって。その間に他の楽しみも含めてやっぱり見つけてしまう。なのでそういう部分では、2.5次元がそのまま戻ってくるかっていったらもうこのスタイルここが天井というか、そのかたちの中でどうやっていくかだと思うし、本当に。このほぼほぼ2年半3年間がもう空白であったのって、やっぱりそれに対してっていうところでは、この後大きく影響があるんじゃないかなとは思っていて。

C :気がつくと、チケット代も高くなってますよね。びっくりしました。

E:ついに1万円の大台を超えたっていう感覚はあります。

C: 7800円ぐらいまでのイメージでした。

B :役者個人での集客っていう部分も、結局ユニークユーザーが変わらなくても枚数が変わってくるから。なんです今まで2000人、「2000枚チケット売ります」っていう役者さんも、それはもうもちろん1000枚に減っているという状況に多分今なっていて。

C: どこのエンタメの世界も作品ありきじゃなくてスターありきってことですね。

B: でも、それこそチケット代は1.1倍とか1.2倍高くなったのに、物価が高くなってるのかいろいろ正直、要素としてはありますけど、でもお客さんもはより厳しくなってる状態で。チケット代が上がったし。お客さんの若い子たちが舞台に初めて触れる機会っていうのも、3年間ブランクがあったんですよね。要は触れやすいっていうところがあった上に。その間にYouTubeであったりだとか、やっぱりより身近なものになったので、集中力がそっち基準になっているというか。短くなってるんですよ。今もう日本ももうさすがに今後増えていくと思うんですけど、ドラマの枠がアメリカでは全部30分なんです。日本でもこの前30分のやつを始めてみたいな、っていう話があったから、今後きっとそれがスタンダードになっていくってなる可能性が高い。15分とか30分の中で起承転結を作るっていうスタイルに慣れてるっていう人からすると、 2時間のもの、しかも話の予備情報がなく、しかも値段が映画の4倍5倍っていうものを観る若い子は、やっぱりどんどん減ってくんじゃないかなって。やっぱり分母が減っていけば、その分市場は狭くなっていくというか、業界自体が弱ってくるので。

C :ゆゆしき問題です。若い人、お客さんが増えないことは。始まらないもんね。

E:明治座さんではお芝居はもちろん、休憩時間にお弁当を食べるのが楽しみになってますね。

C :そういう楽しみ方はもちろんありき、全然いいとは思うんです。そのおじいちゃんおばあちゃんだけじゃなく、何かその2.5の俳優を使ったりとか若いお客さんを明治座に呼び込んだり、なんか、去年ぐらいからすごいやってくれてる。

B :それも、ほかではなかなか長続きしなくて。

C :だから1個のビジネスを成立させるっていうターゲットの絞り方と、業界全体のためにっていうターゲットの置き方はちょっとやっぱり違うというか。あるんだなっていうのは結構強く感じますね。

B :まずはやっぱり芸術文化に対する公機関の補助って日本じゃもうゼロに等しいんじゃないかというね。アメリカに行ってみても、中国で見ても、今度イタリアあたりそうですけど、最前列はやっぱりチケット代がすごい高いんです。同じ舞台でも一番後ろでだと2000円ぐらいで見られるわけですよ。それは幅広い客層に見てもらうためでもある。それで後ろで見てたやつは、大人になったときにそうそう、女性をエスコートして一番前列で観せてあげようっていう動機付けにするための策でもあるわけですよね。そういうことが劇場さんなのか、公なのかわかんないけど、国や都道府県と一緒に文化を作っていかないとどうしても限界がありますよね。どこで見ても、もう最近なんか2階でさえも1万円とかしますし。S席どうなってんのってちょっとドキドキしちゃう。

C: 一律のチケットっていう値段、値段の置き方っていうのが業界的に流行ってるというかもう、ちょっと1回ブームになったんですよね。

B: 2.5の出始めの初期の頃の、一律でも5500円っていうんだったらまだわかるんですけど……。お年玉を貯めて行くみたいなことできるじゃないですか。その倍ですもんね。そういったところは何かを作っていくための策っていうのを、やっぱ国とか、あとは企業とかと、カンパニーとが一緒に手を繋げるとこないのかなっていうのはすごく感じますね。やはり制作費の中の劇場費を占める割合って異様に高いから。残った金額で、もうひどいときは役者のギャラがオーバーみたいな、そんなメンツもあったり。どうしていったらいいんだろう。そこが解決できないと増えていかないような気がしますね。

C: どこまで今の日本のその国の制度が悪いって言って嘆いてるだけでいいかどうかっていうともちろんあるけど、話に聞くヨーロッパとかの演劇のあり方とか、韓国の全体に対する金のかけ方とかっていう補助のことを聞くと、やっぱり純粋に羨ましいなと思いますよね。

B: もう一つ、興行をしている側からすると、やっぱり東京の制作委員会が、お金が、いわゆるその人が入る興行に対して、ガチって守りすぎ。地方公演を全部主催側が回すから、地方にお金が落ちていかないんです。結局都内だけじゃないとお金が行きわたらないっていうはデメリットですよね。地方でやるときには地方のカンパニーで作れるくらい、地方にお金が落ちるようなスタイルでやってかないと、次呼ぼうと思っても呼べないじゃないですか。もちろん東京の委員会の収入は減るんですけど。全部東京の委員会にまず入るんだから、そこで回した方が明らかに得なのはわかります。でもそれって長続きさせるためには逆効果なんですよね。独り占めしちゃうっていうのは。

C :地方のお客さんを育てるっていうことでしょうか。

B :そうそう。地方のスタッフを使うの。今なんか地元に仕事がないから東京に優秀な人たちが集まってるっていう時代になってるじゃない。でもそれって実は本末転倒で。今日日こんな狭い東京で競争したって何も意味がないし、本当は地元のところできちっと商売ができるようなスタイル、都内ではできないカンパニーを作って育てていかないと、育っていかないですよ。今回その文化庁が京都に行ったっていうのはある意味良い傾向なんじゃないかなと思ってるんですよね。なんなら財務省も大阪に行ってほしいぐらいなんで。ちょっと話がずれますけど、そういった役割を分けてね、役所が地方各地に散らばっていかないと、地域が活性化しないですよね。

C :それはあるかもしれないですね。

B: 明治維新のときの人に集中する中央集権っていうのは、やっぱもう限界が来てるということですね。

C :東京じゃなくてもいいんじゃない、というのはコロナでちょっとばれちゃいましたよね。どこにいても、割といけるなみたいなところは。

B: 地方の有力企業とともに文化を作っていければいいかなと。先週実は広島に行ってたんですけど、広島の大手企業が運営をやってるクレドホールていう、品川のステラボールみたいなところがありまして。そこでコンテンツを探してるんですけど、やっぱり今までは貸館でやってても8割ぐらい稼働はしてるんだけども、これからそれじゃいけないから、自分たちでコンテンツを持つ、いわゆるスポンサードしていきたいので優秀なものを創りたいと思っていますが、みたいな相談だったんです。 1個はせっかく地元なんだから、広島神楽を定着させるような地元でしかできない企画を主催という立ち位置で作ったらどうですかみたいな話をしてたんですよ。あとは、ホールの隣にリーガロイヤルホテルがあるのですが、平日なのに外国人客で満室なんです。だから、この人たちが日本で体感したいものってなんだろうねって考えて、探せばいいんじゃないですかっていう話をしてました。もしかすると、和太鼓だったり、殺陣だったり。地元やあるいは全国から集めてくれば、説得力あるんじゃないかと。また、若い人たちがエンタメに携わる環境を地元の企業や公共機関と一緒に作っていくことが、急務だと思いますけどね。

C :となると、スターに依存するエンタメの形から、いつかは脱却しなくちゃいけなくて、むしろ脱却せざるを得ない状況になってるんですよ。つまりトップクラスでも1000だったら今までの公式で当てはめたらもう割に合わなくなるんですよね。正直言うトップクラスでも1000円いかなかったりするくらいだし。そこから掛け算でしかないので、コンテンツとかっていう部分、全部一切合切とっぱらってトップクラスの人間でオリジナル作ろうよって言ったときに、じゃあ何枚売れるのって言ったときに、やはりもう3年前と同じビジネスの組み立て方だと全然無理で。だとしたら、どういう形で演劇をビジネスした会社を成り立たせるのかとかっていうふうにやっぱり去年、一昨年ぐらいかな。期間中に徐々に復活してきてっていうところで、考える部分がすごくあったんで。だから、いろんなものを、たぶん1個に絞りきらずにいろんなことをやって同時に畑を耕すというか、それはいうならばユーザーを育てるでもあるし演劇に関わろうという人材をより多くするっていう。そのための部分とかを考えていますね。だから本当に演劇が一番好きだし演劇だけ作ってられれば一番最高なんですけど。だから年間20本近くとかやっていたけど、それをやってるだけでは多分会社は成り立たない。もちろん価値率が下がってくるので、今ここ以上。だから、受け仕事とかもちろんあるんですけど演劇だけじゃなく、みんなも年取ってくるから、あえて今年から来年にかけてとか映画撮ったりとかするんです。それは40代の役者と一緒にやっていく形とか元々やってたってのもあるし、あれなんすけど、それをちょっと試してみようとした。あとは、学校というか教育をやろうと思っていたりとか。それはもうさっき言った人材を育てるとかっていうところであったりっていう。演劇だけでやっていくと、多分会社を大きくするっていうよりも、もうこのまま40から50になってって、さらに60になってっていうときに、業界がどんどん狭まっていく。周りの人間たちも年を取っていくってなったときに、多分それじゃもう太刀打ちできないし、今、うちの会社は僕が1トップで現場で動いてるからっていうところだけの強みでしかないから。5年後、10年後を考えるとその形だと厳しいのでいろいろこのタイミングでいい機会だから、チャレンジしてどうなんだろう、ビジネスの枠自体をいくつか増やしつつ、下を育てるっていう土壌もっと育てるっていうように今考えて。だからそういう部分もあって、この僕もともと20代はもう、劇団しかやってなかったものだから。劇団で食えないからしょうがなくいろんな仕事をやってたっていう形だったんすけど、コロナで何でもやりますというスタイルにいったん戻って。価値観は自分からもうカンペ出すし、みたいなところまで戻ってっていうことを考えて今そのタイミングで40になってこれを経験したことでもう1回フラットにいろいろチャレンジやろう、しようみたいになっているっていうのが今現状です。だからあの、その公の部分とかも結構積極的に行って、本当に各地方ずつでオリジナルのミュージカルとか舞台とか作りませんかと、地方にいいネタというか、いい話転がってるから、それやりませんかとか。もちろんその最終的にスターシステムにこだわっていたら、逆に先細るから地方での出演者やスタッフを育てるっていうノウハウの部分を、僕らは思ってます、いきます、そこで作りましょう1ヶ月2ヶ月でみたいな形で、というのもアリかなと。

B :絶対アリですよ。コロナの2年目に京都の宮津、近くに天橋立のある会館から、相談を受けて「この会館を上手く使いたいのですが」っていう話ありました。宮津は、京都からのアクセスは悪いのですが、行ったらもう入り込んじゃうぐらいで素晴らしい景色と、昔皇族が泊まったことがあるホテルが山の上にあったり、コロナ前は年間数十万人というすごい数の外国人が観光バス数十台で訪れていたらしいです。でも、パッタリといなくなっちゃったら市の予算が枯渇してさあどうしようとなっていたところでした。演劇や映画などエンタメのワークショップをやって、この町発のミュージカルか映画を作りませんかって提案をして。今ちょうど予算化が可能かを検討してくれてるみたい。例えば坊っちゃん劇場で錦織一清さんがオリジナル作りましたよ、って話したら相手もノリノリ。でもそういうことで、結構地元は元気になるじゃないですか。こういう地方自治体との取組は、続けた方がいいと思います。

C: 地方のその予算の切り方っていうのも正直その演劇の公演にサイクルとかいろいろあってないというところはあるから。

B: 観光地は3年コロナで無収入、ひどいことになってます。でも年間でどれぐらい出せますかねみたいな話をしたり、次は水族館をそこに、入れたりとかしたいみたいな。何かやっぱ復活をさせなきゃいけないっていうから、もっとするという何かうまい話も出てくるかもしれないでしょうしね。

C :それこそ僕小田原とちょっと仲いいですけど、小田原のお城あるじゃないすか。小田原城の。敷地の中に何かに忍者屋敷みたいなのがあるんですよね。ちょっと博物館とかアミューズメントみたいのがあるんですよ。なんかちょっとねVRで遊べるみたいになるとかなんですけど、そこをどこが金出して作ったかって言うと、もちろん市が大手を振って作ってるっていうことになってるんすけど、実際に金を出したのは小田原の地元のかまぼこ屋のおばあちゃんなんです。

B :鈴廣かまぼこさんだ。

C: 誰もが聞いてわかっちゃいますね(笑)。でもそのような、その成り立たせ方、地方でっていうときに地方だけだと市が、とか県の観光協会が持ってるお金でっていうのは、無理があるんです。それだけでは成り立たない。でも逆に市がこういう話があって作りたいんですよって言って、地元の企業を説得するとかっていう形がもしかしたら演劇においてもすごく重要だし、なんか昔、地方のときにガンガン行ってたときに話したことがあったんですけど、それこそ、その映画のその準備で先月とか、地方にロケハンでいろいろ行っていたんです。フィルムコミッション、あるじゃないですか。映画の場合には。この地元で映画撮ってくれれば、映画完成したらお客さんが聖地巡礼とかで来てくれる、だからどんどん使ってくださいっていうのでロケ地とかの協力とかあごあしであったりだとかも率先して無料でコーディネートしてくれるというか、そういうシステムは、もう20年前ぐらいからありますけど。何か日本でも出てきてっていうので結構やってるんですけど、演劇もそうであると、すごく地方に行きやすいというか、パッケージの部分で言ってしまえば、1個50人の宿泊5日間を、あごあしの部分っていう数百万のレベルのところを大阪だったら大阪府が負担してということで、それに伴って地方から来るとか、大阪近辺から寄ってくるっていうところでって考えたら、たった1回演劇だけ金を落として帰るなんてことはないんですよ。せっかく来たから飯食うし、せっかく来たから泊まってくし、せっかく来たから大阪城に行くしっていうのは絶対作れるんですよ。そしたらそのゆかりのある題材を使ってる舞台を呼び込むためにとかっていうのに対してお金を投げるとか、協賛でつくとかっていうことによって、実際には市の収益っていうか人を呼び込むっていうことは、増えていくはずなんですよね。だからそういう部分をトータルでその縦切りじゃなく横で考えるともうちょっとシステムは作れるし、それがあると別に計画全部が全部を買い取ってくれではなく、この件に行ったら、じゃあ大阪だと100パーこっち持ちだけど、隣の兵庫県だったら30パー負担してくれるらしいよって言われたら、兵庫でやるってなりますよね。何かそういう原理というか、なんかうまく作っていく方がいいんだけどなっていうのをすごく思っています。

B :日本って中学校とか高校とか大学までって演劇人口結構高いじゃない。なのに社会人になって、急激に減るんですよ。当時は、優秀な学生一流企業に就職し一番駄目なやつが最後までこの演劇の世界に残ってるって言っている方もいました。昔、富山のオーバード・ホールで富山市を巻き込んでワークショップをやって年に一回ミュージカルをやっていたのを観たことがあったんです。すると地元の中学生高校生とか社会人の演劇好きの人たちがみんなワークショップに通って。で、全員出られるから。家族が揃って観に来るそうなんですよ。そうなるとオーバード・ホール3000人、2公演がほぼ完売状態になっちゃって。そうやって劇場の価値も上がりますし、市民のモチベーションも上がります。コロナ禍でそれがちょっと止まっちゃってるのは残念なんですけどね。

C :それこそ僕も昔、日光市の市制10周年かな、何かのときに呼ばれたときです。向こうの地元の子たちを使って、その地元の伝承をベースに、地元の劇団が脚本を書いて。だけど、トータルの企画のプロデュースをしてほしいということで「こういうふうな枠組みでやりましょう」「衣装の分とかこういうふうに変えましょう」「東京から、うちの役者こんだけ連れていきましょう」と。加えて「でも基本的には地元で作るイメージだから、こういうスケジュールでこういうふうにやって……ってアプローチして作りましょう」みたいなのやったら、やっぱりわかりやすく埋まるんですよ。地方のスゴくデカい会場が。初めて舞台に立つ子たちも、もちろん大半なんで、その子たちがやっぱめっちゃ楽しそうにやってる。だし、おじいちゃんおばあちゃんの役も作って参加してもらったりとかしてたら、まあ、これはいい経験ですよね。これで地方のいろんな都市を回ってたら、なんか少なくとも何百人何千人は触れてっていうのが積み重なっていくこともあるだろうし。1年間で何十万人初めて触れましたみたいな人でも、うちらだけで作れるんじゃないかって。これ、思って普通にやってたら、絶対作れないんですよ。どんな有名なコンテンツの部分で初めてやったとて、1回こっきりで終わっちゃう。それよりはわかりやすい演劇の熱量という部分を一緒に作るっていう工程で渡せていると。

B :そうですよね。きっと大事。ここまで駄目になった企画で、劇団わらび座さんと、実現できたら面白かったなと。いわゆる出る方も裏方も全部ど田舎に住めるから、1ヶ月はあそこでやれると面白いなと思ってたんですけど。結局社長さんが変わったから、振り出しに戻っちゃった。でもそういうことがこの国内でできるわけだから、活路は見いだせる気がするんですよね。

E:そういえば、主催者が介護の会社で、メインキャラクターだけ俳優さんで、あとは実際介護されてる人たちが出るなんてミュージカルがありました。介護されてる人を役者さんが演じるんじゃない。だからお客様はその家族だったり。

B :水町レイ子さんが出ていらっしゃったやつでしたっけ、3人くらいしか役者がいなくて。観ましたけど着席もうピッチピチでした。でも、ちゃんと芝居になっててびっくり。

E:介護ってすごい身近な話題ですものね。

C: 僕も去年ぐらいからもう、もろ直撃してる。

B :こっちは自分がそろそろ足を突っ込むところ。

E:介護施設にちゃんと取材に行ってたんですって。介護する側はやっぱり、脱ぎ着がしやすい服に変えたいじゃないですか。でも介護される側は受け付けない。それがデザイン的に可愛くないと。おばあちゃんのテンションも下がるんですね。それで、やりやすいように介護してるとおばあちゃんがどんどん弱っちゃう。で、あるとき子供がおばあちゃんはもっと自分の好みの、フリルのついた服を着たいことに気づいて、着せたらどんどん元気になると。

C :わかりやすいですね。なるほどね。主体はどっちだって話ですね本当にね。演劇ってやっぱり時代を映し出すっていうか。必ずテーマがあって、世の中に訴えかけるにはすごい生身の話でいいものだから、絶やしてはいけないし。それを技として使っていかないと届かないっていうものがいっぱいあるじゃないですか。だから、なくなってもらっちゃ困るんだけどなっていうのがすごくあって。いまだに、やっぱり古きよきものっていうか。例えばちょっと閉ざされちゃったけど、古くからやってるお芝居なんかもどんどんどんどん転がしていかないとね。

D :蘇らせる点としては、もうあえてクリエイターが行政側に回っちゃうとか。市長に立候補とかしてね。

C :そりゃすごい。

D: 兵庫県のあの市みたいに。そうそうふるさと納税とか多分提携し僕の知り合いは結構ふるさと納税と組んで、その中でこの文化芸術にお金をってところで、市とか区とかとそういった組んでやることもできるから。

C :地元の若い子たちを巻き込まないといけない。昔ってそんな前でもないけど京都の大学の演劇部と一緒にコンクールとか作ろうという話を実は進めたことがあったんですね。でも周りがあまり協力的じゃないんで疲れちゃうからやめたんですけど。

A :ああ。一人でできる話じゃないですもんね。地盤固めておかないと、結構その周りのねそこの地域でのその時間もあるし。

C :東京人が京都にとってやっぱりやられるから。

D:(笑)。あとは、指定管理とかね。いいじゃないすかね。

B :そんな話にも繋がるは繋がるんですけど、ただ何か今のその地方のとかってのは実際のこの演劇界の分母を広げるというか、それの流れでっていうところなんで多分結局少ない。「俺だけそこを取ってOK」っていう話ではきっとないような気がしてて。そういう部分を考えていかないと、割と5年後10年後きついよなっていうところになりがちだから。だからね、それこそその地方にかなり少なく存在してる演劇人の仕事を取るのではなく、そこうまく使っていくというか、仕事は結構年中あるよみたいな環境を逆に作っていくっていうところにならないとさっき言ってた大命題には繋がらないですよね。

C :でもそこでやってもチケットが1万円とか取ってたら、誰も来ないでしょ。やっぱそこかな。

B :いやあ、そうですよね。中身も予め見せてくれないわけですから。

E:たとえば、海外のスナック菓子とか味がわからないから売れ残るみたいな。内容がわからなければ安くとも売れない。

C :以前紀伊国屋でつかこうへいさんの舞台を周年に引っ掛けチケット代2500円で売り出したら、をすぐにソールドアウトしたんですけど。「いや、これぐらいやらないと演劇に刺激がないんだよ」って主催者の方が仰っていましたが、良い演劇には皆さん興味はあるんですね。

B :それを赤字にさせない仕組みを作った上でやるべきではあるんですけどね。本当はね。

C :お客さん喜んだけど。

B: 一過性で終わってしまったんですね。継続性がある作り方にしないといけなかったんですよね。

E:”瞬間風速”がすごいだけではってことでしょうね。一方でヨーロッパのオペラハウスは、音大生が格安でオペラ観ながらスコア確認して勉強してるの。

C :そうそうそう。育つという点ではそういうことですよ。

B: 新しく作られてる劇場とかも今、すさまじく席の単価あるじゃないですか。もう1000円台じゃないんですよ。それはもう大きい劇場のようになってくると、結局チケット代を吊り上げることにももちろんなるし、そしたら初めての、初見の人は絶対に入ってこれないし。だからね海外とか国にもよるけど、劇場が国営だったりとかしたら、そんなことはなかったりとかもある。スタッフの部分の金額も保証されてるとかって考えると、なかなかねっていうところです。だから日本でできることは何かなっていうふうに考えていって、作っていかなくちゃいけないんだと思うんですね。

E:芝居を観ない人って本当に縁がないままですものね。

B :そういえば、コロナが5類になったことで、映画って客入り戻ったんでしょうか。

E:興行収入が高い作品が増えているから、戻ったのかも。

D :そうですね。日本の映画もだいぶ戻ってる印象。ちなみに、映画の場合は、チケットの料金って全国共通じゃないですか。演劇界ではある種の何かその共通のものとかってあったりしないのかなって。

B :いや、みなさんそれぞれですね。やっぱり周りを見ながら決める部分もある。だから何となくその1万円の大台を2.5次元だと超えないみたいな「何となく」はあった中、グッズつけたら超えてきたとか、基準値はあったんですよね。例えば、ゲーム原作だとゲームのパッケージの値段は超えないようにしないとっていうのはありましたけど。上限が。やっぱそういうのはルールはあったんすけど、もう今はもうそんなことも言ってらんないから、変わってると思います。

D :みんなそれぞれが独立しているんですね。さっきの紀伊国屋みたいに、急にボンと下げたら「なんやねん」って言われたりとかは?

B :まあ、それでできるんだったら全然周りも全然OKらしいですけど(笑)。だから、例えば牛丼屋だったらそのA社B社C社の中でA社だけ「250でやります」って言ったら、下がってたじゃないですか。だけど演劇はちょっとやっぱり「2500円?じゃあ俺も」っていうふうに価格競争で、そこでお客さんが直結しすぎてるわけでもないから。身銭を切ってまでっていうのも難しいので、やっぱり助成金とかのそのシステム自体が、結局今ある助成金が「演劇に対してのものじゃない」っていうのが元々一番大きいですけど、チケット代の何掛けを負担しますよっていうユーザー側に対してやるとか。何かそういうやり方にしてあげないと、増えはしないですよね。うちらが維持できるっていうためだけの地色とかシステムでしかない。分母を増やすためだとしたら「今日8000円のチケット買います、でも観に行ってアレだったら、何か手続きをするとそれが4000円返っていきます」とか。税金のやつの控除とかはちょっと一時期やってましたが、もっとわかりやすくシンプルな形に「1人あたま30万まで年間半額負担してあげます」とか、使う人は使えるし。もったいないからせっかくだから行こうかなっていうふうになるとか、人を誘いやすくなるとか、という方がわかりやすい。

D :GoToイベントってどうなったんでしたっけ。1回やりますよっつって何かよくわかんないまま終わっちゃったなと。

B: いや一応、まだあるあるはあるんだと思うんすけど、やっぱりそのGoToイベントも演劇との相性がどこまでいいのっていうところで使いきれずにみたいな感じだから。だからそれで言うと、なかなかそう簡単にはいかないんだけど、演劇とか舞台っていうものに特化したというか、それですよっていうフィールドである程度区切ってもらった方がユーザーとか我々も嬉しいところではありますけどね。音楽何々映画全部ひっくるめてGoToイベントですよって言われるよりは。限定してくれた方がユーザーもわかりやすいっていう。 だんだん愚痴っぽくなっちゃう(笑)。まあ、GoToみたいな一過性のイベントでは先行きが見えないってことですよね。地域耕すというかっていうのはすごく大事なのに、高く使うには一発で終わらず、継続性を作らないと、

C :映画祭やりました、人がそこに来ましたってそれは一過性でしかない。何の意味もないですよね。そこでもう何か作りみんなが作る地元の人たちが文化ができないと結局いつまでたっても変わらないっていう感じがする。

A :その場合、コンテンツはどういうコンテンツなんかいいんですかね。考えられるのはオペラとかミュージカル音楽が多いんですけど。まず簡単に言えば、オペラはお金をもらってやったりとか結構ある。とはいえ、学生にとってとか、その地元の人にとって、また次に来たら行ってみようというふうに思える可能性が非常に低いんですよね。やっぱりそれは日本語でやる演劇とか日本語でちゃんとやっていくべきだと思うんです。やっぱりわからないと。何となくわかった気になるとか声がすごいよとか。僕だったら自分で言ってたあれですけど、やっぱりせっかく呼んででいただいたりとかそういう持ってるのにもったいない。オペラはいいんですが根付かなくて、お金もかかるし。

B :リピート率が低いのかもですね。

A :やっぱり難しいですよね。初見の人がきついですし。せっかくそういう機会があるのに、何かほとんど外国語で歌われてるんですね。そりゃお客さんが次来ないっていう当たり前じゃないですか。でもやっぱり日本語の芝居とか日本語でちゃんと物語が伝わることがすごく大事。もう正直、僕は芝居もっと大切だと思いますね。どんどん芝居ってやっていくべきなんじゃないかなと思いますよ。言葉のチカラってすごいから。ミュージカルもね、あんまりうまくなかったとかちょっときつい。日本語であればいろいろコメディとかそのイケメン芝居でも何でもそうですけど、やっぱり感動しますね。きちんと舞台側がちょっと一つ心を決めて何か伝えるんだっていうことがわかるから。とはいえ、古典とかだと今のおしゃべりと違うからね、これもまた難しい。地方に持っていくなら芝居がいいです。

C :古典といえば、ファイナルファンタジーが歌舞伎になりましたね。

E:歌舞伎初めてって方が結構いらっしゃいましたよ。通しのチケット代32000円です。

B:だから、すごい極端な例なんですよ。さっき話した部分の。チケット代が高い、なおかつ長いものを初めての人に見せられるか、踏み出せるかというと難しさの極みです。だとしたら、若い子はディズニーリゾート行っちゃわない?みたいな。だとしたらゲーム買ったほうが安いよね、って。だから、ゲームのファンでもよりコアなファンじゃないと受け入れないっていう。

E:ほとんどのお客さんが通しでした。

D :そこはねえ。もうセンスだと思っていて。プロデューサーのセンス。例えば歌舞伎がそれ多分比較したらもう、ちょっと歌舞伎に少しでも新しい新規顧客を何か集めたいからだから。今まで「ONE PIECE」があったから、じゃあ今度はゲームの「ファイナルファンタジー」やってみようってなってたと思うんです。でもそれって、賭け、センスもあって、「ファイナルファンタジー」のファンもどうなんだろうって思うのもあるし、歌舞伎の方も、どうなるみたいな感じの、どっちも何か取り寄せつつも逆にそれがどっちも反感買う可能性が十分ある。面白い試みではあるんですけどね。

E:チャレンジですね。

B:まあ、僕らの2倍ぐらい苦しんでるかもしれないですけど。歌舞伎の方はね。環境的には僕らが劇場費高いよねとか、物価高くなってますよねと言ってる今の部分の倍ぐらいいろいろ苦しんでるのかもわからない。逆に歌舞伎の製作さんとか来て頂いて、お話聞きたいぐらいですね。

D:そうですね。伝統文化なんだし助成金とかおりてそうですけど。

B: おりてフォローはしてるんだとはもちろん思いますけどね。そうじゃなかったら多分コロナの問題のときね、厳しかったはずなんで。それこそねメインのユーザーの50代60代とか全然いないって言ってる時期でしたから。あのときもうかかるのが怖いって言ってた時期。

D :だから、これからはプロデューサーの手腕が問われる時代なんだなと改めて思いましたね。役者がでなんかいろいろやってますけどプロデューサーさんの多分センスと、あとその仕掛け。それでどう変わっていくのかっていうのがすごい大きいなって感じはしましたね。地方再生とか含めて。動くことがすごくいっぱいあるし、これからもっと増える感じがします。

A :なんか演目とかも全く違うジャンルでもいいんですけど、何か繋がりがあったりとかした方が、先ほどのお話出てましたけどやっぱり1回来て次は何年後とか、やっぱり次は半年後とかなったら、興味を持っても次がないじゃないですか。だから全く違う座組かもしれないけどちょっと繋がって。何か……ビジョンですよね。そのプロデューサーさんとか劇場とかの、このシリーズ、今年はこのテーマやろうとか、やっぱり僕なんかだとそういうことが多いので。シェイクスピアだったら、シェイクスピアの芝居をやってみる時間によってミュージカルも朗読劇もやってみるとか。何かそういうようなことがあるとみんな行けるし、やっぱりそのファンは、行く人っていうのはそれで普通の演目が動員あるかというと、いかないんですよね。ちょっともったいないですよね。やっぱ何かそういう関連性があるビジョンだと思いますね。プロデューサーさんとか芸術監督とか。もうそれは演出家とか作家とかではちょっと補えないというかね、何かそういうもっと大きなプロデューサーとか劇場とか、そういうビジョンがないと、まあ新国立劇場クラスでやるべきなんですけど。本当ならね。お客さんが繋がっていつもここに行けばみたいな。ちょっとクリエがそういうこと言われることありますよね。あそこだとちょっと小規模で面白いやってるからと、要するに劇場に付いているお客様がっていうけど、そこまでなのかなと思っちゃう。若干疑問ですが。でも何かそういうような、「あそこに行ってたら面白いやってるよ」「知らない演者さんばっかりだけどちょっと見てみたい」って思えるようなものやらないと、やっぱり演劇はきついですよ。そういう意味ではね、打ち上げ花火で終わっちゃう。一発一発でその人のファンだけ来るとか、結局いつもそうですもんね。この人いくら客持ってるかっていうそういうキャスティングばっかりだから。

C :そういうのは不毛なんですよね。もうその数字ばっかりですよ。聞かされるのは。

E:宣伝の打ち出し方もそういう感じですね。

A :大体作品に関係ないね話題ばっかりが話題になりますよね。稽古場で何食べたとか。役作りは「私なりの◯◯」で固定だし。もはやYouTubeの切り抜きぐらいがちょうどいいくらいですよね。

D :そうだよなあ。

B :だから、海外とかだと当然その劇場にお客さんのファンがついててとかっていうのありますけど、「この劇場でかかってるんだから間違いないな」っていう部分とかってやはり重要なのかもしれないですね。地方であっても都内でももちろんそう。僕、シアターX(カイ)っていう、両国にある劇場の支配人のおばあちゃんと結構仲良くて。やっぱり彼女に結構そのヨーロッパの演劇とはとかっていろいろ聞いたりとかしてたんで、20代とか30代のところよくお茶を飲み行ってましたし。そこで「私がかける演目を決める」って言ってたんですよ。だからシアターX(カイ)でかかってるものは大丈夫だ。というふうに。その中身がもう本当に初日までわかんないわけだから、ブランディングっていう言い方はしなかったんすけど話を聞いてたら、「これが劇場のブランディングなんだな」ってすごく思って。それが劇団でやってたときは「この劇団のもの好きだから」とかっていう。それが何かさっきおっしゃっていただいた、その繋がりとか、好きだから見に行くとかっていうところの何かがつく必要があるのか、もしかしたら今あんまりその劇団でとかってやってないとか、劇場の貸し小屋でってやってる中では、1個よりリピート率を稼ぐという部分だとしたら、一番最初の資金を下げるというのは、金額とかいろいろあった上で、その継続性も同時に多分僕らは考えなくちゃいけないから。って考えると、そういうこともあるのかなって今お話しててすごい思いましたね。

A :海外の劇場の場合は多分、特にヨーロッパは劇場の近くに住んでる人が行くんです。基本的には。わざわざ遠征したりはあまりしない。なのでそこの劇場についた歌手や専属の役者さんがいますよね。ベルリンだったらベルリンアンサンブルみたいなそういうメンバーがいるし。ニューヨークのブロードウェイだったら、もちろんあれはプロデュース公演ですし劇場も違いますけど、でもリンカーンセンタープロダクションといったら、大体いつもこれぐらいのクオリティの人が絶対来るっていう信頼がありますよね。もちろん、観光客が多いので観光客はちょっと関係なくどんどん行くって有名なタイムズスクエアだと、夏に行くっていう。日本の場合は、多分お客様が近くに住んでるからじゃなくて、誰かを目当てとか何かそういう影響ですよね。そうなるとやっぱり、そこがその人がやらなかったら「行かない」し「行けない」んですよ。シアターX(カイ)さんの話もそうだし、やっぱり何か本当に劇場が打ち出すべきなんですよね。ここに行っといたら安心とか思ってもらえるように。もちろんいろんなカンパニーがくるけど、これはこの芸術監督とか、そのプロデューサーが選んでるからこういう傾向のものだとか、そういうような安心があるっていうかリピートですよね。多分その人たちが違う演目だけどこの劇場でやってるんだったら行こうと思えるような。それは絶対欲しい。それは圧倒的にプロデューサーなりそういう人たちがコントロールしている人がいるんですよね。演目を。このときはホリプロさんがここでとか、東宝さんが日生劇場でとか、全部繋がってて。きちんとこういうことを、自分たちで企画書とか見て、「だったらいいですよ」とか、何かそういう方針とかを決めてるところでしょうね。でもやっぱりヨーロッパの劇場は、とにかくその芸術監督とが圧倒的に強くて、プログラムを全部決めてます。どんなに演出家が違っても。それはもう確実に色があるんですよ。

E:終わったあともお客さんと繋がってたり。

D:それはいいですよね。新劇の人たちのほうがそういうネットワークありそう。

E:これが、地方になるとお客様が80代とかもいるらしいです。

D:すごい高齢化ですね。

B:それはさすがに先がなかなか見えない。

E:ナイロン100℃さんでも60代ですから。お客様が年取っていくので、マチネばかりになってますね。

D :今思うと、新劇のやり方ってすごく健全だなと思いますよね。確かに高齢化で、この先先細りしていくし大丈夫かなとは思うけど。とはいえやっぱり、別にそのすごい有名な人が出てるわけでもなく、作品をちゃんと回せるっていうふうなことが、健全でうらやましい。ちゃんと使ったコミュニティがちゃんとあるから、別にそこまで多分動員が云々とか気にしなくてもいいし。どうしても興行だとお客さんが何人入るみたいなところがまずどうしても頭にあるじゃないですか。そこまで多分考えなくてもいけそうなシステムになってるから、意外と新劇ってすごいなってちょっと思いました。まだ残ってるだけあるなという。一方で、演劇鑑賞会なんか使ってるとこなんてほとんど今の若い人はないんじゃないかな。公共のホールとかはね、主催やって買い取りとかあるかもしれないけど。演劇鑑賞会っていうのって、何か入ろうとしたことも僕はあったんですけど。やっぱコミュニティがもう既に出来上がってるから。作品そのものもなんかすごい、戦争の重たいものとかテーマがすごい昔のものばっかりなんです。だから「これ入り込むのも難しいな」って。でもちゃんとしたカチッとしたコミュニティができてるからすごいなとは思います。

A: 僕は新作がどんどん出るべきだと思いますね。その何かの漫画の舞台化とかもちろんそういうのはあっていいんですけど、やっぱりいろいろね、小劇場はやってますけど、劇団は。もっと大きい規模のところでも新しい作品がどんどん出てほしい。お客さんが古いものだったりとか、例えばシェイクスピアって言われても、シェイクスピアは難しいですよね。絶対に。それをやっぱり勉強を目的に行くとか、それはいいんですけど、もっとやっぱりゲームだとかドラマとかやってるようなことを新作として出して。何かその焼き直しだけじゃなくて、どんどんいろんな若い人たちっていうのがお客様としてやっぱりその世代交代っていうのありますけど、60代70代の方たちだけじゃなくて観てもらうためには、コンテンツじゃないでしょうか。新規IPを作るだけじゃなくて、物語としてもちゃんとしてないと、何の舞台化で、この漫画の1巻から3巻やるのかなとか言うだけだと僕はそれ好きなんですが、やっぱりもっと違う切り口でいかないとね。先程お話に出た戦争の作品とか、僕も思ってつらいと思うのは、それはやっぱりもう世代じゃないからなんです。申し訳ないけど僕は戦後世代だし。もちろんそれも勉強したいし、映像も観ますけどそれを今舞台で見に行きたいかって言ったらもっと違う問題になってくる。演目、題材がどんどんもっと舞台でしかできないフレッシュなものを作家が頑張るべきだと思うんですよね。何か演出で呼び変えてこういうふうにやりますっていうことは限界がありますよね。現在の置き換えとか、特にヨーロッパ演劇とかよくやるんですけど。新しい作品作ればいいのにって。

C :それは同感ですね本当に。新しい若い人が新しい目線で、今の時代に見てもらえる作品をね。意外に大きいところでやってるものが出てない。

A :ですよね。保守的ですよね。確実に評価された小説だったりとかいうのはありますけど。それはやっぱり小説家とか映画とかいろんな人いますけど、舞台の劇作家がもっとこの取り上げていいんだと思うんですよね。お金にならないじゃないですか。変な話、安すぎる。そういうことで結局劇作家が割を食ってる。しかも書いてもね、パーセンテージで。本が売れてもパーセンテージ。「自分が書いたんですけど?」ってなるじゃないですか。それはちょっと不健全だと思う。以前、舞台の初日を全編配信した舞台がありました。しかも、無料です。最終的には3万人位に数字が伸びて、その後の公演や地方公演なんかは特に券売が伸びたそうです。
演劇の宣伝の考え方というか、チャレンジというか、広告宣伝の仕方もしていくと、千秋楽のDVDになったりとか、配信があったりとか、当時あったんですけど。作っている方々からすると初日って、勇気いるじゃないですか。ちょっとやめてよって話になるじゃない。でも初日にお金を払って観る人がいるんだったら、みんなで見せてもいいじゃんっていう考えで、カメラ入れたらしいんですよ。でもそれ1回きりでしたね。続かなかった。

D :いや、でもそれすごいいいことだと思います。

C :でも逆にそういう広告宣伝費っていうのを制作の中で計上してしまって、前提で進めていけば面白いんじゃないかなと。

D: 要は潜在層ですよね。行きたいけど味見もできないわかんないっていう層。でも見たら「案外いいんじゃないの」みたいなっていうふうな。

C :そこから全国7都市か8都市ぐらい回るわけですよ。それも味見がちゃんとできて「これだったら行こうよ」っていうのがあるのがわかりましたね。とはいえ、無料っていうのはなかなかね、勇気がいります。カンパニーがね。でも今配信もそんなに高くないから、もっとこれからやっていくべきかなと思いますよね。

A :そのチケットで覚えたってことは、ライブで見たいってことですよね。

C :そういうの、やっぱりもっと……さっきの歌舞伎じゃないけど、あれも最初の30分から40分ぐらいでも見れればね、結果は違ったような。「これだったらいいかも」って思えるような。逆効果もあるかもしれませんが。

A :でもそうですよね。そういうもの。もちろんネタバレがしたくないとか言ってる人は観なければいいわけだし。どういうものなのかなと思って人が興味を持って見る、またはたまたま見てしまうとか、そういうことによってこれちょっと行ってみたいと思えばしめたもので。やっぱりまるっきり自分が興味を持ったりとか、ましてや舞台に行ったことがない人に行こうと思わせるには無料じゃないと厳しいです。街角でやるわけにいかないですからねなかなか。

C :映画の宣伝って、そう考えるとうまくできてるなあって思っちゃいますね。

D :演劇は圧倒的に宣伝が少ないですからね。

C :よく言われたのは、全国ネットじゃないものには、お金をかけられないという。じゃあ全国ネットにすりゃいいじゃんってなりますよ。逆にね。思うんだけど、何かしらやっぱり閉鎖的なところはすごいある。ちゃんと全国に散らばっていけるような仕組みをまずカンパニー側がつくるっていうことが大事かな。

E:この舞台は最初から最後まで全部無料で?

C :そうです。2時間15分くらい。

A :でも先ほどおっしゃったみたいに最初の30分でもいいからってのは僕もそうだと思います。

C :さっきの話じゃないけど今、早送りをしてじゃないと観れないみたいな若者増えてるみたいだから。30分でも1時間でもいいから、何か流せてくれれば。1週間ぐらいアーカイブにでも残してくれれば公演期間中にはもしかすると、行ける人がいるかもしれない。

A :そして、見たくない人が見ないでも済むっていうことがいいですよね。ロビーで流すとか開演前に流すとかじゃなければ。そこは本当に新作だったらもうリーディングだけの会を1回無料で流してもいいと思ってます。で、芝居付きのやつは劇場に来てもらう。それぐらいでもいい。とはいえ、なかなかね、それは主催がイエスと言ってくれないんですけど。僕はそれでもいいんじゃないかなと思うんです。だって芝居は違うもので観られるわけですから。やっぱり物語が特にそういう知られてる題材じゃなかったら難しいですよ。

C :生の環境と空気と息遣いを味わうためにみんな劇場に行くわけですよね。やはりそこは行ってみなきゃわかんないわけで。入口を開けといてあげないと、皆さん来てくれない。常に飛び立ってしまってますね。この時間に何かちょっとお金払った人じゃないとここから入れません、みたいな。これがやっぱり広がらない気がするな。

A :とはいえ潜在的なお客様はいっぱいいるはずなんです。

C :ええ。みんな芝居は好きだと思いますよ。演劇甲子園とかあるんですから。最近知ったんですけど。NHKでやってたんですよ。だからみんながやりたいんですよね。やりたいし見たいし。

A :触れたら変わりますよね。街角のこのピアノとかのように。やれば見物する人がいっぱい。すごいですよね。別にプロの人じゃなくても。ましてやそれが演劇だったら、音楽よりハードル低いと思う。

C :まあ、オペラとかになってくるとやっぱりやる場所も限られるから難しいでしょう。でも、そこを目指したいって思うようになる下準備があるじゃないですか。それが何か中学校のお芝居だったり、思い出のミュージカルだったりっていうのはあるわけだから。そこを伸ばしてってあげるような社会環境を僕らみたいな、芝居作ってる人たちが開拓していかないと。いつまでたっても広がっていかないですよね。もしかしたらどこかで閉じられちゃうかもしれない。

A :何かそういうような、舞台をチケットを買って劇場で見に行くっていう前の段階。その際初日を見せるのもそうですけど、僕さっき言ったリーディングとか、例えば海外でワークショップやってるときとかって、僕は全然やってなかったんで初めてだったんですけど、やっぱりワークショップやっててもみんなボードとか、いわゆるZOOMとかでも書き込めるんですよね。見てる人が。別に役者さんじゃなくても。それによっていろいろなチャットだけじゃなくて、全部やっていくと、皆さん感情曲線とかってみんな意見を変えていくと、こちら側の方はすごく怒りとか何とか、そういうふうにいろんなもの、いろんな人の意見があるとやっぱり慣らされるんですよ。極端な例だと何言っても否定的な人とか、何をやっても褒める人とかいるけど、でもやっぱり何人もそれがいるといろいろこう、分かれてきて、その台本を磨くプロセスで、ワークショップをイギリスでやってたときはうまいなと思いました。それで育ててまた見に行こうと思う。とはいえみんながみんなそうする必要はないし、作家さんがもう最後まで自分で完成する人はいいんですけどね。でもやはりそういう役者さんに読んでもらって。もしかしたら本番は出ないかもしれないけど、このリーディングだけは参加するって役者さんでもいいし。とかいろんな人たちがそういうことを体験する、それこそアイドルを育てるのと一緒で、もしかした作品を育てるってこともいいんじゃないかなと思いますけどね。なんか作家さんの途中で書いた初稿の段階から、いろんな人の意見をっていうのがあると、一字一句変えちゃいけない完成形じゃなくて、途中から見てって「こういうふうに変わってったんだ」ってなると、若い人も興味が出るだろうし。ましてやそれが何かソフトなテーマ、昭和の史劇とかよりももっと身近な現代的なテーマで描かれたら若い人たちもアクセスしやすいし。潜在的なその演劇のファンっていうのは僕はすごく多いと思うんですよね。その「推し」がいるからっていうだけの、本当にお金払って来てくれる人たち以外も、いると思うんです。もちろんそれはすごくありがたいんですけど、推しがいなくても、その物語興味を持つ人たちもいるし、推しがいるからこそ聞いてくる人もいるし。いろんな人がいていいのかな。なので今、そのキャスティングだけで人員集めちゃいたいっていうのが、すごくどうしても……良くも悪くもそうなっちゃってるのでね。

C :残念ですね。

A :興行する運営側の気持ちはわかるんですけど、作品で見に来てもらいたいとか、いろんな人見てほしいってなると、やはりいわゆるネタバレっていうよりもちょっと「開く」のは必然。だから、本当にその囲みのときに役者が面白いことを全然言わないのは、彼らだって言えないんですよ。みんながみんなじゃないですけど。そもそもわかってないことだってある。そりゃ答えられないですよね。

E:みんな無難なことしか言えないですよね。台本さえ目を通していない、ビジュアル撮影しかしてない段階での取材とかだと余計にね。

B :その段階ではキャラクターもわかってないなんてことも。

E:それなら、無理して話させる必要があるのかって思いますね。

A :いろんな人たちの興味っていうものをやっぱり広げられるよう、「推し」な人はそれだけでもちろん嬉しいしありがたいんですけど、それだけじゃなくて作品を楽しんでもらいたいっていうのがあります。そこのためには初日を見せるとか、僕は全然極端な話だと思わないです。それは全然アリだと。だって、それを見て「面白いじゃん」って言って見に来てくれればそれにいいわけですし。それでね、チケット伸びるってことは見ていってみたいという人がいるのだから。それすごいですよね。普通テレビドラマ1回見て、次にもう1回見ようと思うのはよほどコアなファンといって間違いない。しかも2度と再現ができない演劇だからこそ生で行ってしかもお金出していこうと思うんだから。ってことは潜在的にいっぱいいるんですよ。どこかでそういうような、あの一つ腹をくくって初日を公開するとか、そんな決断をした人たちが勝つんじゃないかな。

C : 2週間ぐらい公演があって、あと地方もあったりすれば成り立つ。そういうのじゃないとなかなか苦しいですけど。

E:結局、内容がわからないものにはお金を出すのはハードルが高すぎますよね。2.5は原作を知ってるから行こうってなりますけど。そうじゃないと……。

A :タイトルとあらすじしかわからない状態ですよね。

C :本当にわからない(笑)。いやあ、難しいです。

A :いっぱいエンターテイメントがあるからこそ難しいですね。なかなか選択肢の一つになり得ないのかなと。

E:2年3年とコロナで、普段だったら芝居を観始める世代のはずが、その期間穴開いちゃってるんですよね。そこがちょっと大変かと

A :コロナになって、演劇とかダンスと音楽といいますけど、圧倒的に学生が大学で減ってるのはダンスなんです。目に見えて減りました。半減ですね。つまりダンスで食べていくっての難しいっていうのが伝わってしまっている。それがもう今2年3年経ちましたよね。スクールの入学者数でも明らかですね。エンターテイメントが全体にってことではなくて、もう完全にダンスなんです。ピンポイントに。演劇は減ってると言ってもそんなに目に見えて、コロナのせいだと思わないです。少子化だったりとかもあるし。でも多分ダンスは明らかにコロナで難しくなった。びっくりするくらい減りました。

E:ダンスは授業に取り入れられたり裾野は広がった印象なんですけどね。

A :その広がった結果が、「誰がダンスで食べていけてる」ってなって「振付家もいつも同じ人だよね」ってなってるんだと思いますね。

C :確かにダンサーさんのギャラも、やってることを考えると安すぎますよね。つぶしがきかないですし。

A :怪我したらね、何年か限定とか割り切ってやる人はいいですけど、大学で学ぶっていうのが別にプロにもなれるわけでもないから。18歳でどっかの劇団に入れたらいいんでしょうけど、大学に学ぶって何の保証もないですよね。時間を無駄にしちゃう気がしちゃうんでしょう。

D :寿命も短いし、現役時代が。年取って味が出るったってね。

A: 減っているそれはもう多分全国的なもので。特定のどこの大学だけじゃなくて全体的に数字出てます。逆に言えば演劇とか音楽とかそんな特別減ってないんですよ。コロナがあったから止めようという動きはないようです。

C: 演劇はやっぱり劇団さんとか、演劇やってた人の露出はね、ドラマや映画に増えているから、割と何かそっちに行きたい人は若い人が増えてるかもしれません

A :熱い思いを持ってね。

C: 皆さんやっぱりがんばっていらっしゃいますよね。例を出すならTEAM NACSとか大成功ですよね。

D :理想形ですね。

A :名を売るためにはいろいろルートあると思いますけど。方針変換とかね。彼らは最初エアーバンドだったんですって。

C :たまたまこの間、とあるクラシックコンサートのプロデューサーと話をしてたんですけど、クラシックをみんなに見てもらうために。そのための啓蒙活動を、全国でやられていて、必ずこの期間は必ずこの地方に行くと決めているそうなんです。それでいて引く手あまたなんですね。営業がちゃんとできているから。いまだに何月から何月、何ヶ月間はコンサートで地方に行くっていう、毎年4月になるとスケジューリングするらしいです。いわゆるクラシックというジャンルがいろんな人たちが目指してくれるようになれば、上手い下手とかいうのはどうでもよくて。みんなに見てもらうためには継続してやっていかないと駄目と言ってやってるとおっしゃってました。

D :プロデューサーでもあり演奏者でもある。それはすごいことですよ。先を見てその将来も含めて。

C :それに伴うドキュメンタリーとかも、視聴率相当いいでしょうあれ。トップクラスですよね。ましてや大晦日にある特番やるなんてちょっと考えられない。

A :クラシックのそういうところは、出演者は、別に助成金もらってないかもしれないけど、呼ぶホールとか助成金もらってるそうですね。だから普通のホールと、クラシックのホールはちょっと事情が変わってきます。僕もそういう意味でずっと助けてもらってきた人間として、クラシックはねやっぱぬるいんですよ。お金が出るので、だからそういう人を呼びやすいし、テレビで露出の多い方みたいな人も呼べるし。演劇となるとそれが違うんですよね。

C: 演劇も同じ仕組みにしてほしいんですよ。

A :もう僕も演劇やるようになってこんなに違うんだって。音楽だったらこんなに文科省とかもいろいろ助けてくれたのにって。誰も助けてくれないんだとびっくりします。逆にクラシックがどれだけ助けられてるか。正直もう半分以上は何かお客さんというよりも助成金な気がします。印象としては。演劇をやっぱりそれを自分たちで本当に掘り起こさなきゃいけないっていう。当たり前ですけどそういうハングリーですよね。だからやっぱり本気度は強いです。クラシックのほうが育ちが裕福な人が多いから、チケット売ろうとかいうのはあんまり。もちろん、歌舞伎とか文楽もそうですね。やっぱり日本の伝統芸能も、そりゃそうですよね。チケット収入ということに頼るという助成金というのは。だけど大切なことなのでいいことなんですよ。それがくっついて何かアイディアをっていうよりもやっぱり今やってることを維持している。一方演劇ってそれじゃ駄目なので。本当に知恵を絞らないといけないんです。こういうふうに集まってお話するのも必要なこと。どういうアイディアがどういう人たちがどう考えてるか。

C :やっぱり一番は地元の企業さんと、手に手を取り合って、何か若い人たちを巻き込んで上げていかないと、廃れちゃう気がするな。

E:岡山だと、カバヤが結構子どもたちを集めていろいろやってるんですって。

A :そうなんですね。企業ね……。出してほしいところ、出すべきところは全然出してくれてないですね。某自動車の会社とかね。あんなに土地に根ざしてるのに。びっくりですよね。

D :あそこは財団あるじゃないですか。

E:日本じゃなくてベルリンに金出してます(笑)。

A :クラシックは助けられてますね。いろいろあって。そうなんですけど演劇的には助けてくれない。コロナでもそう。なくなったイベントのいわゆる補填料も、ダントツに出してくれなかったです。某自動車会社は。ほかは結構出すのに、一番金持ってるあそこが出さないんですよ。びっくりするくらい。まあ、事情が分かったとしても方針として、無理なんでしょうね。決算きれない。新幹線が停まる駅がある都市とか、意外とそこだけ、というよりそれがあればほかはどうでも、って感じで。とはいえ、やっぱり繋がることじゃないですかね。一つやったらハイ終わり、というのじゃなくて継続性が、

C :そうなんですよ。 繋げることって本当に大変。でもやる側が諦めちゃいけないわけですよね。

A :なんか新作で良い作品でよかったらそれを他の劇団で貸し出すとかね。著作権料取らないからやってよとか。同じ作品を他の劇団がどうなるんだとかね。もっとやっていいんじゃないかな。そういう同じ作品を違う人たちのカンパニーで見る楽しさとか。演出家を変えたりするのであれば、蜷川さんとか野田さんとかの作品でそういうのやってますけど。それだけ変わってもね、カンパニーが変わらないとそこまで変化はないのかなとも。難しいんだろうけど。

C :なんか同じようなあれでいくと、戦争ものではありますけど。『THE WINDS OF GOD』ができないかなって思っていて。

D :うわあ、懐かしい。

C :今井さんがお亡くなりになって。奥様が管理されているようです。例えば何かこだわりがあったら、今井さんじゃないとできないじゃないですか。だけど今の若い人たちにやってもらうには、他の作家さんにもやってもらったらどうですかみたいな話ができるんだったら、やりたいなと思って。やはりウクライナみたいなのを目の当たりにしてますからね。戦争になったらこうなっちゃうんだ、というのがわかっていかないといけない時代的にね。なので、そういう意識を若い人に持ってもらえる動機づけになれたら、と考えて半年前から、改めて観直したんです。そしたらね、やっぱりよくできてますよ。

A :今井さんじゃないと上演できない、となったらもう二度とないってことですものね。その方が作品にとって不幸じゃないのかと僕は思います。いろんな人に引き継がれていくことが思いを受け継ぐことにも。

C: ね。せっかくいい作品なんだから……。

A: ただ、ご遺族の場合はちょっと難しいですよね。

C :どうあっても、ご遺族の気持ちになれるわけではありませんから。

A :そうなんですよね。

C :今井さんがご存命の頃は、学生がやるならいい、という話でやられてたみたいですね。

A :だったら可能性ありそうですけどね。商業でやるにしても。でもそういうことなんですけどね。いい作品を違う視点でやるっていうのは、本当にそれが古典なわけで。古典だけじゃなくて、若い人が新しい作品、20世紀でも21世紀の作品でも、やっぱりすごくいいと思いますよね。いい作品は違う視点でやるっていうのは本当それが個展なわけで、拠点だけじゃなくて、若い人が新しい作品でもやっぱりすごくいいと思いますよね。やっぱり現在の人たちに伝わるものじゃないと、なかなかそれは戦争ものであろうとなかろうと、多分一緒だと思うんですけども。昔はこういうことがありましたってだけでは博物館的な終わり方をしちゃうので。

C: ほかにも、できそうなものはいっぱいある気がするんですよね。こんなことにならなければっていうのでひとつ、『ドラえもんのアニマル惑星』なんて、以前、中国のスポンサーが、がすごく興味を持ってくれてました、

D :ありましたね。

A: ジブリとかもすごく素朴な物語ですけど、コンテンツ的に海外でもやっぱり評価されているし。映像ソフトは外国でも平積みですよね。それも絶対吹き替えで。吹き替えの現地でのイメージを俳優でやってるっていう。コアなファン、日本のアニメの熱狂的なファンなら日本語で観ますけれど。そうでない人は現地の言葉で観ている。

C :自分たちの中で閉じ込めないでいろんなところに作った人間と連帯していく技を持っていくれば、もっともっと裾野が広がっていくし、もっともっと目指す人が増えてくるし、そうすると優良企業さんとかやっぱりついてくれるケースも増えてくるんですよ。

D :これはでも、夢がありますね。プロデューサーサービスは、それこそプロデューサーの仕事だし。今はプロデューサーを育てられる人がいないから、その中にもう法則があるわけでもなく、そのいろんな実践を積んだ上で、いろんな経験をしていろんな失敗をして初めてわかることしかないから。そういうプロデューサーが、若い子でもどんどんそういうのがいたら、もっといろんなところに海外まで行けるかもしれないんですよね。

C :まあ、でも今テレビの地上波が一番広告宣伝が強いという神話が壊れちゃってますから。もっとコアなところにピンポイントで投下してた方がいいですよっていうことを言いやすくなりましたよね。昔、某ブランドにスポンサードを頼んだことがありましたが、けんもほろろに断られて。「うちは世界企業、お芝居なんかと一緒にしないで、劇場だけとか地上波にも出ないなんて」って広報にギャフンと言われちゃったことがありました。あのときのショックは忘れられません。でも、今はね、地上波が一桁%まで落ち込んでいる。そんな時代になっちゃってるから埒が明かないわけで。結局代理店さんの義理で流してるようなことがだんだんバレてきちゃえば、変わってくるんじゃないかなと思ってますけどね。

D :でもライブものってすごい企業からしたら良いプロモーションの場にもなるし、その場でだいぶ何かサンプルものでもそうだけど、そこで触れてもらえなくなるから、どんどん非接触型のほうに流れることもあるだろうし。だとしたら実際そこで、というのはすごく強みになると思います。

C :ですよね。何だったらテレビはCMのときにみんなトイレ行っちゃうし。

D :そうそうそう。

C :ちょっと時間はかかるかもしれないけど、そんな感じで打破していって、なんとか日本の国の芝居小屋が繁盛するような時代になればね。でも、そこはやっぱりそこは作品のよさなんですよ。 やっぱりいいものを作っていかないといけない。まあでも、そういう環境もないのかな。

D :自由に書いていいよっていう環境がないんですよね。このケースがこれでってな感じ。

C :新作を自分で書いていると、とてつもなく情報量が多いとかね。なんかこんな不幸なやつ世の中にいるのかなっていうぐらい、不幸な主人公を題材にしたのを出されると、どこに目をつければいいのかわからなくなっちゃう。ジェンダー、福祉、介護、社会問題もろもろを全部詰め込んだような舞台を1時間半の中でやられても、要素を詰め込みすぎて観客が苦しくなるだけ。

A :そこは、小説ではないからね。演劇に慣れていないと詰め込むだけ詰め込んじゃう。とはいえ、自由に書いたものが上演できる機会があればいいと思いますね。例えば主人公はこれにしてくれ、っていう制約はもちろんあれど、でも本当にその制約を超えてすごくいいものができる可能性もあるので。何かそれをやれる、また、新国立劇場じゃないかなと思うんですけど、何かそういう実験的なことが商業に限らず通るっていう。

E:ぞろぞろありますよね。この小屋でこれやるのっていうのが。

D :紀伊国屋とか、本多とか昔もっとブランディングされてましたけどね。

C :あったよね。

A :それはやっぱり、そこの劇場に行くっていうことが、単にプロダクションごとに行くっていうことに変わったところの一つですよね。

C :紀伊国屋は漫画作品とかやらなかったのにね。

D :いつの間にやらやってましたね(笑)。

A: 経営的なところなのかはわからないけど。そうするとやっぱり目指す人もね、それこそなんか昔のバンドが「武道館」みたいな話じゃないですが、そういうのが紀伊国屋にはありましたから。そういうふうにみんな思ってたのが、なくなってくる。お金さえ出せばできちゃうんだ、アイドル入れれば客呼べるんだみたいな。本当散々聞かされますけど、そうなっちゃいますよね。

C :そこは作ってる側の見ている方向が変わってっちゃうから。ちゃんとしたものはできませんよね。

A :ちゃんとしたものを本当に求めてらっしゃる方たちが、どれぐらいいらっしゃるんだろうと。プロデューサーも含めて。全員が全員、別に思ってるとも思えないし。割りと作品のことよりチケットのことを気にしてるという、本当に演劇が好きなのかなと疑ってしまうことも何度もありましたし。

C :ちょっと勘違いしてた時期がありましたよね、作る側が。

A :作品がやっぱり大事だっていうのは、どこまでどうなんだろう。もちろん大赤字になって倒産しちゃいけないんですけど。