主演 内野聖陽 演出 鵜山仁 井上ひさし生誕90年 『芭蕉通夜舟』2024年10月

1983年に初演された井上ひさし作の舞台『芭蕉通夜舟』が、主演・内野聖陽、演出・鵜山仁によって11年ぶりに上演 されることが決まった。2019年に上演された舞台『化粧二題』で第76回文化庁芸術祭演劇部門(関東参加公演の部)優 秀賞を受賞した三者が、松尾芭蕉を描いた本作で再結集することとなる。
1979 年に上演された井上ひさし作の舞台『小林一茶』に続き“俳諧師”を題材に描いた本作『芭蕉通夜舟』は、40 年に わたる芭蕉の俳人としての人生を、一人語りを中心に富士三十六景になぞらえて全三十六景で描く。ほぼ一人芝居とはい え、めまぐるしい舞台転換、さまざまな景(シーン)を支える黒子とも、芭蕉は絶妙な会話を重ね、その人生を彩り豊か にあぶりだす。苦悩する芭蕉がやがて到達した視点を描くだけではなく、人生の豊かさや、その可能性の大きさを伝え、 「“人はひとりで生き、ひとりで死んでゆくよりほかに道はない”ことを極めるために苦吟した詩人」と称した芸術家の苦 悩を追体験する、井上評伝劇の快作となっている。


『芭蕉通夜舟』は、1983年にしゃぼん玉座3回公演として、木村光一演出のもと、松尾芭蕉を小沢昭一が演じて初演 され、2012年には鵜山仁が演出を担当し、芭蕉役を十代目坂東三津五郎で再演。その後も再演を予定していたが、三津五郎の急逝により再演が叶わなかった。そして、井上ひさし生誕90周年となる2024年に芭蕉役に内野聖陽を迎え、11年ぶりに待望の上演がされることとなった。

内野聖陽コメント

またも一人芝居。いえ、ほぼ一人芝居。前回の『化粧二題』では、見えない透明の劇団員たちが居て、一人で演じてい ても孤独感はありませんでした。でも今回は『人は独りで生き、独りで死んでいくより他に道は無い』ことを極める ために苦吟した芭蕉さんです。聞いただけでも凄まじい人生!尻込みしそうです。しかし、役者というのも孤独なお 仕事です。この作品を読んだときとても共感するメッセージが込められていると感じました。ほぼ一人で芭蕉の人生 を背負うのは怖いけれど、井上ひさし先生の言葉の力、鵜山仁さんの熟練の演出、そして黒子役の若い共演者と共に、 芭蕉の人生に食らいついて、挑みかかって、俳諧で道を究めた芭蕉の人生をあぶり出したいと思っております。 面白いことを深く、そして愉快に、そして真剣に、表現していきたいと、期待と恐怖ないまぜの状態の裏で、私の闘志 はひそかに育ち始めております。
どうぞご期待ください。

鵜山仁(演出)コメント

『奥の細道』の序文には、「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人也」とあります。芭蕉は旅する、ハイク する、というのが通り相場ですが、この旅は、おそらく人の一生の射程を超えて、月日とともにどこまでも、銀河の果 てまでつながって行くはずだと思います。 そんな旅の道案内となるべく、アートがどんな役割を果たせるか、これがやはりわれわれにとっては、大きな関心事 です。
今回、内野芭蕉が、40 年来の旅のタスキを受け継いで、悠久の旅路の船頭をつとめます。

あらすじ
1662 年春。後の大詩人である松尾芭蕉も、今はまだ料理人として召し抱えられたばかりの詩人の卵である。4 年後主君の 急死により武士として生きる道を絶たれてしまうが、主君の師匠に見いだされて俳諧の修行を積むことになり、その才能 を開花させる。誰よりも早く出世を果たし、売れっ子になっていく芭蕉。しかし、周囲からもてはやされ、金銭的にも恵 まれていく日々に、なぜか虚しさを覚える。「私のこの道は、この才能は、こんなことのためにあるのだろうか…。」長い 苦悶の末、芭蕉はついに自分の人生の意味を見つけ出す…。

概要
公演タイトル:こまつ座 第151回公演『芭蕉通夜舟』
作:井上ひさし
演出:鵜山仁
出演:内野聖陽
小石川桃子 松浦慎太郎 村上佳 櫻井優凛
公演スケジュール
東京公演:10月 地方公演:11 月
紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA
兵庫県立芸術文化センター(兵庫公演) 愛知公演予定 他

こまつ座公式サイト:http://www.komatsuza.co.jp