宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を起点とした小池博史のオリジナル舞台 「幻の光~138 億光年の BABY」

小池博史が2024年1月19日~21 日に公演「幻の光~138 億光年のBABY」をシアターグリーン BASE THEATERで上演する。
元パパ・タラフマラ主宰の小池博史が演出を手掛け、パーカッション、サックス、横笛、そして、オペラの生演奏と映像・身体が融合した約70分の舞台芸術作品となる。

演出家の小池博史は、ジャンルを跨ぐ作品群を 18カ国にて85作品を創作、42カ国で公演を行い、世界中のアーティストとともに多文化・多言語を重視した革新的な作品を上演してきた。多様な文化が舞台上で融合し、新たな世界を描く活動はNHKからも注目され、 NHK World でその活動が紹介される。
番組の放送は 12月15日~16日 の間に4回行われ、その後もアーカイブとしてNHK World内のサイトで無料視聴が可能。

Making Cultural Connections on the Stage: Koike Hiroshi / Director
NHK World 番組リンク
https://bit.ly/3GESMwi

「幻の光~138億光年のBABY」とは …
東日本大震災の直後、人間と自然の関係性を改めて考察する必要性が日本にのしかかっていた。演出家の小池博史は「自然の前で謙虚であれ」という宮沢賢治の思想が新しい叡智の世界を築くためのヒントであることを察し、2012年から2015年まで宮沢賢治の3作品「風の又三郎」、「銀河鉄道の夜」、「注文の多い料理店」を能やバリ舞踊の実演家、現代アーティスト、様々なジャンルの音楽家たちと舞台化する事業を実施した。その作品群は現在小池博史ブリッジプロジェクトのレパートリー作品として国内外で公演を続け、 累計動員数は1万人超の人気作品群 である。
宮沢賢治の作品の舞台化を開始してから11年後、日本と世界は様々な自然災害や人災に直面している。資源の枯渇や気候変動の危機から発展している戦争は止まない。「人新世」という言葉も浸透し始め、わたしたちは人間と自然の関係性を問い、宇宙的な規模で物事を考え、人間中心の社会からあらゆる生物、異なる人間や文化との共存の実現へ多角的な方面からアプローチし、新たな価値観を育むことが求められている。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」では 生と死や現実と夢の境目が交じり、銀河の壮大なちからとそこに生きる人間の愚かさを感じさせられる 要素が読み取れる。その要素を宇宙や自然の映像プロジェクション、カメラで撮影される水と光の照明美術、ダンス、生演奏の音楽を融合させた舞台作品「幻の光~138億光年のBABY」で表現し、 環境問題や人と自然の危機をあらゆる視点から問う 機会を届ける。

演出家小池博史より
光には必ず影があり、ぼくらはそのうちの明るい方に引き寄せられるが、暗いところでじっと息を潜めている人々がいる。だが、それは、実は世界のほとんどの人々なのだ
ろう。ぼくたちの欲望は、元来はこんな世俗にまみれた世界にはない。宇宙の彼方と呼吸を合わせて、ぼくらは自分のからだの存在を確かめ、安堵したいのだ。そして光をじっと見つめ、光を浴びたいのだ。 ぼくらは本当は自由なのだ 。と、光を見て叫びたい、と、思っている。

のっけからビッグバンを思わせる映像、そのあとの詩情豊かなそれ
–小さな舞台が、広大な空間に変貌するマジック!
–しかしその詩情を壊すユーモラスな絵の数々、下町兄弟のライヴ音楽のうねり、演ずる俳優たちの力量
–舞台にも詩情を壊す愉快な動きとウィットが!
–現代社会に必須のテーマ、どれをとっても今、最高の舞台作品のひとつだ。
―三宅昭良(アメリカ文学者)

僕が当初想起したのはなんとなくデカい金魚鉢。そこには透明な水が張られ金魚が泳いでいるのだが、張られた水はうねり、また発光や変色もし、金魚は自在に泳ぐだけでなく、鳥や龍などいろんなものに姿を変えていく。そして、その変幻自在の金魚鉢に接する我々はいつ間にか金魚鉢の中に入り込むことになり、もう一つの世界にワープしたような多様な体感や感興を与えられる。まさしく、光や映像が誘う銀河の旅、だな。そして、そこには人の営みの不条理さ、面白さも付帯する。かような映像効果を多大に介した枠を定めない発想、発展の感覚こそがこの舞台の魅力だと思った。
―佐藤英輔(音楽評論家)

公演概要
日時:
2024年1月19日(金)開演 19:00/開場 18:40
2024年1月20日(土)開演 14:00/開場 13:40
2024年1月21日(日)開演 14:00/開場 13:40

場所:シアターグリーン ベースシアター
スタッフ・出演者
作・演出・振付:小池博史
出演:福島梓、大塚陽、佐久間文恵、伊藤健康、中谷萌、下町兄弟(演奏)、太田豊(演奏)、西村祐美子(演奏)
音楽:太田豊、下町兄弟、西村祐美子
映像:岸本智也
衣装:浜井弘治
美術・小道具:森聖一郎
照明:富山貴之/音響:深澤秀一(Syu-sound工房)/宣伝美術:梅村昇史
主催・制作:株式会社サイ/特定非営利活動法人ブリッジフォージアーツアンドエデュケーション
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成】

小池博史ブリッジプロジェクト-Odyssey とは

空間演出家・元パパ・タラフマラ主宰の小池博史が立ち上げ、創造力を核に据え、創作、教育、発信を三本柱に各々の連携を生み出そうとするプロジェクト。 舞台作品制作だけでなく映像・写真・インスタレーション・文章などあらゆるメディアを活用した多角的な発信を行な う。またイベント・講演会・ワークショップ・教育プログラムの実施など、“からだを使って考える”事の出来る人材の育 成も含め、包括的な視野で世界と時代と文化の架け橋を創り出す為のアートプロジェクトとして日本国内世界各国を舞台 に活動する。30作品を9ヶ国にて創作。13カ国で公演(パパ・タラフマラ時代を加えると18カ国で創作、42カ国で公演)。シアターオリンピック・ベストパフォーマンス賞等を受賞。