ゆうめい新作公演『養生』開幕

舞台・美術・映像を作る団体、ゆうめいの新作公演『養生』が開幕。第34回下北沢演劇祭参加作品、2度目の下北沢ザ・スズナリで、2月20日まで上演。

今作は”夜間勤務の現場”が基となる話で、過去と既存に囚われず演劇での演技と表現方法を独自で追求し続け、未知へとシームレスに観客をいざなう粒揃いのキャストが繰り広げる三人芝居。

ゆうめいでは、実体験や取材に基づいて作品を描き、時には実際の人物を出演させ、上演を行うことそのものが現実でありドキュメンタリーともなる作品を多く作り上げてきた。前作『ハートランド』ではフィクションを創作、今作はクリエイション段階から生まれる体験を軸とした創作・上演(発表)を行う。
創作方法は、出演者と作・演出で実際の同じ日雇い労働の現場へ通いながら、お金を稼ぎながら稽古と体験(稽古場でもクリエイションを行いますが)をしてみるという試みを行い、その試みから立ち上がるものを描いていく。

池田 亮(作・演出・美術)より
夜勤現場で仲良くなれた人は、一緒に怒られた人でした。ひたすらに米袋を2人でコンベアーに朝まで運び続けるという仕事でした。当時彫刻家一本を目指していた自分は石を運んだ際に腰を痛めてしまっていたので動きが遅く、相方も足の深爪が痛い的な理由で同じく遅く、社員さんから「速度ナメクジかお前ら。初めてだぞこんなん」と喝を入れられ、使い物にならないからと倉庫の掃除を任されました。独特な臭いのする地下倉庫の中で片付けていると、お互い愚痴をこぼし始め、そしてぽつぽつと自分についてを話し出す空気になりました。1日でこんなに人と仲良くなれることってあるんだと思って、そして朝帰る頃には駅で手を振りあって「またどこかで」と挨拶するほどになりました。でも連絡先は交換しておらず、それ以降会えていません。そんな時も思い出しながら『養生』を作りました。そして今回の座組みの皆様はどこか、あの時に出会った人のような雰囲気がしています。みんなが寝静まる夜から朝にかけて仕事をするという特別な時間に生まれる出会いも別れも詰め込みました。ゆうめいとウンゲツィーファのコラボレーションとしてもお楽しみください。2月20日まで、スズナリにて心よりお待ちしております。

イントロダクション
現代彫刻の要素から空間演出を展開させ、私演劇の更なる行く末を描き続ける作家・池田 亮が作・演出・美術を手掛ける、ゆうめい待望の新作『養生』(ようじょう)。
第34回下北沢演劇祭参加作品であり、ザ・スズナリで開幕する今作は”夜間勤務の現場”が基となる話。

美大生の橋本は、画家になりたかった。
画材を買うために始めた夜勤の内装バイトで、気がついたら、正社員になっていた。
橋本の働く百貨店内の画廊スペースで、人気画家になった同期の個展が決まる。
なれなかったものに、まだなりたい。
「何を、諦めれば──。」

”諦めたいのに諦めない”という矛盾を抱える人物たちを演じるは、『動く物』で北海道戯曲賞にて大賞を受賞したウンゲツィーファ主宰の演劇作家・本橋 龍、ウンゲツィーファ&ゆうめい常連組であり青年団所属の俳優・黒澤多生、ゆうめい主宰の俳優・田中祐希。過去と既存に囚われず演劇での演技と表現方法を独自で追求し続け、未知へとシームレスに観客をいざなう粒揃いのキャストが繰り広げる三人芝居。

ゆうめい × ウンゲツィーファ
2つの現代演劇ワールドが織りなす100分間の夜勤劇

ストーリー
絵画科の美大生橋本(本橋 龍)と、経済学部の大学生阿部(田中祐希)は百貨店の内装作業を行う夜勤のバイトで出会った。意気投合し、当たりが強い正社員と仕事量に不満を漏らしながらも「卒業したら俺らこうはならんし」と笑い合う。数年後、二人はその夜勤でバイトから正社員になっていた。新入社員の清水(黒澤多生)の教育を任される阿部。一方橋本は、人気作家となった同期の展示が百貨店の画廊エリアでクリスマス後に開催されることをポスターのディスプレイ作業中に知る。​喪失した時間と今とが対峙をしつづける、夕方から明け方への話。

概要
公演名:ゆうめい『養生』
日程・会場:2024年2月17日(土) 〜 2月20日(火) 下北沢 ザ・スズナリ
作・演出・美術:池田 亮
出演:本橋 龍(ウンゲツィーファ) / 黒澤多生(青年団) / 田中祐希
ビジュアル出演:小松大二郎
宣伝美術:りょこ
舞台監督:黒澤多生(青年団)
音響:今里 愛(Sugar Sound)
照明:阿部将之(LICHT-ER)
制作:高橋戦車(劇団鹿殺し・オフィス鹿)
協力:梅田芸術劇場 / ウンゲツィーファ/ 青年団 / Sugar Sound / LICHT-ER / 劇団鹿殺し / オフィス鹿
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【東京ライブ・ステージ応援助成】

公式サイト:https://www.yu-mei.com/yo-jo

舞台撮影:佐々木啓太