第31回東京国際映画祭、10月25日から11月3日まで開催、「映画でもっともっと元気になって欲しい」(松岡茉優)

9月25日、東京国際映画祭のラインナップ発表会があったが、今年で31回目を迎える歴史ある映画祭。まずはフェスチバル・デイレクターの久松猛朗から挨拶があった。「映画を観る喜びの共有」「映画人たちの交流の促進」「映画の未来の開拓」の3つを柱にすると語る。それからアンバサダーの女優の松岡茉優が登壇。『万引き家族』で共演した樹木希林に思いを馳せた。「同じ時代に生まれ、作品を見られる時代に生まれ、新しい時代につなげる役割として誇りを持って、さらに勉強して樹木さんのようになりたい」とコメント。そして「次の世代に渡せる存在になりたい」と決意を見せた。ちなみに松岡茉優は前回の第30回同映画祭で、初主演映画『勝手にふるえてろ』(大九明子監督)がコンペティション部門に出品され、作品は観客賞、松岡自身も全部門の出品作から宝石のような輝きを放った若手キャストを選出する、新設の東京ジェムストーン賞を受賞している。「東京国際映画祭はカンヌにも負けない熱量がある」とコメント。

また、コンペティション部門『半世界』、阪本順治監督が登壇。この作品では主演の稲垣吾郎が炭焼き職人に挑戦している。いつか映画化したいと思っていた題材だったそうで、この作品のために稲垣吾郎は実際にチェーンソーで木を切ったり、炭を作ったりしたという。同じくコンペティション部門、『愛がなんだ』の今泉監督と主演の岸井ゆきのも登壇、今泉は気鋭の監督である。コンペティション部門の映画は応募が1800、そこから16作品が選ばれているわけである。登壇にやや緊張気味。また、今回は役所広司にフューチャーした企画があり、『うなぎ』など5本の映画が上演予定で、この5作品全てに役所広司がトークのために登壇することが明かされ、しかも都合がつけばそれぞれの監督も登壇するかもしれない、とのことだ。またアニメーション特集は「アニメーション監督  湯浅政明の世界」と題し、4作品が上演予定『DEVILMAN crybaby』を始め、『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』『マインドゲーム』を上演、さらに自選短編集として、貴重な作品も上演される。さらにアニメでは惜しまれながら逝去した高畑勲監督、特別上映会として『太陽の王子 ホルスの大冒険』『かぐや姫の物語』も上演される。

また若い映画ファンや次世代を担う若手映画作家に向けたセミナー形式のトークイベント『 TIFFマスタークラス』昨年に引き続き今年も開催される。「アジア三面鏡」シンポジウム、岩代太郎ー映画音楽人生論、アミール・ナデリによる演劇論と俳優ワークショップ、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のプロデューサー、ブライアン・バーク氏による「ハリウッドでのプロデュース業」映像表現の今、そして未来、の5本のクラスが予定されている。

最後にゲストが再び登壇、質疑応答タイム、松岡茉優が湯浅政明にまさかの質問、「声優に求めること」に対して監督は「その人にしかできない表現、持っているパーソナリティが欲しいと思います」とコメントした。また、松岡茉優は「映画でもっともっと元気になって欲しい」と映画の良さをアピール、アンバサダーとしてしっかり“仕事”。

あまりにも多くの興味深い企画が目白押し、全てを紹介するのは不可能ではあるが、映画祭の秋、是非、ここで映画との新しい出会いを体験してみよう。何かが変わるかもしれない。

公式HP:https://2018.tiff-jp.net/ja/

取材・文:Hiromi Koh