舞台劇「からくりサーカス」時空を超えた数奇な運命、世界、それでも生きる!

「からくりサーカス」は、名作『うしおととら』を世に送り出した藤田和日郎による日本の漫画作品。 『週刊少年サンデー』(小学館)にて 1997 年から 2006 年にわたり長期連載し、累計発行部数 1500 万部を誇る 超人気作品。連載終了から 12 年を経た現在でも根強いファンに多く支持されており、2018 年 10 月より TV アニメが好評放送中。

莫大な遺産を相続して親族から狙われた少年・才賀 勝(さいが まさる)を守るために戦う拳法家の青年・加藤 鳴海(かとう なるみ)と人形遣いの女性・しろがねの数奇な運命を描く。

舞台上にサーカスでよく見る衣装を着た一群がやってきて「お待ちかね!『からくりサーカス』始まるよ!」と元気良く!客席から拍手、そして物語はスタートする。 物語は全ての事件の発端は200年前。 白金(バイジン)と白銀(バイイン)が登場する。そこへ少女に出会う「私の名前はフランシーヌよ」と。そこから物語が動きだす。

畳み掛けるような展開、少年・才賀 勝(深澤大河)と拳法家の青年・加藤 鳴海(滝川広大)の苦しい別れ、ここからストーリーは2つに分かれる。勝としろがねは潰れかけのサーカスに身を置き、鳴海は人類に仇なすからくり人形との闘いに巻き込まれる。ストーリーは時系列通りというわけではない。しかし、本人も良く知らない勝の秘密が少しずつ明らかになっていき、鳴海もまた、自動人形との壮絶な戦いに身を置くことになる。

この全く異なる2つの『物語』が交錯しながら収束していく途中で徐々に全貌が見えてくる。

時々、語り部のようなポジション、ストーリーと観客の橋渡しをするピエロが登場し、説明が入る。

見所はやはりアクションとサーカスシーン。劇場中央の舞台を観客が360度取り囲む形式。ほとんどすべての客席通路を使用するので、臨場感はもちろん、観客はここで行われている『事件』の目撃者という立場になったり、あるいはサーカスの観客になったり。原作もそうだが、意外性のある展開、そして関係性。片時も目が離せない。鳴海演じる滝川広大のダイナミックなアクション、かなりの至近距離なので、もう迫力いっぱいだ。過去のエピソードにまつわる手掛かりは物語の各所に。

原作のタイトルにある『からくり』という言葉、物語の設定にはあらゆる仕掛け、『からくり』が散りばめられている。それと戦う「しろがね」もまた操られている。それは何か、運命なのか、状況なのか、他者なのか。舞台セット、特に天井部分などには歯車があるが印象的に配置されている。人は、登場人物たちは、この『歯車』に支配されているとも捉えられる。いや、この物語に限らず、人は何かしらの影響を受けて生きている。哲学的に考えるとキリがないが、そんな運命論のようなものも彷彿とさせる作品。そしてラスト近く、意外性のある展開、生きること、運命、世界、壮大な時空を超えた物語。新宿FACEが限りなく広がっていく世界観を濃密に見せる。ファンがはまっていくのも頷ける。

ゲネプロ前に主要キャストの挨拶があった。

登壇したのは才賀勝役の深澤大河、 加藤鳴海役の滝川広大、 しろがね・フランシーヌ役の大西桃香〈AKB48〉と飯田里穂。そして白銀役の三浦海里、 白金役の小坂涼太郎。
「骨身を削る思いで作った」と語る深澤大河。勝は小学5年生という設定であるが「半袖短パンで……小5です!」と笑う。さらに「 24歳で演じますが、衣装の力を借りられるので!」と半ズボンを指す。深澤は、稽古期間には滝川と一緒に行動することが多かったと言い、「一緒にいてすごく落ち着く」と言いつつも「天然で小ボケがちょくちょく出てくる(笑)。こういう人がパートナーだといいな」と語る。

滝川広大は「今日がやっと来た」とコメント。演出家を筆頭に意見を出し合いながら稽古してきたそうだが、稽古場では皆が頭を寄せて話し合っていたのが印象的であった。滝「みんな仲がよくて、みんな仲間なんです」と稽古を振り返る。「笑って帰っていただけたらうれしい」とコメント。大西桃香は「舞台経験が少なくて・・・・・・皆さんのすごい演技に張り合えるような演技をしていきたい」と意気込んだが、なかなかどうして超熱演と言ってもいいくらいの頑張りを見せた。Wキャストの飯田里穂とは稽古を通じて仲良くなったそうで「お泊りもしました。出会えたことに感謝しています」と飯田里穂と笑顔。深澤がそれをその場で再現!「2人は稽古場でずっとこうなってたもんね……」と隣の滝川に寄りかかり、その様子を見て思わず笑いが起こった。飯田里穂は「初日はもう幕を開けるだけ。しろがね・フランシーヌとして一生懸命生きたいです」とコメント。自身の着用しているボディスーツについては「見た目より着心地がいい。私は“ZOZOスーツ”って呼んでいます(笑)、全身が引き締まる感じで、しろがねになった気がします」と見た目に反して着心地がいいことをアピール。
白銀役の三浦海里は「村井さんが、役名を正しく言ってくれなくて、“金”と“銀”という呼び名で(笑)」と笑いつつ「120パーセントの熱量を!」と意気込む。今回のステージについて小坂は「今までで一番緊張している」と語る。客席との距離は近いというよりも距離がないと言っていいくらいの近さ。

また稽古中にクリスマスもあり、そういったイベントもあって親睦を深めた様子。舞台でも仲の良さや結束力も感じられた舞台。

大きな世界観に濃密な空間、芝居を演劇をがっちりと全身で感じるにはもってこいな作品、公演は20日まで!

<ストーリー>
莫大な遺産を相続し、自身の親族に狙われる少年・才賀 勝、偶然の出会いから勝を助けることになる拳法家の 青年・加藤 鳴海、勝の父からの命により、勝を守る人形遣いの女性・しろがね。 彼らを巻き込む数百年に渡る壮大な運命の物語。 ふとしたきっかけから始まった物語は複雑に絡み合い、別れ、収束し、誰も想像しなかった結末を描く。

【公演概要】
タイトル:舞台劇「からくりサーカス」
公演日程: 2019 年 1 月 10 日(木)~20 日(日)
会場:新宿 FACE
<スタッフ>
原作:藤田和日郎「からくりサーカス」(小学館 少年サンデーコミックス刊)
脚本:川尻恵太
演出:村井雄
主催:舞台劇「からくりサーカス」製作委員会(Office ENDLESS/ツインエンジン/ローソンチケット)
キャスト:
才賀勝役/深澤大河 加藤鳴海役/滝川広大 しろがね・フランシーヌ役/大西桃香〈AKB48〉・飯田里穂(W キャスト) 白銀役/三浦海里 白金役/小坂涼太郎
阿紫花英良役/健人 ジョージ・ラローシュ役/横井翔二郎
ギイ・クリストフ・レッシュ役/越智友己 ルシール・ベルヌイユ役/田中良子
あるるかん役/三枝奈都紀 ファティマ役/遠藤沙季
フェイスレス役/村田洋二郎
パンタローネ役/唐橋充
アルレッキーノ役/松本寛也
コロンビーヌ役/大湖せしる
ドットーレ役/和泉宗兵
<チケット料金>
料金:プレミアムシート 10,000 円(非売品グッズ付き)
一般席 7,800 円
※会場にてドリンク代別途 500 円かかります。 ※座席はステージを取り囲むリングスタイルになります。
公式サイト:http://officeendless.com/sp/karakuri/
公式 Twitter:@karakuri_stage ハッシュタグ:#舞台からサー
コピーライト表記:C藤田和日郎・小学館/舞台劇「からくりサーカス」製作委員会

取材・文:Hiromi Koh