伊藤健太郎、岡本夏美、栗原類、南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大ら若手俳優の挑戦!KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『春のめざめ』『恐るべき子供たち』「この2作品をどうしても連続上演してみたかった」(白井晃)

話題作である『春のめざめ』『恐るべき子供たち』の製作発表会が神奈川芸術劇場にて執り行われた。登壇したのは芸術監督の 白井晃、『春のめざめ』出演の伊藤健太郎、岡本夏美、栗原類、『恐るべき子供たち』出演の南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大。

フォトセッションの後、挨拶があった。演出も手がける白井晃は「現代の視点でもう一度組み直したいということで・・・・・・この2作品をどうしても連続上演してみたかった、大人社会との対立、若き日の葛藤を連続しての上演に挑戦します」と語る。『春のめざめ』はロックミュージカルが有名な作品だが、元々の戯曲は19世紀末に発表されたもの。思春期の少年たちの性の目覚めとそれに対しての大人たちの抑圧とそこから起こる少年たちの悲劇を描いた作品だ。好評につき再演の運びとなったが、栗原類以外のメインキャストは一新されており、主人公のメルヒオールは伊藤健太郎、ヒロインのヴェントラに岡本夏美。伊藤健太郎はこれが初主演、岡本夏美は初演を観劇して感銘を受け、オーディションで役を勝ち取ったので作品に対する思い入れもひとしおだ。『恐るべき子供たち』、原作はジャン・コクトーの中編小説、これを戯曲化しての上演となる。白井晃にとっては若い頃からの愛読書であったので、作品選びに並々ならぬ熱い思いも。思春期の姉と弟が主人公、姉弟の葛藤、大人との対峙や性への道を描いている。白井晃は『春のめざめ』について「若き俳優のみなさんと再演したかった、栗原さんには引き続き助けてもらって」と語り、『恐るべき子供たち』については「ノゾエ征爾さんにお願いして、ただいま作業中でございます」とコメント、ノゾエ征爾と白井晃の初タッグとなるが演出家として、芸術監督としてのこだわりを見せた。

『春のめざめ』主演の伊藤健太郎は「舞台は二度目です。キャストのみなさんとしっかりと演じていきたいです」とやや緊張気味に挨拶。岡本夏美は「前回観劇しまして、その日の日記に『ヴェンドラ役がやりたかった』と書きました。オーデションを受けてこうしてここに・・・・・まっすぐで清潔な心を持つ女の子、体と心のすれ違いの繊細な気持ちをしっかりと演じたい」とこだわりをのぞかせた。栗原類は「白井さんの作品に出る前に元々、この作品の朗読劇をやっていまして、どんなに時代が進んでも思春期の脳と体の違い、葛藤、人の醜さも全面に出て、前回は本当に楽しんでやっていましたが、再び『春のめざめ』に出演できてうれしいです。キャストが変わっているので新作と思って一から!」と豊富を述べた。

『恐るべき子供たち』は南沢奈央は「白井さんの演出は初めてですが、何本か拝見させていただきまして細かいところに工夫があって、ぜひやりたいと。原作も読みましたが難しいなと。」とラブコール。 南沢奈央の弟役の柾木玲弥は「3年前が最後の舞台で・・・・・精細なポールという役を演じていきたいです」と語り、ポールの友人役の松岡広大は「お話をいただきまして、コクトーの芝居ができるので緊張しています、戯曲が初挑戦なので本番までしっかりと頑張っていきたいです」と意気込んだ。

『春のめざめ』について白井晃は「キャストが変われば前回とは変わって行くと思います」とコメント、『恐るべき子供たち』については「小説からどういう形でノゾエさんが作って行くのか楽しみで・・・・・読んでみてノゾエさんの視点が含まれていますね」と語る。

質疑応答の中で伊藤健太郎は「初主演でうれしい」と言いつつ、「初めての舞台の時に舞台の魅力をすごく感じました、あの空間が好きです。台本を読んで最初はよくわからなかったんですが、読んでいくうちに感じるところもあり、今に通じるところもあるなと」とコメント。そして「全身全霊で演じたい」と意気込みを見せた。栗原類は「前回の稽古を覚えているので、逆に気持ちは一から入って行かなきゃいけないのに初演の自分が・・・・・台本を読み直して一から作り直す、再構築する感じ」とこだわりを語る。岡本夏美は「共感しながら演じたい」とコメント、そこへ伊藤健太郎が「先生たちには片っ端から反抗、中学の頃は心より体ばっかり大きくなって」と笑わせたが思春期あるあるな体験。

『恐るべき子供たち』の主演の南沢奈央は「私が思春期のときは、フラットな感じで感情をあまり出すことはなかったけど、自分の中にある感情を活かしていけたら」とコメント。柾木玲弥は「内面的なところがまだ・・・・」と難しさを吐露。

どちらも演出する側にとっても出演する側にとっても挑戦的な作品。この連続上演企画、神奈川芸術劇場の姿勢を感じる。どんな景色が見えるのか、期待したい。

【公演概要】
『春のめざめ』
原作:フランク・ヴェーデキント
構成・演出:白井晃
<神奈川公演>
日程・場所:2019年4月13日〜29日 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
<東広島公演>
日程・場所:2019年5月6日 東広島芸術文化ホールくらら 大ホール
<兵庫公演>
日程・場所:2019年5月11、12日 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

『恐るべき子供たち』
原作:ジャン・コクトー
上演台本:ノゾエ征爾
演出:白井晃
日程・場所:2019年5月18日〜6月2日 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

企画・主催:KAAT神奈川芸術劇場
公式HP:https://www.kaat.jp/

取材・文:Hiromi Koh