《対談》魔夜峰央×加藤諒 劇場版「パタリロ!」

いよいよ劇場版「パタリロ!」が2019年6月28日(金)から公開される。魔夜峰央×加藤諒の対談が実現!

「『パタリロがいる!』と。『え?!』って。仰天!」(魔夜峰央)
「『僕が主演でやるの??』みたいな印象でした。
」(加藤諒)

――舞台化発表も衝撃的で、さらに映画化についてもファンから驚きを持たれたと思います。まずは舞台化の頃の感想を。
加藤:「パタリロ!」舞台化のお話をいただいた時はちょうどライブ・スペクタクル 「NARUTO-ナルト-」に出演していた頃でした。
――拝見しています。
加藤:ありがとうございます!休憩時間にプロデューサーさんが急に来られて、「今、加藤君主役でやりたいやつがあるんだけど、話つけてきたよ」みたいなお話をいただいて(笑)、「へ?!」って(笑)。それが「パタリロ!」でした。その時はバラエティ番組とかにもそんなに出てなかったし、世間的な知名度が全然なかった時分だったので「僕が主演でやるの??」みたいな印象でした。
魔夜:「パタリロ!」の主演が決まってからバラエティ番組とかに出始めたよね。
加藤:はい。だから当初は無名の僕が主役でいいんだろうかって。いつ実現するんだろうかって思っていたら意外と早くに、わーーっと話が進んで、「スゴーーイ」って(笑)。
一同:(笑)
――その時は「パタリロ!」の漫画自体はご存知でしたか?
加藤:香水やコスメ、ファッションのブランドで有名なANNA SUI(アナスイ)が「パタリロ!」とコラボしていた時があって、そのデザインがすごく可愛くって、それで知っていました。「パタリロって可愛い!」って注目はしていましたが、漫画はお話をいただいてから読みました。
――漫画自体は、連載が始まったのが1978年でしたが。
魔夜:今まで、舞台化の話がないことはなかったけど、まあ、基本的にはほとんど話はなかったですね。この舞台化に関しては最初に小林顕作さん(演出)と、池田テツヒロさん(脚本)が来てくださって、「舞台 をやりたい」とおっしゃった時に僕はまず「パタリロがいるんですか?」と聞きました。
加藤:(笑)
魔夜:「います」っていうからビックリした!「そんなことができる人間がいるの?」って(笑)。
加藤:(笑)
魔夜:この地球にそんなやつがいるのか?っていう感じでした。だってどう考えたってこんな人いないでしょ。
加藤:(大笑)ありがたいですよね。
――舞台化するときに、まずパタリロを演じることができる人がいるかどうかですよね。
魔夜:そこが一番のネックです。実は宝塚歌劇団
でやろうかっていう話もあったんです。ただし、美形は いっぱいいるけど、パタリロがいない、それで全てなくなった。今回だけは「パタリロがいる!」と。「え?!」って。仰天!
加藤:(笑)「パタリロ!」ファンには、宝塚ファンも多いんですよ。
――青木さんが演じているバンコランと佐奈さんが演じているマライヒ、見た目が宝塚歌劇にも通じるルックスですし。
魔夜:それを本物の男性がやる。
――はい。あの二人の関係性も、わりと宝塚ファンが好きな感じじゃないかな?と思われますね。
魔夜:うん。
加藤:そうですね。
――それにしてもすごいことだと思いますよ。
加藤:「第2弾やるよ」って聞いてから「あ、本当にやるんだ」って(笑)。初演はすごくご好評いただけたっていうのもあったから、皆様の力で第2弾に持って行けたのかなと。
魔夜:実は最初から・・・・・。
加藤:本当ですか?初演の時にスターダスト計画までやるっていう話があったけど、でも長すぎちゃうから、カットして分けたっていう話を聞いたことはあるんですけど・・・・・・。
魔夜:多分、次は(天王洲)銀河劇場って言われた気がする。
加藤:早い!そうだったんですね!
――確かに一度に全部やるには長いですね。
加藤:わけたことでちょうどいい長さになったんじゃないかなと思います。

「本当はなんでもできるのに、逆に足かせをかけて、で、どうするかっていうのをやっている、そういう発想だと思うんですよ」(魔夜峰央)
「すごい!映画やるんだーーって」(加藤諒)

――そして、舞台第2弾の時に映画化」を発表して!
加藤:そうなんです!
魔夜:ムフフ。

――すでに劇場版は拝見させていただきました。映画化の話が来た時の感想を。
加藤:すごい!映画やるんだーーって(笑)。
魔夜:映画化の話って最初からなかった?
加藤:僕は初演の終わりあたりから「ドラマ化か映画化か」っていう話が進み始めたっていう話は聞いていました。
――小耳に挟んだ・・・・・・。
加藤:そうです。具体的な内容とか、どこの部分をやるのかは、全然聞いてなくって・・・・・小林顕作さんが監督するっていうところまでは聞いていまして、ネット配信系の連ドラっていう噂もありました。
魔夜:多分、小林顕作さんと初めて会った時に映画化って言ってた・・・・・ヒースロー空港を撮り に行くとか、確か、言っていた。
加藤:早い!
魔夜:うん。いろいろ考えている人がいて諒君に言った人と私に言った人が違うと思う。多分「できたらいいな」と多少の希望もあったんだろうし(笑)。
――『夢』的な。
魔夜 :うんうん。
加藤:初演のビジュアル解禁になった時に映画化してほしいっていう意見はちらほら聞きました。
――お客様から?
加藤:はい。そういう要因もあったのかもしれないですね。それで企画が持ち上がり始めたのかもしれないです。
――「パタリロ!」って映像化すると、どうなっちゃうのかな?とか、ゴキブリ走法とかはどうやるんだろうってみんな思ったと思うんです。
加藤:僕もどうするんだろうって思っていました。
――舞台の表現も今はいろんなテクノロジーがあって、いろんな手法が出ている中で、最新ではヴァーチャルリアリティーに3Dに、10年前には考えらえない表現方法がありますからね。
加藤:「パタリロ!」も舞台の第2弾で映像が入って、宇宙に行ってからスクリーンが降りてきますが、あのスクリーンものすごく高価なものらしいんです。スクリーンの前で「ワーーーー」ってやっているところなんかは「お願いだからスクリーンには触んないでください!」って(笑)
魔夜:そうなんだ(笑)。
――演出家さんによっては映像を駆使したりプロジェクション・マッピングやイリュージョンを使う方もいらっしゃると思うんです。小林さんは「これを使ったら〜」っていうところをあえてやらない人ですよね。
魔夜:そういう道具を使いたがらないんですよ。アイディアを駆使して表現する、だから面白い。
加藤:うんうん。
――そういったテクノロジーを使おうと思えば使えるのにあえて使わない、映画版も、そのアナログ表現を踏襲していますよね。
加藤:その場で走って、セットを動かしたりしていました(笑)。
――昨今、映画の方はもっとテクノロジーが発達していますね。
加藤:すごいですよね。
魔夜:本当はなんでもできるのに、逆に足かせをかけて、で、どうするかっていうのをやっている、そういう発想だと思うんですよ。
――それに白組さんのテクノロジーが程よいさじ加減で入ってきて、劇場版を見た時に白組さんの技術がいいところで入っているので「漫画感」が出てくる。逆に白組さんの技術が入っていなければ単純に舞台を映像化したものになると思うんですよ。
二人:うん。
先生:そうですね。
――あの技術を全部で持ってきちゃうとすごいことにはなるけど、舞台版とはちょっと違っちゃうなと。舞台版のアナログ感を活かして白組さんの技術が程よく入ってきて「漫画感」が出たみたいな。
魔夜:本当にさじ加減ですよね。我々も撮っている時には全くわかりませんので(笑)。
加藤:確かに(笑)今、何、撮っているんだろうって感じで(笑)。
――撮影はその時の都合で前後しますね。
加藤:うん。「翔んで埼玉」の時も「僕たちこれで大丈夫か?」みたいな(笑)。「パタリロ!」もそれと同じ感覚でした。

「いきあたりばったりの面白さを優先して、だから監督自身もわからないような面白さが出ていると」(魔夜峰央)
「映画的表現ができていて、白組さんの力とCGとかすごいなと思いました」(加藤諒)

――映画の現場と舞台の現場ってある意味、真逆っていうか、映画は天気とかにも左右されたりしますよね。
加藤:「パタリロ!」は全てアフレコだったので、雨が降っていても気にせずに撮りました。
――現場によっては本当にお天気に左右されますよね。
加藤:飛行機待ちとかね(笑)。
――仕上がりがどうなるか撮影中はわかりませんし。
加藤:「パタリロ!」も本当に撮影は順番ではないし、シーンの中でも細かく分かれている感じでした。
魔夜:見終わってもよくわかんないですよ(笑)
加藤:前のシーン、覚えてない(笑)。
魔夜:我々は、今、何をやっているんだろうって(笑)。
加藤:なんか、すごかったなーーみたいな(笑)
――出来上がって、白組さんの技術が入って 、それを見て「おお〜」ですよね。
魔夜:それはありました。
加藤:編集作業とかも気になって見学しに行ったんですけど、見てもよくわからなくって、どうなるんだろうって(笑)初号試写で「あ、映画になった」って(笑)。
――初号試写で初めて映画を観た時の感想を。
加藤:白組さんの力が大きい!映画的表現ができていて、白組さんの力とCGとかすごいなと思いました。
魔夜:舞台を見ていない人に理解してもらえるんだろうかっていうのが、一番の心配ですね。とりあえず、これは3次元映画というよりは2.7次元映画とあえて位置づけて、そういうつもりで観に来ていただけたらと思いますね。
――いわゆる2.5次元ミュージカルをベースにしてそこに技術が加わって映画的な表現になっていて、広がりが出た感じもしますね。
魔夜:そうですね。監督の腕なんでしょうけど、本当に監督が行き当たりばったりでやったみたいなことを言っていましたけど、実際にそうなんだなと。もちろん計算はあるんでしょうけど、それよりも、もっと行き当たり ばったりの面白さを優先して、だから監督自身もわからないような面白さが出ていると。それを観ていただきたいですね。
――小林さんは初映画監督さんなんですよね。
加藤:はい。小林顕作さんは「僕は一応監督っていう位置ですけど、その場にいることを鉄則としてて、お芝居を作る、考える方に自分は徹する」っておっしゃって、監督補の小泉さんがカット割りとかを考える、映画は初めてだからこその連携プレーってっていう感じでおっしゃっていましたね。
――映画はカット割りがすごく重要なポイントなので、そのカット割りいかんによって面白さが変わってきますね。
魔夜:変わってきますね。
――コンビネーションがいいと。
魔夜:これは「翔んで埼玉」の武内監督に舞台をやらせるようなものであって、専門職じゃないから、やっぱり違うものができる。今回の小林顕作さんが映画を撮ったのも同じことで、映画っぽくしているけど、完全な映画になりきっているわけでもない。だからこそ面白いところがあるんじゃないかと。
――監督さん、行き当たりばったり的な「出たとこ勝負」的な面白さがあって、でもそれだけだと破綻するところも出てきちゃうかもしれないので、そこのバランスをカット割りだったり、白組さんの技術がサポートして映画の形になった、小林さんの行き当たりばったり感がテイストとして面白かったです。
二人:(笑)
魔夜:やっぱり、そういうところが(笑)
加藤:そうですね。

「意外性があって馬鹿馬鹿しいって言っちゃあ馬鹿馬鹿しいですが、なんか観たけど、面白かったなと思っていただければ」(魔夜峰央)
「この映画が上映された後に舞台やったらどうなるんだろう?やってみたいなって」(加藤諒)

――はい。いろんなおはなしでましたが、最後に改めて見どころを。
加藤:全部ですね。隅々まで、見ていただきたいなと。ここ一部っていうのは難しいです、映画は(笑)。
一同:(笑)
加藤:本当に隅々まで!
魔夜:舞台観てくださった方がドキドキしてくれるだろうかって。こうくるか!みたいな。意外性があって馬鹿馬鹿しいって言っちゃあ馬鹿馬鹿しいですが、なんか観たけど、面白かったなと思っていただければ。
――映画を観て 、舞台のDVD買おうかなと、思う方もいるかも。
一同:(笑)
――映画がヒットして舞台版も第3弾があれば!
加藤:この映画が上映された後に舞台やったらどうなるんだろう?やってみたいなって。
――小林顕作さん、映画の経験を踏まえて新しい仕掛けも???
魔夜:余計なことはやらない気もしますね。
加藤:続編が観れたらいいなって思います。
――「翔んで埼玉」もヒットしましたし。
加藤:監督さんが今度は関西版の「翔んで埼玉」をやりたいって、インタビューでおっしゃっていましたが、「パタリロ!」も続いていくと嬉しいです。
――ありがとうございました!映画ヒット、祈願しております!

【映画情報】
劇場版「パタリロ!」
2019年6月28日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか、全国順次ロードショー
原作:魔夜峰央「パタリロ!」(白泉社刊)
監督:小林顕作
監督補:小泉宗仁
脚本:池田テツヒロ
音楽:小林顕作
撮影:伊集守忠
照明:酒井隆英
舞台照明:坂本明浩
衣装デザイン:朝月真次郎
美術:片平圭衣子
ヘアメイク:堀川貴世
振付:足立夏海 平原慎太郎
VFX:白組
出演:加藤諒/
青木玄徳 佐奈宏紀/
細貝圭 金井成大 石田隼 吉本恒生 三津谷亮 小林亮太/
松村雄基 近江谷太朗 木下ほうか 池田鉄洋/
須賀健太 鈴木砂羽/
魔夜峰央/
西岡德馬/
哀川翔 ほか
配給:HIGH BROW CINEMA
公式HP:https://patalliro-themovie.jp/
(C)魔夜峰央・白泉社/劇場版「パタリロ!」製作委員会2019

文:Hiromi Koh