佐藤流司が、仲 万美がシャウトする!Rock Opera『R&J』煩悩に溺れて、恋に溺れて、愛に溺れて!

話題作であるRock Opera『R&J』が開幕した。
物語の設定は近未来、AIが労働のほとんどを担っており、人々は退屈していた。巨大都市の若者は”グルッパ(不良)”と”ビアンカズーリ(警察)”に分かれて対立していた。グルッパ率いるロミオ(佐藤流司)、警察長官の娘ジュリエット(仲 万美)、ストーリー展開の根本は、あの有名な「ロミオとジュリエット」である。よって、仮面舞踏会で一目惚れ、そこから一気にあの結末へと突き進んでいくのである。舞台セットは無機質で鉄骨組み、開演10分前にはキャスト2名が太鼓を叩きながら登場し、客席を温める。5分前にエレキギターの音、そして時間になって始まるのだが、最初からノリの良いRockで始まる。口上があり、これは『日本』という感じだが、衣装は無国籍、どこかの近未来の都市、「愚か者しか出てきません!」と叫び、喧嘩のシーン、白い服のグループと黒い服のグループ、視覚的に観てわかりやすい。汚い言葉で罵り合い、棒を振りまして戦う。グルッパはAIに仕事を奪われており、世間に、ビアンカズーリに対して大きな不満がある。ロミオが登場する「クズどもの王様、ロミオ!」と自ら大きな声で言う。ティボルト(藤田玲)は叫ぶ「逮捕だ!」と。場面が変わり、ロレンス神父(陣内孝則)、スタンドマイクを持って熱唱!さすがの歌唱、ロックの世界に観客をもっと!もっと!引きずり込む。

 

実は原作の「ロミオとジュリエット」(Romeo and Juliet )であるが、ギリシア神話の『ピュラモスとティスベ』を下地にした戯曲で、初演は概ね1595年前後。台詞には過剰なまでの冗談や乱暴な語句が使われ、猥雑な遣り取りが繰り返されている。言葉遊びの要素も多いので、Rock Opera『R&J』はある意味、原作に忠実、とも言える。また、グルッパは全員が手に哺乳瓶を持っている。大人になりきれない、そして思い通りにならない苛立ち、ふつふつとマグマのように不満が渦をまいている。そんな時に仮面舞踏会の案内状をロレンス神父から受け取る。運命の出会い、ジュリエットの姿を見て一目で恋に落ちるロミオ、もう彼女しか目に入らない。そして話をするチャンスが訪れた。「誰?」「好きだ!」「お会いするの、初めて」「君の顔が好きだ」、もう思いこんだら一直線なロミオ、そしてジュリエットに問いかける「一目惚れって信じる?」ジュリエットの答えは・・・・・「信じる!」。ここから始まる、二人の「思い込んだら一直線」、怒涛のような展開、あれよあれよと言う間に結婚、そして事件が起こる。

 

ところどころで歌が挿入されるのだが、ミュージカル的な入り方ではなく、スタンドマイクを持ったりして、いかにもな音楽の場面になる。コンサートのように客席に向かってシャウトする。Rock Operaなだけあって、音楽は全編ロックで彩られる。観客とALLキャストが一緒に歌う場面もあるので、ここはご一緒に!賑やかで楽しくシャウト!
ロレンスは言う「煩悩に溺れたバカ男とバカ女」と。恋は盲目とはよくいったもので、この二人の盲目ぶりをダンスや芝居で魅せる。恋愛に年齢も時代も関係ない。そこには純粋な思いがあるだけだ。そして大人たち、ジュリエットの父は娘に向かって「お前は私の所有物」と言い放ち、乳母はロミオやジュリエットの味方のようでいてロミオからお金を取る、あるいはジュリエットの父親に向かってロミオを悪く言ったり。またロレンス神父は最初から最後まで生き残っている人物。ロレンス神父の存在はこの作品の要、二人にとっては良き理解者であり、またジュリエットに仮死状態になれる薬を渡す。この三人の大人たちが実は物語を大きく動かす役割を果たしている。そして恋に落ちた二人は、ある意味、恋を成就させるのである。

佐藤流司は一途なロミオを表現、また、歌唱シーンではロックな歌声を聴かせてくれるし、仲 万美は得意のダンスでキャラクターを表現、舞台初挑戦とのことだが、初めてとはにわかに信じられない存在感と芝居。ジュリエットの父親を演じるコング桑田と乳母を演じるAKANE LIVの圧倒的な歌唱、脇を彩る俳優陣も賑やか、ティボルトの藤田玲、要所要所で登場し、場面を引き締める。休憩なしでノンストップで疾走するRock Opera『R&J』、様々に解釈出来、しかもどんなアレンジも効く普遍的なストーリー。ロックな恋愛、今時、なかなかない。そんなロックな恋は現実的には難しいが、このタテノリなRock Opera『R&J』で恋をシャウト!

 ゲネプロ前に会見が執り行われた。登壇したのは佐藤流司、仲 万美、陣内孝則、鈴木勝秀。
佐藤流司は「準備万全!」といい、仲 万美は「初めてなのですごく興奮してしまっています!」と語る。陣内孝則は「女房にロミオ役と勘違いされれ『老人向けの舞台?』と思われてしまった。ロレンス神父です(笑)、今回、新たな面が引き出されて、面白い。私のことを俳優として伸び悩んでいると思われる方もいらっしゃるかと思いますが、一皮むけました。若い女性ファンの心をつかみたい!(ライブ)追加公演もあるんで、お花畑のようなライブハウスで歌いたい(笑)」と笑わせた。
 鈴木勝秀は「難しいことは一切ない。ハートの強いバカヤローしか出てきません。このハートを見ていただけたら」といい着ているシャツに言及「これ、スタッフ用です。売っているのではありません」と補足説明。このTシャツ、なかなか渋い。また初舞台ということで仲 万美は「踊ることはあっても喋るのは初めて。見るものすべてが新しい!快感です!落ち着かない(笑)」と語るが、舞台姿は堂々としたもの。佐藤流司は「やったことのない舞台、心臓に悪い(笑)、ロックオペラなので歌うシーンもあります」と語るが、ミュージカルで鍛えていただけあって安定の歌唱。続けて「破壊的な舞台、汚い言葉がたくさん出てくる、アドリブも」とコメントし、陣内孝則も「挑戦」と語る。
 鈴木勝秀は「強いハートを持った若者に出会えて嬉しい、この2人がただ立っているだけで!」と絶賛し「全然、心配ない、いい若者」とコメント。陣内孝則も「(佐藤流司について)歌がうまい!素晴らしい俳優さんです。(仲 万美について)歌が染み入る」とこちらも絶賛。佐藤流司も仲 万美に対して「初舞台とは思えない」といい本人は「ジュルエット、似ている部分があるんです、熱い人間で、バカで。(佐藤流司について)熱い素敵な人です!」といい役について「ジュリエットは可愛いんですよ、でもわがままで性格も悪くって、でも恋をして女の子になっていくのが可愛くって。こういう女の子って最近、いないな」と語る。ここの心情の変化は注目。タテノリ!シャウト!必見の舞台だ。

《特別対談》Rock Opera『R&J』 脚本・演出:鈴木勝秀×ジュリエット役:仲 万美

<配信>
DDM.comにて大千秋楽ライブ&ディレイ配信
7月7日 18時〜
<TBSチャンネル2にてテレビ初独占放送決定!>
本編+佐藤流司、仲 万美、陣内孝則のインタビュー
スペシャルバージョンにて放送
7月27日 20時〜
<DVD発売決定!>
2019年12月中旬発売予定
8300円(税別)
会場内ロビー内で先行予約受付(特典あり)
【公演概要】
Rock Opera『R&J』
[東京公演] 2019年6月14日(金)~23日(日)日本青年館ホール
[大阪公演] 2019年7月4日(木)~7日(日)森ノ宮ピロティホール
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出:鈴木勝秀
音楽:大嶋吾郎
出演:佐藤流司 仲 万美
藤田 玲 諸星翔希 田淵累生 オレノグラフィティ 山岸門人
平井琴望 寺山武志 冨田昌則
AKANE LIV コング桑田
陣内孝則
岩崎大輔 片山浩憲 小山銀次郎 野呂昂大 矢内康洋
武田莉奈 露詰茉悠 平野茜子 藤田笑美
公演に関するお問い合わせ :ネルケプランニング TEL:03-3715-5624(平日11:00~18:00)
主催・制作:ネルケプランニング
公式HP: https://www.nelke.co.jp/stage/R&J_2019/
撮影:金丸雅代
文:Hiromi Koh