秋元康プロデュース “劇団4ドル50セント” スマホドラマ劇場版「あなたがいなくて僕たちは」

劇団発足からおよそ2年、劇団4ドル50セントの公演、スマホドラマ『-劇場版-あなたがいなくて僕たちは』が始まった。この『あなたがいなくて僕たちは』は、5月よりLINE LIVEで実施してきた生配信ドラマ、そこからリアル舞台に。設定は演出家・丸尾丸一郎が死んでしまったら、というもの。この2年で劇団は変わった、いや劇団に限らず、全ての組織は年月が経てば変化していく。辞める者もいれば、外部出演をこなす者もいる。役は各劇団員、自分が自分を演じる。虚と実が混然とする。台本はあるのだが、台本なのか今、思っていることを話しているのか、ドキュメンタリータッチ的なところもある。リアルなエピソード、雑談風の会話、演出家が死去したということ(もちろん、フィクション)で、生きることと死ぬことを考える。生まれた時から人は死に向かっている。

そしてタイトルの「あなたがいなくて僕たちは」、『あなた』とは?『僕たち』とは?観客も含めて、皆、『あなた』がいる、そして集団なら『僕たち』がいる。哲学的なタイトルだ。劇団ならではのエピソード、「あの人がいなかったら」「いっつも後ろの方で・・・・・見えるのは後頭部」、劇団員は同士であり、ライバル、切磋琢磨して成長しあう、といえば聞こえはいいが、嫉妬もある、自信も無くすかもしれない、そんな気持ち、演劇、芝居というのはフィクションであるが、この作品はフィクションでありながら、劇団員自身の真実も見えてくる。ラスト近く、全員が舞台に登場する。一人一人、異なる表情、それを包み隠さずに見せる。そこでセリフを言っている者は感極まって涙ぐみ、セリフがなくても目には光るものがある。結論はない。あるのは、ただそこに彼らがいて、懸命に生きている、それだけだが、そこに尊いものがある。
まだまだ若い劇団、荒削りなところもあるが、胸に迫るものを見せてくれる。進化と変化が楽しみな劇団4ドル50セントであった。

ゲネプロ前に囲み会見があった。湯川玲菜は「緊張で心配、半年ぶりの舞台、みんなでできるのが嬉しい、何か一つでも持って帰っていただけたら」と挨拶。中村碧十は「緊張よりも楽しみ・・・・・メインは初めてなので精一杯!」と元気よく。前田悠雅は「みんな自分の役で出ています、言わないことを言わなきゃいけない、台本を通して言えることが自分を変えるきっかけに。お客様に一緒に考えてもらえたら」とコメントしたが、皆、自分の役なので、劇団創立2年でなかなかハードルの高い芝居、全員の健闘が光る。福島雪菜は「演出家と劇団員一人一人、話し合って『こんなことを思ってたんだ』と気づかされました。共感できる、ビビッと感じる部分もあります」とコメント。うえきやサトシは「芝居のあとはミニライブがあります!初めてのライブ、曲だけをパーーンと出すので楽しんでもらえたら」とコメントしたが、このライブパートは応援グッズOKとなる。岡田帆乃佳は「生々しくって気持ちよくないかもしれないです。どう思われるのか不安ですが、楽しい。お客様との距離が深くなったら。自信を持って不安を楽しんでそれぞれの思いをぶつけられたら」と抱負を語る。
この2年で変わったことは?の質問が出た。うえきやサトシは「いろいろと辛いことや楽しいこともあった・・・・今回はすごいリアル感!これを伝える仕事、一役者としての責任感が強くなりました。外部の仕事をしている方もいていろんなところで力をつけています」と語り、福島雪菜も「私もずいぶん、変わったなと。大人になった。続けていきたいという気持ち・・・・みんなで闘志を燃やして(ちょっと涙)」といい、湯川玲菜も「一人一人の責任感が強くなった、頑張って行こうという気持ちが強くなった」と語る。中村碧十は入団時は高校生だったと言い「今まで人前でやることが好きじゃなかったのですが、今は人前に出ることが好きになった、自分の心が変わった」と語る。出だしは彼が最初、ここから舞台が始まるという大役をやりきっていた。前田悠雅は「みんな、垢抜けて自信につながっている、堂々とできるようになった」とコメント。最初の記者会見時のパフォーマンスから格段の成長が見られる公演、岡田帆乃佳は「日本一の劇団を目指したい」と大きく!しかし2年で劇団員が減っているのは事実。うえきやサトシは「今、劇団員で男子は5人」と言い「その人の人生、他のことをやっているのも応援したい」とコメント。そして「やめたメンバー、『4ドル50セントだった』と自信を持って言ってほしい」と語る。湯川玲菜は「この機会をいただいて自分ができる最大限のことを!思いを届けたい」とコメント。そして最後に湯川玲菜は「今までの自分たちのリアルな姿を披露できる物語です。『こういう人もいるんだ』『こういう考え方もあるんだ』と・・・・ポシティブに・・・・皆様に足を運んでいただいて・・・・見に来てほしいです!」と締めて会見は終了した。

 

<出演>
劇団4ドル50セント(湯川玲菜、前田悠雅、福島雪菜、谷口愛祐美、岡田帆乃佳、仲美海、立野沙紀、隅田杏花、田代明、樹亜美、堀口紗奈、乃々、中村碧十、うえきやサトシ)

【公演概要】
劇団4ドル50セント スマホドラマ『-劇場版-あなたがいなくて僕たちは』
日程・場所:2019年7月3日〜7月7日 原宿駅前ステージ
トータルプロデューサー:秋元 康
作・演出:山崎彬(悪い芝居)
監修:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
公式HP:https://www.4dollars50cents.com/