舞台劇「からくりサーカス」~デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)編~  抗えない運命、歯車が動き出す、そして戦う。

今年初演された舞台劇「からくりサーカス」の続編、デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)編が上演中だ。
莫大な遺産を相続したが故に親族から命を狙われた少年・才賀勝を守るために戦う拳法家の青年・加藤 鳴海(かとう なるみ)と人形遣いの女性・しろがねの数奇な運命を描いている作品。
物語の発端は200年前に起こっており、そこから現代に至るまでのエピソード、これは登場人物の視点で描かれている。過去のエピソードは物語の進行によって少しずつ明らかになっていくのだが、必ずしも時系列通りではない。
鳴海との別れをきっかけに物語は2つに別れ、勝としろがねは潰れかけのサーカスに身を置き、鳴海は人類に仇なすからくり人形との闘いに巻き込まれ、全く異なる2つの物語は交錯しながら一つに収束していく。
過去のエピソードにまつわる手掛かりは物語の各所に散りばめられている。また物語と観客をつなぐ役目をしているのはピエロ、こういった原作のスタイルを初演から舞台に生かしている。舞台は円形で客席がまるいステージをぐるっと取り囲む。客席も『作品』の一部となり、観客はこの物語の目撃者となる。通路もふんだんに使用し、『すぐそこ』でキャラクターたちが息づいている。
出だしは団長とグリュポンが登場し「舞台劇『からくりサーカス』、デウス・エクス・マキナ、機械仕掛けの神編、始まり、始まり!」と宣言してから始まる。舞台上で起こることは”パフォーマンス”、それから物語が動き出す。

主人公の才賀勝(深澤大河)、黒賀村で人形使いたちに取り囲まれる。のっけから衝撃、そして勝は次第に自分も知らなかった秘密を知るようになる。時間軸は行きつ戻りつ、で進んでいく。様々な企み、ゾナハ病の蔓延、「しろがね」の200年に及ぶ長い戦い、多彩な登場人物たちは数奇な運命をたどっていく。

原作もそうだが、伏線が張り巡らされ、また特殊な世界観、アクションシーンも多く、そして最終決戦に向けて全てが怒涛のごとくに突き進んでいく。
「幕間」と称してサーカス(物語)と観客(読者)をつなぐ役割をもった「ピエロ」が登場してそこまでの総括をし、次の幕での見どころに観客の注意を向けさせるが、舞台もそこは踏襲している。ここで観客は物語やキャラクターをもう一度振り返ることができる。ラスト近くのフェイスレス、その瞬間、彼の中で何かが変わり、何かがわかる。勝の思い、登場人物たちは数奇な運命に立ち向かい、抗おうとする。そこに葛藤が生まれ、打開、そして愛も感じる。ところどころでツケ打ちのような音が入り、『舞台劇』という雰囲気を醸し出す演出。

 ところでデウス・エクス・マキナは演出技法の一つで「機械仕掛けから出てくる神」、あるいは「機械仕掛けの神」などと訳される。由来はギリシャ語のアポ・メーカネース・テオスのラテン語訳。解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在が現れ、一石を投じて解決に導き、物語を収束させるという手法を指すが、これは悲劇にしばしば登場する。
 原作自体が『舞台』を意識、それの舞台化、シェイクスピアの戯曲のセリフが散見される原作、「この世は舞台なり――誰もがそこでは一役、演じなくてはならぬ」、ギイ初登場時のセリフであるが、これは「ヴェニスの商人」に出てくる。これに象徴されるように”からくりサーカス”は最初から『舞台』、登場人物たちは多かれ少なかれ『操られている』、また物語に出てくる黒賀村は奈良県にある村で伝統技能として人形操りが現代にも伝えられている。

ちなみにエクス・マーキナー(機械によって)とは、この場面において神を演じる役者がクレーンのような仕掛けで舞台(オルケストラ)上に登場し、このからくりが「機械仕掛け」と呼ばれたことによる。由来は、「機械仕掛けで登場する神」ないし、舞台装置としての解決に導く神そのものが機械仕掛けであることとも解される。
タイトルや登場人物の名前は演劇にゆかりのあるもの多く、特に自動人形などの名前にはコンメディア・デッラルテの役名が多く使われている。俳優陣の熱演、そして円形、全てが『正面』という緊張感、あらゆるところから舞台を見ることができる、この状況もこのコンテンツにはふさわしい。

<ストーリー>
己に課された運命と戦うことを決意した少年、才賀 勝、
しろがねとなりながらも自身の生き方を貫き自動人形と戦う青年、加藤鳴海、
数奇な運命に翻弄されながら、勝と鳴海により人間的な感情を取り戻したしろがね、エレオノール。
3人を取り巻く運命は200年前から始まる長い長い物語と複雑に絡み合い、加速度をあげてゆく。
ゾナハ病とは?しろがねとは?自動人形とは?
全ての謎、全ての想い、全ての記憶が収束する。
舞台劇「からくりサーカス」ここに完結。

【公演概要】

■タイトル:舞台劇「からくりサーカス」~デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)編~

■キャスト
才賀勝役 深澤大河
加藤鳴海役 滝川広大
エレオノール, アンジェリーナ,フランシーヌ,フランシーヌ役 大西桃香〈AKB48〉
エレオノール, アンジェリーナ,フランシーヌ,フランシーヌ役 飯田里穂

阿紫花英良役 健人
ジョージ・ラローシュ役 横井翔二郎※
ジョージ・ラローシュ役 山﨑晶吾※
ジョージ・ラローシュ役 松田周※
ギイ・クリストフ・レッシュ役 越智友己
あるるかん役 三枝奈都紀

白金役 小坂涼太郎
才賀正二役 横尾瑠尉
才賀貞義役 大崎捺希

パンタローネ役 塚本拓弥
アルレッキーノ役 松本寛也
コロンビーヌ役 花奈澪
ハーレクイン役 田中彪
カピタン・グラツィアーノ役 稲垣成弥
ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ役 田中尚輝
ディアマンティーナ役 鈴木桃子

フェイスレス役 村田洋二郎

グリュポン(声の出演)役 三浦海里

アンサンブル:うっちー/井上象策/渡邊太喜/柏木佑太/本多翼/金谷春来

※はトリプルキャストとなります。

■スタッフ
原作:藤田和日郎「からくりサーカス」(小学館 少年サンデーコミックス刊)
脚本・演出:村井雄(KPR/開幕ペナントレース)
アクション指導:下川真矢 (B.O.S Action Unity)
制  作:OfficeENDLESS
制作協力:上野志津華/來生藍
宣伝写真:渡邉和弘
宣伝美術:Flyer-ya
宣伝協力:TVアニメ「からくりサーカス」
Webデザイン:EAST END CREATIVE
主催:舞台劇「からくりサーカス」製作委員会(Office ENDLESS/ツインエンジン/ローソンチケット
■公演日程・会場
東京公演:2019年10月10日(木)~19日(土)/新宿FACE(全16公演予定)
新宿FACE 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-20-1 ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町7F
【チケット】
■チケット料金:
(1)全席指定9,000円(税込)
(2)最前列限定リングサイド席12,500円(税込)(非売品グッズ付き)
※会場にてドリンク代別途500円かかります。
■公式サイト:http://officeendless.com/sp/karakuri/
■公式Twitter:@karakuri_stage     ハッシュタグ:#舞台からサー
Ⓒ藤田和日郎・小学館/舞台劇「からくりサーカス」製作委員会