和田琢磨主演:オリジナル舞台「五右衛門マジック」幾重にもマジックとトリック、「本当の自分は?」そしてどんでん返しの先にあるものは?

磯貝龍乎が脚本・演出を手掛ける演劇作品の第3弾「五右衛門マジック」が上演中だ。
戦国時代、といえば下克上、天下取り、そんな混沌とした時代に現れた詐欺師と盗人、いかにもありそうな設定。しかし、普通に戦国時代をやっても面白くない!着ている衣装も時代など関係なく、奇抜なテイストのファッションに身を包んだ登場人物たち、この時代、誰にでもチャンスはある!そう思えば、才覚だけでも!「大物になリて〜んだ!」「誰にもできないことを!」、そんなことを大声で叫ぶ。今の時代ではなかなか叫べないが、ここは戦国時代、しかも『なんでもあり』だ、言ったもん勝ち。「ド派手に行こう!」と叫ぶ佐治(和田琢磨)。

しかし、当時の人気者は他にいた。出雲阿国(さかいかな)、彼女もなかなかの強者、手強い相手だ。そんな状況で・・・・・・国家機密を盗むことを思いつくのだが・・・・・。だいたいの流れはこんな感じだが、とにかく面白いことがしたい、天下が欲しい、他の誰にもできないことをやる、テンションMAXなキャラクターがところせましと暴れまわる。天下の大泥棒・石川五右衛門(山口大地)、鼠(末野卓磨)、そんな中、すでに天下人としてその名を轟かせている豊臣秀吉(篠原功)、したたかでクールな石田三成(小野健斗)、彼の部下である十手を手にした前田玄以(小沼将太)、平賀源大(松井健太)、これらの登場人物がそれぞれの思惑、そして企みを持って行動する。

単純なエンターテイメント時代劇ではなく、一種の演劇的な仕掛けや伏線を張り巡らせて物語は進行していく。誰と誰がグルなのか、誰と誰が敵対関係にあるのか、誰は誰を・・・・・そんなことを想像しながら観ていくと、「え?」「そうなんだ」という展開で片時も目が離せない。マジックとは魔術、手品、奇術の意味があり、冒頭で”なんちゃって”マジックを披露する。人を食ったような場面だが、これは後々の展開も人を食ったようなどんでん返しや意外性が出てくる。佐治の正体は?「この瞬間は本当の自分か、誰かを演じているのか」「本当の自分を生きているのか」、演劇は『誰か』が『誰か』を演じているわけだが、ここではそれを二重にも三重にも仕掛けてくる。今、目撃していることは?”なんちゃって”なのか”真実”なのか、その入れ子のような仕掛けに『マジック』を感じる。

日常生活でも人々は『何か』を演じている。『分別の良い、物分りの良い大人』なのか『誰にでも好かれる優等生』なのか、一体、本当の自分はどこにいるのだろうか?佐治の最後の”ネタバラシ”的な発言はなかなかにシニカルだ。ある意味、登場人物全員がマジシャン、客席の観客はマジックにかかった人々、と捉えることもできる。
出演者の熱演、主演の和田琢磨は軽やかにそしてケレン味たっぷりで『こいつ、何者?』な佐治を好演。一見熱い男に見える石川五右衛門演じる山口大地、佐治とのバランスもいい。また紅一点の出雲阿国役のさかいかな、妖艶でしたたかな阿国、これならみんな騙されそう(笑)、皆、適材適所な役所で、ここもポイント。濃密な空間のCBGK シブゲキ!!、面白くってちょっと考えさせられる、そしてエンターテイメント性たっぷりの1幕物の2時間10分、本当の”とんだ食わせ者”は誰なのか、マジシャンの奇術にまんまとはまって見るのも面白い。

ゲネプロ前に囲み会見が行われた。
登壇したのは脚本・演出 磯貝龍乎、和田琢磨(佐治役) 、山口大地(石川五右衛門役) 、小野健斗(石田三成役)。
主演の和田琢磨は「タイトル通り、2時間、一つのテーマパークの乗り物に乗っているような感覚を味わっていただけるような作品です。飽きることなく、ご覧になれます。いろんなところに仕掛けがあって、面白い要素も、心が動くような言葉もたくさん散りばめられている、見応えのある作品です」
山口大地は「奇術師と盗人が天下を変える物語ですね。仕掛けが多く、最後のどんでん返しが・・・・楽しみにしていただければ、です。龍乎くんが脚本でかなり笑いも秀逸で、その辺も楽しみで。たくさん笑って頂けるとありがたいです」とコメント。
小野健斗は「龍乎くんが脚本・演出で、最初に台本観たときは『どうなってんだろう』っていう部分が多かったのですが、それを具現化して立体化することによってマジックの種明かしのような現象が起きて、通し稽古が始まった時に『ものすごく面白い作品になるな』と・・・・なっている確信があります」と語る。
磯貝龍乎は「はい、みんなが言った通り、面白くしたい、仕掛けを・・・・・マジックっていうのは手品、っていうイメージがありますが、人の目を欺くとか、そういう意味も込められています。ヒューマンラブコメデイ・・・・(『ラブあった?』と声が・・・・・)この作品を通してラブの大切さ、命の儚さを(周辺は大笑い、『そんなに重いんか?』の声も)・・・・感じていただけたらと!最後まで楽しめる作品になっています」と語る。
キャストから演出の磯貝龍乎について和田琢磨は「こんなに明るい演出家とご一緒したのは初めてです!『それじゃあまいります〜、よいしょ〜!!!!』っていうのが楽しかった!すごい褒めてくれるんで!」と笑顔で。山口大地は「余裕がなくって切羽詰まって覚えて・・・・・みんなが『大丈夫だよ』って言ってくれる暖かい感じが心の支えになりました」とコメント。小野健斗は「今回のメインキャストが、ほぼ30オーバーですよ!一人だけ松井健太くんが22かな?一人だけ若い、あとは30オーバーですよ(笑)。なかなかそういう現場ってない。健太はほぼ初舞台ですが、その初々しさが(お兄さんたちに混じって大健闘!)・・・・・新鮮な気持ちに」と語る。磯貝龍虎は「キャスト様がユニークなので、稽古自体、楽しませていただきまして、一番面白かったのが、吉谷光太郎さんが・・・・・代役を一生懸命に、誠心誠意込めてやってくださって、胸が熱くなって、その次の日、熱が出ました(笑)。熱くなりすぎました」と笑う。
最後にPR。
「素敵なキャスト様に助けられて、みなさまに助けられて作品が出来上がりました。とても素晴らしいものに。最後まで楽しめる、何回見ても楽しめる作品です。みなさま、お楽しみに!」(磯貝龍虎)
「ちびっこから大人まで楽しめる。30オーバーの我々が誠心誠意込めて全力で頑張っていますので、その姿を一度観にいただけたらと思います」(小野健斗)
「何も考えずに、ただただ、楽しかったって言えるような作品に!戸谷公人さんの代役で入らせていただいたのですが、彼の思いも背負って舞台上に立って他のメンバーと物語を!台風もあります。ご足労いただきますが、しっかりと楽しんでいただけたらと思います」(山口大地)
「磯貝龍虎くんの演出で、すぐに『出させて欲しい』というお返事をいたしました。小野くんも山口くんもそうですが、何年か舞台を一緒に頑張ってきた仲間で、同世代の仲間で何か一つの作品を作れることは誇らしいこと。また、これを観たお客様、同世代の俳優の方々にも刺激になるような、一つの作品になればいいなと思っています。千秋楽まで楽しみたいと思いますのでお客様も隅から隅まで楽しんでいただけたらと思います」(和田琢磨)
和気藹々とした会見は終了した。

<ストーリー>
ただの詐欺師と盗人がこの町を変えるんだよ。
自分を偽り、あの時代を蘇らせるんだ!
時は戦国時代。 世に名を轟かす、二人のエンターテイナーが居た。 ひとりは幻術士、果心居士。そしてもう一人は天下の大泥棒、石川五右衛門。 五右衛門は重税に苦しむ町民のため、豊臣秀吉の暗殺を試みるも果心居士の策により、死罪。 だが、秀吉にその幻術の腕を恐れられた果心居士は、命を狙われて姿を消したー。
時は過ぎ、二人のエンターテイナーが消えた世界。 秀吉の治世に苦しむ人々は、更なる娯楽を求めていた。
とある見世物通り。 端正な姿ながらもどこか胡散臭さのある奇術師、佐治が路上パフォーマンスをしている。 そこへ、秀吉の片腕である智将・石田三成の部下、前田玄以と平賀源大が盗人を追って町へと駆け込んでくる。追われているのは方々で盗みを働く小平太と、その仲間、鼠。
捕まる寸でのところを佐治の奇術に助けられた小平太は、「自分と一緒に組んで一番のエンターテイナーになろう!」と佐治に誘われる。 佐治の提案は、“石川五右衛門”と名乗り、民衆の求めている活気あった時代に戻すべく、“救世主”として生きることだった。 二人は悪人から金品を盗んでは町民にばら撒き、着実にその名を上げていくが、当代随一のエンターテイナー出雲阿国には遠く及ばない。
阿国の人気を越えられず行き詰まる中、次のターゲットが決まる。 “国家機密”。ここから“情報”を奪う計画が始まるがー。

【公演概要】
日程: 2019年10月10日(木)〜10月20日(日) CBGK シブゲキ!!
<キャスト>
佐治役:和田琢磨
石川五右衛門役:山口大地 前田玄以役:小沼将太 鼠役:末野卓磨 出雲阿国役:さかいかな 平賀源大役: 松井健太
石田三成役:小野健斗/豊臣秀吉役:篠原功
池田謙信 山口渓 五十嵐胤人 千大佑
脚本・演出 磯貝龍乎
プロデュース 吉谷光太郎
音楽 ROU
主催 ポリゴンマジック
公式サイト: http://goemonmagic.com/
公式twitter: @goemonmagic
お問い合わせ:ポリゴンマジック 03-6447-4186(平日11:00~18:00) info@lobbystudio.jp
©ポリゴンマジック
文:Hiromi Koh