ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」”飛翔” そこにボールがあるから!飛べ、飛べ!どこまでも!

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」”飛翔”が開幕した。今回から新キャスト、そして新演出となっている。会場に着くと、セットにかなりの変更点がある。スクリーンの位置、中央に盆があったが、今回はない。そして始まった。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」の幕開きのあの言葉、これはこの作品の大きなテーマ、この言葉は変わらないが、皆、このハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」では”新”なので、その分、言葉に初々しさが感じられてフレッシュ。『どこまでも高く・・・・・』そして『ボールを落としてはいけない』のである。みんなでつなぐ、今までのキャスト陣からのバトンを受け取って、『どこまでも高く』そして『落としてはいけない』、シンクロしていくところが舞台のミラクルだ。

物語の幕開きはお正月、皆、おみくじを引いて一喜一憂。「神様にお願いしても試合に勝てるわけないじゃない」と清水潔子(大久保聡美)はきっぱり。気持ちはわかるが、言ってしまえば神様に頼んでもしょうがない(笑)、練習あるのみだ。ストーリーは軽快なテンポで進んで行く。清水潔子は烏野高校の排球部マネージャーであるが、同時に今回のストーリーテラーでもある。マネージャーは選手ではないので、一歩引いて彼らを見守るポジション、マネージャー職とこちらもシンクロ。激戦の末に白鳥沢高校を下し、宮城県代表の座をつかんだ。そんな彼らにある知らせが届いた。影山飛雄(赤名竜之輔)は全日本ユースの強化合宿。月島 蛍(山本涼介)には宮城県1年生選抜強化合宿にそれぞれに召集がかかったのだ。これは本人たちにとってはすごいことだ。才能、ポテンシャルを認められたということ。そんな彼らを祝福する気持ちもありつつ、内心焦る日向翔陽(醍醐虎汰朗)・・・・・・心はざわつく。焦る日向は、なんと宮城県1年生選抜強化合宿に押しかけるも、そもそも選ばれていないので、ポジションはない。鷲匠鍛治(川下大洋)から球拾いを命じられることに。それでも日向は帰らずに球拾いにモップがけをこなす。そして影山飛雄、月島 蛍、努力の甲斐あって成長して行く。一方の日向は・・・・・?そして影山は?というのがだいたいの流れだ。
球拾いをこなしていくうちに日向はあることに気がつく。いわゆる『外野』な位置にいることによってコート内のことが客観的に見られるようになってきた。そう、そこにうまくなれる、さらなる高みにいくための『宝』がそこに・・・・・。

オープニングでは過去作品を観劇したことのあるファンならちょっと懐かしい、そして『初めまして』の観客は作品の雰囲気をここでつかむこ
とができる。登場人物たち、皆、バレーボール、排球が大好きだ。そしてチームのために、勝利のために、””繋ぐのだ。そんな彼らの姿はまさに”青春”という言葉がふさわしい。そして彼らを見守る”大人”たち、日向は電話をかける、親ではない、烏養繋心(小笠原 健)にだ。そして烏養繋心、日向の心を受け止める。試合のシーンと比べると地味な場面かもしれないが、心通わせる瞬間はちょっと胸が熱くなる。「バレーボールって楽しい」と日向がいえば、影山は「ワクワクする」という。二人の置かれている状況は異なるも、成長し、友情も育む。そして2幕では伊達工業との試合、伊達工業の選手は大柄で、今、トレンドになっているラグビーの選手のようながっしり感が漂い、烏野高校のメンバーの前のに壁のように立ちはだかる。
試合のシーンはダンス、ラテンやストリート風、ヒップホップ風などを交えた独特なスタイル、単純に見えるようでいて、複雑なフォーメーションでダイナミックさと立体感を出す。ステップは比較的シンプルでシャッセなどを多用し、動きがスピーディでそれが試合の疾走感を出す。そこにバレーボールの動きを掛け合わせていく。またアクロバット的な動きも取り入れ、こういったところは見所となっている。音楽も軽快、明るい曲調が多く、作品の楽しさ、バレーボールの楽しさが十分に伝わってくる。俳優陣も元気よく、よく跳び、よく動き、しかもフレッシュ。日向翔陽役の醍醐虎汰朗は終始、元気いっぱいな主人公を演じ、影山飛雄役の赤名竜之輔は影山の悩みやトラウマを緩急つけて表現する。セットもシンプルで、枠組みのようなものがいくつか使用し、キャラクターの心情などをビジュアル的に表現する。また、以前のような八百屋舞台ではなくフラットであるが、その分、動きやすいのでフォーメーションの動きはやや早くなったように感じる。11月1日より12月15日までと長丁場であるが、怪我なく千秋楽を迎えて欲しい。

ゲネプロ前に会見が執り行われた。烏野高校のキャスト陣と演出のウォーリー木下。

「精一杯、頑張りたいと思います!お願いします!(他のキャストから『シンプル〜』という声が(笑))」醍醐虎汰朗
「今回初めてですが、キャスト一同いろんな方に助けられていいものができました!楽しみにしててください」赤名竜之輔
「8作目、今までのキャストの人たちの気持ちを背負って!精一杯!」山本涼介
「今までやってきたことを切磋琢磨して作り上げてきたものを!必勝できるように!」織部典成
「あとは本番!」鐘ヶ江 洸
「前しか見えない、後ろも見えない(笑)、行ってきます!」北澤優駿
「できることもできないことも・・・・引っ張られながら頑張ってきました。楽しんでいただけたら」中谷優心
「今までなかった役をやります」長田翔恩
「稽古期間、一丸となって・・・・挑んでいきます!感動を持って帰ってください」日向野 祥
「みんなで楽しんでいきたい」一ノ瀬 竜
「今日、11月1日、『ハイキュー!!』、40巻発売!この作品なら!みんなで乗り越えて」福田侑哉

そして改めて醍醐虎汰朗は
「前キャストから引き継いでいますが、全く同じものは生まれない、結構変わったところもありますが胸を張ってお届けできると思います」と力強くコメント。演出、ビジュアル面では、かなりの変更があり、映像は使用するものの以前とはちょっと異なった使い方をしており、斬新さも感じられる。スクリーンが動き、そこで変化も生まれる。そこに俳優陣の演技、皆、新しいキャストなだけに一種の勢いも感じられる。演出のウォーリー木下からは「代表に決定したあとで全国を目指す『前夜』で、新しいチームを作るところで、今とリンクしたものがあって、新しいものが生まれるなーという・・・・映像、振付、音楽も変えて、ビジュアルも・・・・『こういう切り口でできるんだ』という新しい発見があると思います」とコメント。映像演出、漫画の吹き出しなど、”そうきたか”感が!ここは必見。そして赤名竜之輔が「僕、虎汰朗のところに居候してるんです」と・・・・え・・・・?! 続けて「大阪出身なので・・・・マットレスはお母さんに送ってもらった」といい、そこで醍醐虎汰朗が「最初は床に寝てたよね」と(笑)。コンビの良さはここから?と思わせる発言。
最後に演出のウォーリー木下から
「『ハイキュー!!』8作目、今までの熱量を引き継ぎ、新しいキャストが新しい舞台を!応援よろしくお願いいします」
続けて醍醐虎汰朗が「幕が開きます。やれることは全力でやってきました!熱量を!楽しみにしてください!」と締めて会見は終了した。

【キャスト】
<烏野高校>
日向翔陽:醍醐虎汰朗/
影山飛雄:赤名竜之輔/
月島 蛍:山本涼介
山口 忠:織部典成
田中龍之介:鐘ヶ江 洸
西谷 夕:北澤優駿
縁下 力:中谷優心
木下久志:長田翔恩
澤村大地:日向野 祥
菅原孝支:一ノ瀬 竜
東峰 旭:福田侑哉/

<烏野高校 マネージャー>
清水潔子:大久保聡美
谷地仁花:山本樹里/

<烏野高校 顧問・コーチ>
武田一鉄:鎌苅健太
烏養繋心:小笠原 健/

<青葉城西高校>
金田一勇太郎:坂本康太
国見 英:神田聖司/

<白鳥沢学園高校>
天童 覚:加藤 健
白布賢二郎:佐藤信長
五色 工:菊池修司/
鷲匠鍛治:川下大洋/

<伊達工業高校>
青根高伸:新井 將
二口堅治:木村 敦
作並浩輔:廣野凌大
黄金川貫至:羽富琉偉/

<井闥山学院高校>
佐久早聖臣:つわぶき峻/

<鴎台高校>
星海光来:輝山 立/

<稲荷崎高校>
宮 侑:松島勇之介/

<新山女子高校>
天内叶歌:橋爪 愛

【公演概要】
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」”飛翔”
日程・場所:
<東京>
2019年11月1日(金)~11月4日(月・休) TOKYO DOME CITY HALL
<大阪>
2019年11月9日(土)~11月16日(土) 大阪メルパルクホール
<宮城>
2019年11月22日(金)~11月24日(日) 多賀城市民会館 大ホール
<東京凱旋>
2019年12月6日(金)~12月15日(日) 日本青年館ホール

原作:古舘春一「ハイキュー!!」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載中)
演出・脚本:ウォーリー木下
音楽:和田俊輔
主催:ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
(TBS/ネルケプランニング/東宝/集英社/キューブ)

公式HP:http://www.engeki-haikyu.com

(C)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会