《座談会》タクフェス春のコメディ祭!第3弾『仏の顔も笑うまで』宅間孝行、モト冬樹、肥後克広(ダチョウ倶楽部)、樋口日奈(乃木坂46)

2004 年に東京セレソンデラックスが上演したシチュエーションコメディ『Happy』が 16 年の時を経てバラエティ豊かなキャストとともに満を持しての待望の再演となり、 タクフェス春のコメディ祭!第3弾『仏の顔も笑うまで』として2020年の春に上演する。2年ぶりの春のコメディ祭り!、個性的なキャストが勢ぞろい!壮大なコント!コント!コント! 抱腹絶倒間違い無し!その“さわり”をちらっと!作・出演・演出の宅間孝行、そしてモト冬樹、肥後克広(ダチョウ倶楽部)、樋口日奈(乃木坂46)が集まり、作品の魅力やコメディについて、ワイワイ座談会!

「シチュエーションコメディということになってはいるのですがだんだんコントになってくる。「コメディ祭!」の流れに合わせたかったのもあるので、16年ぶりに『Happy』を再演してみようかな、と」(宅間孝行)

――数多くのシチュエーションコメディを手掛けてきた宅間さんですが、今回このタイミングで『Happy』を再演した狙いは何でしょうか。

宅間:僕は当時、コメディと切ない作品を交互にやっていた時期があったんですけれど、割と切ない方が「泣ける」と評判がよくて。そのためにそっちの方に偏っていてコメディをほったらかしにしていたんです。関テレさんと「コメディ祭!」を立ち上げた時に、もう一度コメディをきちんとやれたらいいなと思っていて。やはり僕にとってはどの作品も苦しんで作って思い入れがありますから……。ただ、『Happy』は特に“アホ”なんですよ(笑)。シチュエーションコメディということになってはいるのですがだんだんコントになってくる。「コメディ祭!」の流れに合わせたかったのもあるので、16年ぶりに『Happy』を再演してみようかな、と考えていました。

――タイトルを変えた理由は?

宅間:当時はコメディのタイトルは英単語一つだけ、というルールで決めていたんですが、今あらためてやる時に、芝居に沿ったタイトルをつけようということで“笑”という単語を入れました。

――キャスティングについては?

宅間:(モト冬樹さんは)切ない作品に出るタイプではないなって(笑)。
モト:俺は今、切ないけどね(笑)。
宅間:でも、前回出演の時に、モトさんが全部美味しいところを持っていって。ちょっと悔しいというか、イラッとした部分もあったんですけどね(笑)。モトさんやっぱり面白いよね、と評判で。今回コメディなので、存分に演じてもらおうかな、と。もしもつまらなかったらモトさんのせいです(笑)。肥後さんは小さいときからずっとテレビで観ていた印象があったんですが、実は年齢あんまり変わらなかった(笑)。そういう意味では大先輩です。コメディというと、キャスティングの時になるべく面白そうな顔が並んでいたほうが効果的なので、肥後さんいいんじゃないか、と声をかけました。樋口日奈さんは若いのにすごく頑張り屋なんです。それに、年齢に比べて大人っぽいところもあって。僕が若い時に作ってきた作品だと、その頃の年齢を中心に作ってきたものだから、自分ばっかり歳取って、同年齢の俳優さんだとマッチングしないんです。時にヒロインとの年齢差がどんどん離れていくのでとても申し訳ないというか、嫌な気分になる(笑)。なので若いのに大人っぽく見えるのがベストなんです。

――出演が決まったときの感想は?

樋口:毎年タクフェスのポスターを見ていました。私、レトロな雰囲気の世界観がとても好きで。マネージャーさんとも「いいよね」と話していたんです。今回、そのタクフェスへの出演が決まって嬉しかったし、いざ決まるとなるとそわそわして不安もあったりします。本格的なコメディは初めてなので……。何か勉強しなきゃ、といろいろな作品で予習しているのですが、みなさん本当に本気なんですよね。私も少しでも追いついていけるように頑張りたいなと思っています。覚悟しています!

モト:コメディということで、くだらないことを一生懸命やるのが好きなんですよね。前回(宅間さんと)一緒にやり取りする部分がありましたけれど、何を演じても受け止めてくれるんです。そういう意味ですごく楽しみで。嬉しかったですね。(タクフェスのコメディについて)本気度が別格ですよね。一生懸命、本気でやらないと逆に説得力がなくなってしまうから。コメディって軽い分、普通の芝居以上にやり込まないといけない。きつい稽古も乗り越えたいと思っています。

肥後:初めは「なぜ僕が?」という感想だったんです。もっと「お笑い芸人」というくくりでいえば喋りがうまかったり、演技経験が豊富だったりする人もいるのにな、と。僕はアツアツおでんくらいしかやってきてないですから(笑)。マネージャーからは「モト冬樹さんもいるから大丈夫ですよ」と聞いて、少し安心しましたが(笑)。いただいた台本を読んだらすごくおもしろくて、最初はモトさんのほうが風貌的に住職が似合うんじゃないかと思っていましたけれど(笑)。

「芸人さんがやる「お笑い」は「笑わせる」ものだけれど、俳優の場合は「笑われる」ところなので、全力でいくのはなかなか体力がいるところではあるんですよね」(宅間孝行)

――役の衣装を着てみた感想は?

樋口:ちょっと昔のお嬢様チックな髪型とメイクということで、衣装もカーディガンにブラウス。私の大好きな“昭和感”にあふれていて楽しみです。(銀行強盗役を見つつ)でも真っ黒でシンプルな方もいらっしゃるので、いろいろなキャラクターがいるのか、と思いました。
宅間:銀行強盗やっている時以外はすぐ違う衣装に切り替わるんです。16年前の作品なので懐かしいですね。ただ、ちょっと今は話せないですが、なんで『Happy』の再演を決めてしまったんだろう……と思っていたりします。僕が演じる役柄に関しては。コメディの方がパワーがいるので……。芸人さんがやる「お笑い」は「笑わせる」ものだけれど、俳優の場合は「笑われる」ところなので、全力でいくのはなかなか体力がいるところではあるんですよね。
モト:笑いはテンポも重要ですからね。いまのを聞いて逆に楽しみになってきました。僕は黒が似合うと自分で思っているので銀行強盗の衣装でも違和感ないです。銀行強盗でずっといるわけにはいきませんから、この他の衣装がどういうものなのか、楽しみですね。衣装ももちろん大事ですけれど、台本が面白いのでいい脚本に恥じない演技をしなきゃな、と思ってます。
肥後:住職の衣装を着ると気持ちもおだやかになりますね。衣装を着る時、まだ二人がかりでやらないといけないんですが、本番には一人で着替えられるようにしたいかな。

――銀行強盗コンビのやり取りが大きな見せ場になると思いますが、前回から引き続きモト冬樹さんが参加されていることについては?

宅間:その部分に関しては、若干自由にしようかなと考えています。そういう意味では前回もやっているし、気心の知れたモトさんが適任かな、と。セリフ通り全部きっちり作るよりかは、やりながら作っていくほうがやりやすいですから。
モト:舞台って、作品によっては台本がきっちりしていて、なかなか自分でできる部分が少なかったりするんですよ。今回は結構、余裕があるのでアドリブなど、自由にやれそうです。

「僕にとって『政治』ってコメディと重なる部分が多い」(宅間孝行)

――「タクフェス」の魅力とは?

樋口:舞台を観に来て、生でお芝居を観て笑ったり、悲しかったりとスッと入っていける部分があると思います。切ないシーンの時は自分と重ね合わせたり……。今回はコメディということで、私自身も人を笑わせようとなるととても大変だなって感じるんです。泣いたり怒ったりという感情は割と誰にでも共通する部分が多いですが、笑うポイントって全く人によって違うので。その点、たくさんの人に共感ポイントがあるので、観に来る人がいろいろな感想を持てて、いろいろな感情を楽しめるという点では素敵だなと思いました。
肥後:やっぱり宅間さんの計算されたシナリオだったり演出だったりというところももちろんあると思います。でもやはりそこは宅間さんの存在感が一番強いんじゃないのかな。そこに少しでも近づけたらいいな、と。
モト:『笑う巨塔』を観た時に、「みんな一生懸命だなぁ」と思っていたのですが、終わったあと更に踊っていたりして。これは自分がやったら死ぬなって(笑)。その時自分が出演したのはコメディではありませんが、一生懸命さは変わらなかった。全員が全力でやると舞台として心を打つものってあると思うんですよね。コメディでも何でも、一生懸命さって大事なんだなと思いました。

――今回の物語のテーマは?

宅間:僕の作品で、コメディだと必ず「政治家」が出てくるんですけれど。僕にとって「政治」ってコメディと重なる部分が多い。でも、この作品はお寺が舞台なんですけれど、お寺の前の蕎麦屋が立ち退きにあってしまうのでそれをやめてもらうように陳情するシーンがあるんですが、それも2004年当時の実際の出来事をモチーフにしていて。コメディなんですが風刺のような、若干のペーソスを入れています。そんなところもチェックしていただきつつ、大いに笑っていただきたいと思います。ぜひ、劇場へ!全力でコメディ!

――ありがとうございます。公演を楽しみにしております。

<キャスト>
宅間孝行 モト冬樹 / 水 夏希 / 樋口日奈(乃木坂 46) 八木将康(劇団 EXILE)
鈴木裕樹 越村友一 外岡えりか 横山 涼 /
秋本奈緒美 肥後克広(ダチョウ倶楽部)

【公演データ】
公演タイトル:
タクフェス春のコメディ祭!第3弾『仏の顔も笑うまで』
日程・場所:
2020年4月22日(水)~29日(水・祝)
東京都 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール

2020年5月9日(土)・10日(日)
愛知県 御園座

2020年5月14日(木)
岩手県 北上市文化交流センター さくらホール大ホール

2020年5月16日(土)
福島県 けんしん郡山文化センター 中ホール

2020年5月20日(水)~24日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

公式HP:http://takufes.jp/hotoke/
公式ツイッター:https://twitter.com/TAKU_FES_JAPAN
撮影:金丸雅代
取材:Hiromi Koh
構成協力:佐藤たかし