《緊急コメント》4月17日より!いよいよ始まる遠隔演劇!全公演イイネ(言い値)!「メル・リルルの花火」 9日間で紡ぐノーアングル「NINE LIVES STORY」おぼんろ主宰 末原拓馬

ーー前代未聞の”遠隔演劇”上演に大きく舵を取った劇団おぼんろ。主宰の末原拓馬さんから緊急コメント!どういう経緯で考えたのか、どんなことをするのか、どんなワクワクがあるのか、そんなあれこれを速攻でお伺いしました!ーー

ーー新型コロナウイルス感染症で劇場が閉鎖されていますが、この状況から今回の決断に至った経緯をお願いいたします。

末原もしかしたら通常通り公演ができないかもしれない。その可能性が出てきた時、劇団員で話してまずみんなで確認しあったのが「何があろうと誰も傷つかない選択をする」ということでした。それは劇団員全員の共通の思いでした。
 3月中旬。僕らはひとつの決断をしました。それはお客さんを劇場に呼ばずに物語を届けること。「マルチアングルサテライト生上演」と名付けたその上演方法は、劇場のロビーや楽屋も全て使って語り部(出演者)が同時多発的に分岐する物語をつむぎ、登場人物たちがもつカメラの映像ををお客さんが自分の端末で切り替えながら物語に参加する、というものでした。全く新しい演劇の形。一気にカンパニーの士気があがり、僕らは半月ほど、初めての手法を実現させるべく奔走しました。
 しかし4月に入り状況は変化していき、いよいよ出演者・スタッフが稽古場に集まることにも疑問がでてきました。再び選択を迫られましたが、中止の選択肢はありませんでした。「4月17日からの日々をともに過ごす」という観客との約束だけは何があっても絶対にを守る、そのためにはどうすべきかと悩みました。そして僕は誰もが安全に、世界中どこにいても物語に参加できる方法にたどり着きました。それは出演者・スタッフ・観客が一切集まらずに物語を紡ぐというものです。突拍子もない漫画的な 観客を劇場に招くことを諦めるのも、劇場を使用しての上演をあきらめるのも、とても悔しいことでした。でも、悔しいことが大手を奮ってまかり通っている世界で遊びを提案するのがエンターテイナーのするべきことだと思いました。

ーー通常は俳優・スタッフ・観客が劇場に集まるのが『演劇』ですが、具体的にはどのような方法で『演劇』をお客様に観ていただくのでしょうか?実験的な公演なので、公演形態をどう表現するかが難しいところかと思います。

末原僕らが大切にしているのは「同じ時間、同じ場所で物語を共有する」ということです。だから2回上演方法を変えましたが、生(ライブ)であることには特にこだわりました。場所については、新宿FACEから地球全体に広がっただけで、僕らは衛星を通じて変わらず相手の呼吸やエネルギーを感じることことができます。60人の小劇場でも3000人の大劇場でもおしなべて”同じ場所で物語をした”と言える僕らだから、地球という大きめの場所においても、”同じ場所で物語をした”と言えると思っています。
 先ほどお話したように、具体的には今回・出演者・スタッフが一切集まらずにできる上演スタイルに変更しました。通信技術などを用いて、語り部がそれぞれ別々の場所から物語をつむぎ、それを参加者(おぼんろでは観客のことをそう読んでいます)のみなさんはご自宅のPCやスマートホン、タブレットなどを用いて受け取って、ご自身だけの「客席」でお楽しみいただくということになります。 最終的に僕らは、一番純度高く物語を贈ることのできる手法として、「音と想像力」を武器に選びました。中途半端な視覚情報をこちらから提供するよりも、物語内の景色に関しては参加者の「想像の実力」に委ねてしまおうと思ったのです。
成功するもしないも参加者次第という勝負に出るのは大博打ですが、こんなことが成功するということ自体が物語めいていて、そしてその物語は、こんなときだからこそ信じてみたい物語でもあります。 朗読劇的な手法ですが、このスタイルに特化させるために物語の内容と演出を構築し直しました。なので、正確には「機械の中から通信を受け取っている私」という物語です。言いようによっては、出演者は「参加者のあなた」だけ、とも言えますし、共演者は世界中の、同じように参加している誰か、とも言えます。なので、いつにも増して、受け取りてそれぞれの物語があるのではないかと想像しています。

 そしてもう一つこだわったことが、「メル・リルルの花火」を9日間全14話にわり届けるシリーズものへ変更したことです。「続きはまたあした」を合言葉に、1ステージずつ物語が進んでいきます。「ここから物語はどうなるのか」そんなことを考えながら毎日を少し、未来というものにワクワクする時間が、今の僕らには必要に思います。僕らはそれを「NINE LIVES STORY」という名前をつけました。9日間物語をするのでそう名付けましたが、「NINE LIVES」は英語の慣用句で、不滅を意味すします。「物語はどんなときでも不滅である」今回の公演でそんなことを証明したいという願いもありますし、「物語を信じた9日間を過ごす僕たち」という物語が、生涯忘れ得ぬものになればとも思っています。

また、今回全公演を『約束付きイイネ(言い値)公演』に変更しました。基本入場無料。公演に参加したあとにそれぞれが好きな金額を0円から∞円まで払う投げ銭スタイルです。「マルチアングル」をやろうと決めたときは、僕はふつうの公演のときと値段を変えないでいく、と豪語していました。それは、いつもどおりであることが大切だと思ったし、なにより、作品的に値段を安くする理由が一つも見つからなかったです。それから一ヶ月、世界のみんなが想像以上にしんどい思いしてるように思ったので、9日間がより楽しくなるようにと、この公演を、贈り物にすることにしました。まあ…とてつもない予算がかかっている公演ではあるので、周りのみんなは頭を抱えていますが、想いも受け取れる分、僕はうれしいんです。昔からおぼんろは、言い値公演のときのほうが通常よりたくさんお金が集まったりするんです。赤字は、長生きして取り返していこうね、なんて笑い合ってます。

今回2回の大きな舵をきったことで、本来なら創作する予定のなかった素晴らしいアイデアや作品が生まれました。その中でも語りとサーカスを融合した『ペズロウの幽霊たち』がこの世に生み出せたことを本当に誇りに思っています。物語の舞台となるペズロウという村にまつわるアナザーストリーで、今回本編と合わせて二本立てでお贈りすることとなりました。物語とサーカスの融合、スタッフも遠隔で参戦してくれて、新たな作品が完成しました。あまりに良いものができたので英語翻訳も載せ、この物語がどうか世界に羽ばたいて欲しいと心から願っています。

ーー17日から開始ですが、観てみようと思っているお客様に向けてメッセージをお願いいたします。

末原これまでに出会ったことのあるあなたには、ただただ、再会を心待ちにしていることを伝えたいです。みなさんのおかげで今日まで僕らはやってこれたし、みなさんの顔を思い浮かべながら想像することで、何があってもくじけないでいられました。言葉では言い尽くせないほどの感謝を抱いています。初めて出会うかたも多いかと思いますが、どうかこの出会いが、これから長く長く続く関係性の始りの瞬間であればと願っています。 この9日間が、ともに過ごす僕らにとってかけがえのないものであり続けますように。 なんだか大きな風呂敷を広げたようなかたちになってしまいましたが、その実、あんまり気張らないでただただ遊びたいと思ってます。広げた風呂敷の上で寝転んだりしながら桜見上げるくらいのスタンスで過ごせたらと想います。「なんだかんだ、花より団子だよね」なんて、ケラケラ笑いながら。 元気でいましょうね。 キンキラキンのラブをあなたに。

〈みどころ〉
新型コロナウイルス感染拡大により公演中止・延期を迫られるも、お客さまに物語りを届けるため超短期間で二度の上演形態変更をした劇団おぼんろ。その不屈の精神がエンタメ界と自粛生活で疲弊した人々に希望を与えている。

<概要>
●新型コロナウイルスの影響で、延期・中止が求められている「演劇」。
●その中で中止ではなく2度の大きな上演形態の変更をし、上演を決断。
●おぼんろの主宰/脚本/演出の末原拓馬は鹿児島出身。
●出演者、スタッフの身の安全を守りながら、物語りを届けるという新たな挑戦。
●「物語を誘い込め」を合言葉に、音と語りを頼りに人々の想像力によって物語りを創りあげる「ノーアングルサテライト生上演」
●全公演イイネ(投げ銭)公演に料金システムを変更
●9日間かけて1つの物語を紡ぐ「NINE LIVES STORY」
●新型コロナウイルスによる外出自粛生活・ストレスのたまる日々に疲弊してきた人々に「武器を持つ代わりにみんなと手を繋ぐような優しい勇者」「この約束は救いだ」「唯一の希望だ」と勇気を与える

<シアターテイメントNEWSインタビュー:作・演出:末原拓馬&ホリプロインターナショナル プロデューサー 金成 雄文>
https://theatertainment.jp/japanese-play/48151/

・当初の宣伝用動画
https://youtu.be/-YC0Q5pPTw0

・マルチアングル上演決定の際の動画
https://youtu.be/Ibri4rViO90

・末原単独インタビュー
https://youtu.be/4cEe4dgezrM

・ノーアングルサテライト生上演決定の際の動画
https://youtu.be/ujWCTyh56_I

【新型コロナウイルスによる上演形態変更の経緯】
2019年春  公演準備開始(ホリプロインターナショナルと共に準備を進める)

2019年12〜2020年2月 ビジュアル撮影、スタッフ打ち合わせ、劇場下見等

2020年3月上旬 新型コロナウイルスの感染拡大を受け劇団緊急会議

2020年3月10日ごろ
上演形態変更(1)
・感染リスクを考え観客を劇場に呼ばずに上演をすることを決定。
・配信技術を駆使することで、世界中どこにいてもその時間に物語りに参加できる「サテライト生上演」をという新たなスタイルを考案
・観客が自分で複数台のカメラを切り替えてみることができるマルチアングルシステムを導入。
・同時に複数の物語が展開する中、好きなカメラを選択し、出演者と同じ目線で物語に没入できる新しい試み。
「お客さんの命を守る決断」に賞賛の声。
しかし新型コロナウイルスはさらに猛威をふるい…

2020年4月3日 外出自粛要請が出される
人が集まる稽古と打ち合わせを中止

2020年4月7日 緊急事態宣言が発出
上演形態変更(2)
出演者・スタッフが一切集まらずにできる上演スタイルに変更
全員それぞれ別々の場所から配信に臨む。
・「メル・リルルの花火」を音と語りを頼りに想像力で楽しむ「ノーアングル生上演」へ変更
1つの物語を9日にわたって届けるシリーズものへ。1ステージずつ物語が進んでいく「NINE LIVES STORY」
・全公演を『約束付きイイネ(言い値)公演』に変更
語りとサーカスを融合した『ペズロウの幽霊たち』の同時上映も決定

この告知が「おぼんろが強すぎる」「物語が始まる前から、何度驚かされるんだろう」「武器を持つ代わりにみんなと手を繋ぐような優しい勇者」「この約束は救いだ」と多くの反響を呼ぶ。

お客さんからの反応まとめ:https://togetter.com/li/1493993

【遠隔演劇!「メル・リルルの花火」】
9日間で紡ぐノーアングル「NINE LIVES STORY」
〈出演者〉
[劇団員]末原拓馬 さひがしジュンペイ わかばやしめぐみ 高橋倫平
[ゲスト]黒沢ともよ 田所あずさ ほか
[ムーブメントアクター]渡辺翔史 山城秀彬 堀田聖奈 坂井絢香 miotchery 権田菜々子

公式HP:https://www.obonro-web.com/16-1