ひとりしばい vol.1 荒牧慶彦「断-DAN-」人は一人になった時、自分しかいない時、閉ざされた空間でどうするのか

新型コロナウイルスの影響により、大小問わず様々な演劇の興行が中止になっている中、最大限「NO!!3密」を意識した上で、「キャスト・スタッフらに活動の場を作りたい!」「舞台に立つキャストの姿をお客様に観てもらいたい!」という想いから講談社とOffice ENDLESSの共同プロジェクトで実現した演劇配信『ひとりしばい』。その第1弾として、「vol.1荒牧慶彦」。タイトルは「断-DAN-」。

新型ウイルスの感染が広がり、自粛や外出禁止令が出された日本。これは、今の日本なのか、近未来なのか、架空なのか、定かではない。主人公は父親・兄とうまくいってない様子、その父親・兄はいわゆる”成功者”。そして、誰かの財布を拾った、そこに入っていた伝票に記載されている電話番号に電話をする。彼は何をやろうとしていたのか、何者なのか、次第に見えてくる。緊迫感、彼の考えと正義と孤独。人は一人になった時、自分しかいない時、閉ざされた空間でどうするのか、カメラ12台が追う。画面には荒牧慶彦しかいない。しかし、電話をしたりすることによって一人ではなくなる、人は誰か他者を求める。政治に、社会に、自分に対しての不安、それは不満となり、それをどこに、どうぶつけていくのか、その過程はスリルに満ちている。閉塞的で、どうにもならない世の中、そこに新型ウイルスという見えない敵は、ただ、ただ恐怖だ。「断-DAN-」、断絶、断定、断罪、様々な”断”を連想させる。そして、ラスト近く、思わぬことが起こる、それは”ここ”ではなく・・・・・・主人公は狂気とも思える状況に陥っていく。荒牧慶彦が渾身の演技を見せる。彼から発せられたセリフは文字数にするとおよそ12000W、上演時間はだいたい50分ほど。映像であるが、映画とは言えないリアルな、演劇的な空気感と熱量。まだまだ実験段階的な要素があるが、表現の、アートの可能性を感じる時間であった。

【タイトル】ひとりしばい vol.1 荒牧慶彦
【公演日程】2020年6月27日(土)17:00~
【出演】荒牧慶彦
【作・演出】岡本貴也

【タイトル】ひとりしばい vol.2 小澤 廉
【公演日程】2020年6月28日(日)17:00~
【出演】小澤 廉
【作・演出】川本 成

【タイトル】ひとりしばい vol.3 北村 諒
【公演日程】2020年7月4日(土)17:00~
【出演】北村 諒
【作・演出】西田大輔

【会場】Zoom
【チケット料金】各回3,000円(税込)
【主催】舞台「ひとりしばい」製作委員会
【企画・制作】講談社/Office ENDLESS
【公式HP】http://officeendless.com/sp/hitorishibai
【公式ツイッター】 @hitoshiba2020 ハッシュタグ「#ひとしば」
(C)舞台「ひとりしばい」製作委員会
文:高 浩美