PARCO劇場オープニングシリーズ『ゲルニカ』9月4日いよいよ開幕!

PARCO劇場オープニングシリーズ『ゲルニカ』が9月4日いよいよ始まる。栗山民也が上演を熱望した作品に上白石萌歌ら俳優陣が集結し、フォトコールと会見が行われた。フォトコールは1幕の後半を30分ほど公開された。

拘束されかかるヒロイン・サラ(上白石萌歌)、内戦は日常をなくしてしまう。

そしてヒロインの母・マリア(キムラ緑子)は娘を叱るが、女中を娘の代わりに鞭打つ。照明で十字架を見せる象徴的なシーンだ、ヒロインと恋に落ちるイグナシオ(中山優馬)、実はドイツのスパイという設定だ。それから二人の記者、クリフ(勝地涼)とレイチェル(早霧せいな)のシーン、ぶつかり合う。最後、1幕の幕切れ近く、登場人物が一列に並ぶ重厚なシーン。30分ほどのフォトコールはこれにて終了した。

 

〜会見の輪郭〜
このフォトコール後に会見。
登壇したのは上白石萌歌、中山優馬、勝地涼、早霧せいな、キムラ緑子。その前に主催者から公演スケジュール、また作品についての説明があった。
栗山民也が20年以上かけて構想、力のこもった作品、それはフォトコールでも十分に表れていた。
そしてまずは挨拶。
「いつも以上に!」(上白石萌歌)
「幕が降りるまで気は抜けません!」(中山優馬)
「この作品の幕が上がるのが嬉しい、皆さんに伝えられるように」(勝地涼)
「さらに身の引き締まる思いです」(早霧せいな)
「来てくださるお客様は本当にありがたいです」(キムラ緑子)

それからMCの質問にキャストが答える形式で進行。
上白石萌歌は栗山民也作品初参加。「卒論も栗山さんでしたので、栗山さんとご一緒するのが長年の夢でした。憧れの方です。いつかご一緒したいと思っていましたが、もっと先になるかと思ってたので嬉しいです。思っていた以上に柔らかい方で、おせんべいをくださって(笑)、柔らかく、でも鋭く『こうしたらよくなる』と言うことをわかりやすく伝えてくださる。最後まで栗山さんの言葉だけを信じて!」としみじみ。

中山優馬が演じる役は実はドイツのスパイという難しい役、「人間性溢れる青年です。若さにパワーが秘められています、サラちゃんとの関係性、恋愛、若さ、心の動きを意識しています。一人のシーンが多いですね、3ページぐらい、自分との戦い・・・・・見せ場は・・・・・・ないです、全部です(笑)」とコメント。

勝地涼はピカソに実在の人物がモデル、「ゲルニカってピカソが描いた絵っていうぐらいしか知りませんでした。スペイン内戦、戦時中それまでの日常が描かれているのですが、「そこがスパッと切れてしまう、作品の背景を知らなくても『沈黙は罪人だ』このセリフ、今の日本・・・・・心に刺さりました」と語る。

早霧れいなは「事実を正確に伝える、という正義感のある女性ですが、どこか不器用なところがあります。クリフとレイチェルは記者同士だからこそぶつかり合う、でもそれは尊敬しあい、信頼関係があるから、ぶつかり合うんですね。そして私たちはクリフとレイチェル以上の信頼関係を重ねていると思いますが、これをさらに、さらに深めていきたい(と勝地涼を見る、勝地涼、笑う)」

また、キムラ緑子は新しくなった劇場について尋ねられた。PARCO劇場には何度も立っているが、新しくなってからは、もちろん初めて。それについては「全然違う劇場になっていました、他畳の部屋があったなと…… 今は窓から渋谷の街が見えてでもすごいです!渋谷の真ん中で!すごいパッションでないと!もう、(ここでは)演劇しかありえない!若者が闊歩している街でやってるんだなと」と身振り手振りで説明。そして役柄については「サラの母親・マリアで領主の妻です。栗山民也さんとは何度もご一緒してます。ヒロインはイプセンの『人形の家』のような存在。(マリアは)それを圧していく存在です。1930年頃のことなので、想像することが多すぎて!でも、今の日本、今の自分、作品を見ると考えさせられます。千秋楽までどんどん勉強したい」と語る

最後にPRタイム!
キムラ:「PCR検査もめちゃくちゃやりました!エレベーターを消毒して!除菌して(と言いながら歩き回る)、体温を毎日測って!真剣に万全の体制です!安心してお越しください!」
早霧:「人と人の距離はソーシャルディスタンスですが、芝居は濃密です!」
勝地:「この作品で僕らも成長しています、僕もいろんなことを感じています。ぜひ!」
中山:「素晴らしい作品です。希望とか運命とかは科学的に証明できないものをお届けできる、それを兵器という科学的なもので壊されます・・・・劇場で待ってます!」
上白石:「80年前の出来事と今のコロナ禍、目に見えない敵、不安と戦うことはどこか通じるものがあります。『ゲルニカ』のイメージは苦しい、とかかもしれません。でも苦しいことでも抗って希望を目指していく人の営みが丁寧に描かれています。難しいことは考えずにぜひ、劇場へ!」

コロナ対策はやれることは全てやる、アルコール消毒は手はもちろん、靴底も除菌。体温チェック、席は一つずつ空けて座る。見えない新型コロナウイルス、そしてスペイン内乱を描いた「ゲルニカ」、極めて今日的な作品に違いない。

 

<公演概要>
PARCO 劇場オープニングシリーズ『ゲルニカ』
東京公演:2020年9月4日(金) ~ 9月27日(日) PARCO劇場
京都公演:2020年10月9日(金) ~ 10月11日(日) 京都劇場
新潟公演:2020年10月17日(土) ~ 10月18日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
豊橋公演:2020年10月23日(金) ~ 10月25日(日) 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
北九州公演:2020年10月31日(土) ~ 11月1日(日) 北九州芸術劇場 大ホール

作:長田育恵
演出:栗山民也
出演:上白石萌歌、中山優馬、勝地涼、早霧せいな、玉置玲央、林田一高、後藤剛範、松島庄汰、谷川昭一朗、石村みか、谷田歩、キムラ緑子

企画・製作:パルコ

公式HP:https://stage.parco.jp/program/guernica/

取材・文:高 浩美