劇団青年座第 243 回公演 『ブルーストッキングの女たち』9月26日より上演

「原始、女性は実に太陽であった」 真っすぐに社会と向き合いながら、女としての生き方を追求した女性たちの物語。

<『ブルーストッキングの女たち』上演にあたって>
青年座は4つの柱を立てて演劇活動を行っている。
(1)実績劇作家の新作書き下ろし
(2)新進劇作家の新作書き下ろし
(3)現代海外戯曲の上演
(4)既成作品の上演

今回上演の『ブルーストッキングの女たち』は「既成作品の上演」枠として検討、女優たちの圧倒的な支持をもって決定したそう。
また2020年は既に3本の宮本研作品の上演が予定されていたことも大きな要因である。 1月青年座『からゆきさん』、4月新国立劇場『反応工程』、6月新劇交流プロジェクト『美しきものの伝説』。(新型コロナウイルスの影響で、『反応工程』、『美しきものの伝説』は中止) 『ブルーストッキングの女たち』は『美しきものの伝説』と対を成す作品。 『美しきものの伝説』の初演は1968年(文学座)。そして『ブルーストッキングの女たち』は 1983年(三越劇場)初演。 宮本研は『美しきものの伝説』を踏まえたところで本作品を書いている。 劇の時代はともに大正元年/1912年から始まり大正12年/1923年で終わる。 『美しきものの伝説』の終幕、クロポトキンが語る。
「ベル・エポック。……考えていたんだが、この大正という時代、のちになったら、 みんながそういうだろうね。……のどかな……じれったいほどのどかな、美しい、 いい時代だったとね。……つらい。何が、よき時代なものか。」
1910年、大逆事件の摘発以来1919年までの間は、「社会主義者の冬の時代」と言われた時代、その時代を『美しきものの伝説』では売文社を舞台に、四分六(堺利彦)、 クロポトキン(大杉栄)、暖村(荒畑寒村)、幽然坊(辻潤)、先生(島村抱月)、早稲田(沢田正二郎)、音楽学校(中山晋平)、学生(久保栄)たち男たちの目線で描き、『ブルーストッキングの女たち』は、青鞜社を舞台に、らいてう(平塚らいてう)、市子(神近市子)、紅吉(尾竹紅吉)、保子(堀保子)、野枝(伊藤野枝)、松井須磨子、ミツ(辻美津)たち女の芝居として描いている。
女たちは「冬の時代」と言われる中でも、真っすぐに社会と向き合いながら、女としての生き方を追求。その激しさ、潔さこそが今を生きる女優たちを魅了する。 野枝・田上唯、らいてう・遠藤好、紅吉・世奈、市子・小暮智美、保子・森脇由紀。 青年座の次代を担うこの女優達が劇の骨格をなす5人の役を担う。 その女優たちを津田真澄、佐藤祐四、五十嵐明、石母田史朗たちが支え、コロナ禍の今を生きる人たちに力を与えていく。 演出の齊藤理恵子はその5人の登場人物を寺田鉄生作曲による「五色の音楽」で音楽性豊かな舞台へとつくり上げる。

<キャスト>
らいてう=遠藤好
市子=小暮智美
紅吉=世奈
保子(大杉栄の妻)=森脇由紀
ミツ(辻潤の母親)=津田真澄
野枝=田上唯
松井須磨子/ノラ=坂寄奈津伎
島村抱月/森憲兵曹長=五十嵐明
辻潤=松田周
荒畑寒村=桜木信介
奥村博/当番兵=古谷陸
大杉栄=石母田史朗
甘粕憲兵大尉/ヘルメル=小豆畑雅一
尾行警官=佐藤祐四
メゾン鴻巣の女給/日蔭茶屋の女中お源/リンデ夫人=万善香織
魔子/女中=橋本菜摘

<物語>
「原始、女性は実に太陽であった」
1911年明治44年
平塚らいてうの創刊の辞を掲げ 女性だけの文芸誌「青鞜」は立ち上がった
翌1912年大正元年ものがたりは野枝がらいてうを慕い九州から上京、青鞜社を訪ねてきたところから始まる。
ここには女性の解放と自由を求める「新しい女性たち」が集った。
彼女たちはそれぞれの信念に従いその生を激しく燃焼させた
―――相寄る二つの魂 桜の花が散り急ぐ中、野枝は無政府主義者大杉栄のもとに走った。
貧乏と官憲に監視される日々それでも二人の生活は充実していた。
そんな折、甘粕憲兵大尉から呼び出しがかかった―――
<プロフィール>
[作者:宮本研 みやもと・けん]
1926 年熊本県生まれ。父の仕事の都合で中学生まで中国北京で過ごし、1944 年に帰国。九州 帝国大学経済学部卒業後、大分商業高校(現・大分第二高校)で教鞭をとる。演劇部を設立して指導するが、1年余りで退職し 1952 年法務省に勤務。1957 年法務庁在職中に、自立劇団「麦の 会」を結成し、『僕らが歌を歌うとき』を執筆。労働者自身による自立劇団再建の担い手となった。 1962 年、法務省を退職し、職業劇作家となる。舞台だけでなく、ドラマや映画の脚本も手掛けた。 戦後三部作と呼ばれている『反応工程』、『日本人民共和国』、『ザ・パイロット』、そして革命伝説 四部作『明治の柩』、『美しきものの伝説』、『阿Q外伝』、『聖グレゴリーの殉教』など 1970 年代前 半までの作品の多くは、革命運動の中の革命党、革命指導者と民衆の矛盾を描くことが多かった。 1970 年代後半以降は、『からゆきさん』など男性と女性の関係を指導者と民衆の関係に見立て、女性を描くことが多くなった。大逆事件後の大正期知識人群像を描いた『美しきものの伝説』など、 その作品は21世紀の今日まで繰り返し上演されている。『日本人民共和国』、および『メカニズム作戦』の二作で岸田戯曲賞、『明治の柩』で芸術祭奨励賞脚本賞を受賞。

[演出:齊藤理恵子 さいとう・りえこ]
日本大学芸術学部演劇学科演出コース卒業後、2000 年劇団青年座文芸部に入団。 劇団内外の芝居、ミュージカル、オペラの演出助手をつとめる。 主な演出作品として、
2018 年『ぼたん雪が舞うとき』A組(作=高木達)[青年座]
2016 年『人類最初のキス』(作=コ・ヨノク)[青年座スタジオ公演]
2015 年『第十七捕虜収容所』(作=D.ビーヴァン&E.トルチンスキー)[青年座スタジオ公演]
2010 年『月が水面に忍び来るがごとく』(作=コ・ヨノク)[青年座スタジオ公演]
2009 年『僕らは生れ変わった木の葉のように』(作=清水邦夫)[文化庁・次世代を担う演劇人育成公演]
2005 年『レインディア・エクスプレス』(作=成井豊)[文化庁・次世代を担う演劇人育成公演] などがある。

<公演概要>
日程・会場:2020年9月26日(土)~10月4日(日) 東京芸術劇場シアターウエスト
入場料(全席指定・税込)
一般前売 5,500 円(当日 6,000 円)
初日割引[9/26]4,000 円(当日共に)
U25(25 歳以下) 3,500 円※ U18(18 歳以下) 2,000 円※
グループチケット 18,000円(同一日4枚のチケットをご用意)※
※青年座のみ取扱い・U25 と U18 は当日受付にて身分証提示

●チケット取扱い
劇団青年座=0120-291-481〈チケット専用 11:00~18:00 土日祝日除く〉
青年座 HP=http://seinenza.com
チケットぴあ=0570-02-9999【P コード:502-477】
東京芸術劇場ボックスオフィス
=0570-010-296〈休館日を除く 10:00~19:00〉
=https://www.geigeki.jp/t/
Peatix=http://bluestocking2020.peatix.com