舞台『弱虫ペダ ル』 新インターハイ篇 〜箱根学園王者復格(ザ・キングダム)〜

大人気舞台『弱虫ペダル』の新作公演舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~箱根学園王者復格(ザ・キングダ ム)~現在、東京公演疾走中だ。

今作で描かれるのは、インターハイ1日目に全てのゼッケンを獲得し王者復格を狙う箱根学園と、挑戦者として闘う総北、京都伏見の熱い戦いが繰り広げられるインターハ イ2日目。アニメもちょうどインターハイ2日目、アニメと見比べてみるのも一興だ。今回、新キャストとして今泉俊輔役の猪野広樹、鏑木一差役の原嶋元久、黒田雪成役の伊藤澄也、真波山岳役の杉山真宏が加わり、パワーアップ。

開演前はあの曲、小野田坂道のお気に入りのアニソンから始まる。楽曲の音がだんだん大きくなって幕開きとなる。パズルライダーが登場し、セットの坂を動かす。真波山岳と小野田坂道のデッドヒートシーン、1年前のインターハイの場面だ。ほんの僅差で小野田坂道が勝利を手にする。坂道のモノローグ「どこまでも戦えそうな気がする」とつぶやく。高校生になり、ひょんなことで自転車競技部に入部し、あれよあれよと言う間に才能を開花させた坂道。2年生になり、ゼッケンは栄光の1番だ。そして全員のシーン、「俺たちはただひたすらペダルを走らす」と言う。走らなければ前に進まない、物理的にも精神的にも、だ。

 

まずは、これまでの流れを【おさらい】、アップテンポでリズム良く提示する。ゼッケン1の重みを知る小野田坂道、プレッシャーを感じる。それでも走らなければならない、己を鼓舞しながら。そしてインターハイ1日目を提示、総北はここで箱根学園に負けてしまうのである。試合が終わった合宿所の風景、つい先頃アニメで放映されていたシーン。横になる鏑木、そのそばには青八木が座っている。玄関に小野田坂道の母親が「忘れ物」と言って空気入れ(不要)を持ってくるが、ここはお笑いシーン、小野田坂道役の醍醐虎汰朗、なかなかのコメディセンス。そして朝が来る、インターハイ2日目だ。ここからはもっぱらレースシーンとなっていく。

レース展開、自転車が疾走する様をいつもと同様に俳優の動きとセットの坂、照明、音、音楽で表現する。その上、キャラクターの心情をも伝える。アニメでは走りながら台詞が入るのだが、舞台は違う。俳優は足を止め、ポーズを取り、芝居をしながら台詞を言う。リアリティはない筈なのに、言いようもないリアル感で観客の胸に迫る。そして時は悩み、そして邪念を払いながらペダルを踏む。

自転車競技は力任せなスポーツではない。手嶋は策士ならではのクールさと勝利に貪欲な熱い心を併せ持った人物だ。身体能力では叶わないことをよく知っているからこその策士で、綿密に計画する。青八木は鏑木を高く評価、鏑木が疲れで沈んでしまった時の彼の行動は温かさも感じる。どんなに努力をしても勝負事は結果が出ないのは多々あるが「やる前にわかること等ひとつもない」という青八木の言葉は、そのまま人生にも当てはまる。やってみなければわからないし、やってよい結果が出ることだってあるのだ。一方で小野田坂道を急襲する箱根学園の新開悠人、兄は新開隼人だ。「勝負してみたかったんだ」と新開は小野田に言う。ゼッケン1をつけたからこそ、挑まれる。その重みをずしりと感じる瞬間だ。

音楽は時にはメランコリーに、時には激しく、風の音にシンクロしたりする。「ハンドルを持って走っている」、言葉にするとシンプルだが、その動きと音と照明と音楽と台詞が一体化した瞬間、観客はロードレースの沿道に“ワープ”、そして選手の鼓動を感じることが出来る。また岸神 小鞠のバックボーンが語られるが、その生い立ち、シャイな少年時代、その彼が何故、自転車競技に目覚めたのか、ここは興味深い。

今回の舞台は、アニメのストーリーを越えてしまっているが、これは【ネタバレ】ではなく、アニメと舞台と両方を感じるよいチャンス。表現の違いや台詞等をチェックすると作品をより良く知ることが出来る。アニメのレース中の疾走する場面も圧巻だが、舞台版も俳優陣の頑張りと観客の想像力に委ねる演出、観客一人一人の脳内には人それぞれのイメージがあるはず。そして、そのどれもが「インターハイ2日目」に他ならない。

なお、ゲネプロ前に囲み会見があった。登壇したのは、小野田坂道役の醍醐虎汰朗、 今泉俊輔役の猪野広樹、 鳴子章吉役の百瀬朔、泉田塔一郎役の河原田巧也、新開悠人 役の飯山裕太。

醍醐は「いつにも増して漕ぐ量が多くて、普段より“キツいライド”になっています」とコメント。今回の舞台はインターハイ2日目なので、走るシーンが多いのは必然。「舞台『弱虫ペダル』ならではの熱量が、自然と普段より上がっているのでは」と語った。

新キャストの猪野は「作品全体にスピード感があり、役者個々の熱量も高く、展開も早い」と語る。そして今泉役については「今泉の采配で勝負が決まる」と言い「彼の内面の部分も観て頂けたら嬉しい」と語ったが、初参加ながら存在感を示した。百瀬は最初のビジュアルが出た時の感想は「僕は出ないんじゃないかと(笑)」とちょっと笑いを取る発言。「負けた状態から始まる総北の葛藤とか……いろんな見方が出来るんじゃないかと」とストーリーを分析する。長きにわたって泉田塔一郎役を演じてきた河原田、もはや泉田=河原田、「1年目のインターハイを経験しているのは僕と桝井賢斗と一ノ瀬悠」とコメント。「1年目の空気を感じて頂ければ」と語る。新開悠人役の飯山は「初めて小野田坂道と1対1のバトルをします」と語ったが、この場面は必見!

猪野はこの“ペダステ”について質問されたが「個々の話し合いがとても密に行われている」と語り、だから「長く続いているシリーズなんだなと思いました」とコメント。そして「自転車は運ぶスポーツ」と語る。人を乗せるだけではなく、想いや希望も乗せる、特にロードレースは勝利への熱い想いと仲間への信頼と絆もペダルに込める。「皆に教えてもらいながらここまで運んできたので、ここから先は運びつつ、運ばれつつ、このチームワークで本番にも臨めたらなと」とコメント。そんな猪野に対して醍醐は「すぐに打ち解けて下さって」とコメントし、チーム総北として「機能して下さった」と全幅の信頼を寄せる発言に、何故か猪野はまさかのコメントの更なるおねだり?!そんな猪野に醍醐は「かっこいいなと思って」と無茶なおねだりに応えた。そんなやり取りを見ていた他のキャストから「大丈夫?」ツッコミ!河原田は「キャプテンとして立たせてもらえている」と感じたそう。猪野は「ハンドルもグローブも凄く年季が入ってる」と語り「先代からの方々の想いを受け継ぎ、新しいものを創っていく」と語る。ハンドルに染み付いた“先代の汗”は演じる者にとっては最高の励みだ。初演は2012年のこと、今年で6年目に突入するシリーズ、最後の締めくくりの挨拶で醍醐は「とても、とても熱い舞台に仕上がったと思います」と胸を張る。そして「初めて導入されたキャラクターの決め技もあります」とコメントしたが、ここは観てのお楽しみ。決まり文句ではあるが「劇場にてお待ちしております!」、本作は劇場でしか観られない!

 

<あらすじ>

インターハイ1日目に全てのゼッケンを獲得し王者復格を狙う箱根学園と、破れた総北、挑戦者として闘うことになり、インターハイ2日目へと臨む。スタート早々に主将・手嶋の作戦で箱根学園を引き離す総北。ところが鏑木が疲労のために後方に沈んでしまう。決死の覚悟で救出に向かった3年生の青八木、彼が奥の手として鏑木に渡したものとは?

一方、単独で先頭を目指す小野田坂道を新開悠人が急襲する。苦戦する小野田、メンバーは散り散りとなり、危機的な状況に陥る。一方の御堂筋率いる京都伏見は、なんと小野田達を抜いて先頭の箱根学園に追いついた。スプリントラインが近づき、箱根学園と京都伏見の因縁の対決が再燃する。王者・箱根学園の誇りを背負う泉田塔一郎に、底知れぬ京都伏見の1年・岸神が食らいつく。この譲れない勝負の行方は!?

 

なお、ゲネプロ前に囲み会見があった。登壇したのは、小野田坂道役の醍醐虎汰朗、 今泉俊輔役の猪野広樹、 鳴子章吉役の百瀬朔、泉田塔一郎役の河原田巧也、新開悠人 役の飯山裕太。

醍醐は「いつにも増して漕ぐ量が多くて、普段より“キツライド”になっています」とコメント。今回の舞台はインターハイ2日目なので、走るシーンが多いのは必然。「舞台『弱虫ペダル』ならではの熱量が、自然と普段より上がっているのでは」と語った。

新キャストの猪野は「作品全体にスピード感があり、役者個々の熱量も高く、展開も早い」と語る。そして今泉役については「今泉の采配で勝負が決まる」と言い「彼の内面の部分も観て頂けたら嬉しい」と語ったが、なかなかの今泉ぶり、初参加ながら存在感を示した。百瀬は最初のビジュアルが出た時の感想は「僕は出ないんじゃないかと(笑)」とちょっと笑いを取る発言。「負けた状態から始まる総北の葛藤とか……いろんな見方が出来るんじゃないかと」とストーリーを分析する。長きにわたって泉田塔一郎役を演じてきた河原田、もはや泉田=河原田、「1年目のインターハイを経験しているのは僕と桝井賢斗と一ノ瀬悠」とコメント。「1年目の空気を感じて頂ければ」と語る。新開悠人役の飯山は「初めて小野田坂道と1対1のバトルをします」と語ったが、この場面は必見!

猪野はこの“ペダステ”について質問されたが「個々の話し合いがとても密に行われている」と語り、だから「長く続いているシリーズなんだなと思いました」とコメント。そして「自転車は運ぶスポーツ」と語る。人を乗せるだけではなく、想いや希望も乗せる、特にロードレースは勝利への熱い想いと仲間への信頼と絆もペダルに込める。「皆に教えてもらいながらここまで運んできたので、ここから先は運びつつ、運ばれつつ、このチームワークで本番にも臨めたらなと」とコメント。そんな猪野に対して醍醐は「すぐに打ち解けて下さって」とコメントし、チーム総北として「機能して下さった」と全幅の信頼を寄せる発言に、何故か猪野はまさかのコメントのおねだり?!そんな猪野に醍醐は「かっこいいなと思って」とおねだりに応えた。そんなやり取りを見ていた他のキャストから「大丈夫?」ツッコミ!河原田は「キャプテンとして立たせてもらえている」と感じたそう。猪野は「ハンドルもグローブも凄く年季が入ってる」と語り「先代からの方々の想いを受け継ぎ、新しいものを創っていく」と語る。ハンドルに染み付いた“先代の汗”は演じる者にとっては最高の励みだ。初演は2012年のこと、今年で6年目に突入するシリーズ、最後の締めくくりの挨拶で醍醐は「とても、とても熱い舞台に仕上がったと思います」と胸を張る。そして「初めて導入されたキャラクターの決め技もあります」とコメントしたが、ここは観てのお楽しみ。決まり文句ではあるが「劇場にてお待ちしております!」、本作は劇場でしか観られない!

 

【公演データ】

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~箱根学園王者復格(ザ・キングダム)~

 

期間:2018年3月2日(金)~3月11日(日)

会場: 東京芸術劇場

 

期間:2018年3月16日(金)~3月18日(日)

劇場:神戸オリエンタル劇場

 

原作:渡辺航「弱虫ペダル」(秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載)

演出・脚本:西田シャトナー

音楽:manzo

出演:

小野田坂道 役:醍醐虎汰朗、今泉俊輔 役:猪野広樹、鳴子章吉 役:百瀬朔、手嶋純太 役:鯨井康介、青八木一 役:八島諒、鏑木一差 役:原嶋元久、古賀公貴 役:本川翔太/泉田塔一郎役:河原田巧也、葦木場拓斗 役:富永勇也、黒田雪成 役:伊藤澄也 、真波山岳 役:杉山真宏、銅橋正清 役:兼崎健太郎、新開悠人 役:飯山裕太/御堂筋翔 役:林野健志、水田信行 役:桝井賢斗、岸神小鞠 役:天羽尚吾 、山口紀之 役:一瀬悠/ パズルライダー:監督 一瀬悠、河野智平、伊藤玄紀、長瀬真夏

 

公式HP:http://www.marv.jp/special/pedal

公式ブログ:http://ameblo.jp/y-pedalstage

公式twitter:@y_pedalstage

 

©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル04製作委員会

©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/マーベラス、東宝、トムス・エンタテインメント

 

文:Hirom Koh