寺田倉庫が取り組む「緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業」、事業報告を目的としたオンラインシンポジウムを開催

寺田倉庫株式会社と緊急事態舞台芸術ネットワーク(東京都豊島区 代表世話人:池田篤郎 野田秀樹 吉田智誉樹)が文化庁より受託する文化芸術収益力強化事業「緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業(以下、 EPAD)」は、 2021年3月13日に事業報告を目的としたオンラインシンポジウムを開催。
EPADは、 2020年に寺田倉庫と緊急事態舞台芸術ネットワークが、 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い困難に陥っている舞台芸術等を支援、 収益力強化に寄与することを目的に設置。 主催団体の協力を得て新旧の公演映像などの収集・配信を実現し、 権利処理を行うことで商用配信プラットフォームでの活用を促進、 関係者に対価を還元しております。 この取り組みによって公演映像・Eラーニング・戯曲・舞台美術の4種4,300点近くの舞台芸術資料を収集。 現在は、 映像作品280本の一挙配信を目指し権利処理を実施している。

このたび開催するオンラインシンポジウムでは、 アーカイブ収集・権利処理におけるイノベーション・刻々と変化していく市場およびユーザーのニーズに適した配信方法や技術を調査・検証した成果を報告する。 当日は、 野田秀樹氏(舞台演出家・緊急事態舞台芸術ネットワーク 代表世話人)、 社会学者で、 デジタルアーカイブ学会会長代行である吉見俊哉氏(東京大学教授)、 著作権法の専門家で、 EPAD実行委員会メンバーである福井健策氏(骨董通り法律事務所)が出演。

【オンラインシンポジウム開催概要】
名 称:緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業(EPAD)シンポジウム
日 時:2021年3月13日(土)13:00 – 17:00(3部制)
視聴URL: https://youtu.be/CsCRTRhY9YQ
料 金:無料
配信会場:KIWA(東京都品川区東品川2-1-3)

【スケジュール】
はじめに(13:00 – 13:10)
1部 事業報告(13:10 – 14:10)
■EPADの実績報告(30分)
発表者:伊藤達哉(EPAD事務局長)・三好佐智子(EPAD事務局)
内容:EPAD事業実施方法と成果の説明
事業(1)
・ 1,283本の舞台映像収集とJapan Digital Theatre Archives の公開
・ 権利処理をした280本の作品と配信予定を紹介
・ 市場開拓の試み
技術革新(音声のDolby Atmos ミックス)の検証
EPADポータルサイトによるアーカイブ価値の考察と提案
事業(2)
・ 舞台芸術における技術教育を目的としたEラーニング動画の製作
・ 日本劇作家協会による戯曲の収集と公開 553本
・ 日本舞台美術家協会による美術資料の収集と公開 2,500点
■舞台×権利処理2.0 配信の「壁」と各団体協力の成果(25分)
発表者:福井健策氏(弁護士・EPAD実行委員)
内容:EPADがもたらした権利処理におけるイノベーションとは?
舞台の上演/配信における権利処理の違い、 音楽著作権・原盤権・不明権利者の壁を乗り越えた協力体制の到達点と課題、 配信における収益分配の考え方
コロナ禍における演劇界の現状とは?
緊急事態舞台芸術ネットワークがどのように立ち上がり、 どうしてEPADが生まれたか?

劇団四季「鹿鳴館」2006年 模型(C)️土屋茂昭
劇団四季「鹿鳴館」2006年 エレベーション(C)️土屋茂昭
流山児★事務所「コタン虐殺」2020年 (C)️横田敦史

2部 デジタルアーカイブの意義(14:20- 15:00)
■早稲田大学坪内博士記念演劇博物館におけるアーカイブの活用方法(20分)
発表者:岡室美奈子氏(早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 館長)
内容:2月23日にオープンした舞台公演映像の情報検索特設サイト「Japan Digital Theatre Archives」の紹介
■今後の舞台芸術資料の収集方法への提案
発表者:岡室美奈子氏(早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 館長)・高萩宏氏(東京芸術劇場 副館長・EPAD実行委員)
内容:舞台映像アーカイブのニーズ、 文化財保護の観点から
過去映像を散逸から守るには?

3部 ポストコロナにおける<集い>の場 オンラインの可能性と、 舞台芸術の未来(15:20 – 17:00)
進行:吉見俊哉氏︎(東京大学情報学環教授)
登壇:松田誠氏(ネルケプランニング)・菅原直樹氏(「老いと演劇」OiBokkeShi主宰)・溝端俊夫氏(NPO法人ダンスアーカイヴ構想)・伊藤雅子氏(日本舞台美術家協会)・野田秀樹氏(舞台演出家・緊急事態舞台芸術ネットワーク 代表世話人)
内容:クリエイターはデジタル配信をどのように受け止めているか?
協力団体としてEPAD事業に参加しての所感
舞台芸術のデジタル配信の未来をどう捉えているか?

松田誠

【EPADについて】 https://epad.terrada.co.jp
事 業 名:緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業(EPAD)
(文化庁令和二年度戦略的芸術文化創造推進事業「文化芸術収益力強化事業」)
事業内容:
1.公演収録・既存の公演映像の配信可能化事業
2.スタッフ技術のEラーニング動画の制作・教育連携事業
3.アーカイブサイト「Japan Digital Theatre Archives」の公開
ポータルサイト: http://syueki5.bunka.go.jp

【緊急事態舞台芸術ネットワークについて】 https://www.jpasn.net
緊急事態舞台芸術ネットワークは、 今回の新型コロナウイルスのような緊急事態にのみ活動します。 すなわち、 舞台芸術全体が公演中止に追い込まれそうな時、 もしくは追い込まれた時においてのみ活動します。 主たる目的は社会と共にいかにして舞台芸術の公演を再開していくかにあります。 表現方法の違いを越えて「ライブの舞台を通しての表現者」として、 舞台芸術界がその緊急事態から脱却し、 安全な状況で再開され再生していくために、 互いに連携し協力し、 情報を共有し合い、 交渉事、 会議などに臨んでいきます。 これは、 個々舞台芸術団体の権利、 経済的自由を守るためだけでなく、 舞台芸術界全体、 ひいては日本文化を守るためでもあります。 勿論、 こうした舞台芸術の公演の再開に当たっては、 同時に緊急事態で危機的な状況にある社会との親和性を図りながら進めていきます。