第14回アジア国際青少年映画祭 佐藤早苗監督作品「トカトントン」グランプリ受賞。日本初開催が閉幕!

日中韓3カ国の学生による作品を対象とした国際映画祭「第14回アジア国際青少年映画祭」(AIYFF)が 2021年6月20日に閉幕した。

新型コロナウイルスの影響で、開催が昨年から順延、ウイルスの感染は世界規模で続いていることと共に、緊急事態宣言から、学生の交流や授賞式などは5月3日からオンラインにて、全作品の上映会が6月18日から3日間にわたり池袋にて実施され、締めくくられた。

この映画祭は、映像を介したアジアの青少年たちの交流の場であり、文化と情緒を共有する青少年の文化祭として2004年から開催されているもの。今回は “共生” をテーマに掲げ、日本で初めて開催となった。

なお、次回「第15回アジア国際青少年映画祭」は、中国・海南島での開催が授賞式にて発表されている。

入賞作品及び、特別試写作品「自宅警備員のフェアリーテイル」(仮)の場面写真

■授賞概要
授賞式:6月6日  オンラインにて実施。
配信会場:価格.com GG Shibuya mobile esports cafe&bar
・グランプリ 「トカトントン」監督:佐藤早苗(日本)
・準グランプリ 「コールミー!」  監督:김민지(韓国)
・審査員特別賞 「カゴの中の鳥」  監督:王江静(中国)
・審査員特別賞 「もう子供じゃない」 監督:王冠翔(中国)
・審査員特別賞 「赤いスマートフォン」 監督:冯薇朵(中国)
・監督間ベスト賞「児童給食」 監督:홍연이(韓国)
・最優秀監督賞 「キツネおじいちゃんの贈り物」監督:王博伦 (中国)
・最優秀脚本賞 「ウォンイェの話」  監督:이희원(韓国)
・最優秀技術賞 「チベットに風来たる」 監督:赵丰怡(中国)
・最優秀アニメーション賞 「くじらの湯」 監督:キヤマ ミズキ(日本)
・最優秀ドキュメンタリー賞 「Empathy Trip」 監督:久保田徹(日本)
・高校生グランプリ 「手紙」 監督:오준기(韓国)
・高校生準グランプリ「日本一大きいやかんの話」監督:矢座孟之進(日本) 
ほか参加作品には優秀賞が贈られた。

●グランプリ作品 「トカトントン」監督:佐藤早苗(大阪芸術大学)
両親の死をきっかけに火葬場で働き始めた典子は、これまで度々人の死を目にしてきた。火葬場 から出てきた骨。数日前まで肉体を持ち呼吸をして、喜んだり悲しんだり、確かに生きていた命 が「物」に変わった瞬間。それを目にする度に典子は、人生に一体何の目的があるのか、一体何の意味があるのかと思う。そんな典子が、病に死にゆく速雄、火葬場職員の小野、そして太宰治の短編小説『トカトントン』を通じて死を見つめ生を問う。

 

オンラインで実施された日中韓学生監督によるトークセッションの様子

講評
第14回アジア国際青少年映画祭  審査員長 河井真也
韓国が6本中、4本が高校生の作品で、10代でこれだけの映画を作ることには驚かされました。中国の作品は多様性があり、大自然を活かした映画からエンターテインメント作品までバラエティーに富んだ6本でした。 開催国の日本からは9本の出品作があり、実写、アニメ、ドキュメンタリーなど様々なジャンルにトライしていることを実感しました。
「共生」あるいは「SDGs」を意識した作品が多く、映画から、今の韓国、中国、日本のおかれている環境などを読み取ることも出来ます。また、アカデミー賞を受賞した「パラサイト/半地下の家族」のように、その国で起きている社会問題を正面から取り上げた作品もあり、将来を見据えた映画もありました。中国の20年前の「山の郵便配達」や「初恋のきた道」を思い起こさせてくれるような中国の良作もありましたし、現在の社会を見つめる作品、またアニメにも中国らしさがありました。日本映画全体は現在、やや国際的な評価においては伸び悩んでおりますが、学生たちの映画にはチャレンジ精神が大きく存在していました。特に、ドキュメンタリー3作品は、すべて海外に目を向けて、世界で通用する作品があったことは特筆すべきことだと思いました。また、アニメーション映画の世界では日本は健闘していますが、今回のアニメ作品の中に、新鮮で独創的な発想の映画が登場したことは大変嬉しく感じました。
パンデミックの最中で開催することになった今回の映画祭ではありますが、この21本の映画たちを観ることで大きく勇気づけられました。一つは映画の観客として、それと主催者側としては、これだけの監督、クリエーターたちが「共生」というテーマのもと、あらゆる可能性を考えながら様々な想像、そして創造を実践してくれたことです。今開催では、直接、触れ合いながらの交流は制限されていますが、「映画作品」を通しての交流は、より拡がりを持てる気がしています。映画祭を通して3か国の交流、そして、これからの未来、世界へ向けての若者たちの活躍を期待したいと思います。

 

■開催スケジュール
5月3日 開会イベント ※オンライン
5月4日〜5月9日 AIYFF過去受賞作品online上映 ※オンライン
5月22日 日中韓学生監督トークセッション ※オンライン
6月6日 授賞式 ※オンライン
6月18日~20日 全作品上映会・試写会 会場:IKE・Bizとしま産業振興プラザ 多目的ホール
■主催  LLP アジア国際青少年映画祭日本 /TCS 日中韓三国協力事務局
■主管  第14回アジア国際青少年映画祭実行委員会/ 韓国青少年文化研究所 中華文化促進会
■推薦 佐藤忠夫/大久保秀夫
■協力 武蔵野美術大学
■後援
企業メセナ協議会/ 東京都日中友好協会 /東芝国際交流財団 /豊島区/
豊島区日中友好協会/日韓文化交流基金 /日本映画撮影監督協会 /三菱UFJ国際財団 ※50音順
■作品選定協力
インターカレッジ・アニメーション・フェスティバル(ICAF)/高校生のためのeiga worldcup/
全国映画教育協議会/東京学生映画祭 ※50音順
■技術協力 東京国際工科専門職大学 渡部健司研究室デジキャン!
■講演協力
東京都日中友好協会青年委員会/日韓学生未来会議/日中学生会議/日中学生交流団体freebird ※50音順
■実行委員
高橋克三/松岡和久/河井真也/小口詩子/西川啓/柳沢富夫/臼井健太/児玉高志/
木村京子/刘剣/李彦君/田中慶一/相馬あかり/伊藤さやか/Liu JianLi/Yanjun/加藤はるか/千田浩司
■学生実行委員/学生スタッフ
村上サラ/袁鑠涵/伊藤里佳/坂本理絵/木本マリン/孙艺宁/前田色葉/성채은/刘波/蔡融霖/高橋陽香璃/城戸雪乃/古閑晴子/岡田汐莉/佐藤あづき/尾崎蒼/佐藤理人/王珣/黄夢璐/李宛钰/张飞/吉岡美樹/Kim Monica/张子吟/馬灯儿/島谷樹/盛馨鋭/中嶋恭子/山田慧/李憶凡/小泉成文/藤田奈々/大倉早理/Sid and Geri /児嶋恭子/小薗みなみ/山脇僚太
■MC 椎名まこ
■通訳サポート 三舩由莉子/채경신
■ID映像制作協力
吉岡美樹/Kim Monica/张子吟/馬灯儿/島谷樹/盛 馨鋭/中嶋恭子/山田慧/李憶凡/小泉成文/藤田奈々/大倉早理/Sid and Geri/児嶋恭子/小薗みなみ/山脇僚太
■学生技術スタッフ
岩﨑悠真/大谷幹仁/岡田賢将/岡本大空/小野英公/和仁隆宏/河井翔吾/黒羽凱/小島涼雅/永野玉雄/中原悠斗/西川和/野口諒介/橋本望夢/藤原和記/矢野博彦/山崎瑠唯

公式WEB:http://aiyff.com/jap/main/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UC7aCE-m0a6GsHIJhGhaKYWw

「授賞式」終了後、来場した監督を囲んだ、関係者及び、中継学生スタッフ