ZOROMEHA企画・シアターΧ提携公演「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」

南谷朝子浅井星光が立ち上げた演劇創作ユニットZOROMEHA企画。
第1弾は清水邦夫「楽屋」を2本立てで上演するという(2018)類稀な公演。ありそうでなかったこの公演は大盛況のうちに終幕。会場となった劇団燐光群のアトリエ・梅ヶ丘BOXも「楽屋」の聖地として人々の記憶に刻まれる事となったとか。第2弾は「僕らは生まれ変わった木の葉のように」を劇地下リバティにて上演(2019)。
清水邦夫作品へのお客様の興味と憧憬、熱量があまりに高かった2回の公演を受けて、ZOROMEHA企画は清水邦夫作品を連続上演していくことにしました。2020年3月の上演を目指しておりましたが、新型ウイルスの蔓延により上演を先延ばし、第3弾は、2021年10月「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」を上演することに。
南谷朝子は木冬社在籍中、清水邦夫から劇中音楽の相談を受けることが多く、アトリエ公演の音楽を担当、本公演『哄笑』(1991年初演~各地旅公演)では、作品のキーワードとなる音楽「心のバンドネオン」を清水邦夫に紹介したところ、それにインスパイアされた清水が劇中歌として曲を使用、“実子”(初演は南谷朝子)が、クライマックスでその歌を歌唱するという戯曲が誕生。
その後清水邦夫は、木冬社専用劇場のOpeningに「夢の小舟よ」という音楽劇作品を創作しようとしましたが、1992年湾岸戦争の勃発を緒に、新劇場設立が頓挫し、その作品は泡と化した。
清水邦夫が作ろうとした音楽劇とはどんなものだったのか・・・それが南谷の、創作への永遠の宿題として今も炎を灯し続けている。
木冬社時代に清水邦夫から任されていた自らの音楽性を大いに活用し、ZOROMEHA企画の第3弾でも、劇中音楽をすべて創作。
BEAT PARADOXを率いる俳優:浅井星光の演劇性と南谷の音楽が融合して清水邦夫の1982年の作品を2021年に蘇らせる。共演は都築香弥子、清水作品常連だった俳優座から川口啓史。文学座の浅地直樹、昴~劇団四季などで活躍の坂本岳大、木冬社から新井理恵など個性的なメンバーが顔を揃えた。2021年4月15日84歳の生涯を閉じられた清水邦夫に感謝を捧げ上演。

[主催者より]
日本中を論争の渦に巻き込んだオリンピック。
2020年7月に東京で幕開き、8月9日に幕を閉じる予定でした。
東日本大震災後の復興はどこまで進んでいるのか、西日本を襲った大雨による災害への対応は十分なのか…2019年台風の被害の後片付けもままならないまま…更に2020年、全世界を襲った新型ウイルスは、私達の生活を一変させました。任期途中で隠れるように辞任した総理大臣については言わずもがな、それでも尚、私達の国家が進めようとしているオリンピックはTokyoに何を残すのか…興味は尽きません。

その「夢のあと」となるTOKYOに思いを馳せ、ZOROMEHA企画が上演するのは「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」です。

清水邦夫が1982年に発表したこの作品の舞台は廃墟となった北陸のデパート。かつての相手役を待ってひたすら稽古を繰り返す年老いた女優、それを支える人々、そこに突如現れた相手役・・・夢を持ち続ける力を私達に約束してくれるモノは何処に・・そしてそれは、現代の私達にとって何なのか・・・
かつてそこにいたヒト、かつてそこに在ったモノ…
‶「過去」が炙り出すパワーから自分の歌を創り出す”という作品のテーマ
を感じながら、東京オリンピックが去った後の東京を想定してこの作品を読み直すと、不思議な事に、2021年の現在と作品が描かれた80年代の風景が重なって立体的に踊りだします。不要不要だとされたモノたちのエネルギーが作品を通して立ち上がります。戦後75年が過ぎた日本を、根こそぎ抱えながらの音楽劇の始まりです。

真実の見えない混沌とした政治のNEWSばかりにうんざりする現在において、演劇が示すことのできるものは何か、ZOROMEHA企画は考え続けます。
キーワード『生きたマネより死んだマネ』の意味するものを2021年の日本に重ねて、演劇作品でなければ届けられない直截的な感動をお届けしたい・・・。

エモーショナルなセリフが飛び交う生の舞台。劇作家・清水邦夫が舞台人への限りない尊敬を込めたこの作品を上演したいという私達の希望をどうぞ応援してくださいますようここにお願い申し上げます。

<概要>
ZOROMEHA企画・シアターX提携公演
「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」
日程・会場:2021年10月13日〜10月17日 シアターΧ