舞台『宇宙戦艦ティラミス』 笑いのマシンガン攻撃炸裂!

ーー笑って、笑ってのノンストップ2時間!全力のギャグで笑いっぱなし!ーー

『宇宙戦艦ティラミス』、新潮社が運営する漫画配信サイト『くらげバンチ』にて2015年10月より連載されている。本作は「人類が宇宙へ進出した時代、二国家間で宇宙戦争が繰り広げられている」という設定や硬派な絵柄からシリアスなSF作品に見えるが、実際は戦闘ロボットのエースパイロット主人公スバル・イチノセと仲間・敵対人物たちの奇行や日常を描いたギャグ漫画、2016年7月の「このマンガがすごい!WEBオトコ編」の第3位にランクイン、2018年にはアニメ化され、第1期は4〜6月放送、第2期は10月から放送予定。
主人公であるスバル・イチノセは宇宙戦艦ティラミスのエースパイロット、愛知県豊田市の出身で階級は少尉。ティラミスのクルーの中では最年少。他のクルーとの集団生活になじめず、専用機「デュランダル」にこもっていることが多い。私室と化したデュランダルのコックピット内で串カツを食べようとしたり、自らの陰毛をタブレット菓子のケースの中に入れて持ち歩くなど、その行動は軍人らしさから大幅に逸脱というキャラクター。設定だけでも十分におかしい。
始まる前のアナウンスはヴェンチュリー・ルロワ(磯貝龍虎)が行うが、これがいちいち可笑しくて客席から笑いが起こる。壮大な楽曲と大げさな効果音で、始まる前から爆笑の渦に。本編はさて、どうなることやら。


そして始まる、あのエピソード、そう、串カツだ。コックピットの中は串カツの衣に千切りキャベツ(猛暑で高価なキャベツが!)、串カツのソースが!この表現が超アナログ。
それからオープニングとなる。舞台は、人間が生活圏を宇宙にまで拡大し相応の時が過ぎた未来世界。「宇宙歴0156年」、人類は「地球連邦」と「メトゥスの民」と呼称される勢力に二分し、双方が一進一退の宇宙大戦を繰り広げていた。ここはちゃんと解説が入る。基本的に原作のエピソードを交えて進行する。兄のイスズ・イチノセ(高本学)はメトゥスの民の若き大佐。実はスバルの兄で、かつては地球連邦の優秀な軍人だったが、ある理由から敵に寝返っている。弟を奪取、しかし・・・・・。原作を知っていれば、かなり面白いが知らなくても十分に楽しめる。ユニバース感覚、宇宙移住者に稀に備わるという特別な感覚だそうだが(笑)。

そして主人公を演じる校條拳太朗以外は一人で何役もこなすが、もはや着替えが間に合わず舞台上で着替える場面も(失敗ではなく、ネタ)。観客席は笑いに次ぐ笑い。抱腹絶倒なシーンがマシンガンのように繰り出される。注目の陰毛だが、キャストがかぶりものをして登場、これがまたまた笑える。ストーリーの展開も早く、お約束のネタ満載(シャツを反対に着た、謎の液体、鍵無くした、etc.)。上演時間は休憩なしの約2時間。その間、客席は笑いっぱなし。

役者は7人、皆、全力で笑わせる。暑苦しいヴォルガー・ハマー(上田悠介)、自分に甘く傍若無人なリージュ・ルロワ(藤本かえで)、娘に甘いヴェンチュリー・ルロワ、好戦的であるが、打たれ弱いスバルB(伊藤孝太郎)、そしてシゲルコさんにすぐに大きくなる犬(チビ)などなど、キャストの面々は段取りも大変だったと思うが、それすらネタ化、しかもアナログ表現がマッチする。アニメも10月から第2期が始まることが決まっているが、舞台版も新しいシリーズが早々に観たくなる。そんな出来栄えであった。

ゲネプロの前に囲み会見が執り行われた。キャスト全員登場し、まずはフォトセッション、それから始まった。主演の校條拳太朗は「緊張しています。細かいところを見ている方は共感できることがあるかと」とコメントしたが、とにかく細かいネタを丁寧に、そして「これでもか」ぐらいに突っ込み、アニメ版に負けじと!な感じ。高本学は「段取りが多いので丁寧に。稽古してきたことを発揮したい」と抱負を。磯貝龍虎は「一人で何役もやるので無理のある早替えもあります」と笑わせる。そして「下ネタもあるので、舞台の熱量を楽しんで!」とPR。見た感じでは「下ネタ」はかなりの量(笑)。正木航平は「7人しかいないので全員で!」と語るが、もうめまぐるしく複数キャラを演じるので注目。藤本かえでは「突っ込みどころ満載!」と語るが、突っ込みきれないくらいの数!伊藤孝太郎は「2時間で何役もやるのはなかなか・・・・・笑い声を頂いて!」と語るが、とにかく笑うところは遠慮なく笑おう。上田悠介は「全身で感じていただけたら」といい、主演の校條拳太朗は「いろんなところに面白い要素があります。みなさんも共感できる笑いがたくさんあります。生活の中にもたくさんあります」と語るが、細かい笑いの多くは日常的な「ある、ある」ネタ。

壮大な宇宙を舞台に繰り広げられる、日常的な笑いにシュールな笑いetc.笑っているうちにきっと悩みも小さくなるにちがいない。全く成長しないキャラクターのおバカぶりを大いに笑って楽しみたい。

【概要】

舞台『宇宙戦艦ティラミス』
公演日程:

[東京公演]
2018年7月25日(水)~31日(火)/シアターサンモール
[岐阜公演]
2018 年 8 月 4 日(土)~5 日(日)/岐阜市文化センター
[大阪公演]
2018年8月11日(土)~12日(日)/ABCホール
<キャスト>
スバル・イチノセ:校條拳太朗
イスズ・イチノセ:高本学

ヴォルガー・ハマー:上田悠介
スバルB:伊藤孝太郎
リージュ・ルロワ:藤本かえで
アンサンブル:正木航平

ヴェンチュリー・ルロワ:磯貝龍虎

脚本:なるせゆうせい
演出:米山和仁(劇団ホチキス)
原作:宮川サトシ 伊藤亰(新潮社「くらげバンチ」連載)
企画・プロデュース:4cu
公式サイト:http://tiramisu-stage.com/
公式Twitter:https://twitter.com/tiramisu_stage
©宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会

©舞台「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会

文:hiromi Koh