セルゲイ・ディアギレフ生誕150年記念 「バレエ・リュス・ガラ」 NBAバレエ団

芸術革命をもたらした伝説的バレエ団「バレエ・リュス」の天才プロデューサー、セルゲイ・ディアギレフ生誕150年を記念し、2023年3月4日・5日に新国立劇場中劇場にてNBAバレエ団が「バレエ・リュス・ガラ」を上演。指揮は冨田実里、演奏はNBAバレエ団オーケストラ。

「バレエ・リュス・ガラ」では、芸術界に大きな影響を与えた「バレエ・リュス」の作品の中から「レ・シルフィード」、「ダッタン人の踊り」、「アポロ」の3作品を上演。
「アポロ」はNBAバレエ団初演となる注目作で、ニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパルとして長年「アポロ」等のバランシン作品を踊ってきたベン・ヒューズ氏を指導に迎えて挑む、音楽と一体化した振付が魅力的な作品。

「レ・シルフィード」、「ダッタン人の踊り」は2007年のNBAバレエ団初演時に、マリインスキー・バレエの元ファースト・ソリストで、同団の指導者を務めたセルゲイ・ヴィハレフを招聘している。ヴィハレフは古典作品の復元・復刻に素晴らしい才能を発揮したことで知られており、その時直接指導を受けた現バレエミストレス峰岸千晶が、今回その教えを後進に引き継ぐ。

「バレエ・リュス」は1909年から20年間、ロシア出身のセルゲイ・ディアギレフ(1872年-1929年)によって主宰されたバレエ団で、舞踊や舞台デザインのみならず、絵画、音楽、ファッションなどの芸術の世界に革命をもたらした伝説的バレエ団であり、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどで数多くの公演を行い、その後のバレエ界に多大な影響を与えた。

天才プロデューサーであったディアギレフ自身は絵や音楽などの才能はなかったと言われているが、天才を発掘する才能を持っていた。一流のダンサーと振付師に加え、多くの才能ある画家や音楽家を起用することによって、バレエを時代の最先端の総合芸術に引き上げた。
彼により起用された芸術家はストラヴィンスキー、ドビュッシー、ラヴェルなどの音楽家に加え、画家ではピカソやマティス、ルオー、ローランサン、衣装デザイナーにはココ・シャネルやレオン・バクストなど多数に上る。
また「バレエ・リュス」は伝説のダンサー、ヴァーツラフ・ニジンスキーに加え、ブロニスラワ・ニジンスカやジョージ・バランシンなど、のちに世界各地で活躍する振付家を多く輩出した。
本物にこだわったディアギレフは資金面での苦労が絶えず、『春の祭典』再演時には見かねたココ・シャネルが資金援助したという。一方、シャネルはロシアの民族衣装にインスピレーションを得たデザイン生み出すなどの影響を受けた。

伝説的バレエ団「バレエ・リュス」の天才プロデューサー、ディアギレフ生誕150年を経た今、20世紀初頭の芸術の薫り高い3作品に触れ、その才能を肌で感じてみてはいかがだろうか。

「バレエ・リュス・ガラ」PV

「レ・シルフィード」

振付:ミハイル・フォーキン/再振付:セルゲイ・ヴィハレフ/音楽:フレデリック・ショパン/美術・衣裳:アレキサンドル・ベヌア
1907年にマリインスキー劇場で「ショピニアーナ」というタイトルで初演され、1909年「バレエ・リュス」初のパリ公演で現在の形となった。
『夜想曲変イ長調』『華麗なる大円舞曲』などのショパンの名曲を管弦楽に編曲して用いている。風の精(シルフィード)と詩人が月明かりの下で美しく舞う、幻想的な作品で、バレエの優雅さを堪能できる。
振付は「瀕死の白鳥」「火の鳥」「ペトルーシュカ」などの振付をしたミハイル・フォーキン。
NBAバレエ団では2013年以来10年ぶりの再演。

「ダッタン人の踊り」

振付:ミハイル・フォーキン/復元:セルゲイ・ヴィハレフ/音楽:アレキサンドル・ボロディン/美術・衣裳:ヴィチェスラフ・オクーネフ
アレキサンドル・ボロディン作曲のオペラ「イーゴリ公」の第2幕に登場するバレエシーンの作品。別名「ポロヴェッツ人の踊り」。ボロディンの最も有名な曲のひとつであり、クラシック音楽でも有数の人気曲。
捕虜となったイーゴリ公に披露する踊りで、男性ダンサーの力強い群舞と東洋的な雰囲気が特徴。男性は激しさ、力強さ、勇猛さを表現し、女性は力強さの中にもしなやかさや華やかさをエキゾチックに表現。「レ・シルフィード」と同じくミハイル・フォーキン振付作品で、バレエ・リュス解散後の今もなお世界中の多くのダンスカンパニーで踊り続けられている。
NBAバレエ団では2016年以来7年ぶりの再演。

「アポロ」

振付:ジョージ・バランシン/音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
ジョージ・バランシン振付の傑作。ギリシャ神話の芸術・芸能の神アポロと、詩を司るカリオペ、雄弁のポリュムニア、舞踊のテルプシコレの3人のミューズたちが登場し、アポロの誕生からオリュンポスへ向かうまでを表現する。「パ・ド・ドゥ」「ヴァリアシオン」などのクラシック・バレエの伝統的な形式に厳格に従い、過剰な装飾を排した作品。
バランシンは20世紀のバレエに多大な影響を与え、この作品によって振付師としての名声が確立したと言われている。イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲の新古典主義(=古典的な厳格な形式と客観的な創作態度を重んじる)時代の代表的作品。
今回がNBAバレエ団初演となる。

NBAバレエ団について
1993年発足した埼玉で唯一のバレエ団。コロラドバレエ団プリンシパルとして活躍した久保綋一が芸術監督を務める。年間を通じて首都圏で公演を主催し、2014年「ドラキュラ」日本初演、2018年「海賊」(新垣隆による一部作曲・編曲)、2019年久保綋一版「白鳥の湖」、2021年ヨハン・コボー振付「シンデレラ」世界初演など斬新な企画で高い評価を受けている。また、毎年1月には “世界に羽ばたく若きバレリーナの育成”を目指し「NBA全国バレエコンクール」を開催。ローザンヌ国際バレエコンクールなどで優秀な成績をおさめるバレリーナを数多く輩出している。最近では映画「翔んで埼玉」に男性ダンサーが出演するなど幅広い活動で注目を集める。2023年に創立30周年を迎える。

芸術監督 久保綋一について
16歳で世界最高峰のモスクワ国際バレエコンクールにてトップの成績を獲得。
ボストンバレエ団のゲストダンサーなどを経てコロラドバレエ団のプリンシパルとして迎えられ、以降20年間にわたって同バレエ団でプリンシパルとして活躍した。2010年にコロラドバレエ団を退団後、2012年NBAバレエ団の芸術監督に就任。次々と意欲的作品を発表し日本のバレエ界にて注目され、2015年NBAバレエ団の数々の公演の成果により文化庁芸術祭新人賞を受賞。また、新時代のバレエの方向性を発信し続けたことにより2018年度舞踊批評家協会新人賞を受賞。

概要
公演名:NBAバレエ団『バレエ・リュス・ガラ』
日程会場:
3月4日(土)13:00/17:30・3月5日(日)14:00 新国立劇場 中劇場
指揮:冨田実里
演奏:NBAバレエ団オーケストラ
芸術監督:久保綋一
主催:一般財団法人NBAバレエ団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会

公式サイト:https://nbaballet.org/official/ballets_russes_gala/