ミュージカル「パリのアメリカ人」制作発表会 ガーシュインの珠玉の名曲とクオリティの高いダンスで魅了する舞台 「作品の感動をお届けできるように全身全霊で!」(松島勇気)

2019年1月から8月まで劇団四季が1951年公開の映画『巴里のアメリカ人』をミュージカル化した「An American in Paris(パリのアメリカ人)」を上演する。パリを舞台にアメリカ人の画家とフランス人の女性の恋を描く。
この有名すぎる映画、使用されている音楽はすべてジョージ・ガーシュウィンの作曲、その兄アイラ・ガーシュウィンに作詞よるもの。もともとはニューヨーク・フィルの委嘱を受けて1928年12月に発表された標題音楽であり、いわば音楽によるフランス紀行文。「アイ・ガット・リズム」「ス・ワンダフル」「わが愛はここに」「天国への階段 (ガーシュウィン)(英語版)」などの有名なナンバーが多く、映画版のクライマックスには、主演のジーン・ケリーとレスリー・キャロンがガーシュウィンの楽曲『パリのアメリカ人』をバックに踊る18分間のダンスシーンがある。第24回アカデミー賞では作品賞、美術賞など8部門で受賞、監督はヴィンセント・ミネリ。
さて、ミュージカル「An American in Paris(パリのアメリカ人)」は、2014年12月にパリ・シャトレ座で初演、ブロードウェイでは2015年から上演され、トニー賞12部門候補となり5部門を受賞。2017年よりウエストエンドにて上演されている。そして来年、2019年に劇団四季版として上演される。

9月3日に都内で制作発表会が行われた。登壇したのは四季代表の吉田智誉樹氏、オリジナル・プロデューサーのスチュアート・オーケン氏、演出・振付のクリストファー・ウィールドン氏、アイラ&ガーシュウィン信託のマイケル・ストランスキー氏。

まず最初に劇団四季代表の吉田智誉樹氏より挨拶があった。作品の概要の説明、そして吉田自身が初めて作品を観劇したのが2015年、「大人向けで小粋なガーシュインの楽曲、言葉以上のダンス」と評した。そして「あまりにもレベルが高い」と語り、ただ、「これが劇団四季で上演できれば、四季は成長できる」と確信したそう。そして「映画の内容をさらに深め、また戦争(第二次世界大戦)の影響も濃く、さらに心の動きがドラマチック」と作品のクオリティに言及。そして訳詞は劇団四季の「アラジン」「ノートルダムの鐘」を手がけた高橋知伽江氏であることも発表された。衣裳はボブ・クローリー氏、四季とのタッグはこれで4回目(「アイーダ」「アラジン」「リトル・マーメイド」)、こちらも楽しみである。それからオリジナル・プロデューサーのスチュアート・オーケン氏が挨拶。「日本で、劇団四季で上演するのが嬉しいです」喜びの一声。そもそも、この『パリのアメリカ人』のミュージカル化そのものが「魅力的な企画」といい、「ガーシュインの素晴らしい楽曲が盛りだくさんです」と語る。映画では最後の方に出てくる17分にも及ぶダンスシーンが有名であるが、そこについて言及「映画に新しい風を吹かせた」とコメント。また、元になっている映画の魅力については「時代設定」と言う。つまり、戦争直後の物語で、この戦争に疲弊した若者の希望、これを「Lot of hope for young people」と語った。ここの部分はこの作品の基調部分となる。そして「ガーシュインの楽曲」これに関しては、もう、言うまでもないくらい、珠玉の名曲の目白押し!そして「ダンス」。単なるダンスではない、ここがポイント。そして演出・振付にクリストファー・ウィールドン氏を起用したことに関しては「情熱と才能を持っている、バレエと演劇を融合できる」というのが理由だそう。そして劇団四季との仕事については「素晴らしいスタッフ、俳優、四季さんのレパートリーに加えていただけるることになって、ワクワクしています」とコメント。続いて演出・振付のクリストファー・ウィールドン氏が今回の作品の当初の依頼について「『パリのアメリカ人』の話は2012年に依頼されて、とてもワクワクしたことを覚えています」と振り返る。「初めてのブロードウェイミュージカル、スチュアートさんがこれを任せてくれたことに感謝いたします」と語り「ダンスを通してストーリーを語るのは新たな挑戦だった」と言い「知れ渡っている作品をどうやって現代の感覚で届けるのか」と課題は多かった模様。「時代背景などを現実的に、忠実にすることによって恋愛物語が浮かび上がるようにした」とコメントした。脚本は映画版を基にキャラクターに細かい描写をつけ、また歴史的背景を付け足しているので、物語に深みがあるのが大きな特徴でもある。

またオーディションについては「高いレベルのオーディション」とコメント。初日が楽しみな発言だ。最後にアイラ&ガーシュウィン信託のマイケル・ストランスキー氏、アイラ・ガーシュインの甥にあたるそう。ガーシュイン兄弟の作品群について解説、そして四季の公演を「楽しみにしています」と締めくくった。そして質疑応答コーナーでクリストファー・ウィールドン氏は「キャラクターたちの動機を考えながら創った」と解説。そして「指示せずにキャラクターを見つけていくやり方」を採ったことも明かした。俳優陣にとっては難しい作業だが、これがクリアーできた時は最高の作品になることであろう。

それからロンドン公演時のVTRが流れたが、これだけ観てもクオリティの高さは一目瞭然。それから今回、キャスト候補として選ばれた俳優陣によるパフォーマンスが披露された。シンプルなピアノの調べに乗って踊り、そして歌唱。心揺さぶる言葉、そして相当稽古をした様子がうかがえる。ほんの短い時間であったが、公演の成功を予感させるには十分だ。

そしてキャスト候補から松島勇気が代表で挨拶した。
「『パリのアメリカ人』はブロードウェイで拝見いたしました。その頃、悩んでいた時期で、この作品と出会い、ガラリと変わりました!僕を救ってくれた作品、戦後のパリで夢を追い続けた若者たちの姿に魅了されました。この作品の開幕に携われて嬉しいです!作品の感動をお届けできるように全身全霊で!是非、楽しみにしててください!」と力一杯のコメント。それからフォトセッション、開幕は来年、2019年1月!渋谷のシアターオーブにガーシュインの素敵なナンバーと魅惑のダンスと!

<披露楽曲>
「An American in Paris」
酒井 大 石橋杏実
「’S Wonderful〜Shall We Dance?」
松島勇気 斎藤 洋一郎 小林 唯 岡村美南
【出演候補キャスト】
<ジェリー・マリガン役>
酒井 大(さかい だい)
松島勇気(まつしま ゆうき)
<リサ・ダッサン役>
石橋杏実(いしばし きょうみ)
近藤合歓(こんどう ねむ)
<アダム・ホックバーグ役>
斎藤 洋一郎(さいとう よういちろう)
<アンリ・ボーレル役>
小林 唯(こばやし ゆい)
<マイロ・ダヴェンポート役>
岡村美南(おかむら みなみ)

【公演概要】
劇団四季ミュージカル『パリのアメリカ人』
2019年1月20日〜
東急 シアターオーブ
2019年3月19日〜
KAAT神奈川芸術劇場
一般前売り:2018年10月27日 午前10時〜(「四季の会」会員先行予約:10月20日〜)
劇団四季公式HP:https://www.shiki.jp

文:Hiromi Koh