PARCOプロデュース2019『人形の家 Part2』8月9日〜!「人間と人間のぶつかり合い、楽しんでもらえれば」(永作博美)

本作はアメリカの新進気鋭の劇作家ルーカス・ナスが、ノルウエー の世界的作家ヘンリク・イプセンが“女性の自立“を描き社会に衝撃を与えた「人形の家」を、大胆にもその続編という形で現代に提示した意欲的な新作。ヘンリク・イプセン作の近代古典の名作 「人形の家」のノラが家を飛び出した 15年後を描き、混沌とした現代社会の中での女性の生き方、現代の家族のあり方を鋭くつきつけた。
物語は、5場構成で、各場「第一場ノラと乳母のアンネ・マリー」「第二場ノラと夫のトラヴァル」…というように 2人芝居が連続した形で進行する斬新でスリリングな構成。2017年に発表されるや、瞬く間に評判となり、すぐさまブロードウェイに駆け上がったヒット作!2017年のトニー賞作品賞をはじめとする8部門にノミネートされた話題作がいち早く日本初上演!
本作の演出を務めるのは、「第26回読売演劇大賞」大賞及び最優秀演出家賞に輝いた栗山民也。 その栗山が注目のノラ役に指名したのは栗山民也演出の「頭痛肩こり樋口一葉」以来、3年振りの舞台出演となる永作博美。 そして、夫・トルヴァルには、近年、自ら作演出など意欲的な舞台活動が評価される山崎一に、乳母のアンネ・マリーには、近年 の栗山演出作品への出演も多い梅沢昌代、ノラに相対する娘役には、青年座劇場ラスト公演「砂塵のニケ」のヒロインを見事演じた演劇界期待の若手女優・那須凜と実力派キャストが、ノラ演じる永作博美を会話でとことん追い詰めます。 人形の家を風刺した洒落た会話劇であるだけなく、二人芝居が連続する斬新なスタイルかつスリリングで見事な構成、サスペンスタッチのセリフの応酬で、「人形の家」を知っている人も知らない人も引き込まれること必至の斬新な舞台に。
公演に先駆けてフォトコールと会見が執り行われた。

初日に先駆けてフォトコールが行われた。公開されたのは1場と2場。1場はノラが15年ぶりに戻ってくるところから始まる。ドアをノックする音、アンネ・マリー(梅沢昌代)が返事をし、ドアを開けると、そこには驚くべき人物が・・・・・ノラ(永作博美)であった。アンネは驚いたが、しばらくぶりのノラを歓迎する。久しぶりに帰ってきた家、懐かしそうに壁を触ったりするノラ。そして家を出てからのことをアンネに話し始める。家を出てから作家になったこと、それで報酬をえていること、ノラはどこか自信に満ちている。アンネは、そういう状況がやや飲み込めない様子。

15年の月日、その間のそれぞれの経験が二人を隔てている。そしてノラがいない間、子供達の面倒を見てきたであろうアンネ。そういったことに思いを巡らすとこの2人の会話から透けて見えてくるものがある。それから2場、今度はノラと夫であるトルヴァル(山崎一)。ノラは資料を取りに帰ってきたトルヴァルと鉢合わせする。ノラはトルヴァルになぜ、15年もの間に離婚届を出さなかったのかを問いただすのであった。

公開されたのはこの2つの場面であるが、基本はノラと誰か、の2人芝居という形式。ノラ役の永作博美は出ずっぱりとなる。そして各場面の始まりに映像で「アンネ」「トレヴァン」と映し出され、わかりやすくしている。

囲み会見には永作博美、山崎一、那須凜、梅沢昌代が登壇した。
まずは意気込み、
「難しいお芝居と改めて思っています。とにかく素直に皆さんに伝わるように頑張ります。難しさも難解さも、皆さんと同じようにしっかり伝わっていけばいいなと。本当に人間と人間のぶつかり合い、楽しんでもらえればと思います」(永作博美)
「難しいとおっしゃいましたけど、対話劇、人と人との対話が少なくなってきましたが、ぜひ、ご夫婦だったり、家族だったり、その後に話し合っていただけたらと、思っています、頑張ります!」(山崎一)
「本当に家族のお芝居ですが、私はノラの娘の役ですが、15年間、母にあったことのない娘の役で、そういう母と娘ってどういうやり取りをするんだろうって皆さんに想像していただき、見ていただけたらと思います。頑張ります!」(那須凜)
「演じる方にとっては、とっても集中力が必要で、しんどい芝居です。みんな、このメンバー、受験勉強のように稽古場で、早くきて、そして残って、それぞれの予習、復讐をやり続けてまいりましたので、きっといい舞台になると思います。見たこともないようなものになると思います。私も50年近くお芝居をやってきましたが、一番頭を使っているような気がします。毎日、ぐったりしています(笑)、楽しみにしていてください」(梅沢昌代)

そして永作博美演じるノラはほぼ出ずっぱり、「『引っ込めないから』って言われて、『まさか』と思っていたんですけど、来る日も来る日もずっと出ずっぱりでした(笑)、ずーーーっと喋ってました(笑)」と笑いつつ、体力については「山崎先輩にも言われましたが、『慣れしかないね』って(笑)」といい「だいぶ慣れてきましたが、本番に入ってからは、本気の慣れっていうか、体がそっちにシフトしていくんじゃないかな?と思っています。必死です(笑)」とコメント。また舞台は3年ぶり出そうだが「あまり実感はわかないですね、楽しみっていうか『また、舞台、できるな』というのが大きいですね」と笑顔。

また、山崎一とは共演したことがあるそうだが、10年以上ぶり、とのこと。「共演はすごく嬉しくってすごくワクワクしています。素敵だなと思いながら」とコメントし、夫役ということに関しては「ご一緒はしてるんですが、親密になったお芝居は・・・・・」と永作博美がいえば山崎一は「掛け合いみたいなのは、あまりなかった」という。永作博美は「今回はそういう意味で新鮮ですね。優しく・・・・・助け合いながら」と笑う。舞台上ではかなりの距離感のある夫婦ではあるが、稽古では距離なし、な感じだった様子。4人が一堂に会することは「ほんの一瞬だけ」と永作博美。それ以外はほぼ2人(ノラと誰か)だそう。そして「一人芝居より大変です。2人がずっと続くし、会話が内心と出ている言葉と裏腹なところもあるので、神経を使いますし、日々、ダメだしも変わります、増えています」と続けてコメント。アンネ役の梅沢昌代は「15年間、育ててきました(笑)」と返す。ノラがいない15年間はアンネが娘のエミーを育ててきた、という設定。娘役の那須凜「母親のことは覚えていない状態ですね。二人芝居で、緊張するんですが、永作さんと『やろう』っていう気持ちに、皆さんのおかげで」と語る。

永作博美はほぼ、ずっと喋っているのでセリフの量も膨大になっているが「言葉がすごくいっぱい出てくるので・・・・本来なら隠しているような言葉がたくさん出ているんですよ。感情も・・・・ですから膨大な上に、すごく伝えるのが難解、皆さんに、相手に・・・・苦しいし、悲しいし、どうやっていえばいいんだろうかって、演じている中で考えなければならないので、セリフの量も、もちろんですが『どう伝えるか』『どうしたら伝わるのか』っていうのが大変なお芝居ですね」とコメント。フォトコールでも披露されたが、しゃべりながらの身振り手振り、歩く速度や、どう歩くか、これもキャラクターの心情を伝えるのに不可欠なこと。ハードルの高い芝居だ。体調は「完璧」といいつつ「脳は熱い」と永作博美は笑う。本家の「人形の家」が「わからなくてもわかる芝居」とコメントし、「この中で語られていることは新しい感覚な気がしますので、たくさん気づかされることがあリます。私は今でも気づかされることが多すぎて・・・・・」と語る。
上演時間は1時間45分程度、1幕もの。「掛け合いが今は楽しい」といい「普段、私たちが欠けている対話っていうものをすごくストレートに感じると思います」とコメント、山崎一は「見終わった後に会話が生まれる、それがこのお芝居の魅力」とPR。永作博美は「自分のことがわかっているようで、自分の意見があるようで、本当はわからない4人がぶつかり合って次のステップに進もうとする話だと思います。みんなわかっているように本音をいうけど、本当のことはわかっていないというお芝居なので『本当は何を考えているんだろう』って見ていただけたらとPR。「結婚観、社会観、女性観、そういうのを考えて見ていただいて、そしてあまり説教臭くなく」と梅沢昌代。
最後に永作博美が「ここにいる4人、演出家も含めて新しい演劇をしているな、という印象があります。新しい感情、新しい感覚、新しい思い、そこに眠っているような感情をぜひ、皆さん、見に来ていただけたらな、と思います、損はしないと思います。ぜひ、お越しください!」と締めて会見は終了した。

<『人形の家 Part2』あらすじ>
舞台は15年前にノラ(永作博美)が家族を残して飛び出した家。15年ぶりに同じ家に帰ってきたノラは、乳母のアンネ・マリー(梅沢昌代)と再会する。夫のトルヴァル(山崎一)は仕事で留守中である。
アンネ・マリーは、死んだと思っていたノラの帰還を喜び、夫トルヴァルとの和解を勧めるが、ノラは断る。
ノラが帰ってきた理由は別にあったのだ。
そこに、夫トルヴァルが仕事から帰宅し、ノラと予期せぬ再会をする─。

【公演概要】
PARCOプロデュース2019『人形の家Part2 』
<東京公演>
2019年8月9日(金)~9月1日(日)紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
2019年9月より地方巡演。
作:ルーカス・ナス
翻訳:常田景子
演出:栗山民也
出演:永作博美、山崎一、那須凜、梅沢昌代
企画・製作:株式会社パルコ
公式HP:http://www.parco-play.com