「オリエント急行殺人事件」、正義と真実と、ポアロの名推理はいかに!

「オリエント急行殺人事件」、東京公演の幕が開いた。言わずと知れた世界的なベストストセラー作家・アガサ・クリスティの代表作である。
舞台上にはオリエント急行列車、品の良い車体、JAZZが流れる。客席通路から名探偵ポアロ(小西遼生)が登場、客席から大きな拍手が起こった。そして列車に乗り込むために舞台に上がる。それから次々とこの列車に乗り込もうとする乗客がやってくる。映像で止まっている駅がイスタンブールだとわかる。乗客のキャラクターも何となくここでわかる仕組みで客席からは時折、笑いが起こる。そして、『車体』が上の方に上がり、列車の中の様子が舞台上に。映画のようなスタイリッシュな映像と音楽でオープニング、そしてタイトルロール。映像で外は雪であるということがわかる。高級列車、密室、深い雪、ゆえに何かあっても外には出られない・・・・・事件が起こる『お膳立て』は揃った。

原作通りにストーリーは進んでいく。舞台は上下の二重構造で、視覚的に見やすくなっており、舞台天井には歯車、これが回ることによって列車が走っていることを表現する。そして事件が起こる。アメリカ人の実業家であるラチェットが部屋に鍵がかかっているにもかかわらず、無残にも殺されていた。鉄道会社に頼まれたポアロは聞き込みを開始するも、乗客の全員にはアリバイがある。ポアロは、犯人は車中にいると睨むのだが・・・・・というのがだいたいのあらすじだ。

乗客のバックボーン、様々な立場、人種、そして少々癖のある人たち。列車は大雪で停車、窓は開いていたが、足跡はない。つまり、犯人は車外には逃亡していないことがわかる。そして乗客全員にアリバイということは、翻って全員が怪しいわけであるが、それが捜査の大きな壁となる。この壁をポアロがどう乗り越えていくかが見所となる。ポアロ演じる小西遼生の髭がよく似合っており、ポアロ感がしっかり!そして乗客たち、怪しいが愛すべき人々、すべてが納得できるキャラクター作りでここも見所。そして捜査が進むにつれて人間的な側面が徐々にあぶり出されていく。
結末を知っていても、展開がわかっていても見入ってしまう。そして隠されていたことが明るみになっていくが、時々、客席からは笑いも起こる。そこから結末に至るまでは、女流作家ならではの心理描写の細やかさ、よってセリフ劇という形態にしたのもよくわかる。また視覚的に映像を使用し、照明で雰囲気を盛り上げる。
正義と真実と、そして人の想い、ポアロが下した結末は劇場で!

<出演>
小西遼生、室龍太(関西ジャニーズJr.)、春風ひとみ、伊藤純奈(乃木坂46)、宍戸美和公、松村武、伊藤梨沙子、田鍋謙一郎、マルシア、田口トモロヲ

【公演概要】
舞台「オリエント急行殺人事件」
<東京公演>
2019年8月9日〜8月18日 サンシャイン劇場
原作:アガサ・クリスティ
演出:河原雅彦
公式HP:https://www.orientexpress-stage.jp/
取材・文:Hiromi Koh