人類の「叡智」が問われる挑発的な問題作、日本初演「チルドレン」

ーー゙ブロードウェイ、ウエストエンドを震撼させた超問題作! 大地震、津波、そして原子炉の停止ーー

今世界が最も注目する女流作家ルーシー・カークウッド(2014 年ローレンス・オリヴィエ賞受賞)によ る、悪寒とサスペンスに満ちた傑作「チルドレン」が、栗山民也を演出に迎え、日本で初上演!

巨大地震の影響で、大津波が起き、原発事故が起きた。 津波の浸水で家を追われた夫婦が移り住んだコテージ。 そこに20数年ぶりに女友達が訪ねてくる。3人はかつて原子力発電所で一緒に働いていた核技術 者同士。かつてのように語らい、他愛もない冗談を言い合いながらも、彼女が口にしたのは衝撃的 な提案であった。原発から遠く離れた海辺のコテージに鳴り響くガイガーカウンター。リタイヤを前に した男女3人の学者たちは、静かに決断を下す──。

ルーシー・カークウッドは、1984 年生まれの弱冠 33 歳というイギリス演劇界期待の若手女流作家。 彼女が執筆した、アメリカ人写真家が、1989 年に天安門広場で戦車の前に立ちはだかった男の軌跡をたどりながら、現代のアメリカやそこで暮らす外国人が抱える問題をひも解いた意欲作「チャイ アメリカ」は、2014 年ローレンス・オリヴィエ賞作品賞を受賞。

本作「チルドレン(原題:THE CHILDREN)」は、そんな注目のカークウッドが英ロイヤル・コート・シアタ ーの招きで書き下ろした作品。カークウッドの作品を上演するのは、日本で本作が初となる。

米ブロードウェイ、英ウエストエンドでの上演成功を受けて、今春シドニー・オペラハウスでの上演も 決定した本作。世界の観客に問いかけるのは、普遍にして大なテーマ。多くの過ちを繰り返し、染みだらけになったこの地球で、今を生きる私たちは、生まれ来る未来の子供達の為に、何ができるのか。日本を代表する実力派俳優 高畑淳子、鶴見辰吾、若村麻由美の 3 人が挑む上質な人間ドラマ、これは必見!

 

 

「チルドレン」のティザー動画およびイメージビジュアル撮影では、関東某所の海岸でロケが行われた。

撮影では通常のカメラに加えてドローンも登場。ドローン撮影の直前には、スタッフは映像と画像に映り込まないよう、すべての機材とともに撮影範囲外のポイントへ撤収。撮影現場にいるのはキャスト三人のみ。ドローンパイロットと映像監督は、現場から数百メートル先の海岸へ移動。パイロットはそこからドローンを操縦し、監督はトランシーバーを使ってキャストに演出指示を送る。海上を飛ぶドローンは、岩場に佇むキャストにギリギリまで近づき(数十センチまでドローンが近づいたときの迫力はかなりのもの!)寄りの映像を撮影すると、高度を上げて三人の姿を俯瞰で撮影。劇中で起こる事態の大きさ、それとは対照的な人間の存在の小ささが感じられるような情景が収められた。ドローン撮影のあとも通常のカメラを使用した撮影が日没まで続行された。.

 

 

<物語>

登場人物:ヘイゼル(高畑淳子)、ロビン(鶴見辰吾)、ローズ(若村麻由美)

   巨大地震、大津波、そしてそれに伴う原発事故。
そこから遠くもない海辺のコテージに移り住んだ夫婦ロビンとヘイゼル。
そこへ数十年ぶりに女友達ローズが訪ねてきた。

昔のように語らい、踊り、冗談を言い合う 3 人の背景が明らかになるにつれ、

次第に色濃くなる世界の影。
現代を生きる私たちは、母なる地球とどう関わるべきなのか􏰚􏰚?

人生の後半に差し掛かった 3 人の元物理学者。

彼らに迫る決断の時。そして彼らの下す結論とは・・・。

<スタッフプロフィール>

脚本: ルーシー・カークウッド | Lucy Kirkwood

2009 年、脚本を手掛けた「IT FELT EMPTY WHEN THE HEART WENT AT FIRST BUT IT IS ALRIGHT NOW」が、 クリーン・ブレイク・シアターの製作で、アルコラ・シアター(ロンドン)にて上演。この作品はイーブニング・スタンダー ド・アワード最優秀新人賞を獲得した後、2010 年にはジョン・ホワイティング・アワードも受賞。
2012 年、ジャニー・ディー、ジュリアン・バレットを主演に迎えた「NSFW」がロイヤル・コート・シアター(ロンドン)で開 幕。2013 年には「チャイメリカ」がアルメイダ・シアターで初演された後、ウエストエンドへ進出。2014 年ローレン ス・オリヴィエ・アワード最優秀新作賞に加えて、クリティックス・サークル・アワード、スーザン・スミス・ブラックバー ン・アワードを受賞。
近年の作品に、マンハッタン・シアター・クラブが製作し、2017 年夏に英ナショナル・シアターで上演された 「MOSQUITOES」、2016 年にロイヤル・コート・シアター(ロンドン)で初演され、翌 17 年 12 月にブロードウェイへ 進出した「チルドレン」がある。
テレビ作品の脚本も数多く手掛けており、代表作に「SKINS」(製作:カンパニー・ピクチャーズ)、「THE SMOKE」(製 作:クドス、スカイ・ワン)があり、6 つのシリーズからなる新作「ADULT MATERIAL」(製作:タイガー・アスペクト・プロ ダクションズ)も現在製作中。またプレイグラウンド・プロダクションズ製作による「チャイメリカ」の連続ドラマ版のプ ロジェクトも進行している。また短編映画「THE BRINY」の脚本、監督を務めた他、カウボーイ・フィルム、クリオ・バー ナード、レニー・アブラハムソンとのプロジェクトも現在進行中である。

 

演出:栗山民也

1953 年生まれ、東京都出身。早稲田大学文学部演劇学科を卒業後、「芸能座」で小沢昭一氏に 師事。その後、木村光一氏の演出助手として数多くの舞台作りに参加、フリーの演出家となる。初演出作品は「ゴドーを 待ちながら」(80 年)。昭和 63 年度文化庁在外研修生としてロンドンに滞在、帰国後は小劇場から大劇場まで、ストレ ートプレイ、ミュージカル、オペラと幅広いジャンルで活躍。2000 年 7 月から 07 年 7 月までの間、新国立劇場演劇部 門の芸術監督を務めた。96 年に第 46 回芸術選奨文部大臣新人賞、第 30 回紀伊国屋演劇賞、第 3 回読売演劇大 賞最優秀演出家賞、’99 年に毎日芸術賞第 1 回千田是也賞、第 6 回読売演劇大賞最優秀演出家賞、01 年に第 1 回朝日舞台芸術賞、05 年に第 4 回朝日舞台芸術賞グランプリ、12 年に第 62 回芸術選奨文部科学大臣賞、14 年 に第 39 回菊田一夫演劇賞受賞。また 13 年に紫綬褒章受章。著書に「演出家の仕事」(岩波新書)がある。パルコ関 連作品には「ラ・ロンド」(82 年)に舞台監督として参加。「青空ある限り」(96 年)で初演出。近年の演出作品に「海を ゆく者」(09・14 年)、「オレアナ」(15 年)、「母と惑星について、および自転する女たちの記録」(16 年)、「アンチゴー ヌ」(17 年)などがある。

 

翻訳:小田島恒志

東京都出身。早稲田大学学術院教授。早稲田大学博士課程、ロンドン大学修士(MA)課程修了。 日本英文学会、日本ロレンス協会、日本演劇学会会員。現代イギリス小節と現代英米演劇を専門とし、D.H.ロレンスの 小説と戯曲、戯曲翻訳の実際などを研究。1995 年度湯浅芳子賞(翻訳・脚色部門)受賞。

 

 

【公演概要】

PARCO プロデュース 2018 『チルドレン』

作:ルーシー・カークウッド
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
出演:高畑淳子 鶴見辰吾 若村麻由美 【スタッフ】
企画・製作:株式会社パルコ

<日程>
埼玉:  9月 8日(土)〜 9日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
東京:  9月 12日(水)〜26日(水) 世田谷パブリックシアター
豊橋:  9月 29日(土)・30日(日) 穂の国とよはし芸術劇場プラット主ホール
北九州:10月 13日(土)・14日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
仙台: 10月 30日(火) えずこホール(仙南芸術文化センター)
※上記他、順次発表予定。
公式サイト: