『正しいオトナたち』「(ラストは)形もなくなり、違う姿に・・・・自然に崩壊しています」(真矢ミキ)

真矢ミキ主演舞台『正しいオトナたち』。『Le Dieu du carnage』(本作原題)は2006年にチューリッヒで世界初演。そして08年にはフランスで作者であるヤスミナ・レザ自身による演出で上演され、大ヒットを記録。またイギリスの俳優レイフ・ファインズらの出演版で09年のローレンス・オリヴィエ賞演劇部門最優秀新作コメディ賞を受賞。同年ブロードウェイ版はトニー賞演劇部門最優秀作品賞のほか、最優秀主演女優賞と最優秀演出家賞の計3部門等、数々の世界的な名誉ある賞を受賞し、さらに11年にはレザとロマン・ポランスキーが共同脚本し、ポランスキー監督の作品として映画化もされた。物語は子供同士の喧嘩を発端にお互いの両親による話し合いから始まる。進歩的な考えを自負している親たちは冷静に事態を収めようとするが、話し合いは次第にエスカレートし、四人個々の主義主張、夫婦間の亀裂まで一気に加速。お互いの人間関係が浮き彫りになり、心の奥底にしまってあった憎悪が吹き出してしまう。人間の怒り、憎悪が瞬間的に方向を変えるストーリーの巧みさは、まさにヤスミナ・レザの真骨頂。
IMAホールで東京先行公演のあと、名古屋、兵庫にて上演し、12月13日より東京グローブ座で公演する。このゲネプロに先駆けて囲み会見が行われた。登壇したのは、真矢ミキ、岡本健一、近藤芳正、中嶋朋子。
まずは演じるキャラクターだが、近藤芳正の役は少々引っ込み思案な夫、その妻が真矢ミキ、ことを大きくしないように、と考えている役所で、中嶋朋子は「慎ましやかな妻です」といい、真矢ミキは「穏便に、穏便に済ませたいと思ってて・・・・・それで一番の起爆剤」と語る、岡本健一の役は弁護士。「大きな仕事、製薬会社の仕事、とにかく仕事が大事で話し合いの最中に、この大きな仕事の電話が入ります」と語る。服装も、物語の舞台は近藤芳正と真矢ミキが演じる夫妻のリビングという設定、近藤はラフな服装で真矢は派手めなブラウスにスカート、仕事を持っている、という設定。一方の夫妻、岡本はダークスーツに中嶋は品の良い地味目な服装。ここからでもキャラクターの設定や状況は容易にわかる。真矢ミキは「踊らない歌わないのストレートプレイで楽しみにしていたのですが、こんなにしんどいとは思いませんでした。ずっと喋ってるんですよね。疲れ方がハンパなく・・・・・・お芝居がガッツリできると思って喜んたけど。みんなでタッグを組んでいます」と苦笑い。また、お互いのリアクションに笑ってしまうところもあるとか。
また演じるキャラクターと自分と似ているところがあるかどうか?という質問に対して近藤芳正が「似てる部分はありますね、余計なことを言ったり・・・・・笑ってもらおうとして・・・・それで『シーン』としたりして」というコメントに皆、クスリと笑いが(笑)。さらに「普段は大人なので、今は・・・・・昔の自分な感じですね」とさらりと。岡本健一は「自分とは違いますね」とコメント。真矢ミキは「タイミング的にはありがたいお話でした」と「ビビッド」のMCの仕事についてコメントし、「勉強になりましたね。こういう芸達者な方々とご一緒もできて」と語る。
見所は「多いわーーー女性陣、形もなくなり、違う姿に・・・・自然に崩壊しています」と真矢ミキ。「教育、子供、戦争、社会、そういったものが凝縮されてて・・・・・腹を割って話す、もうすぐ今年も終わりますが、自分に照らし合わせてもらえれば。みんなすごいです」と岡本健一。「自分は誰に近いのか、を見ていただけると」と真矢ミキ。バトルの前の和やかな会見は終了した。

【公演概要】
タイトル:『正しいオトナたち』
作:ヤスミナ・レザ(現題:Le Dieu du carnage)
翻訳:岩切正一郎
演出:上村聡史
出演:
ヴェロニック 真矢ミキ
アラン 岡本健一
アネット 中嶋朋子
ミシェル 近藤芳正
<東京先行公演>
公演日:11 月28 日(木)~11 月29 日(金)
会場:IMAホール
主催:テレビ朝日、インプレッション
<名古屋公演>
公演日:12 月4 日(水)
会場:日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
主催:メ~テレ、メ~テレ事業

<兵庫公演>
公演日:12 月 7 日(土)~ 8 日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター
阪急 中ホール
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター

<東京公演>
公演日:12 月 13 日(金)~ 24 日(火)
会場:東京グローブ座
主催:テレビ朝日、インプレッション
企画・制作:インプレッション
主催・製作:テレビ朝日 インプレッション
公式HP:https://www.tadashiiotonatachi.com
取材・文:Hiromi Koh