市村正親主演 ミュージカル『スクルージ』ークリスマス・キャロルー 人生は短い、だから悔いなきように!

クリスマスといえば、サンタクロース、クリスマスツリー、そしてミュージカル『スクルージ』、12月8日、日生劇場で開幕する。それに先駆けて公開ゲネプロと囲み会見が実施された。登壇したのはスクルージ役の市村正親。1949年生まれ、今年で古希を迎えて、まだまだ元気そのもの。軽快な足取りで登壇し、まずはフォトセッション、いきなりピースサイン!「世界一、可愛いスクルージを!」とリクエストしたところ、満面の笑みで、あの強欲なスクルージとは到底思えない(笑)、いつもの市村正親!そして会見が始まった。
7回目のスクリージ役、最初は40代で演じ、回を重ねた。「70歳で演じられるのはありがたいことです。(年齢的に)本当のスクルージに近づいてきた。80歳でやれたら、ノーメイクでいきたい」と笑わせたが、多いに可能性はある!そして日生劇場といえば、市村正親にとっては思い出の多い劇場、「オペラ座の怪人」の初演は、日生劇場、市村正親はタイトルロールであるファントム役を演じて話題になった。そしてスクルージには「3人の精霊が出てくるのですが、僕にとっての過去の精霊は浅利慶太さん、現在の精霊は日生劇場の創始者である弘世現さん、未来の精霊は黒い服をきて演出をしていた蜷川さんですね。この3人・・・・・演劇生活46周年、日生であるということは、なんか見守られているようで」とコメント。「まあ、ベテランですが(笑)、失敗もその日の味。正解がないんですよね。セリフがいえたからと言ってそれがいいとは限らないです」とコメント。今日も劇場入りする前にマグマヨガで汗をかき、しっかりとトレーニングしてから、というところはさすが。腹筋も!シャワーも!これがローテーションだそう。

世界一、ヤバいスクルージ。
世界一、可愛いスクルージ。

若さの秘訣(ひけつ)を聞かれ、「美しいかみさんと、2人の子供のおかげ。初日も観に来てくれるんです。それが僕にとって一番の励みですね」と感謝した。「長男は、演技の批評します、『2階にもお客さんがいるんだから、こうしたほうがいい』とか」と語るが、頼もしい長男さん!
クリスマスは何人か呼んでパーティをするそう。今年は舞台の他に「ドクターX」などのドラマに出演。来年も出演舞台、「ミス・サイゴン」も控えている。「足だってまだまだ上がりますよ」と、足を高くあげて見せた。しかもリクエストにこたえて計3回足を!
「古希になって、皆さんに『こき』使ってもらいながら『スクルージ』、頑張ります!来年は『ミス・サイゴン』で!」と笑いつつ会見は終了した。

舞台は幕開きは華やか、クリスマスにふさわしい賑やかさ、子供達が大勢登場して歌う。そして場面は変わり、スクルージ(市村正親)が登場する。クリスマスで皆笑顔な季節というのに小言ばかり。
もともとは『クリスマス・キャロル』(原題:A Christmas Carol)は、英国の文豪チャールズ・ディケンズの中編小説。1843年12月19日に出版。守銭奴のスクルージがクリスマス・イヴに超常的な体験から、過去・現在・未来の旅をした結果、改心をするという物語。クリスマス・ストーリーの中では最も有名なもので、ディケンズを世界的有名作家になった記念碑的な作品。
スクルージは冷酷無慈悲、ロンドンの下町で事務所を構えており、薄給で書記のボブ・クラチット(武田真治)を雇っており、街の人々からは嫌われている。そんなスクルージを『いかにも』な風情で市村正親が演じる。「クリスマス」の言葉を聞いただけで不機嫌になり、「馬鹿馬鹿しい」と言い放つ。結末もわかっている。共同経営者マーレイ(安崎求)の亡霊が現れて3人のクリスマスの精霊が訪れるが、3番目の精霊こそが唯一唯一の救いになるだろうという。そして精霊が現れて過去や未来に連れて行かれて・・・・・・がだいたいの流れだ。
エンターテイメント性の高いステージ、リアルなロンドンの下町、大きな、大きなクリスマスツリー、そして1幕のラストと2幕の冒頭でスクルージが!!!空を飛ぶ!

現実がわかっているようでわからなかったスクルージ、精霊たちによって様々な気づきを得る。人生を悔いなきように生きること、若かった頃の恋人との離別、クラチットの慎ましやかであるが、家族が寄り添って生活していること、そして自分に関する悪夢のような未来。過去は変えることはできないが、未来はまだ変えることができる。クリスマスイブはまだ終わっていなかった。スクルージは自分が今、できることをするために行動する。「もう一度、やり直す」、今を生きる、悔いなく生きる、吹っ切れたスクルージの表情は明るい。ラストは祝祭のように皆、登場し、歌い踊る。脇を彩る俳優陣も芸達者、マーレイ役の安崎求、過去の精霊役の愛原実花に現在の精霊役に今井清隆、その他の共演陣に今陽子に畠中洋、田代万里生など、豪華。人の一生は短い。市村正親には毎年、スクルージ役をやって欲しい、そんな気にさせてくれる舞台であった。

【公演概要】
日程・場所:
2020年12月8日〜25日 日生劇場
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本・作曲・作詞:レスリー・ブリカッス
演出:井上尊晶
主催:/TBS・スポーツニッポン新聞社・ホリプロ
後援:
BS-TBS
共演協力:劇団ひまわり
企画制作:ホリプロ
公式HP:https://horipro-stage.jp/stage/scrooge2019/
舞台撮影:田中亜紀
文:Hiromi Koh