加藤健一事務所 vol.110 『SHOW MUST GO ON ~ショーマストゴーオン~』2021年9月上演

70 年前に書かれたジョン・マーレイ、アレン・ボレッツの典型的なドタバタ喜劇。
追い出しをはかるホテルと、一発逆転をねらう役者たちの攻防戦、底抜けの楽天主義で世の中の鬱屈を吹き飛ばす痛快喜劇の決定版。

原題『ROOM SERVICE』。これが書かれた頃のアメリカは、1929年の世界大恐慌から立ち直っておらず、国民の生活は貧しく、先行きの見えない灰色の時代。アメリカ経済が立ち直るためには第二次世界大戦に参戦し、武器生産の特需が求められている、そんな頃。
この時代の日本は国際連盟脱退、ドイツ、イタリアとの三国同盟を締結、1937年に日中戦争、41年には太平洋戦争に突入という暗い時代。この年にブロードウェイのコートシアターで初演、61週、500回のロングランを成し遂げた芝居。
成功の理由は、ただおかしくて、笑って、元気になった。というだけでなく、登場する役者たちが芝居を上演するために苦しみ、がんばり、襲い掛かる様々なピンチを知恵(常識はずれの知恵も)と演技力で切り抜け、芝居を上演し、成功させたところにある。
物語はすこぶる単純、貧乏な役者一座がホテルで新作の稽古、長逗留でつけがどんどん溜まる。芝居は成功間違いないと思っているが、スポンサーがなかなか見つけられない。ホテルからの追い出しもはじまる。追い出しされたくないがために、様々な駆け引き(ウソ)を駆使、役者だから演技はうまい。騙されるホテル重役……、そのうち嘘がバレ、再びピンチに陥る、という”無限ループ”に(笑)。役者たちは夢と生活がかかっているので、とにかく必死。台詞のやりとり、絶妙な間合い、ここがポイント、喜劇の王道をいく作品である。また 1938年には、当時の喜劇スターであるチコ・ハーポ・グルーチョのマルクス兄弟の主演で映画化されている。加藤健一事務所では、1994 年に上演。(その時のタイトルは『It’s SHOW TIME!』) 今回は実に27年ぶりの再演となる。

◆STORY
ブロードウェイ、とある二流ホテルの一室。ここには演劇プロデューサーのゴードン・ミラー(加藤健一)が暮らしている。 彼の劇団は今、新人作家の脚本でもうすでに7週間も稽古を積んでいる芝居がある。芝居の出来は上々。いつ初日を迎えても 良いくらいだけど、足りないものがあと一つ――そう、ショービジネスを成功させるために重要な多額の資金だ。 だがミラーの劇団は経済的に大ピンチ。今すぐスポンサーを見つけなければ、初日を迎えるどころか、このホテルから追い出されてしま う。だって、ミラーのツケで22人もの劇団員たちがこのホテルに内緒で飲み食い寝泊りしているのだから。 ホテルの支配人も黙っちゃいない。ぶ厚い請求書を突きつけて「支払えないなら出て行け!」とうるさくミラーにつきまとう。 そうとなったら残された道はただ一つ、いつものあの手、トンズラだっ!!
そう思ったその矢先、都会暮らしを始めようと田舎から出てきた新人作家がミラーを頼ってやってくる。 演出家と制作助手も荷物をまとめてミラーのもとへ転がり込んできた。 次から次へと降りかかる面倒な事件。なんてこった、一体いつになったら芝居は打てるのか? 「この芝居が当たったら、ちゃんと支払います。だからそれまで待って…。」 そこへまさに渡りに船、ついにスポンサーが現れた!だが、世の中そんな甘いワケがない!! 崖っぷちからの起死回生!?ミラーと劇団の運命やいかに!?

[出演]
加藤健一
新井康弘
辻 親八 奥村洋治(ワンツーワークス) 林 次樹(Pカンパニー) 土屋良太
伊原 農(ハイリンド) 千葉健玖(Studio Life)
加藤 忍 岡﨑加奈

<概要>
日程・会場:
[東京公演]
2021年9月1日〜9月12日 本多劇場
[京都公演]
2021年9月18日 13:00 開演/夜 18:00 開演 京都府民ホール“アルティ”
作:ジョン・マーレイ アレン・ボレッツ
訳:小田島恒志
演出:堤 泰之
加藤健一事務所公式HP:http://katoken.la.coocan.jp