甲斐翔真,阿部顕嵐,夢咲ねね,栗原英雄,朴璐美etc.出演 「October Sky-遠い空の向こうに-」夢を、星を、未来をつかむ!

舞台は米ソ冷戦時代のアメリカ。小さな炭鉱町に生まれ、炭鉱夫になることを運命づけられていた主人公が、人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げを見たことにより、ロケット制作を志す―。元NASAの技術者ホーマー・H・ヒッカム・Jr.による感動の自伝小説「ロケットボーイズ」、全米でベストセラーとなり、1999年にジェイク・ギレンホール、クリス・クーパーら出演でたちまち映画化。そして、ミュージカル版が誕生し、アメリカでの2度のトライアウト公演を経て(2015年シカゴのマリオットシアター、2016年サンディエゴのオールドグローブシアターにて)、ついに日本で初上演。10月6日の開幕に先駆けて公開稽古が行われた。

厳格な炭鉱夫の家庭に生まれながら、衛星との出会いにより夢を見出す快活な高校生のホーマー・ヒッカム役には甲斐翔真。ホーマーと一緒にロケット制作に励む「ロケットボーイズ」のメンバーの一人で、義父から暴力を受けているロイ役には阿部顕嵐(7ORDER)。
ロケットボーイズのロケット作りに興味を持ち、彼らの夢のサポートをする科学の先生ミス・ライリー役には夢咲ねね。炭鉱夫として生き、自分とは異なる人生を志す息子ホーマーの理解に苦しむ父ジョン・ヒッカム役に栗原英雄。家族を愛し、息子を心配しながらも夢を応援し、守ろうとする母エルシー・ヒッカム役は朴璐美。故郷を愛するホーマーのガールフレンドのドロシー役に中村麗乃(乃木坂46)、ホーマーの幼馴染で、明るい性格とユーモアのセンスを持つロケットボーイズのメンバー、オデル役に井澤巧麻、学校ではいじめられているが、優れた科学的知識を持ち、ロケットボーイズに加わることになる、クエンティン役には、福崎那由他。

炭鉱のシーンから始まる。薄暗い舞台、彼らの仕事は死と隣り合わせ、「家族のために」と歌う。過酷な労働条件、しかし、それなりに誇りもある。ホーマー(甲斐翔真)が父・ジョン(栗原英雄)に弁当を届けるも、「後にしろ」と言われる。俯向くホーマー。別の炭鉱で事故が起こった、ジョンはそれを他の炭鉱夫に知らせる。基本的に田舎町、少年たちはこの町を出ることを夢みている。若者らしい歌、「抜け出したい」、ここから抜け出したい、現状を打破したい、そんなナンバー。この時代、米ソの冷戦、当時は宇宙開発も競い合っていた。世界的ビッグニュース、スプートニクの打ち上げ成功、1957年10月4日ソ連が打ち上げた。1957年は第3回の国際地球観測年にあたり、世界中の地球物理関係の科学者が協力して総合的に地球の観測を行う計画があった。アメリカはその一環として人工衛星を用いて観測を行うことを発表していた。突然のスプートニクの打上げ成功は、これを出し抜いたもの。世界中の人々を驚かせた出来事だ。高校の物理教師のミス・ライリー(夢咲ねね)は彼らに人工衛星・スプートニクの話をする、「人類の快挙!」という。そして実際に見る!この衝撃!ホーマーはロケット制作の決意を抱く。


夢を、目標を見つけたホーマー、そして彼の友達も加わる。ロイ(阿部顕嵐)とオデル(井澤巧麻)、そしていじめられっ子であるが、科学の知識が豊富なクエンティン(福崎那由他)も仲間に入れて「ロケットボーイズ」を結成。4人、一丸となって夢に突き進むが、その道のりは険しいものだった。
夢を掴もうとする少年たちのストーリー、単純明快であるが、全てのキャラクターに物語があり、メッセージ性も高い。ホーマーの父・ジョンは、息子の夢には全く興味を示さない。長男が得意のアメフトで奨学金をもらい、大学へ行くこととなった。ジョンはつぶやく「戻ってこないだろう」と。炭鉱を息子に引き継いでもらいたい、残った次男・ホーマーに。しかし、ホーマーは継ぎたくない、ロケットを作りたい、父子は平行線を辿る。母・エルシー(朴璐美)は息子の夢を理解し、応援する。失敗続きのロケット制作だが、サイエンスフェアへの出場を目指し、人々も興味を持ち始め、少しずつその目標に近づいていくが、ある日、ロケットの打ち上げで火事が起こってしまう。父は息子に「炭鉱夫になるんだ」と言う。夢を取るか父の意志に従うのか、心優しいホーマーは悩む。


観客はこのホーマーがどうなるのかは先刻承知だ。ホーマーは将来NASAの技術者になることを、つまり、夢を掴むことを知っている、しかも20年も勤務。それでもこの物語に見入ってしまう。ミス・ライリーはホーマーのために専門書を取り寄せたり、校長を説得したりする。失敗を繰り返すうちにレベルアップ(ロケットに書いてある文字に注目)、そんな折に父が炭鉱の事故で怪我をする。ホーマーは炭鉱で働き始める。そんな折、励まし、支えてくれたライリーが不治の病に。そんんな状況でもホーマーを励ます彼女、ホーマーは、サイエンスフェアへ出場できるのか?とわかっているのにハラハラ。


かつて産業革命が起こり、石炭はエネルギー源であった。ところが、20世紀後半、エネルギーの主役は石炭から石油へと変わっていった。この物語でも描かれているが、従事する労働者の減少、ストライキ、炭鉱は滅びていく。その正反対に位置するのが宇宙開発、ロケット、人工衛星、この”滅びゆくもの”と”輝かしい未来”、そして父と子、この対比が胸を打つ。「星を見上げて」「星に還る」など、幾つかのナンバーがリプライズする。世代の違い、米ソ冷戦、宇宙開発etc.こういった背景、夢をあきらめないこと、志を持つこと、こういったテーマがクローズアップされる。

甲斐翔真が悩んだり、前を向いたり、また父を想い揺れうごくホーマー役を熱演、キャラクターにもマッチし、当たり役。友人役を演じる阿部顕嵐、井澤巧麻、福崎那由他、このトリオが楽しく、キャラクターも際立っており、ワチャワチャと!そして父のジョン演じる栗原英雄、実直で頑固、時代に取り残された人物を的確に演じ、その妻を演じる朴璐美、深い愛情で家族を愛する平凡ながらも意志の強い女性、またパワフルな歌声が!流石の貫禄。ガールフレンド役の中村麗乃、高音がよく伸びて、将来性を感じる。夢咲ねねも得意の歌で心情を表現、自分の死期が近いことを悟っていてもホーマーを思いやるシーンは涙。ラストは未来を感じさせる。息子の夢に無関心だった父、内面が変わる。息子もたくましくなる。遠い空の向こうには、どんな景色が見えるのか、それはキャラクターの数だけ、ある。

初日に向けて会見が行われた。登壇したのは、甲斐翔真、阿部顕嵐(7ORDER)、夢咲ねね、栗原英雄、朴璐美 中村麗乃(乃木坂46)、井澤巧麻、福崎那由他。
まずは挨拶。
甲斐翔真
「このような状況でここまで来れたことを噛み締めながら」

阿部顕嵐(7ORDER)
「この作品を観てもらいこことにワクワクしています」

井澤巧麻
「久しぶりでいいものをつくりあげられた。最後、星空、希望、温かいものを持って帰れるように」

福崎那由他
「僕自身勇気をもらった作品、勇気をあたえられるように」

中村麗乃(乃木坂46)
「顔あわせから、あっという間、みんなでやってきたことを精一杯」

夢咲ねね
「明日から初日、楽しみにしています」

栗原英雄
「昨日、本物のスプートニクが打ち上げられて…マスク取ってみんなの顔が見れた。感染対策をしっかりとして」

朴璐美
「とてもいい作品…昨日、(マスク取って)初めてみんなの顔を見ました。明日から初日、楽しみです」

見せ所などについて。
甲斐翔真
「演出の板垣さんが『僕の舞台には主役、脇役、アンサンブルという隔たりはなく、全員が主役であるべきだ』と。全員が主役、主役の集まりのようなカンパニーで、全員に見せ場があります。一人一人のキャラクターが個性があって、誰に感情移入しても感動できます」

阿部顕嵐
「全部好きですが、スプートニクが宇宙に飛び立つのをみんなで見届けるシーン、ステージ上でみんなが見るシーンが好きです。ステージ上の時間が止まっているような感じ、それを観に来てくださる方々と一緒に共有したいです」

井澤巧麻
「僕はオープニングシーン、1曲目が好き。幕が開いて炭鉱夫たちが出てきます。その迫力で1950年代のアメリカにタイムスリップした気持ちになれるので、注目していただきたい。お客様にも希望を持って帰っていただける舞台になっていると思います」

福崎那由他
「いじめられているところを3人に助けてもらうところと、4人が『ロケットを作るぞ』と決意を固めるシーンがすごく好きです。僕が演じるクエンティンは劇中で勇気を与えてもらう役なので、皆さんにも勇気を与えられたら」

夢咲ねね
「光になる存在でありたいと思ってたのですが、みんな眩しくてパワフルで〜どうしよう、負けちゃうって思って(笑)。エネルギッシュでパワフルな彼らに負けないように突進していけたら」

栗原英雄
「コールウッドの町には現代にも通じる閉塞感が漂っています。父と息子、夫婦、友人、先生と生徒、町や国と人々の関係も描かれている群像劇だと思います。観ている方の悩みと通じるものがある。お客様と共有できるものがあります」

朴璐美
「パパが言った通り(笑)。本作の魅力は実話であること…個があって、家族があって、町があって、国があって、星がある。誰にでも共感できる普遍的なお話。初日で私たちのビビッドな気持ちがお客様に届くといいな」

最後にPR。
甲斐翔真
「日本初演、誇らしい気持ちです。稽古の段階から”お客様はどう思うのかな、どういう感情を持って観ていただけるかな”と稽古してきまして。幕が開くのが楽しみ。全員無事に健康に舞台に立てるように!!千秋楽まで駆け抜けたい」

<ストーリー>
1957 年、人類初の人工衛星スプートニクが宇宙へ飛び立ち、ウェスト・ヴァージニア州の炭鉱町コールウッドでその姿 を見た高校生ホーマー(甲斐翔真)は自身もロケットを打ち上げたいと言う夢を抱き、悪友のロイ(阿部顕嵐)とオデル(井澤巧麻)、そして科学の知識を持つ、いじめられっ子のクエンティン(福崎那由他)を仲間に引き入れて「ロケット・ボーイズ」を結成する。 しかし、ロケットは失敗続き、炭鉱の責任者である父のジョン(栗原英雄)はホーマーの行動が理解できず、父子は激しく対立、そんな二人に母のエルシー(朴璐美)は寄り添い続ける。 最初は馬鹿にされていたボーイズだが、高校の物理教師のミス・ライリー(夢咲ねね)や炭鉱の人たちの助けを借り、全米科学コンテストへ向けて、少しずつ前進する。 ホーマーのガールフレンドのドロシー(中村麗乃)はそんな彼らを複雑な心境で見つめていた。 ある日ジョンが炭鉱で重傷を負い、ホーマーは家計を助ける為に高校を辞め、夢も捨てる決断を迫られることになる。

<概要>
October Sky-遠い空の向こうに-
【東京公演】2021年10月6日〜10月24日 Bunkamura シアターコクーン
【大阪公演】2021年11月11日~11月14日 森ノ宮ピロティホール
演出:板垣恭一
脚本:ブライアン・ヒル&アーロン・ティーレン
作詞作曲:マイケル・マーラー
出演:甲斐翔真 阿部顕嵐 /夢咲ねね /栗原英雄 朴璐美 中村麗乃(乃木坂46) 井澤巧麻 福崎那由他
畠中 洋 青柳塁斗 筒井俊作 礒部花凜
中本雅俊 角川裕明 大嶺 巧 秋山エリサ 國末慶宏 砂塚健斗 Sarry
主催:アミューズ

公式HP: https://october-sky.jp/