劇団態変 新作『白花弁の歌(しろはなびらのうた)』上演

あの世とこの世の狭間に現れる、幻の白花弁、を、身体で降らせる舞台…態変の真骨頂、「抽象身体表現」への回帰、音と舞台美術、金滿里演出による空間構成の魅力、劇団態変が新作『白花弁の歌(しろはなびらのうた)』を上演する。

主催者より
得体のしれない大きな力に拮抗し在る“態変の身体表現”を、その内側からの魂の静かけさを逃さず舞台に表現していきます。
汚濁にまみれきった世界にあって、何が真で何が偽か分別のない危うさに、人類は晒されている今。だから態変は、敢えて、純粋な人の心を問題にしたいと考えました。それは、死への願望を見つめ、だからこそ生と死の境界面が初めてわかる、ただ在る、ことの光を見つけ出します。
ですから『白花弁の歌』は、「生」をあらゆる角度から捉え返し、現わしてきたこれまでの態変の多くの作品とは一線を画します。自然も人間の身体も、一つの宇宙に溶けるとき、かすかに見える遠いもの、それによって奏でられる詩のような作品が、今まさに生まれようとしています。
近年、態変は独自の身体表現を基本としながらも、『箱庭弁当』ではファンタジー、『心と地』ではSF、といったジャンルに挑み、ひとりひとりのパフォーマーが持つ表現の幅を広げてきました。様々なキャラクターを演じることにも挑戦してきた今だからこそ、態変の真骨頂といえる≪抽象身体表現≫に回帰する
機がいよいよ熟したのだと考えます。
『白花弁の歌(しろはなびらのうた)』という一見ロマンチックなタイトルに乗せ、金滿里が創作する今回の舞台はしかし、ただの原点回帰にとどまりません。無機質でありながら、妥協せず爆発する身体が、一転して、全く静かではるかな風景へと立ち替わるその瞬間をまさに掴もうとする未知への挑戦。それは態変の身体が、これまで最もやりたいと夢見てきた表現でもあります。
金滿里演出の元、緻密に舞台上に構成される音・光・美術と身体は、近年では現代美術の文脈で語られることも増えてまいりました。
本作の音の世界を担当するのは、かつふじたまこ。日常生活の中から作られる五感を刺激する音色が豊かに情景を描きます。そして舞台美術は、長年にわたって態変の舞台美術を製作してきた吉田顕。本作のひとつの要となる、「逆風の目」というモチーフに取り組みます。舞台に映し出されるその現代社会をイメージしたオブジェは、態変身体と呼応しあいどんな光景を立ち現わさせるのか。
1983年に大阪で旗揚げ公演を行ってから、態変は今年で39年目を迎えます。演劇や舞台をめぐる状況は大きく変化しつつありますが、今こそ舞台ならではの出会いを、多くの方に体験していただきたい。そこにあるべき音・光・美術が態変身体と響きながら、ともに唯一無二の空間を創り上げていく様は、長年態変舞台を観ていただいた方にも、新しい観客の方にも必ずや楽しんでいただけることでしょう。
態変の真髄としての抽象身体表現作品、たっぷりとご堪能下さい。

概要
『白花弁の歌(しろはなびらのうた)』
日程・会場:2022年11月11日〜13日 AI HALL (伊丹市立演劇ホール)
作・演出・芸術監督:金滿里
音:かつふじたまこ
出演:金滿里 小泉ゆうすけ 下村雅哉 田岡香織 渡辺綾乃 池田勇人 山崎ゆき
公式サイト:http://taihen.o.oo7.jp/upcoming.html