中村京蔵 爽涼の會 『フェードル』上演

中村京蔵 爽涼の會、フランス古典悲劇を歌舞伎ベースとした和様式での上演に挑戦!

歌舞伎女方 中村京蔵。自身が主催する公演としては最後の公演となる“爽涼の會”において、フランス古典悲劇の傑作『フェードル』(作:ジャン・ラシーヌ)が、8月19日、20日に 国立劇場小劇場で上演。
本作は、フランス古典悲劇を、歌舞伎の様式美をベースにした和様式で上演するという試み。

ジャン・ラシーヌ作の「フェードル」は、フランス古典悲劇の傑作と謳われ、ギリシャ神話の「ヒッポリュトス」が原典で、そこから想を得ている。所謂、継母の邪恋がテーマで、継子や恋敵との相克、そして破滅が描かれているが、日本にも継母の道ならぬ恋をテーマにしたものは、説教節・人形浄瑠璃・歌舞伎にも種々あり、中でも人形浄瑠璃から歌舞伎に輸入された「摂州合邦辻」の玉手 御前が夙に有名。
三島由紀夫は「フェードル」を歌舞伎に翻案(芙蓉露大内實記)し、1955年、歌舞伎座で、6世中村歌右衛門の主演で上演。

1980年、中村京蔵は蜷川幸雄氏演出のシェイクスピアの「マクベス」の初演に衝撃を受けた。小田島雄志氏の翻訳本のまま、人名も地名もそのままで、衣裳・かつら・大道具・ 小道具がすべて和様式で、日本人の美意識で演出されていることに驚き、全く違和感がないことを知り、その後、蜷川幸雄氏が2015年に『NINAGAWA・マクベス』が配役を一新して再演されることになり、魔女役のオファーを受け、懸命に蜷川演出を学ぶ日々が始まった。

元々、フランス古典悲劇の傑作『フェードル』に興味を持ち、演じたいと長年模索していた中村京蔵は、 『NINAGAWA・マクベス』の経験を踏まえて、『フェードル』は歌舞伎をベースとした和様式で絶対出来ると確信を持ち、今回の実現に。

翻訳は岩切正一郎、蜷川幸雄氏の薫陶を受けた大河内直子が演出。俳優陣は「21 世紀の裕次郎を探せ!」オーディションをきっかけに芸能界入り、昨今は舞台俳優として表現力に磨きがかかり活躍も目覚ましい、池田努。『仮面ライダー龍騎』に主演、以降、映画・舞台など幅広く出演し、舞台『若き日の親鸞』では悪役を演じ、活躍の場を広げている須賀貴匡。現代劇の女形として数多くのヒロインを演じ、『ジョン王』(彩の国シェイクスピア・シリーズ)他、劇団☆新感線などで様々な役を演じ、軽妙さも兼ね備え、可憐さに定評がある植本純米。『NINAGAWA マクベス』、『海辺のカフカ』他、多くの蜷川幸雄演出作品に参加してきている景山仁美。『十二人の怒れる男』(リンゼイ・ポズナー演出)、『冬の時代』(大河内直子演出)、『血の婚礼』(蜷川幸雄演出)他出演多数、超実力派舞台俳優、青山達三。国内外の舞台に参加し、日本舞踊坂東流の師範名取でもある小林亜紀子。歌舞伎界からは、歌舞伎女方で中村梅玉一門らしい折り目正しい舞台姿に定評がある中村梅乃、松竹子ども歌舞伎スクール寺子屋第一期生、成長目覚ましい醍醐晴が参加。

演劇の地平を模索し続け、世界中に歌舞伎を啓蒙してきた中村京蔵
数々の自主公演を重ね、海外での歌舞伎の普及啓蒙活動に尽力、これまで34ヶ国60都市を訪問、2019 年には歌舞伎俳優としては初の文化庁文化交流使として、キューバで初めて歌舞伎公演を実施。

概要
公演名:中村京蔵 爽涼の會『フェードル』
作:ジャン・ラシーヌ
翻訳:岩切正一郎
演出:大河内直子
出演
池田努 中村京蔵 須賀貴匡 植本純米 青山達三 景山仁美 小林亜紀子 中村梅乃 醍醐晴
公演日時:2023/8/19(土)18:00・20(日)12:00/17:00
会場:国立劇場小劇場

公式サイト:https://www.kyozo.jp