「日本のショービジネスを変える 2.5次元ミュージカルの世界への挑戦」日本2.5次元ミュージカル協会代表理事/ネルケプランニング代表取締役会長 /演劇プロデューサー松田誠

2019年2月27日、第6回ライブ・エンターテイメントEXPOにて「日本のショービジネスを変える 2.5次元ミュージカルの世界への挑戦」と題して日本2.5次元ミュージカル協会代表理事/株式会社ネルケプランニング代表取締役会長 /演劇プロデューサーの松田誠が登壇し、講演が行われた。

まず、2.5次元ミュージカルの定義、また2.5次元という言葉の『由来』を説明してから本題に入った。ミュージカル「テニスの王子様」は2.5次元ミュージカルを代表する作品の一つであるが、なんと初演から16年目に突入している。松田誠は「卒業というシステムがあります」と語ったが、要するに定期的にキャストの入れ替えが行われており、『卒業生』は約400人!斎藤工、城田優、宮野真守、加藤和樹など最近では朝ドラに出演した志尊淳ら日本のエンタメシーンを牽引するような人材を輩出している。

実は舞台ビジネスは大きなビジネスであることはあまり認識されていない。例えば「レミゼラブル」は30年もの間、上演され続けており、日本でも劇団四季が上演している「ライオンキング」は現在は7ヵ国で上演されているそうで、チケット代のおよそ15%がロイヤリティとして権利側に入ってくる。名作が出来れば長きに渡って上演され、世界規模になればかなりのビッグビジネスになるのである。

ところで、現在、2.5次元ミュージカルの上演本数であるが2017年の実績は171タイトル、観客動員数は223万人出そうである。右肩上がりに伸びており、若い観客、女性が多いのが特徴だ。2.5次元ミュージカルは新しい観客層の掘り起こしに貢献しており、中には「観劇初心者」もいる。2.5次元ミュージカル協会では「2.5フレンズ」という会員を募集しており、現在は15万人。チケットの優先予約などの特典があり、定期的にメールマガジンの配信を行っている。このような取り組みをしている協会であるが、その他に海外の観光客向けのリーフレットの作成なども行っている。しかし、課題も多く、海外の観光客が「今日観たい」と言うニーズに答えられるようなシステムの整備も急務であると松田誠は語る。東京の2.5次元ミュージカルの専用劇場は残念ながら2018年にクローズドしたが、2019年の7月には神戸に2.5次元ミュージカル専用劇場をオープンする予定となっている。そしてここにくれば2.5次元ミュージカルの情報が入手できるようにする、と松田誠は続ける。

2.5次元ミュージカルの海外での展開であるが、アジア圏、とりわけ中国での展開が盛んである。中国本土はもとより、台湾やシンガポールなどではミュージカル『刀剣乱舞』やライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」など海外で知名度の高い作品を中心に公演を行っている。また時差の関係でとりわけアジア圏(台湾、香港、シンガポール、インドネシア、タイ、オーストラリア)での2.5次元ミュージカルのライブビューイングも多く行われるようになっている(2014年以降、2019年2月現在)。基本的に国籍問わずファンが好きなのは無論、キャラクターである。JAPAN EXPOでミュージカル「美少女戦士セーラームーン」を紹介したが、椅子が300席のところ、実際に会場にきたお客様およそは2000人だったそう。それは「本物が日本からやってきた」から。そして彼らにとってキャラクターは『スター』、しかも客席に降りてきてくれる、生きているキャラクターが目の前にいる、「これが『2.5次元』の醍醐味」と松田誠は語る。

しかし、海外に行ける『2.5次元』は認知度が高いもの、「NARUTO」「美少女戦士セーラームーン」などになるが、海外のファンは日本のファンより熱量が高い印象、松田誠は作品『愛』と評した。
ゲームやコミック、アニメの舞台化作品、いわゆる2.5次元舞台作品は最初は海外の人々にとってはもの珍しく、生身の『キャラクター』がすぐそこにいることで満足できるかもしれないが、何度も観れば、だんだんと目も肥えてくるのは必然。「作品そのものが面白くなければ・・・・・・クオリティをあげていかなくてはならない」と力説し、そのためには「優秀なスタッフ、クリエイター」の存在は重要だ。
「2.5次元は日本において革命的なもの、これを一つのカテゴリーにして海外の顧客にダイレクトに届けられる」といい「日本はコンテンツを無駄にしている」と現状を語る。中国ではなんと、あの「一休さん」がミュージカルになっているそうで松田誠は続けて「中国では、このアニメを教育的に子供達に見せている、だからミュージカル版がヒットしている、眠っているコンテンツはいっぱいある」と力強く語った。膨大な量のアニメ、コミック、そしてゲーム、掘り起こせば舞台化が可能な作品はまだまだある。「『おわコン』なんてないんです。コンテンツは終わらないんです」と『おわコン』を全面否定。「日本のコンテンツを世界に持っていけるんです、実は耕していない畑はまだまだあります、胸を張れるコンテンツはいっぱいあります」と語り、熱のこもった講演は終了した。