箏に情熱を注ぐ高校生たちの青春物語と生演奏が心振るわせる!舞台「この音とまれ!」開幕!

2019年8月17日(土)に舞台『この音とまれ!』が東京・全労済ホール・スペース・ゼロにて開幕した。本作は和楽器「箏(こと)」を題材とし、箏に情熱を注ぐ高校生たちの青春を描いたアミューによる人気漫画「この音とまれ!」の舞台版。脚本・演出を伊勢直弘が務める。

原作は「ジャンプスクエア」(集英社)において、2012年から連載中の累計300万部突破(電子版含む)の大注目コミックスで2019年4月から6月にかけてアニメ第一期が好評の中で放送終了し、10月からは第二期の放送が決定している人気作。作中には古典曲から本作オリジナルの曲まで多種多様な箏曲が登場しており、2017年には作中に登場する箏曲を収録したCDが第72回文化庁芸術祭レコード部門で優秀賞を受賞するなど本格的に箏を扱った作品。

物語は、廃部寸前となっていた時瀬高校箏曲部(そうきょくぶ)ただ一人の部員である倉田武蔵(古田一紀)のもとに、上級生にすら恐れられる不良少年だが仲間思いの優しさを持つ久遠愛(財木琢磨)が現れ、入部を申し出るところから始まる。そして、箏の家元『鳳月会』の出身で、天才的な箏の奏者である鳳月さとわ(田中日奈子)が、とある理由から入部したいと2人のもとを訪れる。

さらに愛の中学時代からの仲間である、足立実康(塩田康平)、水原光太(上仁樹)、堺通孝(小島ことり)を加え、箏曲部は新たに始動する。だが、教頭(山雅志)から箏曲部の存続を認めてもらえずにいた。そこで、さとわは廃部を免れる条件として、半分以上素人である彼らが一ヶ月後に全校集会で学生全員を納得させる演奏を披露することを提案するのだった……。

箏の職人で、時瀬高校箏曲部の創立者でもある愛の亡き祖父・源(加藤靖久)との思い出とある事件によって箏にのめり込んでいく愛。財木は、不良少年としての荒々しさの中に正直に心を開くことができない不器用さと仲間を思う優しさを持つ愛を熱演。古田は、先輩たちから受け継いだ箏曲部を廃部寸前としてしまった内気な武蔵の苦悩を舞台上で覗かせ、田中は、お嬢様でありながら猫をかぶり、天才であるが故に周りと理解し合えずに悩むさとわを表情豊かに演じる。

今どきの高校生らしい実康、光太、通孝の3人組を演じる塩田、上仁、小島が、チャラそうに見えて愛のためにと友情厚くコミカルに奮闘する姿を見せる。また、愛の同級生で良き理解者として登場する高岡哲生を演じる小沼将太の愛への温かいまなざしと落ち着きのある演技も印象的だ。

それぞれが事情を抱えながらも、心を通い合わせて人として成長していく高校生たち。キャストそれぞれが演じる役の思い抱きながら好演している。

そんな高校生たちを演じるキャストを支える大人組の出演者たちにも注目だ。愛の回想として登場する祖父・源を演じる加藤は、職人らしい頑固さと愛を包み込む優しさを見せ、源の友人で箏の修理と販売を行う楽器店のおばあちゃん、仁科静音を演じる藤田弓子はベテランらしく若手キャストをガッチリと脇から支える。加えて、愛たち箏曲部の前に立ちはだかる壁として登場する教頭を演じる山の憎たらしさが物語を盛り上げてくれる。

そしてクライマックスには、作中のオリジナル楽曲「龍星群」を箏曲部キャスト6名が生演奏で披露する。半年に及ぶ箏稽古を経た箏曲部キャストの演奏シーンでは、会場内に響く箏の音色、張り詰めた空気感、キャストたちの真剣な表情が観客にダイレクトに打ち寄せられ、思わずゲネプロの撮影でカメラのシャッター音を鳴らすのをためらわせるほどの本格的な演奏となっていた。

高校生たちが魅せる青春群像劇と心振るわせる箏の調べが見る者に爽やかな風を送り届けてくれる舞台となっている。

なお、ゲネプロ前の囲み会見には財木、古田、田中、塩田、小島、上仁、小沼、伊勢の7名が登壇し、挨拶などを行った。

財木琢磨:
原作を読んで“とどけ”という言葉が印象的で、この言葉を大事に僕らはこの舞台、この作品がみなさまに“とどけ”という気持ちで最後までこの舞台を駆け抜けていきたいです。生演奏はもちろん、生演奏の前の緊張感がリアルで、お客様も生徒になった気持ちでリアルな緊張感を体感してほしいです。

古田一紀:
ゲネなのでいろんなことがあると思いますが、せっかく見にいらっしゃったので楽しんでください(笑)。今日にいたるまで自分の中でいろんなことを考えて、何回も頭の中でイメージして、すごく体にふっと入った状態になったので、緊張していないというか、緊張しています(笑)。

田中日奈子:
この物語はそれぞれ人としてワンランク上に成長していく物語だと思っています。なので、私もこの舞台を通して人としても成長できるようになればと思っています。生演奏はもちろん、やっぱりその前の物語があっての生演奏、それがあっての緊張感、その後の物語がすごくつながっているので、物語の部分も大事に見て、それから生演奏を見るとグッとくるものがあると思います。

塩田康平:
原作はとても言葉の力が強い作品なので、読んでいるだけでグイッとくるシーンがたくさんあります。それを、高校生ならではのド直球な言葉でしっかりハマって、ドキドキしてもらえればいいなと思います。原作の漫画だと演奏の表現が絵として見えるんですけど、そこを僕らが本当に音で波打っているところが見えればすごくいいなと思っています。ぜひ楽しんで聴いて頂ければと思っています。

小島ことり:
原作のお話が好きで、これだけ人と人との思いがいろんな形につながりながら、それでもまたぶつかって、それでもまたつながってという、すごく人と人とのつながりが大切に描かれている作品です。この作品に関わっているすべての人たちのそういう思いをつなぎながら最後まで駆け抜けていけたらと思っています。生演奏も見どころなんですが、やっぱりそこまでの各々のキャラクターがどういう風に出会って、どんなことを感じてこの人たちは先に進んでいくんだろうとか、そういうところを大事に思いながら演じているので、そういったみんなの思いが先につながって最後の場所まで行けるようにと思っています。

上仁樹:
言いたいことはみなさんがほぼ言っていたので(笑)、意気込みを光太として言います。「元気よくみなさんに笑顔を振りまけられるように頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!!」

小沼将太:
この舞台が始まる前に横断幕にみんなでひと言ずつ書いたんですけど、僕は“絆”と書きました。原作ではみんなに個性があって、演奏前ぐらいにどんどん仲良くなっていくんですけど、そこでは“絆”が大事だと思っています。今回の公演はロングランなので、やっていく上でもっと自分たち役者も“絆”を深めて千秋楽までケガがないように向かっていけたらいいなと思っています。

伊勢直弘:
箏という楽器をとおした青春群像劇ではありますけど、本当にスタッフ・キャスト一同がこの世界を大好きなんです。その大好きが会場で伝播していけばいいなと思っています。キャストのみなさんはぶつかって悩んで、壁に当たって、それを乗り越えて成長していくという役のまんまで、今日の時点ですごく成長してくれています。これからも楽しみにしているので、個人的にも応援していこうと思います。この物語のクライマックスで全校集会という形でキャストが箏の生演奏をしてくれます。会場のお越しのみなさまは、全校生徒集会に参加する気分で見届けてやって頂ければ、彼らの思いの詰まった箏を会場で堪能して頂けると思います。ぜひ、彼らの生き様を聴きに来てください。

<キャスト>
久遠愛役 財木琢磨
倉田武蔵役 古田一紀
鳳月さとわ役 田中日奈子
足立実康役 塩田康平
堺通孝役 小島ことり
水原光太役 上仁樹
高岡哲生役 小沼将太
教頭役 山﨑雅志
久遠源役 加藤靖久
仁科静音役 藤田弓子
【公演概要】
日程・場所:
<東京(全労済ホール/スペース・ゼロ 提携公演)>
2019 年 8 月 17 日(土)~25 日(日) 全労済ホール/スペース・ゼロ
<福岡>
2019 年 9 月 7 日(土)~8 日(日) ももちパレス
<大阪>
2019 年 9 月 14 日(土)~15 日(日) 森ノ宮ピロティホール
原作:アミュー「この音とまれ!」(集英社『ジャンプ SQ.』連載)
脚本・演出:伊勢直弘
箏曲監修:橋本みぎわ
特別協力:五味和楽器店
制作:Office ENDLESS
制作協力:上野志津華
アソシエイトプロデューサー:池長彩也子
プロデューサー:下浦貴敬/山田泰彦
公式HP:http://officeendless.com/sp/konooto/
主催:舞台「この音とまれ!」製作委員会
(C)アミュー/集英社・舞台「この音とまれ!」製作委員会
取材・文:櫻井宏充