誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」〜闇ヲ見つめる者〜 正義とは?力とは?強さとは?みんながいるから上にいける、強くなれる。

大反響の中惜しまれつつ終了した初演公演、それをさらにレベルアップされた改訂版が、今回の誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」〜闇ヲ見つめる者〜となる。キャストは一部新キャストとなっている。
舞台の始まりはバシーニ(山口大地)のモノローグ、「誰かとともにあることは弱さと教えられた」とつぶやく。強さとは?正義とは?そして平和、なかなか答えのでない命題だ。そしてタイトルをバシーニが言う。それからクダンシュタイン(橘龍丸)とクウザ(柏木佑介)のシーン、ともに戦うことを誓い合う、「オライオン(永田彬)を討つ!」と。オライオンはグリードダイク皇帝だが、その名の通り、勇猛で豪快な人物で王でありながらも自ら戦地に赴き、武人としても無類の強さを誇る。殺陣のシーン、バシーニは聖教騎士団の訓練生だが、メキメキ腕をあげてきた。ザイン(中村誠治郎)から「腕を上げたな」とほめられるようにまでなる。それからオープニング、テーマ曲、殺陣にダンス、華やかだ。ここでキャラクター同士の関係性もわかるようになっている。それから本格的にストーリーが動き出す。

流れは初演と基本的に同じであるが、今回はバシーニがキーマン。彼は天涯孤独、生き延びるためには強くなければ、そして力こそが全てと考える。努力を重ね、正規の騎士団員に引けを取らない強さを持つ。これはある意味、彼の哲学でもある。バシーニは、強さとは絶対的なものであり、聖教騎士団員が危険視する闇の力ですら、その揺るぎない頂に立つための手段でしかない、そう教えられ、またそれを信じてきた。しかし、聖教騎士団の面々と接しているうちに、真の強さ、真の力についての彼の信念が揺らいでくる。

初演でも描かれているが、義兄弟の契りを交わしたクダンシュタインとクウザの対決、クウザはなんとオライオンの側についていた、という衝撃、ワダツミの悲劇。これらのストーリーやエピソードが重なり合う。そしてラストシーンに怒涛のように向かっていく。戦い、騎士団の団結、その中の人間関係、カノン(花影香音)は戦災孤児であるが、明るくまっすぐな性格、ザインの命によりバシーニを部下とするが、彼にまっすぐに向き合い、接する。そして「叩きのめすだけが強さじゃない」「世界を笑顔に」というカノンに対してバシーニは「すごい人ですね」と言う。バシーニが考えている『力』『正義』が揺らいでいく。知らない価値観、理解できない信念、しかし、その『知らないこと』『理解できないこと』がわかるようになってくると・・・・・・人は変貌する。

見所は初演と同じく殺陣、目線、武器の用い方など細かいところまで行き届いた動き。ただただ元気な殺陣ということではなく、エモーショナルに見えるように工夫。そしてバシーニの心の変化。孤独だったバシーニが強さとは絶対的な力と考えるのは無理からぬこと。強くなければやられてしまうからだ。しかし、皆で支え合い、協力しあい、お互いを思いやり、力のない者に心を砕く騎士団の仲間の姿はバシーニにとってはにわかに信じがたいものであったが、それが彼の心を溶かしていく。感涙必至な心の動き。クダンシュタインとクウザ、そして聖教騎士団、懐の大きいザインを中心にオライオンに立ち向かうが、一人では力及ばずでも互いに信じあえればどうにかなる。「誰ガ為の正義を!」これに尽きる。
クダンシュタイン役の橘龍丸は初演に引き続き、安定感のある演技、また花影香音ら女性陣の身体能力の高さ、難しい動きも華麗に!チームワークもよく、初演よりも引き締まった感もあり、1幕もので上演時間は2時間弱、疾走感のあるステージ、29日まで。「タガタメロス」がまたまた発生しそうだ。

<キャスト>
クダンシュタイン:橘龍丸
クウザ:柏木佑介 (NEW)
カノン:花影香音
カグラ:吉川友 (NEW)
オーティマ:松本ひなた (NEW)
モンゼイン:伊勢大貴
セーダ:花奈澪
オライオン:永田彬 (NEW)
ヤウラス:桃月なしこ (NEW)
チハヤ:仙石みなみ (NEW)
バシーニ:山口大地
ザイン:中村誠治郎  他

【公演概要】
誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」〜闇ヲ見つめる者〜
日程・場所:2019年9月26日(木)〜 29日(日) 博品館劇場
原作:今泉潤/FgG『誰ガ為のアルケミスト』
主催:Amane/gumi
脚色・演出:宮城陽亮
脚本:谷口健太郎/深浦佑太
制作:ファイズマンクリエイティブ/レジェンドステージ
企画・プロデュース:今泉潤
公式HP:https://tagatame-stage.jp
公式ツイッター:@tagatame_stage
©誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」製作委員会